上 下
43 / 94

バレた。

しおりを挟む
不確かな情報だが、帝都が落ちて帝国が事実上魔王の手に落ちたという噂が流れた。

だが、調査に行った冒険者や各国の密偵は帰ってこないから《不確かな情報》として流れている。

ただ、まだ帝国の情報が解った時には、魔族の進行を受けてかなりヤバイ状況だった。

そして、助けに向った聖教国の軍隊が引き返した事からあながち嘘とは言えないと思う。

「ホワイト、これからどうするんだ?」

「魔族領を目指すか、それとも帝国に向うか、聖教国に行き体制を立て直すか、正直解らないわ」

「そうか? グレーテルは?」

「そうね、まずは、此処から3日間程行った所にある《聖剣の祠》に行くのが良いと思うわ」

「聖剣の祠? グレーテルは何を言っているのかな? ルディウスは勇者じゃ無いのよ? 聖剣が抜ける訳無いじゃない」

「ホワイト、聖剣シルビアンは気まぐれな聖剣と言われていたのはご存知? 過去には英雄に共鳴して力を貸した事もあるらしいわよ、他の聖剣は聖教国の中央教会が保存しているのよね、なら試してみる価値はあるわ」

「そんな話は私は聞いた事は無いわ、それ本当なの?」

「眉唾かも知れない、だけどうちの最大戦力はルディウスだよね? 聖女の貴方でも勇者でないと聖剣が持ち出せないなら、やってみる価値はあると思うよ」

《まぁルディウスは勇者と剣聖のダブルだから抜けない訳は無いわよ》

「確かに、今のまま魔族領に行っても不安だし、行くしか無さそうね」

「それじゃ、勇者の祠を目指すって事で良いんだな」

「そうね、他にあては無いしそこに行くしかないな」

ルディウス達は聖剣の祠に向っていった。


【聖剣の祠にて】

しかし、此処に来るまで魔族に殆ど会わなかった。

その事から考えるとあながち帝国が落ちたという情報は間違って無いかも知れない。

少なくともかなりの戦力がそちらに向っていたのだろう。


「此処が聖剣の祠か?」

「そうよ、まぁ余り気にしないで挑戦してみると良いわ、まぁ冒険者や子供も挑戦に来る事もあるから」

「そうね、此処は挑戦するのは自由だからね」

「その割には、誰もいないのは何故だ?」

そんな風にだれでも挑戦できるならもう少し賑わっていても良い筈だ。


「それはね、資格が無い人が握るとペナルティーがあるのよ」

「ペナルティ?」

「そうなんだよね、大した事無いよ? 手に火傷を負ったり、1か月位悪夢に悩ませられるだけだから」

まぁ怪我したり精神的に苦痛を与えられるならおいそれとは挑戦しないか。

「でも勘違いしないでね、それでも勘違いしている人や、夢見る子供が挑戦にはくるわ...まぁ一時期は目を回して倒れている子供や泡吹いて倒れている少年が保護されたみたいよ」

「保護?」

「そう、保護しないと、それを見つけては身ぐるみ剥ぐような盗賊が居たそうだから」

「今は居ないんだ」

「流石に捕まったわよ」

「そうか、それなら安心だ」


そのまま祠に三人で入った。

錆びついた剣が大きな岩に刺さっている。

「あれを抜けば良いのか?」

「そうだけど? まぁ幾らルディウスが強くても勇者じゃないから抜けないはずよ、まぁ気楽に挑戦すれば良いんじゃない?」

「大丈夫頑張って」

「解った、やってみる」

俺は剣の柄を握ってみる。

聖剣シルビアンはキラキラと青く輝き始めた。

それと同時に錆が全部落ちて美しい刀身が現れた。

「やはり、こういう事なのね」

「どうかしたのホワイト?」

「グレーテル、貴方知っていたのね、ルディウスが勇者だって事?」

「し...知らないよ!」

「嘘よ、怪しすぎるわ、何か最初からルディウスが聖剣抜けると思っていたみたいだし」

「ホワイト、それは勇者じゃ無くて英雄でも抜けたからじゃないのか? ほら俺って英雄の息子だから」

「二人してしらばっくれる気?」

「どうしたのよ、ホワイト...怖いよ」

「あのさぁ、言わせて貰うけど、聖剣が輝いているわよ?」

「それがどうしたの?」

「確かに過去に聖剣を抜いた英雄はいたけど、あの時は輝かなかったらしいよ? しかも魔族から村を守ろうとして魔族と一緒に此処に来たから1回だけ抜けただけ、魔族を倒したら、直ぐに重くなり、そのまま飛んでいき岩に刺さったんだって」


「えーと、酷いな、ホワイト...知っていたんじゃ」

「うん、私聖女だから、その辺りは賢者の貴方より詳しいわよ」

「えーと、ホワイト、その」

「まぁ良いわ、今迄の事は水に流してあげるよ...勇者ルディウス様」

「ああっ...」

「その代わり包み欠かさず全部吐いてね! ルディウス様、グレーテル」

結局、グレーテルにバレている事全部、ホワイトに話させられた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

