悪徳貴族になろうとしたが

石のやっさん

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覆水盆に返る

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魔王近衛隊。

確かに強者ではあるが、あの二人とは全然違う。


「我は、イワノフ、我を前にして何人たりとも勝利は掴めない」

「本当にそうなのか? ならば行くぞ」

俺は素早く剣で突きを放った。

此奴は強者の筈だ、こんなのは簡単に...うっ..えっ


何で刺さっているんだ。

しかも...多分死んでいるぞ。

いや、これ位で死ぬ訳が無い。

俺は足で蹴飛ばしてみた。


「貴様、戦った相手を足蹴にするとは何事だ、今度は俺が相手だ」

「行くぞ」

俺は上段から斬りかかった。

何だ此奴も、まるで相手にならない。

このまま斬れてしまう。

何かあるのか..

本当に斬れてしまった。

多分、此奴も死んでいる。


「嘘だろう、相手の心が読めるイワノフに音速で戦えるジェッターがこんな簡単に倒されるなんて」


何だ、それなら相手にならない。

俺は天使だから心なんて読めない、音速、そんな物とっくに超えている。

まぁ、まだ彼奴にには追いつかないが。


最早、オモチャだな、なまじっか強い能力がある為にそれに頼る、

だから、簡単に倒せる。


「嘘だろう、気配察知のフランに究極の暗記の使い手デスが簡単に殺されるなんて」


結局9人全部が俺の相手にならなかった。

唯一善戦したのが怪力男だったが、武神の足元にも及ばない。

他の奴は何がしたかったのか解らない、何だかの能力者だったのかも知れないが。

今ではもう解らない。


もうこの城の中には俺の相手はいない。

そのまま、城の外にいってから...呪文を唱えた。


「サウザンドソード」

これは誰から教わったのか解らない。


1000を超える大きな光の剣が城に落ちていき、城を破壊した。


まだ、何処からも軍は集まってきてない。

ならば、俺は瓦礫を全部《浮遊》を使い取り除いた。


「エリアパーフェクトリバースヒール」

※リバースヒールは魔族性の者でも回復させる特殊なヒールです。

仮面と聖剣を仕舞い羽を生やした。


こんな魔法、誰が使っていたか解らない。

だけど、自分が使えるのだけは解った。


「私は死んだ筈では...」

「執事よ、生き返らせてやったんだよ」

「貴方は天使...様」

「まぁな、どうだったか勇者に殺された気分は、彼奴は俺の僕だがやり過ぎる所がある」

「その、敵である私を何故生き返らせてくれたのですか?」

「俺は此処に戦いに来たのではない、中立のつもりできた、だからチャンスをやった、執事なら主人が誤った時には注進するのも仕事だ、次は勇者や俺に殺されないと良いな」

「天使様...?」


「私は何で生きているの? そうだ、娘、娘は」

「おい」

「天使...様?」

「お前は一回勇者に殺された、だがな勇者の願いにより生き返らせた」

「何故、その様な事を、私達魔族は貴方の敵です」

「俺は中立でいようと思っていた、魔王や四天王はだまし討ちして俺を殺そうとした、その挙句、人類に戦争を仕掛けようとした」

「存じております」

「その身なり、かなり高位の身分なのだろう」

「はい、公爵夫人です」

「臣下なら、主を諫めるのも仕事だ、娘を失いたくないなら次は間違えるなよ」

「...はい」



メイドに料理人も騎士も全部甦らしてやった。

「嘘、私生き返ったの?」

「俺もか」


「次は無いぞ、つぎ、馬鹿な事を魔王がやったら、今度はもっと残酷な勇者を送り込んで全滅だ」


「ヒィ」



「お前等、ヒィじゃ無いだろう? 勇者が殺した者は全部甦らした...お前等魔族は殺した者はそのまま...実に俺も勇者も人道的だろうが」


「「はっはい」」


次は魔王近衛隊だ。


「どうだ、一度死んだ気分は」


「良い物じゃないな、貴方は一体」


「あの勇者の主、天使だよ...お前等に一度だけチャンスをやろうと思ってな、一度だけ蘇らせた」

「蘇らせただって、そんな事は神でも」

