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解呪
しおりを挟むその後は特に襲撃も無く街につき、奴隷商と別れた。
奴隷商の主は俺にお礼を言いお金を渡そうとしてきたが受け取らなかった。
詳しい事情は話しにくいので話さなかったがソルガが襲ってきたのはアイシャだ。
実際は助けたのではなく『巻き込んだ』のだから、流石にこんなマッチポンプでお金は受け取れない。
◆◆◆
無事に宿につき、アイシャの様子を見た。
アイシャは意思を伝えようとしているのだが、上手くそれが出来ないように感じた。
最初に取りあえず、教会に連れて行くことにした。
俺が作った秘薬に聖女であるソニアが作った秘薬もあるが、こういった事は教会がプロだ、一度見て貰った方が良いだろう。
俺が教会に行くと俺を見た司祭が飛んできた。
「貴方様は『英雄セレナ』殿ではないですか?」
「そうですが、お願いがあってきました、この女性の様子を見て下さいませんか」
「これは、ある種の毒と呪いが使われていますな」
アイシャを一目見て、司祭はその原因を探り当てた。
「それで、治療は可能でしょうか?」
「貴方様は尊い方のお仲間『可能でしょうか?』などど聞かないで下さい。「必ず治せ」そう命令してくだされば良いのです」
「それではお願いします」
「このブルーニ、命に代えてもお治しさせて頂きます」
この世界の宗教は一神教だ。
そして勇者や聖女は女神が遣わした者と考えられている。
その為、教会は勇者や聖女には無茶苦茶優しい。
更に、その教会の派閥の中でも一部の教会は『勇者絶対主義』を唱えている。
この教会の教義の中には『勇者や聖女は尊い存在』なので一切逆らってはならないそう書かれている。
俺は勇者パーティだからか、勇者や聖女に仕える存在と思われているらしく、ほとんどの教会で顔が利く。
恐らく『命に代えても』なんて言い出すからには恐らく『勇者絶対主義者』に違いない。
待つこと1時間。
「この程度の呪いと毒は私たちに掛かれば簡単に治せます」
ブルーニ司祭は『私たち』と言っている。
つまり、この呪いと毒は1人では司祭でも治せなかった。
そういう事だ。
多分、俺が勇者パーティでなければ目が飛び出る位の金額を請求されたに違いない。
「ありがとうございます」
「良いのですよ、女神の御使いたる、勇者、聖女のお仲間、教会は何時でも貴方の味方です」
そう言うと素晴らしい笑顔を俺に向けてきた。
この教会の対応からして、俺の籍はまだ『勇者パーティ』に残っている。
そうでなければ不自然だ。
勇者リヒトも聖女ソニアも『色が絡まなければ良い奴』なんだ。
リヒトにとって
幼馴染>>俺>>他の女>>>>>他の人間
ソニアにとって
リヒト>>俺>>>>>他の人間
って感じで『友情より愛が優先』なだけ。
『親友』『幼馴染』では未だにあるという事だ。
そんな事を俺が考えていると司祭やシスターの後ろから、今まで見たことが無い位の美女が顔を出した。
プラチナブロンドのまるで透き通る様な髪にしなやかな体。
まるで綺麗なお姫様にしか見えない神々しさを持っている。
俺からしたらまるでワルキューレの様に美しく見える。
アイシャだ。
「美しい」俺が思わずそう口にしたら、何故かいきなり俺に殴りかかってきた。
「なんで?」
俺には理由が分からなかった。
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