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出歩く
しおりを挟む流石にアイシャは疲れて寝ている。
あれだけの事があったんだ、今日一日寝かせておいた方が良いだろう。
消化の良い食事を作ってきて、手紙を書いて、これで大丈夫だ。
俺は、今後どうするか考える為に今日は一日出歩く事にした。
◆◆◆
まずは奴隷商に来た。
前回お世話になったし、色々と聞きたい事もあった
「セレス様、今日はどうなさいました?」
「いや、この間お世話になったから挨拶にと思いまして」
「そうですか?生憎、主は所用で出かけています」
マイクさんも奴隷のプロだ。
話しを聞いて貰うのも良いかも知れない。
「ああっそういう事ですか? アイシャさんに刻んだ奴隷紋は緩いからですね」
「えっ奴隷紋にも色々あるんですか?」
「そうですね、強くすれば『逆らえば死ぬ』なんてレベルもあります、ですがセレスさんの場合は家族みたいな関係を望んでいましたので、そちらで調整しました、これだとある程度自由がきいて、スキンシップが出来ます。 基本『殺意を向ける』『明らかに危害を与える』この位で無いと発動しません、多少は主人にも逆らえます」
「成程」
「それに『英雄セレス様』に勝てるような存在はそうは居ないから、態々縛る事も無いでしょう」
まぁそうだな。
確かに、奴隷紋で縛った付き合いは本意じゃない。
マイクさんの判断は正しい。
「色々教えて頂きありがとうございました」
お礼を言って奴隷商から立ち去った。
◆◆◆
今度は冒険者ギルドに来た。
今の俺の立場がどうなっているか知る為だ。
結論から言うと完全には勇者パーティから抜けてはいなかった。
勇者パーティの別動隊扱いになっていた。
この状態なら『俺が新たに他のパーティに加入しなければ』勇者パーティの権利が行使できる。
俺がもし中心になってパーティを作るなら『別動隊』になる。
つまり、俺が他の誰かのパーティに入るまでは『勇者のパーティの特権』が使える。
俺の場合は少し特殊な立ち位置だった。
勇者→ 王国が支援
聖女→ 教会が支援
賢者→ アカデミーが支援
剣聖→ 商会が支援
こんな感じでそれぞれ『支援するバック』が存在する。
彼等はそこから支援金を貰い、勇者パーティのギルドカードにお金が振り込まれる。
何が言いたいのかと言えば俺には支援するバック、つまり後ろ盾がいない。
簡単に言えば、後ろ盾の居ない俺は、勇者パーティの使い走りみたいな感じで、必要なお金はパーティから貰っていた。
国から見れば『勇者達』は四職。
勇者、聖女、賢者、剣聖のみが勇者の仲間たち。
俺は国ではなく「ブラックウイング」の方の仲間だと言う事だ。
多分、俺が『勇者保護法』で保護されているのは…多分リヒトを含む勇者パーティが仲間だと主張してくれている事が大きいと思う。
追放されて無いのに依頼を受けたのは不味いかと思ったが、別動隊だし、何処からもお金を貰っていない俺だからこそ『自分の生活費は自分で稼ぐしかない』そういう理屈で問題が無いそうだ。
◆◆◆
教会の方はご丁寧にソニアが教皇を通し「姉弟みたいな存在」だからお願いしますね。
と通達がされているようだ。
最も、俺は勇者や聖女と仲が良く、更に平民に人気があるので本来は魔法戦士なのだが『英雄』と呼ばれている。
だからこそ、その人気を取り込む意味でも『勇者の仲間』と扱われているのかも知れない。
アカデミーも商会も教会程ではないがやはり『勇者の仲間』としての扱いを受けられている。
これなら問題が無い。
今の俺ならアイシャを守る力がある。
今の立ち位置が崩れる前に、行動を起こすべきだろう。
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