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第10話 俺はまだ助けきっていなかった...

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毎日が凄く楽しい。

この世界、いや前世も含めて1番大好きな京姉と結ばれて甘々な毎日…これが幸せでなくて何が幸せなのだろうか…

そう思っていた。

良く京姉は夜泣きをする。

心配だから必ず腕枕か手を繋いで寝ている。

『幸せ』それにかまけて…俺は見落としていたんだ。

京姉は『心から好きだから私から抱く』そう言っていた。

それには嘘が無い…良く解る。

男としてこの上無い位に…凄く献身的な快感を貰っている。

だけど…必ず『目隠しをされて、手が縛られる』

あれ程酷い、過去があるから、触られたり見られたりするのが嫌なのか…それともそれが京姉の愛しかたなのか…そう思っていた。

『違った』

俺は馬鹿だった。

京姉は犯されただけじゃない…言っていたじゃないか?

『暴力』を振るわれていたと…

寝ている時、シャツの隙間から、その一部が見えた。

火傷とナイフで斬られた様な跡があった。

しかも、遊び半分なのか…傷が文字になっていた。

俺はまだ京姉を助けられてなかったんだ…

◆◆◆

「こんな朝からどうしたの?」

「そろそろ、お金が底をつきそうだから、狩りにいってくる…少し頑張るつもりだから、今日の夜は遅くなると思う」

「そう…なんだ…リヒトくん居なくなったりしないよね…ちゃんと帰ってくるよね」

「新婚なんだから当たり前じゃん…本当はこのままイチャついていたいけど…まぁ生活費は必要だから…」


「うん、待っているから…早く帰ってきてね」

「早く帰ってくるから京姉スペシャル、今夜も宜しく!」

「京姉スペシャル…リヒトくんのエッチ…何時も以上に凄い事してあげるから…その早く帰ってきて…絶対だからね」

「それ聞いたら、早く帰って来なくちゃね…あとこれ」

「金貨?」

「うん、これで今日は美味しい物食べて…それじゃ行ってきます」

「行ってらっしゃい」

悲しそうな京姉の顔に後ろ髪をひかれつつ…俺は宿を後にした。


◆◆◆

運が良かった。

カイト達がズボラで…俺はまだ勇者パーティ黒羽の翼の籍が抜けてなかった。

これなら、上手くいくかも知れない。

昼間に移動して…とある教会を目指した。

そして、夜になり…此処からが勝負だ。

「すみません…俺の仲間が大変なんです、助けて下さい」

「こんな夜遅くに…ヒールが必要なら私がすぐに向かいます」

京姉の傷は古傷、それじゃ治らない…

「ヒールで治るなら…聖女が仲間に居るので治せます…ですが、それでは治せないのでエリクサール(完全治療薬)を貰いにきました」

「何を言っているのですか? 確かにエリクサールはありますが…おいそれとは…」

「申し遅れました、私の名前はリヒト、勇者パーティ黒羽の翼のメンバーです…大切な仲間の為に必要なのです…急いでください!」

嘘ではない『まだ抜けてないから勇者パーティ』『京姉は俺の大切な仲間だ』

そう言って冒険者証を見せた。

「勇者パーティ…まさかパーティの仲間が危ないのですか」

「勇者にとっても大切な方の一大事、もし出し渋って、大変な事になったら責任を取って貰う事になる…急いでくれないか」

「ですが…」

仕方がない…脅すか。

「なら、もう良い…勇者パーティの特権『斬り捨てゴメン』を使う…勇者パーティのリヒトの元の名の元に司祭を斬り捨て…エリクサールを頂く」

最悪、これも視野に入れていた。

この世界にはビデオカメラは無い。

此奴を斬り捨てて奪ってもバレる可能性は低い。

「待って下さい…お渡しします…ただ、真偽を水晶で見させて下さい」

「解った」

此処迄は読んでいた…大丈夫な筈だ。

司祭が『真偽を調べる水晶』を持ってきた。

