上 下
90 / 104

第90話 理人死す

しおりを挟む


「理人様、同窓会という行事のお知らせがきておりますわ」

どうやらクラスメイトが集まってパーティをするそうだ。

今現在、俺への手紙は全部フルールを通して届けられる。

そして、俺に渡される前に必ず、フルールが一旦目を通す事になっている。

これはこの世界に俺が疎いから、フルールに意見を貰う為にそうした。

「同窓会か懐かしいな…綾子に塔子、木崎君に緑川さん、皆誘って久しぶりに集まるのも良いな…これは参加しないとな」

「参加されるのですか? それなら黒騎士の護衛をつけますわ」

「要らない、要らない、昔の仲間と会うだけだからな」

「理人様、幾ら仲間とは言え油断は禁物ですわ」

「大丈夫だってこっちには、塔子に綾子、緑川さんに木崎君もいるから」

「ですが」

「くどいよフルール、気にしなくて良いから」

「理人様がそう言われるならそうしますわ…ですが、凄く心配なのですわ」

「大丈夫、大丈夫だから」

「そうですか」

こう言って俺はフルールの話をあまり聞かなかった。

そろそろ経済以外に手を出さないといけない。

その為にはクラスメイトの協力が必要だ。
この分野の事はフルールは頼りにならない。

だから『仲間』に頼らなければならない。

塔子も綾子もまだ頼りない。

クラスメイトにこれから頼らなければならない。

なんでも18人もで行われるパーティだ。

俺にとって必要な人材も必ずいる筈だ。

「本当に、私や黒騎士の護衛は要らないのですの?」

「まぁな、彼奴らに腹を割って話さないといけない事もある。だから今回は要らない」

「どんな話ですの?」

「莫大な利益に繋がる事だからな、これはまだフルールにも相談は出来ない」

「寂しいですわね」

「まぁ、安心してくれ、俺なら大丈夫だ」


◆◆◆

同窓会当日になった。

まぁ性格には同窓会もどきだが…

「なかなかの会場だわね」

「そうね、理人君、皆と話すのは久しぶりだね…凄く楽しみ」

「理人様一行ですね、此処で武器は預からせて貰います」

塔子と綾子には他に小型の杖を隠すように持たせている。

俺は..まぁ武器が無くても大丈夫だな。

「これは俺の剣だ、宜しく頼む」

二人も大きな杖を預けた。

最悪、俺は剣なら何時でも『本物』を呼べるから関係ない。

そのまま案内されるままついていった。

「北条さんに平城さん、お久さぁ~ こっちで女子が集まって女子会しているから、まずはこっちに来てよ、神代君との恋愛話聞きたいなぁ」

「まぁ仕方ないか、私は綾子とこっちに少し参加してくるからね」

「そう、それじゃ後でね」

「それじゃ、緑川さんと木崎君はこっちかな、行こう」

「そうだな」

「僕は余り、皆とは話したくない」

「上に行くと義理事があるから我慢だな…まぁ頑張れ」

「仕方ないな」

木崎君は顔色が余り良くない。

同級生が好きでは無いからな。

緑川さんは…何で顔色が悪いんだ。

まぁ良い…

「神代久しぶりだな」

「久しぶりだな、吉川、元気にしていたか?」

「まぁボチボチだな、しかし凄い活躍じゃないか? 帝国を自分の物にしてしまうなんて」

「まぁな…これから先ドンドン変わるからな、皆には色々強力して貰わないといけないからな」

「そうだな、協力は惜しまないさぁ」

吉川は昔から野望を持っていたな。

此れなら俺の期待に応えられるかも知れないな。

一応『同窓会』みたいな物だし、記録水晶で記録でも撮るか…

パーティは進むが一向に塔子も綾子も別室にいったままだ。

俺はドリンク片手に皆と話した。

さっきから緑川さんが俺と目を合わせようとしない。

なんだ…後ろめたい何かがあるのか。

「神代」

「吉川…えっ」

俺の腹にナイフが刺さっていた。

その刃は後ろに突き抜けている。

「あはははははっやったぞ、これで終わりだ」

「貴様ぁーーーっ!吉川、何故だーーっ」

「あはははっ馬鹿だな、お前..俺たちは王国の人間だぞ、お前の敵だよ、敵、ただ昔同じ学校で過ごしたからって信頼しすぎだって言うの…バーカ、バーカ」

「ハァハァ….そうかよ」

「吉川、貴様、理人君に何するんだーーっ」

「おっと、お前は殺さないから静かにしてくれるかな?」

「緑川先生…何をしているんですか? 何故僕に剣を向けるんですかーーっ」

「私は教師だ、だがこの場合は多数決で決めさせて貰った。18人の教え子たちと2人なら18人の教え子をとる。それに我々に力をくれたのは女神イシュタス様だ、その力で私は嫁を貰う事が出来た。感謝しかないんだぞ、お前が悪いんだよ…確かにお前は気の毒だが、神に背くなど…言語道断だぞ…」

