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教皇との話し合い

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これは余りに過剰すぎる気がする。

飛竜船一隻をほぼ貸し切りで使っている。

現代でいうなら飛行船を彷彿させる広さがある。

その中で1部屋を自分専門に貰い、それぞれが2人部屋や3人部屋だが部屋を使っている状態だ。

この飛竜船は教皇の為の物...王族ですらおいそれとは乗れない。

その飛竜船の中でも大きい部屋を独占する。

如何に《勇者》が恵まれているか解る。

俺は少しだけ反省した。

ガキに丸投げはしているが《彼らの理屈》では大切にはされている事が解った。


ルドルは流石執事だ顔には出さずに俺の傍にいる。

問題は、ミルカとレイカだ。


「あの...私奴隷なのに一部屋頂いているんですが良いのでしょうか? 倉庫で毛布で充分なんですよ」

「この部屋どう見ても貴族様のお部屋にしか見えないんです、ルディウス様も驚く程の待遇でしたがこれじゃまるでお姫様です」


確かに一部屋使っているのは俺たちを除いて教皇だけ、八大司教でさえ相部屋だ。


「ルドル、その辺りの事は聞いたか?」


「何となくですが」

「どういう事?」

「何でも我々は、ルディウス様の持ち物扱いの様です、まぁよくある事ですよ」

「持ち物?」

「例えば、そうですな、王が購入した奴隷が居たとします、その奴隷は王の持ち物なので雑には扱われません、それこそ貴族ですら最低線の敬意を払うでしょう...それが勇者であるルディウス様となれば別格です、それに二人とも寵愛を受けていますから、まぁ当たり前と言えば当たり前ですな」

「そう言う事があるのか」

確かに前の世界では歴史とかで聞いた事はある。

「はい、過去には、奴隷や愛人に爵位迄与えた王がおります、今回は少し違いますが《勇者》であるルディウス様の持ち物と家臣、それに対する敬意です」

マジか? 聖剣と同じと言う事か。


話しているとドアをノックする音が聞こえる。

「はい」


「これは、これはルディウス様」

そこに居たのは教皇だった。


「いえ、会話が聞こえて来たのでご説明に上がろうと思っていたのです」

まさか、盗聴していたのか?

「ああっ、ルディウス様..誤解なさらないで下さい、ドアの外にいる聖騎士が何かあったら対応できるように聞き耳を立てているのです」

そう言う事か? 前の世界でいうならSPが居て、状況を聞いている、そう言う事か?


「そう言う事なら仕方ありませんね」

「困惑している様なのでご説明した方が宜しいかと思い訪れた訳です、その他にも報告がありますので」

「確かに、助かります」


実際に俺は兎も角、三人の立ち位置が解らないから助かるな。


「コホン、まずルドル氏ですが、勇者様に仕えているので貴族でいうなら勇者様の宰相みたいな扱いになります、執事とは主に尽くす者、勇者様に快適な生活を送らせる為に行動する時のみであれば王と同等となります、教会が持つ特殊馬車でもこの飛竜船でもルディウス様の為に使うなら《命令》で使えます。聖騎士すら顎で使って貰って構いません...但しこれは勇者様絡みのみ、通常はまぁ伯爵位だと思っていて構いません、私にも八大司教でも勇者様に関するお願いなら何時でもお会いできますし相談に来て頂いて構いません。まぁ勇者特権の一部を使える、そう思って下さい」

「確かに凄く光栄でございますが、只の一執事の待遇としては破格値過ぎる気がします」

「只の執事では御座いません、ルドル殿は勇者様の執事です、ある意味我らの同士です、当たり前では無いですか?」

「それは...解りました、ルディウス様の支援に必要な事、与えられた力全て主の為に使わせて頂きます」

「そういう貴方だからこその待遇です...次に二人の奴隷の待遇ですがルドル殿が言った通り、彼女達は奴隷ですが勇者であるルディウス様の奴隷です、しかも既にご寵愛も受けていますので、愛人としての扱いもあります、そこから考えて、王の愛人以上...そう考えるなら、この辺りは複雑ですが、貴族以上、上位貴族以上の扱いになります...ただお金という意味では女男爵位の支給になりますが、勇者様がエスコートする公式の場所で必要なら、国宝だろうが何だろうが教会がお貸しします、ただこれは私も初めてのケースなのでこれから、相談しながら決めていきましょう」

「「はっふあぃ」」


「緊張なさらずに、これから長い付き合いになるのですから」


「「はい」」


緊張しない訳ないだろうな...雲の上の教皇がこんな丁寧に話しかけてくるんだから。

貴族の俺でも緊張しているのに、奴隷だったんだ、多分心臓なんて破裂しそうな位緊張している筈だ。

おおよその扱いを聞いた...これで大丈夫だ。

三人を大切に扱ってくれるならそれで良い。

もう、これで良いだろう。

「それで教皇にお願いがあります」

「何でもおっしゃって下さい」

「もし他にもヘングラムの生き残りが居たら保護して貰いたいのです」

「それは勿論でございます、確実に保護致します」

「宜しくお願い致します、それで報告とは何でしょうか?」


「王国への処罰が行われましたので不愉快かと思いますが、その報告です」」

どの様になったのか報告を受けた。

マジか? 国王が破門の上国外追放...こんなのは俺は知らない。

国は国王の物だ、それを追放なんて出来る物なのか? 

