上 下
44 / 104

第44話 緑川さんの仲間

しおりを挟む


俺は神代の言う事が今になって解かった。

『緑川さん』その意味をもっと深く考えるべきだったんだ。

沢山の生徒の中に教師が一人。

沢山の少年少女の中に大人が一人。

果たして本当の仲間に成れるのだろうか?

成れるわけが無い。

生徒同士が3人から8人でパーティを組んでいくなか私だけが組めない。

国王に相談しても無駄だった。

マリン王女の話では…

「異世界の方の討伐に騎士等が同行する事は基本ありません。今回の演習もそれぞれの目的地までは同行しますが戦闘には参加しません。ただ危ない目に逢うようであれば助けにお入りますがそれだけです」

「私は組む相手が居ないのですが」

「それは貴方がこの3週間を無駄にしていたからではないでしょうか? 貴方の生徒は組む相手を見つけ仮のパーティを組んでいます。理人殿はパーティプラス奴隷まで引き入れてしっかり先を見据えて行動していますよね。貴方は組む相手が居ないと言う事であれば王都見学の際に『奴隷商』に行き奴隷を購入するか『武器を購入して整える』等対策を練るべきでした」

「そんな..」

「貴方は年長者でしょう! ですがこのままでは明日からの演習に差し支えます。特別に今日一日、自由な時間を与えますから、自分で考え対策して下さい」

確かに生徒と私は同じ待遇を受けている。

私だけ特別扱いされる訳にはいかない。

マリン王女の話で考えるなら『奴隷』『武器』その二択だが…これでも私は聖職者だ。

背に腹は代えられないとはいえ生徒の手前、今は奴隷は買えないな。

そうすると武器になるのか…


◆◆◆

「それなら、冒険者組合に行ってパーティ募集をすれば良いのですわ」

俺は緑川さんから相談を受けた。

流石に担任を仲間にはしたくないが、元は担任なのだから相談位は乗ってもよいだろう。

話しを聞くなりフルールは、そんな簡単な事も解らないのかと言わんばかりに口をだしてきた。

確かに俺もそう思う。

「緑川さん『だそうです』」

「そんな簡単に行くだろうか?」

「多分、簡単に仲間は見つかると思いますよ」

「私もそう思うけど?」

「私も、そう思います」

「そんな他人事だと思って、簡単に言わないでくれ」


「俺は兎も角、他のクラスメイトや緑川さんは『優秀な異世界人』だ。元生徒があれ程人気があるのを見ただろう? 緑川さんは来なかったが『奴隷商』では本格的に活動すれば3か月で高級奴隷が買える位稼げるそうだよ」

「神代君、何が言いたいんだ」

神代君。

解っているな。

「冒険者の中には、その日暮らしの生活をしている者も多い。そんな中に『優秀で確実に強くなる存在』が仲間募集したらどうなる?誰もが組みたいと思うんじゃないか?」

「そうですよ、先生『即戦力のエリート営業マン』が仲間が欲しいと言う様なものよ」

「そうですね、沢山の方が集まると思いますよ」

「私は冒険者として活動した事もありますわ。直ぐに仲間が集まる事間違いありませんわ」

「そうか、なら行ってみるか?」

「緑川さん、行くなら直ぐに行かないと、時間が勿体ないよ」

「アドバイスありがとう、すぐに行ってくる」

そう言うと緑川さんは走って去っていった。

◆◆◆

「それでフルール、緑川さんは大丈夫かな」

「今は大丈夫ですわね」

「今は…どういう事かしら?」

「その話だと、将来的には不味い様に聞こえますよ」

確かに俺にも同じ様に聞こえた。

「そうですわね、理人様が言ったとおりですわ。その日暮らししている様な冒険者は直ぐに飛びつきますわね。ですが、自分に自信のある冒険者はもう強いパーティを組んでいますから仲間になりませんわ。恐らく仲間に出来るのは運が良くてC級クラス、運が悪ければD級F級クラス、すぐに役に立たなくなりますわ」

「だが、それならついて来れなくなればパーティを解散すれば良いんじゃないか」

「あの方は、元教師ですわね。多分ですが、泣いて縋る人間を斬り捨てられないと思いますわ。なりふり構わず『好き』『愛している』そう言って体まで使ってくる女性を斬り捨てられないタイプに見えますわ」

「緑川がそんなにモテる訳ないよ」

「おじさんですよ」

「甘いのですわ。塔子様に綾子様。冒険者の女性で貧しい者は本当に貧しいのです。お金が手に入らず、ご飯すら真面に食べられず、宿屋に泊まるお金もない。しかも実力が無いから何時死んでも可笑しくないし、場合によってはゴブリンやオークの苗床にされるかもしれない。 そんな生活が今もこれからも続く。そんな人間の前に『高額収入確定で敵から守ってくれる存在が仲間を募集するのですわ』群がると思いますわ。まぁ『物凄い美少女が真っ裸で娼婦街で歩きながら無料でやらしてあげるよと叫んでいる状態』それに近い状態ですわね」

「冗談だよな」

「冗談ではないのですわ。私は理人様命ですから関係ありませんが『異世界人は精子』まで価値があるのですわ。異世界人との間の子は皆優秀ですから、異世界人(元日本人)の種付けは金貨並みに価値があるのですわ。まぁ理人様は別ですが。 強くて、お金が稼げて、更に夜のお相手をすれば将来優秀な子が生まれて生活が楽になる。そんな相手逃がしませんわ」

