勇者パーティを追放されかけた魔法剣士は、昭和バブルの夢を見るか?

石のやっさん

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第5話 開始

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さて、これからどうするかな?

まず、立場は従者。

これは頭に入れて行動するとして…身ぎれいにはした。

此処からだ。

車は異世界には無い。

馬車を買っても4人を載せて旅をする足になるだけだし…ブランドの服を着ても…従者なのに可笑しい。

武器や装備という事なら…4人には勝てないがまずまずの装備だ。

まぁ、良い出来る事からするしか無いな。

豪華な朝食で掴みは良かった筈だ。

次は…

◆◆◆

「リヒト、お前は来ないのか?」

ガイアが不思議そうな顔でこちらを見てくる。

「ああっ、俺はガイアの言う通り、戦闘ではついていけない。だから此処からはサポートをメインに手伝おうと思ってな…勿論、旅に出たり、大きな狩りやダンジョン攻略や魔族との戦いには参加するよ!だけど、今日みたいな夕方に帰ってくる時は、宿の手配やその他を頑張る事にするよ」

「それでリヒトは良いの?」

「本当に来ないの?」

「剣を振るいたくはないのか?」

「『ついて来られない』そう言っていたのは皆だろう?まぁ暫くは色々試してみて皆が生活しやすい様にして見るよ…取り敢えず弁当は用意しておいたから、持って行ってくれ」

「ああっ解った」

俺は4人を笑顔で送り出した。

◆◆◆

一人になった俺は『馬借商会』に向かった。

お金という意味なら馬車を買う位は余裕で持っているが、買ってもパーティで使うだけでサプライズとして意味が無い。

だから、いざと言う時に馬や馬車を借りられる環境づくりとして馬借商会の会員…まぁ前世で言う所のレンタカーの会員になる事にした。

「リヒト様、馬が必要になったのですか?」

勇者パーティの所属という事で有事の際は何時でも馬や馬車は借りられる。

だが、これは有事の際だ。

娯楽や趣味、私用には使えない。

「いや、私用でも使う事がありそうだから、会員になりに来たんだ。ガイアと違い、俺はまだ相手が居ないからな…白馬の王子様的な事に憧れて馬や馬車を自由に使えるようにしたいんだ」

「なるほど。確かに馬や馬車を使えば、色々できますな…リヒト様は勇者パーティ所属ですから、身元の保証もされている。畏まりましたメンバー登録させて頂きます」

特に会費とかは無く、登録だけすれば必要な時に何時でも馬や馬車が借りられるようだ。

「ありがとうございます」

「こちらがメンバーカードになります。本日は馬か馬車をお借りになられますか?」

「今日はまだ良いや」

「左様で、それではまたのお越しをお待ちしています」

これで前世で言う『車』は手に入った。

次は洋服だ。

「おや、リヒト様、珍しいですね」

「少しは身だしなみを綺麗にしようと思ってね!ただ、余り贅沢な事は勇者パーティだから出来ないから…安くて清潔感のある服を探しに来たんだ」

「それで当店へ…当店の服は全て洗濯済みですから清潔ですよ。色々見て下さいね」

この世界、服と言えばオーダーメードか古着だ。

オーダーメードは高いし、どう見てもガイア達と釣り合いがとれないから古着が良い。

贅沢でなく、清潔感がある。

俺は普段着として Tシャツとシャツ、それとジーンズに近いズボンを探した。

この世界、昔は転移者や転生者が居たせいか、似た様な服やズボンはあった。

目指すは前世でいう吉田くんや加勢くんだ。

後は公式の場で着ても可笑しくない服を3点。

これで良いか?

「これ下さい」

「全部で銀貨3枚になります」

「はい銀貨3枚」

「ありがとうございます」

俺は買い上げた服を収納袋に入れて店を後にした。

次は宝石店だな。

よく考えたら幼馴染に甘えて3人に余りプレゼントとかあげていなかったな。

ガイアと差がつくのは当たり前だ。

相手は勇者だし、以前の俺に比べたら女性慣れしている。

本当に俺は馬鹿だ。

前世の俺は『随分と贈り物』を送っていた。

俺が居た前世の世界…男女交際は『戦争』だった。

女を口説く為には基本『お金』が必要だった。

俺は記憶が虫食いだが、そんな金持ちじゃなかった。

それでも中古でソアラを購入して江の島にナンパしに行ったし、付き合ってもいない女の子に ティファニーのオープンハートや三連リングをプレゼントしたりシャネルやグッチの財布やカバンをプレゼントした記憶がある。

『嫌われて当然だ』

確かに俺は仲間として仕事は誰よりも頑張っていた。

だが、それはあくまで仕事だ。

好かれる努力を何もしていない。

前世の俺を思い出せば『最低』としか思えない。

女の子が会社で義理チョコをくれたならホワイトデーには5~6千円位の小物とマシュマロを買ってきてプレゼントしていた。

この世界での俺は好かれる為の努力『気配り』が無さすぎだった…こんなアホは追放されて当然だな。

「いらっしゃいませ…リヒト様?! 今日はどう言ったご用件でしょうか?」

ここはシャルロー宝石店。

一応は高級宝石店だ。

それがこんな冒険者みたいな恰好の俺でも入れてくれる。

これは俺が『勇者パーティ』だからだ。

今回は甘えるとして、次回からはしっかりしよう。

「今日は仲間にプレゼントをしたくて寄らせて貰った。少し見させて貰ってよいかな」

「どうぞ、どうぞ好きなだけ見て下さい」

聖女のマリアは癒し系だよな。髪の色が薄い水色で長く、肌は透き通る様な白で目が少し赤みをおびてスレンダー…こうして考えてみれば『一流の女医』に『美しい』がプラスしているじゃ無いか…

アクアマリンが似合う様な気がする。

剣聖のエルザは短い赤髪に金色の目、そのまなざし鋭い。肌は少し褐色帯びていて野性的な感じだ。うん、充分美少女だ。

ガーネットが良いか。

久々に女性向けの買い物をするのは結構楽しいかも知れない。

最後にリタだが…

日本人みたいな黒髪のショートカットに目は少し緑がかっている。背は低く胸が無い…まぁ前世で言うなら見た目はロリだ。
尤も目が大きく綺麗な顔立ちをしている。

此処にある中じゃグリーントルマリンだな。

勿論、今回考えた宝石以外でもっと高価なルビーやエメラルドもあるが、流石に交際を申し込むわけじゃ無いから、可笑しいだろう。

前世でも…いや、前世なら『こんな鼻くそみたいなダイヤでご機嫌がとれると思わないで』…かなり可笑しかったのか30万のダイヤモンドリングで馬鹿にされた思い出がある…

やはり…いや、この位からで良いよな。

「すみません、これとあれとこれ下さい」

「お買い上げになるのですか?」

「はい、お世話になった人へのプレゼントにしようと思いまして、シャルロー宝石商で奮発する事にしました。これからもこう言う小物ばかりですがお世話になると思いますので宜しくお願い致します。それで包み紙で区別がつくように包んで頂けますか?」

「勿論でございます」

1つ金貨1枚(約10万円)の安い物だが、まぁこんな物からスタートで良い筈だ。

ガイアには何か違う物でサプライズしてやれば良いよな…


後は…

高級な食材にお酒とちょっとした雑貨を購入し、冒険者ギルドに立ち寄り俺は宿屋に戻った。



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