悪徳貴族になろうとしたが

石のやっさん

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学園長の最後

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何だか厄介払いの様に学園から出された。

幾ら学ぶ事が無い位に俺が優秀でもこれは無い。

貴族である以上、普通はちゃんと期間中は置いてくれるべきだ。

普通の貴族は此処での期間中は幾ら優秀でも友人や伴侶を得る場でもあるのだ。

一言位抗議をしても良いだろう。

俺は学園長室を訪れた。

学園長室の前に秘書が居た。


「学園長に取り次いで欲しい」

「学園長なら先程、退職しました」


「退職?」

「はい、次の学園長はまだ赴任してきていません、概ね2週間後ですね」

「何で学園長は退職されたのでしょうか?」

「子供は知らなくて良い事です」

「俺だって元生徒です、教えて下さい」

「はぁ~ 自分がした事で何が起こるか解らない糞ガキに話す事はありません、ルディウス私は貴方が嫌いです...この学園で貴方がどれ程...ボンクラな貴方に言っても解らないでしょうね...もう卒業したのだからとっとと去りなさい」


何がなんだか解らない。



【学園にて】


「もうこの学園ともお別れかぁ....定年まで後5年静かに終わりたかった」

「学園長、何も辞めなくても」


「今回の件では何人もの人間が殺されたんだ、死なないだけ私はましだ」

「学園長...」


勇者と剣聖が殺された。

決闘である以上、法的に問題はない。

私はルディウスの主張の通り、2人が偽物であると言う話で押し通した。

だが、此処で大きな問題が生じた。

あんな性格が歪んだ奴でも《国と教会が認めた勇者と剣聖》だった。

だからこそ、教皇が領主に頭を下げ、ローマン伯爵程の方が平民に土下座までしたんだ。

その勇者と剣聖が偽物...だとしたら、紛い者の為に頭を下げた事になる、伯爵はまだしも教皇様が頭を下げる等前代未聞だ。

それをせざる負えなかったのも、勇者と剣聖だからだ。

それが偽物となると全てが覆ってしまう。

まず、勇者と剣聖を審議し鑑定した、審議官8名が女神の御使いである、勇者や剣聖の審議ミスをしたとして即日処刑された。

それから、神託を受けた司祭に、勇者の儀、剣聖の儀に関わった18名も誤った判断をした事で処刑。

そして、アルトランとベーダの家族は男は全員処刑され、女は一全員終身奴隷の性奴隷として売られるらしい、一番下の4歳の子なんてもう地獄しか無いだろう。

解っているだけで今回の事でこれだけの人間が死ぬことが決まった。

それだけじゃ無い...神託は2度とは無いから、今国中の貴族や騎士が血眼になって勇者と剣聖を探している。


こんな事態になったんだ、学園とて責任を取らない訳にはいかないだろう。


そして、ルディウスにも何かしら因縁をつけて処罰が及ぶかも知れない。

今回の事を良く思わない馬鹿が、退学にさせろとか留年させろとか言うだろうな。

だから、私の権限で「卒業させてやったわい」幸いルディウスは優秀だ。

流石の馬鹿も卒業取り消しは出来ないだろう、ましてその時の学園長が居なければ確実に出来ぬ。

私の名前で卒業証明書にサインがしてあるからの...

私はあの勇者も剣聖も嫌いだ、「死ねば良いのに」何回思ったか解らない。

あんなクズ死んで当然。

あんな者が勇者、剣聖笑わせてくれる。

ルディウスは正しい、教師も、いや国ですら手を出せなかったクズを合法的に戦って殺した。

「わはははははっ愉快じゃな」

「学園長」

「後は頼んださらばじゃ」


机の上には退職届けがあり、「中には全ての責任は自分にあるから退職する」そう書いてある。

全ての引継ぎを済まして、学園長は去っていった。






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