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競りにて
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奴隷市場についた。
奴隷商の主は、俺に入場ビザをくれた。
それを持って一緒に入場した。
「セレス様此処で一旦お別れです、私は仕事で高額奴隷の方の入札会場に行きます、セレナ様とは別会場になります。商会からはマイクをつけますので困った事があったら何なりと聞いて下さい」
俺は奴隷商の主と別れて別会場に向った。
「マイクさん、入札ってどうやれば良いのでしょうか?」
「簡単ですよ、手を挙げて大きな声で金額を言うだけです、その後に誰もそれ以上の金額をつけなければそのまま落札となります。 他の方がそれ以上の金額をつけたら、競争になり最終的に一番高額の金額をつけた方の物となります。 奴隷商と違いオークションの主に落札金額の10%と奴隷紋の刻み賃銀貨8枚が別途必要になりますからご注意下さい。なお、現金決済のみで冒険者カードや商業ギルドカードは使えませんのでご注意下さい」
普通の競となんだ変わらないんだな。
「ありがとう」
「いえ、私の事はマイクとお呼びください、更に注意するなら、これからセレス様が行く会場の奴隷は難あり扱いになります、犯罪奴隷も含まれ、更に購入後すぐに死んでしまっても保証がないのでご注意下さい」
なんでも通常の奴隷であれば3か月の生体保証があるそうだ。
完治不可能な性病、死ぬ可能性のある病等、診断書つけてクレームをつければ返金して貰える。
だが、これから行く会場の奴隷にはこの生体保証がない。
極端な話、購入後すぐに死んでしまっても責任は無い。
そんな感じだ。
会場のテントは大きい物の、なんだか暗い感じがする。
一緒に競りをする席の他の人間も、肉体労働者が多い。
よく見ると犯罪者っぽい人間も多くいる。
「此処に来ている人間の多くは、力仕事に使える『男』狙いです。基本的にはライバルになる方は少ないと思います。あと女性の奴隷は少なそうですね」
「そうなのか?」
「そりゃそうでしょう、二束三文以下の存在はお金になりませんからね」
俺には嬉しい話だが、何だか辛いな。
「さぁ、一緒に下見に行きましょう」
「下見?」
「はい下見です」
なんでも、これから競りに掛かる奴隷の下見が出来るそうだ。
最も檻に入っていて奴隷もこちらも一切話す事は禁止されている。
マイクさんが俺の代わりに、この競りの会場の主催者に聞いてくれた。
「すみません、女の奴隷はどのあたりに居ますか?」
「会場を間違えていませんかね? 此処は訳ありの奴隷の競会場です、女狙いなら一般か高級奴隷の方の競りの方が良いでしょう」
「いえ、少し高齢な女奴隷狙いでして」
「成程、家事奴隷ですか? 今回の女奴隷は1人だけで家事も出来ないからほぼ鉱山奴隷しか使い道は無さそうです、まぁ誰も買わないでしょう、年齢も38歳のババアだから夜の方も使いたいとは思わないでしょうから」
「確かに訳ありの女奴隷は少ないですが、今回は何故こんなに少ないのでしょうか?」
「なんでも、訳ありの黒目、黒髪の27歳の女奴隷が、とんでもないジョブとスキルを手に入れて『戦メイド』と呼ばれるようになったとか言う小説が他国で流行っているんですよ」
「小説ですか?」
「はい、ストーンヤツサーンという作者の架空の物語だそうです、ですがそのせいで『訳あり女奴隷』が高く売れると言う事で他国の方に持っていく業者がここ暫く多いんですよ、まぁ訳あり女奴隷以外の女奴隷は普通にこっちも流通しています」
二人の話を聞く限り、今回の競はハズレみたいだ。
だが、折角だからその1人を見て見るか。
「マイクさん、折角だからその1人見せて貰おう」
「あっそれなら、あっちです」
檻の前に来て見た。
これは駄目だ…差別をしてはいけないが、38歳なのにまるで老婆に見える。とても買う気は起きない。