【完結】R18 狂惑者の殉愛

ユリーカ
恋愛
7/21追記:  ご覧いただいてありがとうございます!HOTランクイン嬉しいです!  二部完結しました。全話公開予約済み。完結に伴いタグを修正しています。よろしければ二部もお付き合いください。二部は視点が変わります。  殉愛とは、ひたむきな愛を守るために命を賭すことです。 ============  エルーシア(エルシャ)は幼い頃に両親を亡くした侯爵令嬢だった。唯一の肉親である侯爵家当主でエルーシアを溺愛する異母兄ラルドに軟禁されるように屋敷の中で暮らしていた。  そんな中で優しく接してくれる馬丁のエデルと恋仲になる。妹を盲愛する義兄の目を盗み密会を重ねる二人だったが‥‥  第一部は義兄と家人、二人の男性から愛され求められ翻弄されるヒロインのお話です。なぜ翻弄され流されるのかはのちにわかります。  兄妹×三角関係×取り合い系を書いてみたくて今までとちょっと違うものを目指してみました。妹をドロドロにガチ愛する兄(シスコンではないやつ)がダメでしたら撤退でお願いします。  さて、狂っていたのは一体誰だったんでしょうかね。  本作品はR18です。第一部で無理やり表現があります。ご注意ください。ムーンライトノベルズでも掲載予定ですがアルファポリス先行です。  第13話より7時20時で毎日更新していきます。完結予定です。  タイトルの※ はR18を想定しています。※以外でもR18未満のベタベタ(キスハグ)はあります。 ※ 世界観は19世紀初頭ヨーロッパもどき、科学等の文明なし。魔法スキルなし物理のみ。バトル要素はありません。 ※ 二部構成です。二部にて全力で伏線回収します。一部は色々とっ散らかっております。黒幕を予想しつつ二部まで堪えてください。

【R 18】誇り高き伯爵夫人が卑劣な召使いに膣内射精を許してしまい懐妊した

♡射手矢♡
恋愛
エッチな人だけ読んで下さい

悲しいことがあった。そんなときに3年間続いていた彼女を寝取られた。僕はもう何を信じたらいいのか分からなくなってしまいそうだ。

ねんごろ
恋愛
大学生の主人公の両親と兄弟が交通事故で亡くなった。電話で死を知らされても、主人公には実感がわかない。3日が過ぎ、やっと現実を受け入れ始める。家族の追悼や手続きに追われる中で、日常生活にも少しずつ戻っていく。大切な家族を失った主人公は、今までの大学生活を後悔し、人生の有限性と無常性を自覚するようになる。そんな折、久しぶりに連絡をとった恋人の部屋を心配して訪ねてみると、そこには予期せぬ光景が待っていた。家族の死に直面し、人生の意味を問い直す青年の姿が描かれる。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。

飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。 隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。 だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。 そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。

恋人を寝取られた挙句イジメられ殺された僕はゲームの裏ボス姿で現代に転生して学校生活と復讐を両立する

くじけ
ファンタジー
 胸糞な展開は6話分で終わります。 幼い頃に両親が離婚し母子家庭で育った少年|黒羽 真央《くろは まお》は中学3年生の頃に母親が何者かに殺された。  母親の殺された現場には覚醒剤(アイス)と思われる物が発見される。  だがそんな物を家で一度も見た事ない真央は警察にその事を訴えたが信じてもらえず逆に疑いを掛けられ過酷な取調べを受ける。  その後無事に開放されたが住んでいた地域には母親と自分の黒い噂が広まり居られなくなった真央は、親族で唯一繋がりのあった死んだ母親の兄の奥さんである伯母の元に引き取られ転校し中学を卒業。  自分の過去を知らない高校に入り学校でも有名な美少女 |青海万季《おおみまき》と付き合う事になるが、ある日学校で一番人気のあるイケメン |氷川勇樹《ひかわゆうき》と万季が放課後の教室で愛し合っている現場を見てしまう。  その現場を見られた勇樹は真央の根も葉もない悪い噂を流すとその噂を信じたクラスメイト達は真央を毎日壮絶に虐めていく。  虐められる過程で万季と別れた真央はある日学校の帰り道に駅のホームで何者かに突き落とされ真央としての人生を無念のまま終えたはずに見えたが、次に目を覚ました真央は何故か自分のベッドに寝ており外見は別人になっており、その姿は自分が母親に最期に買ってくれたゲームの最強の裏ボスとして登場する容姿端麗な邪神の人間体に瓜二つだった。  またそれと同時に主人公に発現した現実世界ではあり得ない謎の能力『サタナフェクティオ』。  その能力はゲーム内で邪神が扱っていた複数のチートスキルそのものだった。  真央は名前を変え、|明星 亜依羅《みよせ あいら》として表向きは前の人生で送れなかった高校生活を満喫し、裏では邪神の能力を駆使しあらゆる方法で自分を陥れた者達に絶望の復讐していく現代転生物語。

私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ

Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」 結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。 「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」 とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。 リリーナは結界魔術師2級を所持している。 ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。 ……本当なら……ね。 ※完結まで執筆済み

処理中です...