「ジェッター黙って、貴方様の起こす奇跡に感謝します、魔王様も甦らして頂けたのでしょうか?」

「ああっ」

「ならば、このイワノフ、この奇跡の感謝は生涯忘れません、二度と具を犯さない様に致します」


「そうしてくれると助かる」


「必ずや」

「そう、それじゃ俺は魔王の所に行くわ」


「はい」




「イワノフ、どうしたんだ?」

「俺は近衛の中では一番頭が良いと思っている」


「今更言わなくても、そんなのは皆、知っているよ」

「今更、何を言っているの?」


「だが、俺は知らないんだ」


「何をだ」


「死人を完璧に戻せる存在をな、死霊王のスカル様のはあくまで死霊、邪神様に昔、お妃さまの復活を魔王様がお願いしたが出来なかった」

「確かに、そんな事が出来る存在は知らない」

「邪神様にも出来ない事が出来る《あの天使様》は何者なんだ...」

「イワノフ? その理屈だとあの方は邪神様以上と言う事になるな、そんな存在少なくとも神じゃないか? まさか創造神?」

「話しが飛躍しすぎだが、邪神様より高位の存在なのは間違いないだろうな」

「兎も角、一度助けてくれたんだ...俺は次は間違えない。」



お妃か...



【魔王と】


「どうだ、魔王蘇った感想は」

「天使様...これは一体...」

「ああっ、お前も息子も生き返らせた」


「天使様が生き返らせたのですか? 息子も?」

「まぁな...なぁ、死ぬのって嫌だろう? 肉親が目の前で殺されるのは辛いだろう」

「はい....」

《人を蘇らせる...そんなのは天使じゃない《神》それも信じられない程高位の神だ》

「だったら次は間違えるなよ」

「はい、このご恩は決して忘れません」

《邪神様の話では幾ら生贄を捧げても出来ないと言われた...しかも一人生き返らせる事も出来ないと...まさか、このお方は創造神様》

「どうかしたのか?」

「いえ、行いを恥反省しております」

《何で身分をお隠しになるのか解らない...だけど、何かご事情があるのだろう》

「それなら良いや、俺は中立で居たいんだ、戦争は止めてくれないか」

「貴方様が、それをお望みなら止めます」

「そうか...なら俺から一つ褒美をやろう」


「何を...コーネリアス」

「お母さま...お母さまなのですか?」


「貴方、ギルガ...ただいま」

「コーネリアス、本当にお前なのか」

「お母さまーーーっ」


「感動の再開は後でやってくれ、お前達が一番欲しい者を俺は取り戻してやったんだ、絶対に戦争なんてしないでくれ」

「約束します、必ずや止めます」

「僕も、必ず止めます」


「それじゃ、この城を元に戻して、これで今回の件は終わりだな リバース」

時間が巻き戻るかの様に城は壊れる前に戻っていった。


《こんな奇跡を手の一振りで行える者は天使じゃない...絶対に神だ》


俺は奈落に行き4人を救い出した。



【再び魔王や魔族と】


俺は今謁見室にいる。

しかも座っているのは玉座だ。

座り心地は良いのだが...何だこれ。

しかも、その横にはアイラ、シャイン、ルナ、サイラが立っている。


「あの、ルディウス様、折角だから宴を開こうと思っています」

「そう、楽しみだ」


何だかぎこちない...


「あっ、アイラ、シャイン、ルナ、サイラ、この度は私達が悪かった、宝物庫から好きな物をひとつづつ持っていって良いから許してくれ」

彼女達にしたら拷問の上殺されたんだから恨みもあるだろう。

だが、出来たら仲直りして貰いたい。

「アイラ、シャイン、ルナ、サイラ」

「仕方ない、仕方ない、ルディウスが許しているんだから、三個、宝物庫から好きな物3個で許してあげるわ、シャイン達はどう?」

「それで手をうちます」

「そうね、仕方ないわ」

「その辺が落としどころじゃないかな」


「それじゃ、それで仲直りしてね」

「はい」

「「「「はい」」」」


魔王の顔が青ざめていたが、拷問迄して殺したんだ仕方ないだろう。


これで戦争は大丈夫だろう。

だが、あの二人には...到底敵わない。

これからどうするか、考えなくては。




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