だが、何故だか気になる、まるで薄汚い老婆のような姿なのに、よく見るとぶれて、プラチナブランドの凄い美人が見える。
「セレス様、これは駄目だ、一般奴隷の方に行った方がまだ望みはあるかもしれません、一般奴隷で価値が低いなかにいるかもしれない、そちらに行きましょう」
俺はこっそりと鑑定(劣化版)を掛けてみた。
賢者のリタから教わったから、一応俺は鑑定も出来る。
まぁ、本物には及ばないあくまで劣化だが。
すると…
アイシャ
ジョブ:農民(虚偽:姫騎士)
年齢: 38歳(虚偽:27歳)
スキル:無し(隠蔽:剣技中 盾技中 防御魔法中)
ステータス異常
俺のレベルじゃ、これ位しか見れない。
だが、ぼやけて偶に見えるプラチナブランドの綺麗な姿こそが多分、この奴隷アイシャの本当の姿だ。
話掛けて聞きたいが奴隷は会話が出来ないように猿轡がされている。
これは買いだ。
簡単な呪いの類なら薬でどうにかなる。
無理なら、最悪勇者パーティを追っかけて、聖女のソニアを頼れば良い。
まぁリヒトにババコンとか馬鹿にされそうだが27歳じゃ彼奴の範疇から外れるから、手を出される事も無いだろう。
「マイクさん、俺こっちで頑張りたい」
「マジですか? 38歳、片足棺桶に突っ込んだうえ不細工なのに..」
「まぁ蓼食う虫も好き好きという事です」
「あはははっセレス様、あんた違う意味で勇者だ」
なんだか急にマイクさんが馴れ馴れしくなった気がする。
◆◆◆マイクSIDE◆◆◆
やはり、この方は『勇者パーティ』なんだろうな。
恐らく、この奴隷は犯罪奴隷、此処で落札されなければ死罪になるか、死ぬまで牢獄だろう。
慈悲深いな、死ぬ前に普通に生活させてやりたい、そんな所か?
Sランク冒険者だからとかでなく、普通に付き合ってみたくなったな。
◆◆◆
競りが開始された。
殆どが男の鉱山奴隷候補なのだろう。
訳ありと言う事で安く、大体が金貨1枚~2枚以下で競り落とされた。
そしてとうとうアイシャの番になった。
「女奴隷、農民、スキル無し、最低落札価格は銀貨2枚からです」
「銀貨2枚」
俺は大きく手をあげ入札した。
「銀貨2枚、銀貨2枚、他には居ないか?他には居ないか? おめでとうございます、此方の奴隷アイシャは、そちらの紳士に落札されました」
一応会場から拍手が起きた。
まぁどんな奴隷を落札しても拍手するのはマナーらしい。
俺もさっきから他の人が落札するたびに拍手している。
俺は、その後代金として落札代金の銀貨2枚に手数料の銅貨2枚、奴隷紋の刻み賃銀貨8枚、合計金貨1枚と銅貨2枚を払った。
その場で俺に指を傷つけるよう言われ、ナイフで指先を斬ると俺の指先の血を使いアイシャに奴隷紋を刻みこんだ。
「これで、この奴隷は貴方の者になり、もう逆らえません、その代わり貴方は奴隷の主としてこの女の面倒をみなくてはいけない…良かったのかな? 暫くしたら介護になりますよ、この不細工の」
「まぁ、色々ありまして、良いんですよ」
「まぁ、趣向は人それぞれ、自由です、流石に披露目服は要らないですよね?」
「それなんですか?」
なんでも、奴隷の服のままじゃ無くお金を払えば、シャワーで綺麗に洗い上げ、綺麗な平民服に着替えさせてくれるそうだ。
「それ幾らですか?」
「銀貨3枚です」
「お願いします」
「本当に? あっ、解りました、この女奴隷が、お客様の死んでしまったお婆さんに似てるとかですか」
「そんな所です」
「お客様は優しい人なのですね」
本当は俺にとって美人だからとは言えないな。
「流石は勇者パーティの『英雄』セレス様ですね」
「マイクさん、それ歯痒いから止めて下さい、魔法戦士なのに」
「これはジョブでなくセレス様の活躍からついた字だって事は知っています、ただ私も尊敬できるからこそ、そう呼ばせて頂いております」
「まぁ別に構わないが」
そんなやり取りの中。
俺は頭の中でこの女奴隷アイシャに何があったのか?
