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第16話 リタSIDE リヒトに決めた
しおりを挟む私は背が低くてかなり子供っぽい。
それが自分なんだから仕方ないよね...良く解っているよ…大体の人が私を子供扱いするし、可愛いとしか言わないんだもん...
ちゃんとした『大人の女性として扱ってほしい』それが私の気持ちだけど諦めたよ…この貧相な体じゃ無理だよね…あははは。
胸なんてまるで大草原…自分で触っても起伏が全くなくて...悲しくなるよ。
そしてこの身長…子供並みに低いし...うんどう見ても子供だ。
幼馴染のガイアだってリヒトだって私をいつも子供扱いする...嫌と言えない自分に嫌気もさすけど...仕方ないよ...この容姿だもん。
だから…この扱いをもう受け入れて諦めていたのよ...
もう『子供扱い』で良い…そう思っていたのに…
最近のリヒト…リヒトってきたら…なにアレ?
本当にリヒトなの? 双子のお兄さんが居た...その方が信じられるよ。
今までよれよれの服ばかり着ていたのに…清潔感のある服を着るようになって、気のせいかカッコ良くなった気がする。
それに急に優しくなって…いったいどうしたのよ?
調子がすごく狂うよ…話し方も変わって凄く大人な感じだし。
それが素だっていうなら今までのは一体なんなのよ…急に大人びて...全然違うじゃない。
それに、これこのセリフ...
『リタは艶やかな黒髪で背が低いせいかつい油断をすると綺麗な髪に触りたくなる。大きな目は透き通るように綺麗でつい見惚れてしまう…本当にそう思うんだ』
これ…本当にリヒトなの…
別人にしか思えないんだけど!
こんな態度できるなら、なんでしなかったのかな。
料理も美味いし気遣いも完璧。
しかも『好きなんだ』それが言わなくても解るくらいに行動ににじみ出てくる。
本当にどうして良いのか解らなくなるよ。
お母さんが昔言っていたのを思い出したよ…
『男の子って凄いのよ!子供だと思っているとある日突然大人になるの』
『リヒトくんとガイアなら私はリヒトくんを押すわ…あの子きっと化けるわ』
気難しいお母さんがなぜかリヒトにだけ『くん』をつけていたのよね。
まさかと思うけど、お母さんはこうなるって気がついていたのかな?
どちらを選ぶか結論をつけた後に…こうなるなんて、本当に思わなかった。
今のリヒトは大人で優しくて…うん凄くかっこ良い。
私が思わずドキドキしちゃう位に...
◆◆◆
それにまだ未練はなくはないけど…気が付いてしまったのよ。
別の意味でも、私はガイアじゃなくリヒトを選ぶべきだって。
ガイアと私の将来に未来は無い。
全く、微塵も私にとって幸せな未来は無いの。
そんな事も考えなかった、本当に私は馬鹿だよ。
『勇者』の恋人って肩書が欲しかったのかな?
のぼせていたのかな?
冷静に考えたら『ガイア』は地雷だった事にさっき気が付いたのよ!
ガイアとの生活、あれは一見素晴らしい話だけど…大きな落とし穴があったのよね。
恐らく、ガイアを選ぶと私もマリアもエルザも不幸になるのよ。
恋人なら兎も角『結婚相手』にはしちゃいけない…
そういう相手…それがガイア...
これを知られたら『周りから嫌われる』かもしれない位に私は計算高いのよ。
猫被って誤魔化しているんだけどね。
さっきリヒトの話を聞いて気がついちゃったのよ。
リヒトは気がついて無かったけど『王配は側室』を娶れないわ。
今現在、王国にも帝国にも王女はいるけど王子は居ない。
そう考えたら魔王を倒す偉業をなしたら、勇者だもん、『婚姻』の話になる可能性はリヒトが思っている以上に高いと思う。
国からの縁談だから断れないし、王家は血を大切にするからガイアが王になるのでなく、王女がやがて女王になる…その王配がガイア。
ガイアは王族の血を引いてないからあくまで王配、そう王様になる訳じゃないのよ!
『大切なのは王家の血』なんだからどう考えても側室なんて許すわけ無いわよ。
大体王なら兎も角、王配が側室なんて話は聞いた事もないわ。
ガイアが王配になったら、私たちは、良くて愛人。しかも王配が愛人ををかこうなんてリスク女王になった王女が許さないかも知れない。下手すれば醜聞を恐れ、縁を切らされ捨てられる可能性だってあるよ。
マリアとエルザはまだ気がついていないみたいだけど…この際、黙っておこうかな…側室にすらなれないと知ったら二人もガイアからリヒトに乗り換えてくるかも知れないし。
うん、何時かは教えるとして、しばらくは黙っておこう…決めた。
元々、私はリヒトも好きだったし…迷った末ガイアを選んだんだもん。
真面な未来がないなら、ガイアをやめてリヒトにした方が良いよ。
幸いリヒトも私が好きみたいだし…
まだ気持ちは揺れ動くけど…リヒトの方が絶対に良い。
うんうん、リヒトに決めたよ。
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