14 / 38
第14話 俺の趣味と嵌まるガイア
しおりを挟む『普通っぽい子が好き』『普通が好き』
まさか、俺が…それに嵌まるとは思わなかった。
良く、カッコつけて良い女でも男でも『普通の人が好き』なんて言っていたが…嘘だろう…そう思っていた。
だが、今の自分の好みを当てはめるなら正にそれだ。
正直言えば、普通に考えたら『あのまま追放を受け入れたら簡単に幸せに成れた』
俺のジョブは魔法剣士。
四職には届かないが『当たり』だ。
冒険者をするなら、女ばかりのAやBランクに潜りこめば絶対にチヤホヤされる。
俺は無理をすれば小型のワイバーン位ならどうにか狩れる。
ワイバーンは1羽で金貨50枚(約500万)は固い。
稼げない冒険者にとって貴重な収入源。
絶対に欲しい筈だ。
それに俺には『魔王と戦う義務』は無い。
だから、ソロで冒険者として金を稼げば大金も手に入る。
大金が手に入れば、この世界には奴隷商があるから、どんな美人でも買える。
エルフにダークエルフ、没落貴族の令嬢まで思うが儘だ。
今ガイアが抱いているエルフやダークエルフ。
恐ろしい金額かも知れないが…『身請け金』さえ用意すれば買えるのだ。
だが、俺が欲しいのは『美人』『美少女』なら誰でも良い訳じゃない。
幼馴染の3人…『同じ位の女を口説くのは難しくない』だが、特定の人間を口説くのは…ハァ~難しいな。
◆◆◆
娼館に来た。
幾ら7日間の貸し切りとはいえ、ガイアは勇者だ。
流石に放置したままは不味いだろう…
あの『狂信者』の事だ…いつまた通信水晶が光るか解らないからな。
「ようリヒト! 元気していたか?」
いや、昨日の今日だし…
しかし、たった1日で此処迄乱れるのか…
今目の前にいるガイアはパンイチだ。
「まぁ、昨日の今日だしな、いつもと変わらないよ。それより悪いが、時々顔を出すから近況報告を頼むよ」
「いや…その俺は…」
「まさか、籠ってヤッているだけか?」
「…」
うわ、マジか…
幾らなんでも飽きるだろう。
「それなら良かった。一応、今回の理由だが、教会から頼まれて1週間単独で出かけた事にしておいたからな…危ない任務じゃ無くて接待みたいな感じの物にしている。これで良かったか?」
「何でも良い、任せた。それで延長は可能なのか…出来れば倍位に延長して貰えたら嬉しいんだが…」
本当に嵌まったな。
「それは別にして…ガイアは此処から出ないのか?」
「なんで、そんな事聞くんだ?」
「いや、此処に居ない筈のガイアにバッタリなんて、不味いだろう?」
「余り出ないな…もし、外に出る事があったら『気配察知』をしっかりするから大丈夫だ! それで延長なんだが…」
スキル迄使うかよ。
「それは可能だよ!だけど旅は続けないといけない。他に移動すればまた娼館はあるから、他の女を買えば良いんじゃないか?」
「確かにそうかも知れないが、今はティア達と居たいんだ。頼むよ」
ハァ~仕方ないな。
教皇様も『良い』と言っているんだ、良いか。
「解ったよもう3日間追加しておくよ…それでマリア達の事なんだが…」
「ああっ、マリア達ね…お前に任せるよ」
「そうか? 少し贅沢をさせてやりたいんだが良いかな?」
「別に良いよ…戦闘以外じゃもう興味ないしな」
言っちゃったよ。
たった1回の経験で…
「ガイア…お前、俺を追い出してまで欲しかったパーティじゃ無かったのかよ…」
「ああっ!あの時はそう思ったよ! だが、違ったようだ! ティア達を知ったあとじゃ…もうどうでも良くなった…ティア達と比べて見ろよ…エルザの足なんて大根足だし、スレンダーだって言ってもマリアだって大した女じゃない…リタなんてガキ見たいじゃないか…」
「それじゃ…もうどうでも良いのかよ…」
「男女って意味ならもう要らないな…戦う仲間という意味じゃ必要だけどな、そうだ、リヒトは幼馴染好きだよな? 俺も含んで一緒に居たかったんだろう?」
「ああっ…そうだよ…悪いか…」
これで良かった筈だ。
自分の筋書き以上じゃないか?
「それじゃ、俺を気にしないで仲良くして良いぞ? 尤も勇者パーティだから妊娠は問題だから、最後の一線を超えられないけどな!他は自由にして良い…勿論、俺はお前を親友だと思っている…三人以上にな、悪く無いだろう? まぁヤリたくなれば、適当に此処に来ればいいさぁ…兄弟」
兄弟…
余り嬉しくないが、幼馴染やっていて一番の笑顔だな。
だが、凄く腹が立つのは何故だ。
「そうだな、それじゃまた来るよ」
「ああっ」
俺はガイアと別れ、娼館の受付に向かった。
◆◆◆
「取り敢えず3日間の延長をお願いします」
「畏まりました...ですが、此処迄するなら『身請け』をされた方が良いんじゃないですか?」
「いや、あれでも勇者だよ…それは不味い」
「あれでも…本音出ていますよ」
「あっ、これは内緒で頼むよ」
「解っていますよ、本当のお客はお金を払うリヒト様ですから」
「ありがとう」
俺は今度こそ娼館を後にした。
◆◆◆
しかし、幾らなんでもあっさりしすぎるな。
本当は、この後に…手柄をたてれば『王女』や『貴族の娘』を配偶者に出来る。
地位と高貴な身分の妻が手に入る…それで揺さぶるつもりだったのが…
こんな簡単にすんでしまった。
これじゃ、追放され掛かった俺が、凄く不憫だ。
0
お気に入りに追加
237
あなたにおすすめの小説



今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。

王太子に転生したけど、国王になりたくないので全力で抗ってみた
こばやん2号
ファンタジー
とある財閥の当主だった神宮寺貞光(じんぐうじさだみつ)は、急病によりこの世を去ってしまう。
気が付くと、ある国の王太子として前世の記憶を持ったまま生まれ変わってしまうのだが、前世で自由な人生に憧れを抱いていた彼は、王太子になりたくないということでいろいろと画策を開始する。
しかし、圧倒的な才能によって周囲の人からは「次期国王はこの人しかない」と思われてしまい、ますますスローライフから遠のいてしまう。
そんな彼の自由を手に入れるための戦いが今始まる……。
※この作品はアルファポリス・小説家になろう・カクヨムで同時投稿されています。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる