悪徳貴族になろうとしたが

石のやっさん

文字の大きさ
上 下
82 / 94

魔王死す

しおりを挟む
【自分時間8日目】


体は完全に癒えた。

羽も生えたから、飛び立ち此処から脱出する事は出来る。

だが、今の俺ではあいつ等相手に対抗する事は出来ない。

あんな相手に勝てる訳無い...無い?

心の何処かで屈しないと何かが叫ぶ。

あれから、探し回ったが碌な物は無かった。

他の人間からしたら聖剣や聖槍、凄い物ばかりだ。

魔王ならこれで倒せる。

だが、これ等じゃ彼奴らには利かない、恐らく傷一つ付けられない。


俺が上を見上げていると、上から何かが落ちて来た。

ビシャッ

ドガッ

びしゃっ

びしゃっ


落ちて来た物は人間?

俺の様に殺された? 魔王城迄来る人間が居る訳が無い。


落ちて来た人物の傍に近寄った。

嘘だ、そこに居たのは シャイン達だった。

しかも散々いたぶられて殺されたのだろう...五体満足な死体は無く、どの死体も体の一部が欠損していた。

シャインは綺麗な顔が潰されていた。

散々殴られたのか、アイラは顔が何倍にも腫れあがっていた。

ルナは乳房が斬り落とされて無くなっていた。

サイラは顔が焼かれていた、そして目には鉄の棒が刺さっていた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっーーーーハァハァうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ」


嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、


何でこうなったんだ...俺が弱いから、俺が弱いから、だから守れなかった...


《その程度の事で天使は悲しまない...天使が呪文を唱えた時...それは人間以上の力を発揮する、わ.た.し.は貴方にみせた筈》


頭が痛い、だが凄く澄んだ声で聞こえてきた、まるで女神の様な声で。

優しく、そして凛とした声、この声の主は...解らない。

だが、一つだけ解った事がある。

どうすれば良いかだ。

「パーフェクトヒール」

俺の体に光が集まり、手に収束していく。

そして、その光が、シャイン、ルナ、サイラに降り注ぐ。

パーフェクトヒールは聖女がつかう最強の回復呪文だ。

だけど、死人は蘇らない筈だ、駄目だ、これでは。


「いやぁぁぁぁーーーーっ止めて」

「もう殺して、殺して」

「頼むから、殺してーーーっ」


あれっ...蘇った。

《ばーか、天使と人間では呪文の効力が違う...教えた筈よ》

教わった? 誰から?

美しい...女神の様な女性

だけど、これじゃ魔に属するサキュバスは治せない。


《魔族には普通の回復呪文は毒になる、だからこそリバース、これが必要なのじゃ》

スカル...それは無い、俺はスカルを殺しただけで、こんなに仲良さそうに会話なんてして無かった。


「リバース」

壊れた体が時間を巻き戻した様に治っていく


「助けて、助けて下さいーーーっ」



「うん、助けたよ」


「「「「へっ...ルディウス様」」」」


「あの、此処は天国なのでしょうか? そうか死んだんですね、だから迎えに来てくれたのですね」

「三人は兎も角、私は天国にはいけないから、これは夢、目が覚めたら辛い現実が待っているんだ」


「大丈夫だ、此処は夢でも天国でも無いよ」


「「「「ルディウス様」」」」


四人から話を聞くと、四人を殺したのは魔王と魔王の息子らしい。

二人は魔王に俺を倒したと話した。

天使だから死ぬ事はないが、もはや魔族に逆らわないと説明をした。

最早、天使は恐れずに足らず、魔王は考えた。

そして、2人の正体について邪神からの神託を聞き、人類への総攻撃の命が下った。

指揮を高めるために《天使と仲が良く男女関係にある四人》を生贄の様に殺した。

そういう事らしい。


何だ、悩む事なんて無かった。

スカルとエルフ、そしてサキュバスが俺に優しかっただけだ。

他の魔族に借りは無い。

もう皆殺しで良いや...

二人には勝てない...だからパワーアップしなくちゃいけない。


「四人は危ないから此処に居て」

後ろから声がしてきたが、気にせず飛び立った。




【1時間後】


「あの二人が強いだけで他はこんなに弱いのか?」

「止めろー、止めてくれ、私は殺されても良い、だから息子だけは、助けてくれ」

「嫌だね、お前は俺と仲が良い、それだけでシャイン達を殺したじゃないか? それに俺は中立の立場を伝える気だったのにお前の部下が俺をを殺そうとしただろうが」


「それは2人がやった事で、私は歓待するように言ったんだ」

「だが、今は人類を滅ぼす為に動くのだろう?」

「それは...なら私を殺せ、息子は関係ない」

「此奴も四天王の一人だ、生かしてやる義理は無い」


「お前には心という物は無いのか」

「あるよ」


「止めろーーーーーっ」


「父上ーーっふぐ」



俺はそう言うと、聖剣で首を斬り落とした。

魔王はあらかじめ手足を斬り落とし転がして置いたから邪魔は出来ない。


「貴様、貴様、呪ってやる、呪ってやるぞ」

「魔王よ、俺はおまえの息子に拷問などしないで楽に殺してやった、拷問の上殺された4人に比べれば実に人道的だろう?ちがうか?」


《そうか、私は、此奴の逆鱗に触れてしまった、あの二人はやはり諫めるべきだったのだ、それが同調した結果がこれだ、拷問して殺した私達に対し楽に息子殺した...ならば、自分の方が優しい、この天使の言い分が正しい事になる、もう私の声は届かないだろう...和平のつもりがだまし討ちした挙句、魔族で仲良くなってパイプ役になる筈のアイラ達を拷問の末殺してしまった...無理だな》


「確かに私よりお前の方が人道的だ、さぁ殺すが良い」


ルディウスは聖剣シルビアンを魔王に突き刺した。

聖剣に心臓を突き刺された魔王はあっさりと死んだ。

そしてルディウスは壁にこう書いた。

「勇者リヒト 見参!」


自分だと気がつかれない様に偽勇者の名前を書こうと思ったら「リヒト」という名前が浮かんだ。

リヒト、何でこの名前が浮かんだんだ...解らない。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

処理中です...