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天使の扱い...

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帝国の件はこれで全部終わった。

最早誰も住まない廃墟状態、まるでゴーストタウンだ。

此処から先は俺の仕事では無い。

教皇がどうにかするだろう。

俺が願うと大きな2枚の羽が現れ、その羽で砦に向った。

近くの森に行き羽を仕舞い、此処からは歩いて砦へと向かう。


「勇者様、もうお帰りですか」

「ああっ、もうスカルなら倒したし、死霊はもう居なくなった」

「あの大軍をたったの数日で...」

「まぁな」



【謁見の間】


謁見の間に通された。

勿論、空いているのは玉座。

此処に座れという事なのだろう。


「ルディウス様、この度の遠征はどうなりました? 余りに早いと思いますが...」

「スカルなら倒したよ、それより困った事が起きた」

「困った事とは何でしょうか? この教皇が何でも解決して差し上げます」

「勇者でなくなった」

「聞き間違いではないでしょうか?「勇者でなくなった」そう聞こえましたが」

「聞き間違いではないよ、勇者で無くなったんだ、だから勇者支援法から外れるんだろう? どうすれば良いんだろうか」


「ルディウス、勇者でなくなったのなら何故我ら八大司教より上座に座るのだ、下に座らぬか」

「司教よ、そう言うでない、ルデイウスよ、よく今迄勇者として頑張ってくれていました、これからも信者として頑張って」


「無礼者ーーーっ無礼者、無礼者、無礼者ーーーっ」

ペドロフ大司祭が急にルディウスと教皇と他の八大司教の間に入った。

「ペドロフお前は何をしているんだ、いきなり怒鳴りだして、教皇様の前で」

「無礼者に敬意など要らない...偉大なるルディウス様の前では、人など虫けらに等しい...無礼者、無礼者...ルディウス様より尊い方などこの世にいない...無礼者、早く跪くんだ、教皇様も早く」


「勇者様で無い者になぜ我々が跪くんだ、ペドロフ貴様は八大司教では序列は下から2番目いい加減にせんか」

「ペドロフ、ちゃんと説明してくれぬか...これでは教会が可笑しくなる」

「教皇様...私が鑑定した結果が...」

「勇者ではなくなったが、何か貴重なスキルやジョブでもあるのですか」

「これを見て下さい...」


ルディウス(種族:能天使)
LV 3
HP 17000450
MP 114000320
ジョブ:中級天使(運命の転生者)
スキル:闇以外の全ての能力、魔法 レベル6(但しこれは天使のレベルなので人族計算では無い)

神の使いである天使に人族は攻撃不可、天に唾成す者は自分へと帰る

人類にとっては至高の存在。

その存在を感じただけで愛に染まっていく。

ただ願うだけで人類を救う慈悲の光が巻き起こる。

常に光を纏う事が可能、その光に触れた者は幸せを感じるようになる。

魔族と戦う時には能力補正で860倍の能力に跳ね上がる。



「あっああああーーーーっ、私は何て馬鹿な事を、死んでお詫びするしかないーーーーっ」


「教皇、死なれては困るから、冷静になってくれないか」

「はい」


「教皇様、何時までその元勇者に媚を売るつもりですか? もう勇者では無いのです」


教皇は拳を握りしめると、教皇はローアン大司祭を殴りつけた。

しかも、ただ殴るだけじゃなく怪我なんて気にしないで殴っている。

教皇のパンチなんて立場上避けれないからローアンはそのまま殴られている。

「教皇様が乱心されたーーーっ皆取り押さえてくれーっ」


慌てて聖騎士が来たが、どうしてよいか解らない。

「無礼者ーーっ」を連呼して叫ぶペドロフに、手から血を流しながらローアンを殴りつける教皇。


どう動けば良いか全く解らない。


「一体、何を見たと言うのですか? ペドロフ、教皇様ご説明願います」


「ルディウス様は...天使様だ」


「「「「「「「へっ...」」」」」」」



「何を血迷って」

「ペドロフ、見せてあげなさい」

「はいっ」


「...このーーーっローアン、死んでーーーっお詫びします」


「いや、死ななくて良いから落ち着いて下さい」


流石、聖職者、事情が解ると5分も掛からずに落ち着いた。


俺が玉座に座ると、教皇達は床に座った。

なんだか、昔俺がカツアゲした時を思い出した。


「落ち着かないから全員ちゃんと椅子に座って下さい」

「「「「「「「「「はっ」」」」」」」」」


「それで、これから俺はどうしたら良いのかな? 勇者支援法には《天使》の扱いは何も書いて無いからな」


「逆にルディウス様はどの様に扱われたいのですか? 私の知っている限り、天使様がこの世に現れたのは800年前です、この世の為に命がけで戦った勇者様達が死んだ時に迎えに来られたのと900年前に命がけで布教した当時の教皇の迎えに来られた、それしか知りません」


「成程」

どう言えば良いのだろうか?

「私が考えるにもう人では無いので法律も無視して関係なく、好きにして良いのではないかと思います」

「どういう意味だ」


「例えば、今迄は勇者様でしたから、ルディウス様に必要なお金や物などを教会がご用意しました、ですがこれからは欲しい物があればそのまま持ち去って頂いて結構です」


「それはどういう事ですか?」

「簡単に言うならこの世界は女神様が作った世界です、女神様のお世話をし、その力を行使するのが天使様です、この世界にある全ての物が女神様の物なのですから、その眷属たる天使様の物と考えるのが妥当だと思います。 そうですな、例えば気に入った奴隷が居たとします、お金なんて払わずにそのまま持ち帰れば良いのです...だって天使様なのですから、その奴隷の祖先を遡り作ったのは女神様、更に言うならその奴隷商自体も女神様が作ったものの末裔。人その物自体、作ったのは女神様です」


「それは、世界その物を何でも自由にして良いと言う事?」

「そういう事でございます、教義で考えるなら《この世界の全ては女神様が作ったもの》その世界の物を天使様が欲した時に対価を求める等具の極み。元々女神様の恵みで暮らしているのですから、この世の所有権は全て貴方の方が優先です、人だろうとお金だろうと全部欲しい物は自由にすれば良いのです」

「例えば国宝を宝物庫から持って行ったら」

「教会が許します、ただ冤罪は困りますから《寄こせ》と言って下さいね」

「例えば、人妻が欲しいと言ったら...」

「ルディウス様、勘違いなさっていますよ、死ぬまで欲しいと言うなら本人もその夫も喜びます。神に連なる貴方のお世話に家族を献上された最高の栄誉です、ただ抱きたいだけでも《祝福を得られた》と二人して喜びの涙を流すでしょう」


この世界は一神教だ...こんなにも宗教が強いのか。


「本当にそれで良いのか?」

「ルディウス様、貴方は人間ではない...私達が心から敬愛してやまない存在なのです。貴方こそが正義、貴方こそがこの世の心理、天界の住民である貴方を縛る法などこの世にある訳が御座いません、全て好きになさって良いのです。教会は貴方と共にある、天使様が顕現された時代に生きる事ができる、この教皇を始め、宗教者なら誰もが喜ぶ光栄な事なのですよ」


此処まで話が大きくなると怖すぎる。

「あの暫くはこの事は内緒にして貰って《勇者》と言う事にして下さいませんか?」


「「「「「「「「「それが望みなら構いません」」」」」」」」」

「ですが、何時でも教会は触れ書きを出す用意は御座います、ご安心下さい」


一神教の世界は...凄いなこれ。







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