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第21話 勇者SIDE ロマーニ教皇
しおりを挟むクソッ…リヒトをすぐに追えるように飛竜艇まで予約したのに…
ギルドの奴ら邪魔しやがって、俺は勇者なんだ融通を聞かしても良いじゃないか…
ふざけるなよ…
だが、どうする…不味いぞ。
「カイトどうだった?」
「それがギルドの奴ら冒険者も一緒になりやがって邪魔しやがる」
「どう言う事なの…」
「皆、聞いてくれ…」
俺はギルドでの事を全部話した。
「勇者権限を使わないと教えない、そう言われたのね、それなら引いて良かったわ」
「そうだな、醜聞に繋がるからそれで良かったと私も思う」
「うわぁぁ不味いね、空竜艇の方は一旦キャンセルしてくるよ」
本当にクソだな。
大して強くも無い雑魚の癖に…邪魔なんてしやがって。
今頃は行方を知って空竜艇でひとっ飛びの筈だったのに…
「それでカイトどうするの? 此処で諦めたらもう2度と追う事は出来ないよ」
「流石に何回も旅を中断するのは無理ね…実質これが最後のチャンスよ」
「解っている…少し考えるから黙っていてくれ」
「「解った(わ)」」
冒険者ギルドに勇者特権を使かうか?
今は凄くにぎわっているが、流石に夜中になれば冒険者は居ない。
ギルドは24時間だから大丈夫…いや
あの分だと夜は人手不足だから、明日と言われたら元の木阿弥だ。
仕方ない…これを使うか?
「フリージア…教皇様に相談しようと思うのだが、どうだろうか?」
正直、どうして良いか解らない。
只のサポータの為に教皇様に相談なんて馬鹿な奴のやる事だ。
だが、リヒトをもう一度仲間に入れる事は、今の俺のパーティにとって最優先だ。
だから、フリージアに丸投げした。
フリージアが、そこ迄して呼び戻したいかどうかその判断に従う。
それで良い。
「悩む所ね、サポーター如きと言ってしまうのは簡単だけど、リヒトは2人と居ないS級ランク冒険者のポーター、そう考えたらその範疇を外れるかもね…こう言うのはどうかしら? 魔王城まで同行可能なポーターがいるけど、些細な事で揉めて離隊させてしまった。非はこちらにあるが、魔王討伐には必要な存在、どうにかしてもう一度仲を取り持って貰いたい…これでどうかしら?」
「確かに円満に離隊して書類が提出されているのだから、それしか無い…それでフリージアは手を貸してくれるか?」
「そうね…一緒に頼んであげるわ」
「それじゃ、頼むよ、私とミルカは、あまり好かれて無さそうだから任せて良いよね」
「まぁな…教皇様が好きなのは2職(勇者 聖女)だけだから、居なくても大丈夫だ…それじゃ余り借りは作りたくないが、俺達で頼むとするよ」
「ただいま~空竜艇はキャンセルしてきたよ、どうしたの?」
「カイト達がリヒトを戻す為に教皇様に頼むそうだよ」
「ロマーニ教皇に…随分思い切った事を、まぁそれなら確実だね」
ロマーニ教皇様は勇者絶対主義だから、俺やフリージアには甘々な位優しい。
特に俺な…
ただ、その反面、勇者が好きだからこそ、頼ると大変な事になるとローアン大司教に釘を刺された。
何が大変なのかは解らないが、不安なので今まで避けてきた。
この際…背に腹は変えられない…頼むしかないな。
◆◆◆
俺は通信水晶を使い、ロマーニ教皇様に連絡を取った。
「これは、カイト殿とフリージア殿、通信水晶を使ってまでの連絡、如何なるお話ですかな…」
実は…
俺はリヒトの事についてロマーニ教皇様に相談した。
「成程、そのリヒト殿がパーティに戻る様に取り持てばよいのですね…このロマーニにお任せ下さい…直ぐに手を打たせて頂きます」
「お手数をお掛けして申し訳ございません」
「勇者様、聖女様の願い…必ずや叶えましょう」
本来教皇の方が立場が上だが…勇者絶対主義者はその身分関係なく『様』をつけて俺達を呼ぶ。
女神の使い…そう思っているようだ。
教皇様が動く…もう安心だ。
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