そればかり考えていた。
奴隷商の主は、俺に入場ビザをくれた。
それを持って一緒に入場した。
「セレス様此処で一旦お別れです、私は仕事で高額奴隷の方の入札会場に行きます、セレナ様とは別会場になります。商会からはマイクをつけますので困った事があったら何なりと聞いて下さい」
俺は奴隷商の主と別れて別会場に向った。
「マイクさん、入札ってどうやれば良いのでしょうか?」
「簡単ですよ、手を挙げて大きな声で金額を言うだけです、その後に誰もそれ以上の金額をつけなければそのまま落札となります。 他の方がそれ以上の金額をつけたら、競争になり最終的に一番高額の金額をつけた方の物となります。 奴隷商と違いオークションの主に落札金額の10%と奴隷紋の刻み賃銀貨8枚が別途必要になりますからご注意下さい。なお、現金決済のみで冒険者カードや商業ギルドカードは使えませんのでご注意下さい」
普通の競となんだ変わらないんだな。
「ありがとう」
「いえ、私の事はマイクとお呼びください、更に注意するなら、これからセレス様が行く会場の奴隷は難あり扱いになります、犯罪奴隷も含まれ、更に購入後すぐに死んでしまっても保証がないのでご注意下さい」
なんでも通常の奴隷であれば3か月の生体保証があるそうだ。
完治不可能な性病、死ぬ可能性のある病等、診断書つけてクレームをつければ返金して貰える。
だが、これから行く会場の奴隷にはこの生体保証がない。
極端な話、購入後すぐに死んでしまっても責任は無い。
そんな感じだ。
会場のテントは大きい物の、なんだか暗い感じがする。
一緒に競りをする席の他の人間も、肉体労働者が多い。
よく見ると犯罪者っぽい人間も多くいる。
「此処に来ている人間の多くは、力仕事に使える『男』狙いです。基本的にはライバルになる方は少ないと思います。あと女性の奴隷は少なそうですね」
「そうなのか?」
「そりゃそうでしょう、二束三文以下の存在はお金になりませんからね」
俺には嬉しい話だが、何だか辛いな。
「さぁ、一緒に下見に行きましょう」
「下見?」
「はい下見です」
なんでも、これから競りに掛かる奴隷の下見が出来るそうだ。
最も檻に入っていて奴隷もこちらも一切話す事は禁止されている。
マイクさんが俺の代わりに、この競りの会場の主催者に聞いてくれた。
「すみません、女の奴隷はどのあたりに居ますか?」
「会場を間違えていませんかね? 此処は訳ありの奴隷の競会場です、女狙いなら一般か高級奴隷の方の競りの方が良いでしょう」
「いえ、少し高齢な女奴隷狙いでして」
「成程、家事奴隷ですか? 今回の女奴隷は1人だけで家事も出来ないからほぼ鉱山奴隷しか使い道は無さそうです、まぁ誰も買わないでしょう、年齢も38歳のババアだから夜の方も使いたいとは思わないでしょうから」
「確かに訳ありの女奴隷は少ないですが、今回は何故こんなに少ないのでしょうか?」
「なんでも、訳ありの黒目、黒髪の27歳の女奴隷が、とんでもないジョブとスキルを手に入れて『戦メイド』と呼ばれるようになったとか言う小説が他国で流行っているんですよ」
「小説ですか?」
「はい、ストーンヤツサーンという作者の架空の物語だそうです、ですがそのせいで『訳あり女奴隷』が高く売れると言う事で他国の方に持っていく業者がここ暫く多いんですよ、まぁ訳あり女奴隷以外の女奴隷は普通にこっちも流通しています」
二人の話を聞く限り、今回の競はハズレみたいだ。
だが、折角だからその1人を見て見るか。
「マイクさん、折角だからその1人見せて貰おう」
「あっそれなら、あっちです」
檻の前に来て見た。
これは駄目だ…差別をしてはいけないが、38歳なのにまるで老婆に見える。とても買う気は起きない。
だが、何故だか気になる、まるで薄汚い老婆のような姿なのに、よく見るとぶれて、プラチナブランドの凄い美人が見える。