破門は可能だと思うが、追放何て出来ないと思うのだが。

「破門は解るが、国外追放なんて出来るのですか?」

「この国、この世界は、全て女神様を中心に回っています、全ての人間が信じているのです...そこから外れると言う事は最早人ではなくなります」

そこ迄凄いのか。

「宜しいですか? その女神様から御使いである勇者様がこの世界で1番偉い、二番目に偉いのは聖女様、その次がかなり下になりますが賢者様と剣聖様、そしてその次が私です、これは建前上ですが」

「建前?」

「はい、私達教会は宗教者ですので、本当の意味で心頭しているのは勇者様と聖女様です、賢者様や剣聖様も大切には扱いますよ女神様が遣わした者ですからね、ですがどうしても勇者様や女神様と違い神聖さに欠けるので、実際に本当に替えが効かないのは勇者様だけですが聖女様も勇者様を支える為に必要な方....他の2人は、此処だけの話替えが効きます...あっ口が過ぎました、ルディウス様は剣聖様でもありましたね」

確かにグレーテルのお金はアカデミーが出している、そう言う事か。


「だとすれば、俺は剣聖としても何処からか支援が受けられるのか?」

「冒険者ギルドと傭兵ギルドが支援しますが、そんなの要りません、ルディウス様見たいな聖人、全て教会が支援致します、貴方は二つも素晴らしいジョブを持ち、他にも聖人クラスのジョブを二つも持っています、そんな方は歴史にだっていません、恐らくは歴代で1番女神に愛された勇者様です...どんな贅沢だって、国宝だって叶えて差し上げます...だから何でも教会に言って下さい」

「解りました」

「興奮してしまい申し訳ございません、続けさせて頂きます、その他には王妃に第一王女、第二王女はルディウス様の奴隷にしました、必要無いなら処分します」

処分?俺が要らないと言えば殺してしまうと言う事か...

「処分とは」

「処分は処分でございます」

不味い、殺してしまうと言う事で間違いない。

俺が黙っていると教皇が話を続けた。

「ほかの男の者になった女性は要らないと言うなら処分します、ですが王族は王権を持っており誰か1人は手元に置いた方が良いと思います、最悪、第三王女だけでも手元に置かないと王権をとれません、本当に忌々しい事です」

そんな事はどうでも良い。

王妃様は肖像画でしか見たことが無いが絶世の美女だった筈だ。

この世界だと子供を産んでお払い箱だが、まだ30代半ばになって無い筈だ。

しかも、王妃も王女三人も宝石に例えられる位の美形だった筈だ。

それに第三王女は確か勇者に嫁ぐ筈だった。

「元は仕えていた王族です、殺してしまうのは忍びない、貰う事にします」

「それでは、その方向で、後は第三王女ですが、此方は未貫通ですので側室にも奴隷にも好きな方で構いません」

「あの、確か第三王女のテレジアは勇者の婚約者だった筈では?」

「確かに偽勇者の正室になる筈でしたが、王が破門になったから最早ただの女です、そういう扱いで構いません、正室は聖女ホワイト様が相応しいと思います、ですが私は勇者様の考えが一番、他の方を望むならそれも構いません」

そうか、ホワイトが正室か、まぁ教会からしたらそれが望ましいのだろうな。

「とりあえずどうするかは先送りだが、貰う事にするよ」

多分そうしないと処分されそうだ...はぁだけど確か第三王女ってまだ9歳じゃなかったか?

前の世界じゃ、ロリコンって指さされそうだな。

まぁよいけどさぁ。

「そう言ってくれて正直ほっとしています、流石に処刑と言うのが言いづらく奴隷という道を聖騎士が言ってしまっていたものですから」

それでも《要らない》と言えばその約束を反故にして殺してしまう訳か。

《この仕打ち、呪ってやる》とか《娘だけは助けて下さい~》と聞こえてきそうだ。

俺が黙っていると...

「実質、王国はルディウス様の物と思って頂いて結構です、魔王討伐が終わるまで教会が管理します、勿論国の所有物で欲しい物があればその都度言って頂ければお持ちします」

「国を貰うかどうかは、この魔王討伐の旅が終わってから決めていいかな? まだ俺は11歳だし、終わった後に話し合い、その時に俺がやりたい事があったら、力を貸して欲しい」


「解りました、その時が来ましたら、教会が勇者様の夢を叶えます、どんな夢でもです、ご安心下さい」

「有難うございます」

「その為の教会ですから」


気がつくともう遅い時間になっていた。

本当はホワイト達とも話すつもりだったが教皇が熱弁を振るっていたので仕方ない。

まだ到着まで時間は沢山ある...明日にでも話そう。


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