「確かに俺以外のクラスメイトはメイドさんにモテていた気がするな」

「本来は金貨を使わなくては手に入らない『異世界人との種付け』が無料なのです。一生懸命誘惑しますわね」

「それなら、なんで緑川さんはモテなかったんだ」

「まぁ、1人浮いていましたし、若い子が沢山居たからかも知れませんわ」

「そんな状況に緑川先生1人で行かせて良かったの?」

「大丈夫かな」

「所詮は他人ですわ。理人様の知り合いだからヒントだけ差し上げましたわ。これ以上は自己責任の世界ですわね。まぁ、私だったら違う方法を選びますわ」

「フルール他にも何か方法があったのか?」

「私が同じ立場だったら、女騎士を狙いますわ。素性はしっかりしていますし、裏切る可能性も低く安心ですわね。騎士爵とはいえ貴族ですし実力以外でも役に立ちますわ」

言われて見ればそうだ。

「それを何で緑川先生に教えなかったの?」

「教えてあげても良かったんじゃないかな」

「私『最善の手』は身内にしか教えないのですわ」


夕方になり帰ってきた緑川さんが連れていたのは女性3人だった。

満面の笑みで歩いている緑川さんを見て...ご愁傷様と思ってしまうのは何故だろうか。





しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

【リクエスト作品】邪神のしもべ  異世界での守護神に邪神を選びました…だって俺には凄く気高く綺麗に見えたから!

石のやっさん
ファンタジー
主人公の黒木瞳(男)は小さい頃に事故に遭い精神障害をおこす。 その障害は『美醜逆転』ではなく『美恐逆転』という物。 一般人から見て恐怖するものや、悍ましいものが美しく見え、美しいものが醜く見えるという物だった。 幼い頃には通院をしていたが、結局それは治らず…今では周りに言わずに、1人で抱えて生活していた。 そんな辛い日々の中教室が光り輝き、クラス全員が異世界転移に巻き込まれた。 白い空間に声が流れる。 『我が名はティオス…別世界に置いて創造神と呼ばれる存在である。お前達は、異世界ブリエールの者の召喚呪文によって呼ばれた者である』 話を聞けば、異世界に召喚された俺達に神々が祝福をくれると言う。 幾つもの神を見ていくなか、黒木は、誰もが近寄りさえしない女神に目がいった。 金髪の美しくまるで誰も彼女の魅力には敵わない。 そう言い切れるほど美しい存在… 彼女こそが邪神エグソーダス。 災いと不幸をもたらす女神だった。 今回の作品は『邪神』『美醜逆転』その二つのリクエストから書き始めました。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

◆完結◆修学旅行……からの異世界転移!不易流行少年少女長編ファンタジー『3年2組 ボクらのクエスト』《全7章》

カワカツ
ファンタジー
修学旅行中のバスが異世界に転落!? 単身目覚めた少年は「友との再会・元世界へ帰る道」をさがす旅に歩み出すが…… 構想8年・執筆3年超の長編ファンタジー! ※1話5分程度。 ※各章トップに表紙イラストを挿入しています(自作低クオリティ笑)。 〜以下、あらすじ〜  市立南町中学校3年生は卒業前の『思い出作り』を楽しみにしつつ修学旅行出発の日を迎えた。  しかし、賀川篤樹(かがわあつき)が乗る3年2組の観光バスが交通事故に遭い数十mの崖から転落してしまう。  車外に投げ出された篤樹は事故現場の崖下ではなく見たことも無い森に囲まれた草原で意識を取り戻した。  助けを求めて叫ぶ篤樹の前に現れたのは『腐れトロル』と呼ばれる怪物。明らかな殺意をもって追いかけて来る腐れトロルから逃れるために森の中へと駆け込んだ篤樹……しかしついに追い詰められ絶対絶命のピンチを迎えた時、エシャーと名乗る少女に助けられる。  特徴的な尖った耳を持つエシャーは『ルエルフ』と呼ばれるエルフ亜種族の少女であり、彼女達の村は外界と隔絶された別空間に存在する事を教えられる。  『ルー』と呼ばれる古代魔法と『カギジュ』と呼ばれる人造魔法、そして『サーガ』と呼ばれる魔物が存在する異世界に迷い込んだことを知った篤樹は、エシャーと共にルエルフ村を出ることに。  外界で出会った『王室文化法暦省』のエリート職員エルグレド、エルフ族の女性レイラという心強い協力者に助けられ、篤樹は元の世界に戻るための道を探す旅を始める。  中学3年生の自分が持っている知識や常識・情報では理解出来ない異世界の旅の中、ここに『飛ばされて来た』のは自分一人だけではない事を知った篤樹は、他の同級生達との再会に期待を寄せるが……  不易流行の本格長編王道ファンタジー作品!    筆者推奨の作品イメージ歌<乃木坂46『夜明けまで強がらなくていい』2019>を聴きながら映像化イメージを膨らませつつお読み下さい! ※本作品は「小説家になろう」「エブリスタ」「カクヨム」にも投稿しています。各サイト読者様の励ましを糧についに完結です。 ※少年少女文庫・児童文学を念頭に置いた年齢制限不要な表現・描写の異世界転移ファンタジー作品です。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

処理中です...