「セレス様、これは駄目だ、一般奴隷の方に行った方がまだ望みはあるかもしれません、一般奴隷で価値が低いなかにいるかもしれない、そちらに行きましょう」
俺はこっそりと鑑定(劣化版)を掛けてみた。
賢者のリタから教わったから、一応俺は鑑定も出来る。
まぁ、本物には及ばないあくまで劣化だが。
すると…
アイシャ
ジョブ:農民(虚偽:姫騎士)
年齢: 38歳(虚偽:27歳)
スキル:無し(隠蔽:剣技中 盾技中 防御魔法中)
ステータス異常
俺のレベルじゃ、これ位しか見れない。
だが、ぼやけて偶に見えるプラチナブランドの綺麗な姿こそが多分、この奴隷アイシャの本当の姿だ。
話掛けて聞きたいが奴隷は会話が出来ないように猿轡がされている。
これは買いだ。
簡単な呪いの類なら薬でどうにかなる。
無理なら、最悪勇者パーティを追っかけて、聖女のソニアを頼れば良い。
まぁリヒトにババコンとか馬鹿にされそうだが27歳じゃ彼奴の範疇から外れるから、手を出される事も無いだろう。
「マイクさん、俺こっちで頑張りたい」
「マジですか? 38歳、片足棺桶に突っ込んだうえ不細工なのに..」
「まぁ蓼食う虫も好き好きという事です」
「あはははっセレス様、あんた違う意味で勇者だ」
なんだか急にマイクさんが馴れ馴れしくなった気がする。
◆◆◆マイクSIDE◆◆◆
やはり、この方は『勇者パーティ』なんだろうな。
恐らく、この奴隷は犯罪奴隷、此処で落札されなければ死罪になるか、死ぬまで牢獄だろう。
慈悲深いな、死ぬ前に普通に生活させてやりたい、そんな所か?
Sランク冒険者だからとかでなく、普通に付き合ってみたくなったな。
◆◆◆
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殆どが男の鉱山奴隷候補なのだろう。
訳ありと言う事で安く、大体が金貨1枚~2枚以下で競り落とされた。
そしてとうとうアイシャの番になった。
「女奴隷、農民、スキル無し、最低落札価格は銀貨2枚からです」
「銀貨2枚」
俺は大きく手をあげ入札した。
「銀貨2枚、銀貨2枚、他には居ないか?他には居ないか? おめでとうございます、此方の奴隷アイシャは、そちらの紳士に落札されました」
一応会場から拍手が起きた。
まぁどんな奴隷を落札しても拍手するのはマナーらしい。
俺もさっきから他の人が落札するたびに拍手している。
俺は、その後代金として落札代金の銀貨2枚に手数料の銅貨2枚、奴隷紋の刻み賃銀貨8枚、合計金貨1枚と銅貨2枚を払った。
その場で俺に指を傷つけるよう言われ、ナイフで指先を斬ると俺の指先の血を使いアイシャに奴隷紋を刻みこんだ。
「これで、この奴隷は貴方の者になり、もう逆らえません、その代わり貴方は奴隷の主としてこの女の面倒をみなくてはいけない…良かったのかな? 暫くしたら介護になりますよ、この不細工の」
「まぁ、色々ありまして、良いんですよ」
「まぁ、趣向は人それぞれ、自由です、流石に披露目服は要らないですよね?」
「それなんですか?」
なんでも、奴隷の服のままじゃ無くお金を払えば、シャワーで綺麗に洗い上げ、綺麗な平民服に着替えさせてくれるそうだ。
「それ幾らですか?」
「銀貨3枚です」
「お願いします」
「本当に? あっ、解りました、この女奴隷が、お客様の死んでしまったお婆さんに似てるとかですか」
「そんな所です」
「お客様は優しい人なのですね」
本当は俺にとって美人だからとは言えないな。
「流石は勇者パーティの『英雄』セレス様ですね」
「マイクさん、それ歯痒いから止めて下さい、魔法戦士なのに」
「これはジョブでなくセレス様の活躍からついた字だって事は知っています、ただ私も尊敬できるからこそ、そう呼ばせて頂いております」
「まぁ別に構わないが」
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