「それでは宣言を…」

「勇者パーティのリヒト…仲間を救う為にエリクサールを所望する」

水晶は青く輝いた。

「嘘は無いようですね…エリクサールをお渡しします」

上手く誤魔化せた。

世界に30本も無い『完全治療薬』エリクサール…これなら京姉も治る…大丈夫だ…

俺はひったくる様にエリクサールを貰うと…

「悪い、急ぎなんだ…」

そのまま走りだした。

◆◆◆

深夜に宿屋に戻った。

京姉は…泣きながら眠ってしまったようだ。

折角、金貨を置いていったのにそのまま使われていない。

シャツが捲れて、体が見えた…

酷いな…見えている範囲だけでも何かを押し付けられて火傷を負った跡がる、体は痣だらけだ…それより酷いのはナイフで切った傷があり…卑猥な文字まで刃物で彫られている…しかも、乳首が片方無い。

ごめんね京姉…気がついてあげられなかった。

俺を目隠しした意味…何時も服を脱がない事…ちゃんと考えれば解かる事だ…これだと触れば傷や乳首が無いのが解るから、俺の手を縛って触らせなかった…何故気が付かなかったんだ...

俺は馬鹿だ…

俺は京姉のシャツを降ろし…京姉に声を掛けた。

「京姉…遅くなったね…只今…」

「ううっ…リヒト、リヒト、リヒト、リヒトぉぉぉぉーー返って来ないと思って、凄く悲しくて…心配したんだからぁぁぁーー」

泣きながら抱き着かれた。

俺は京姉を抱きしめ優しく髪を撫でた。

俺は馬鹿だ…よく見ると京姉の頭にも小さな傷跡沢山あった。

「ごめんね…狩り以外にも…京姉が体調が悪そうだから、薬も手に入れてきたんだ…それで遅くなったんだよ…これ切り傷にも効くから飲んでみて…」

「リヒトくんが言うなら飲むけど…まぁ良いや、ありがとう」

「凄く不味いけど、必ず飲み干して」

「解ったわ…なにこれ、苦っ…うっ凄く不味い」

「それ凄く高かったんだから、絶対に残さないでね」

「うっうんぐっ、ハァハァ、全部飲んだよ…だけど、凄く苦くてまずかったよ」

全部飲んでくれた。

これで大丈夫だ。

「京姉…今迄気が付いてあげられなくてごめんね…多分これで京姉の気にしている事は全部解決したと…思う…」

「何の事?」

「俺、ドアの外に居るから、ちょっと裸になってみて」

「嘘…もしかして私の体の事、気が付いていたの…嫌だ嫌いにならないで…お願いだから…リヒト嫌だよ…こんな体だけど…嫌、嫌、私なんでもするから、傍に居てよ…」

「勘違いしないで欲しい、ちゃんとドアの外に居るから、終わったら呼んでくれれば直ぐに戻るよ…俺が京姉を嫌いになる事は絶対に無いから…安心して」

「解った…確かに見せないのは良くないよね…裸になれば良いんだね…解ったよ…リヒトくん…辛いけど…そうしたいなら良いよ...だけど、多分リヒトくんが思っている以上に酷いの...覚悟してね」

俺は外に出てそっとドアを閉めた。

中から声が聞こえてくる...

「なっなっ嘘、嘘…どうしたの…体の傷が全部消えて無くなっている…しかもちゃんと乳首もある…嘘よね…夢みたい」

どうやら…上手くいったようだ。

「京姉、入って良い?」

「うん」

「京姉…なにか羽織ってよ」

「えへへ、リヒトくん裸見たかったんでしょう…ほら約束だから見て良いからね」

笑顔でパンツ1枚の京姉…凄く綺麗で可愛い。

まるで雪みたいに白くて綺麗な肌、綺麗な胸も良く見える。

「綺麗だ…」

「リヒトくん、それじゃしてあげるね」

「何を…」

「また約束忘れているよ…『京姉スペシャル』ほうら」

「あの…京姉なんで手を縛るの?」

「リヒトくん…リヒトくんが大好きだから…私からしてあげるの!私が犯すの…リヒトくんはマグロで良いからね…」

この日の京姉は、凄かった…

次の日の夜まで止まらなかった…

手を縛るのは…京姉の性癖だったの…


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