そうか…緑川さん…緑川で良い、此奴は敵だったんだな。

「ハァハァ…」

「理人君..くそ、こうなったら、フルール様、理人君が危ない救護を頼む」

「貴様ぁ~何処に連絡している、殺すぞ」

「もう同級生だと思わない…親友を傷つけるなら、先生も同級生も関係ない」

あはははっ木崎君、君は本当の友達…なんだな..ああっ、だんだん周りが見えなくなってきた。

多分、そろそろ死ぬな…

「貴様ぁーーーー」

木崎君が緑川を殴った。

顔がひしゃげている…流石は木崎君…強いな。

ドアが開く音がした。

「良いですか、相手は異世界人ですわ、真面に戦っては駄目ですわ、王硫酸の使用を許可しますから、思う存分使いなさいですわ」

「「「「「はっ」」」」」

「り、理人様、理人様、理人様ぁーーーーっ死なないで下さいですわーーーっ」

「…フルール、塔子と綾子はハァハァ無事かな、ハァハァ」

「大丈夫ですわ、隣の部屋に居ますわよ」

「そう…良かった」

「そんな、理人様ぁぁぁぁぁぁーーーっ」

「あははははっ、目的は達成された…撤退だーーっ」

「貴方と緑川は許しませんわ…黒騎士、2人に全面攻撃、他は構わないで良いですわ」

「「「「はっ」」」」

黒騎士は小瓶の中の薬品を二人に振りかけた。

「ぎゅあぁぁぁぁぁーーーーーっ」

「こんな馬鹿なぁぁぁーーー顔が顔が溶けるーーっ」

二人は大怪我をしながら、走り逃げていった。

駄目だ…もう..

「フルール…後は頼んだ」

「理人様ぁぁぁぁーーー」

「嘘、嘘信じないわ…理人が死ぬなんて」

「理人君…理人君が冷たくなっている…うあぁぁぁぁっ 理人君が死んじゃったよ。うふふあはははははっ、皆殺しちゃおう..うん殺しちゃおうか」

「殺したら駄目よ綾子、もっと酷い事しないと」

「うふふ、あははもっと酷い事って何かな?」

「死にたいって懇願する程酷い事するのよ…フルール」

「捕まえたのは1人だけですわ」

「たたたた、助けて」

「理人君、死んじゃったんだからね…あははははっ無理だよ」

「取り敢えず、手足を切断して足と手を逆につけてやるわ…」

「それじゃ、私は顔を焼いちゃおうかな」

「それじゃ…私はその後、ゴブリンの巣穴に黒騎士と捨ててきますわ」

「ややや止めてーーーっお願いよ」

「理人」
「理人君」
「理人様

三人の悲しみは復讐心でしか満たされない。




しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

【リクエスト作品】邪神のしもべ  異世界での守護神に邪神を選びました…だって俺には凄く気高く綺麗に見えたから!

石のやっさん
ファンタジー
主人公の黒木瞳(男)は小さい頃に事故に遭い精神障害をおこす。 その障害は『美醜逆転』ではなく『美恐逆転』という物。 一般人から見て恐怖するものや、悍ましいものが美しく見え、美しいものが醜く見えるという物だった。 幼い頃には通院をしていたが、結局それは治らず…今では周りに言わずに、1人で抱えて生活していた。 そんな辛い日々の中教室が光り輝き、クラス全員が異世界転移に巻き込まれた。 白い空間に声が流れる。 『我が名はティオス…別世界に置いて創造神と呼ばれる存在である。お前達は、異世界ブリエールの者の召喚呪文によって呼ばれた者である』 話を聞けば、異世界に召喚された俺達に神々が祝福をくれると言う。 幾つもの神を見ていくなか、黒木は、誰もが近寄りさえしない女神に目がいった。 金髪の美しくまるで誰も彼女の魅力には敵わない。 そう言い切れるほど美しい存在… 彼女こそが邪神エグソーダス。 災いと不幸をもたらす女神だった。 今回の作品は『邪神』『美醜逆転』その二つのリクエストから書き始めました。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

処理中です...