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魔族に慈悲は要らない

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運が良かった。

二人は歩き回る奴らで良かった。

出くわしたら、なりふり構わず速攻逃げる。

それで良い、殺した魔族の話では2~3日は魔族の集結の呼びかけに出ているそうで城には戻らないそうだ。

ならば、簡単だ、彼奴らが集結する前にこの魔王城の奴らを皆殺しにすれば良い。

彼奴への伝令はもう殺した。

しかし、全然レベルが上がる気配が無い。

魔王やその子供を殺したのだから、かなりレベルが上がっても良さそうだが、余り体感的に強くなった気がしない。


とりあえず、食料やら毛布を奪い、一旦奈落に戻った。


「「「「ルディウス様」」」」


「ごめんね、不便な思いをさせちゃって、これ当座の食料と生活品」


「それは良いのですが、ルディウス様、大丈夫ですか? 相手は堕天使、しかも天使長クラスと武神ですよ」

「逃げましょう、 人間側に逃げて隠れていれば暫くは大丈夫です」

「勝てません」

「あれはどうこうできる存在じゃありません」



「だけど、人間側にこれから戦争を仕掛けるみたいだ、だからいずれ捕まる、そう考えたらやるしかない...あと俺はこれから残酷な事をするつもりだ」

「残酷な事とは何をするのですか?」

「シャイン、俺はこれからエルフとサキュバスを除き、魔族は全滅させるつもりだ」


これは流石に引かれるだろうな....


「それだけですか? ジャンジャンやって下さい、残酷な位に殺してくれて構いません、いえ女子供に到るまで消毒と言う名の元に焼き尽くして下さい」


「私はアイラ程残酷な事は思って無いですが、ルディウス様がするというなら、ただ笑顔で黙って見ています」

「そうですね~良いんじゃないですか?」

「そうそう、エルフが無事なら問題ありませんね、あっサキュバスも無事なら問題無しです」


そう言われれば彼女達は拷問の末殺されたんだ《恨んでいて当たり前だ》


俺は結界を張ってそのまま此処を後にした。


「これから入口を崩すけど、いま結界を張ったから、此処は大丈夫だから」


これで魔族を殺して城を破壊すれば此処に彼女達が居ることは気がつかれないだろう。


そのまま奈落を後にして再び魔王城内に飛び立ち戻った。


そして、「エンジェリックアロー」そう叫ぶと周りを崩して奈落への入り口を塞いだ。

これで、此処はそう簡単に下に降りられなくなった。

もし、再び通じても、結界を張ったから、あの二人以外は彼女達に手を出せない。

攪乱する為には、天使でなく《勇者》の方が面白いかも知れない。

姿という意味では天使という者は凄く便利だ。

羽は出さずに、人間のルディウスの姿になった。

地下で拾った仮面をつけ、同じく拾った聖剣を手にする。

殺せば殺す程僅かながら経験値が手に入る。

だから、ここからはキルタイムだ。


「貴様、何者だ! 此処を魔王城と知っての狼藉かーーーっ」


まだ、魔王を殺した事が伝わっていないのか...

ならば...

「俺の名は勇者リヒト、最強パーティーブラックウイングのリーダーだ」

何故か、この名前が浮かび上がった。

恐らくは、前世で読んでいた小説の主人公か何かだろう。


「馬鹿な、勇者が単身でこの城に忍び込んできたと言うのか?」

「こんな城の攻略は簡単だ、聖女も賢者も要らない、俺一人で充分だ」


「何だと、皆、勇者が侵入しているぞ全員で掛かれ」

「ふっ...小蠅が騒ぐな、冥途の土産に良い物を見せてやろう...これが俺の奥義、光の翼だ」


何だこの技は、何処で覚えたのか解らない...親友が使っていた気がするが...


「なんだ、その技は、その様な技見たことも聞いた事も無いぞ」

1人生き延びていたか...

