勇者パーティを追放されかけた魔法剣士は、昭和バブルの夢を見るか?

石のやっさん

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第14話 俺の趣味と嵌まるガイア

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『普通っぽい子が好き』『普通が好き』

まさか、俺が…それに嵌まるとは思わなかった。

良く、カッコつけて良い女でも男でも『普通の人が好き』なんて言っていたが…嘘だろう…そう思っていた。

だが、今の自分の好みを当てはめるなら正にそれだ。

正直言えば、普通に考えたら『あのまま追放を受け入れたら簡単に幸せに成れた』

俺のジョブは魔法剣士。

四職には届かないが『当たり』だ。

冒険者をするなら、女ばかりのAやBランクに潜りこめば絶対にチヤホヤされる。

俺は無理をすれば小型のワイバーン位ならどうにか狩れる。

ワイバーンは1羽で金貨50枚(約500万)は固い。

稼げない冒険者にとって貴重な収入源。

絶対に欲しい筈だ。

それに俺には『魔王と戦う義務』は無い。

だから、ソロで冒険者として金を稼げば大金も手に入る。

大金が手に入れば、この世界には奴隷商があるから、どんな美人でも買える。

エルフにダークエルフ、没落貴族の令嬢まで思うが儘だ。

今ガイアが抱いているエルフやダークエルフ。

恐ろしい金額かも知れないが…『身請け金』さえ用意すれば買えるのだ。

だが、俺が欲しいのは『美人』『美少女』なら誰でも良い訳じゃない。

幼馴染の3人…『同じ位の女を口説くのは難しくない』だが、特定の人間を口説くのは…ハァ~難しいな。

◆◆◆

娼館に来た。

幾ら7日間の貸し切りとはいえ、ガイアは勇者だ。

流石に放置したままは不味いだろう…

あの『狂信者』の事だ…いつまた通信水晶が光るか解らないからな。

「ようリヒト! 元気していたか?」

いや、昨日の今日だし…

しかし、たった1日で此処迄乱れるのか…

今目の前にいるガイアはパンイチだ。

「まぁ、昨日の今日だしな、いつもと変わらないよ。それより悪いが、時々顔を出すから近況報告を頼むよ」

「いや…その俺は…」

「まさか、籠ってヤッているだけか?」

「…」

うわ、マジか…

幾らなんでも飽きるだろう。

「それなら良かった。一応、今回の理由だが、教会から頼まれて1週間単独で出かけた事にしておいたからな…危ない任務じゃ無くて接待みたいな感じの物にしている。これで良かったか?」

「何でも良い、任せた。それで延長は可能なのか…出来れば倍位に延長して貰えたら嬉しいんだが…」

本当に嵌まったな。

「それは別にして…ガイアは此処から出ないのか?」

「なんで、そんな事聞くんだ?」

「いや、此処に居ない筈のガイアにバッタリなんて、不味いだろう?」

「余り出ないな…もし、外に出る事があったら『気配察知』をしっかりするから大丈夫だ! それで延長なんだが…」

スキル迄使うかよ。

「それは可能だよ!だけど旅は続けないといけない。他に移動すればまた娼館はあるから、他の女を買えば良いんじゃないか?」

「確かにそうかも知れないが、今はティア達と居たいんだ。頼むよ」

ハァ~仕方ないな。

教皇様も『良い』と言っているんだ、良いか。

「解ったよもう3日間追加しておくよ…それでマリア達の事なんだが…」

「ああっ、マリア達ね…お前に任せるよ」

「そうか? 少し贅沢をさせてやりたいんだが良いかな?」

「別に良いよ…戦闘以外じゃもう興味ないしな」

言っちゃったよ。

たった1回の経験で…

「ガイア…お前、俺を追い出してまで欲しかったパーティじゃ無かったのかよ…」

「ああっ!あの時はそう思ったよ! だが、違ったようだ! ティア達を知ったあとじゃ…もうどうでも良くなった…ティア達と比べて見ろよ…エルザの足なんて大根足だし、スレンダーだって言ってもマリアだって大した女じゃない…リタなんてガキ見たいじゃないか…」

「それじゃ…もうどうでも良いのかよ…」

「男女って意味ならもう要らないな…戦う仲間という意味じゃ必要だけどな、そうだ、リヒトは幼馴染好きだよな? 俺も含んで一緒に居たかったんだろう?」

「ああっ…そうだよ…悪いか…」

これで良かった筈だ。

自分の筋書き以上じゃないか?

「それじゃ、俺を気にしないで仲良くして良いぞ? 尤も勇者パーティだから妊娠は問題だから、最後の一線を超えられないけどな!他は自由にして良い…勿論、俺はお前を親友だと思っている…三人以上にな、悪く無いだろう? まぁヤリたくなれば、適当に此処に来ればいいさぁ…兄弟」

兄弟…

余り嬉しくないが、幼馴染やっていて一番の笑顔だな。

だが、凄く腹が立つのは何故だ。

「そうだな、それじゃまた来るよ」

「ああっ」

俺はガイアと別れ、娼館の受付に向かった。

◆◆◆

「取り敢えず3日間の延長をお願いします」

「畏まりました...ですが、此処迄するなら『身請け』をされた方が良いんじゃないですか?」

「いや、あれでも勇者だよ…それは不味い」

「あれでも…本音出ていますよ」

「あっ、これは内緒で頼むよ」

「解っていますよ、本当のお客はお金を払うリヒト様ですから」

「ありがとう」

俺は今度こそ娼館を後にした。

◆◆◆

しかし、幾らなんでもあっさりしすぎるな。

本当は、この後に…手柄をたてれば『王女』や『貴族の娘』を配偶者に出来る。

地位と高貴な身分の妻が手に入る…それで揺さぶるつもりだったのが…

こんな簡単にすんでしまった。

これじゃ、追放され掛かった俺が、凄く不憫だ。


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