「教えてやろう、勇者は一人じゃない、これからは俺を含め、沢山の勇者がお前達を倒す..死ね」


堕天使ラファエルも武神トールも馬鹿だ。

あの二人以外は俺を倒す事は出来ない。

それなら、俺は倒す算段がつくまで、他の魔族を殺し続ければ良いだけだ。


「お前、何処から侵入したんだ」

「死ね」

「貴様、何者だ、此処は魔王...」

こいつ等は馬鹿か?

何故、そんな事を聞く必要がある。

これから《人》を殺すのだろう。

戦争する相手に、言葉なんて要らない。

もう、耳を貸さないと決めた。

残酷に罪のない者を拷問して殺す様な奴が頭だった。

そんな種族《ただ喋る事が出来るだけ》の獣だ。


「俺は、ただの料理人だ、戦う様な種族じゃないんだ..」

「王がクズだったから...死ね」


「魔王様が」

「魔王様と呼んだ時点でゴミだから死ね」


俺は天使だから生きている。

俺が天使でなければ、あそこで死んで骨になっていた。

そして彼女達もだ...

和平や中立を求めて来た人間に攻撃をしたんだ。

しかも重臣がだ。

そしてそれを王である魔王が認め、総力戦を挑もうとしていた。

総力戦なら《罪の無い者が死んでも仕方ない》

沢山の魔族が集まり、人間を蹂躙する。

そう決めたのなら...死ぬ覚悟もするべきだ。

村を焼き、子供も殺す。

そういう事をやろうとしている奴を王と呼ぶのなら、笑いながら死んでいけ。

人にやるのなら自分も殺される覚悟位持て。


「わ、私はただのメイドでただ給仕をしていただけです、助けて子供も居るんです助けて、たすけてーーーっ」

「魔王に仕えていたのなら罪がある死ねよ」



「私は執事です...今迄人を殺した事も無い」

「だから何だ? 俺の主である天使ルディウスは和平や中立を保つつもりで此処に来た、だがそんな主を殺そうとしたのは四天王だ、しかも魔王はこれから人を蹂躙するそうだ? されても仕方ないだろう」


「だが、私達はそんなの望んでいない」

「ならば、チャンスをやるよ《魔王はクズでゴミ、あんな馬鹿に仕えてごめんなさい、これからは魔王や邪神をゴミだと思い生きていきます》これを100回唱えたなら助けてやるよ」


「それは」

「お前から見たら俺はクズに見えるだろう? 今俺がやっている事の数倍、いや数十倍酷い事をしようとする奴なんだぞ?」

「それは言えない」

「ならば、死ね」


こいつ等も偽善者だ。

これから人を蹂躙しようとしている国の者なのに自分達がやられると《これだ》

魔族が村を襲ったら、残虐な事するのだ。

なら自分達もされても仕方ない、そう思え。

こんなのクズだって知っている。



「私はどうなっても構いません、娘、娘だけは...助けて下さい」

「そうか? ならば娘の前で死んで見せろ、それが出来たら娘は助けてやるよ」

「お母さん」



「どうした早くやれよ」

「...」


何だ此奴、娘置いて逃げようとしやがって..


「クズ女、死ね」

「お母さん、お母さん、おかあああああああさーんーーーっ」


「お前のお母さんが約束を破った...死ね」

「いやぁぁぁぁーーーーっ」


詰まらないな、騎士らしい奴もかなり出てきたが、全然相手にならない。


「貴様が、勇者リヒトだな、よくも魔王様とギルガ様を殺したな、敵討ちだ」


さっき迄の奴とは違う、明かに強いな。


「お前達は何者だ」


「俺たちは魔王近衛隊だ、直ぐにあの世に送ってやる」

全員で9人か、確かに今迄の相手とは違う。

鎧も赤い色で明らかに他の騎士より上等な物だ。


「そうか、やれる物ならやって見ろ」


強者との戦いがまた始まる。

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