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共犯者と殺し文句

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「私が賢者グレーテルです、本当に勇者も剣聖も死んでしまった様ですね?」

「そうなのよグレーテル」

「そうですか? なら魔王討伐の旅ももう終わりですね、解散で良いんじゃないですか?ごきげんよう」

着て直ぐにグレーテルはそう言った。

俺はもうこれで良いと思った。

《魔王討伐は無理》それで二人が戦いから離れられるなら問題ない。

そうなれば、勿論俺は関係ない...適当に軍隊でも派遣して戦えば良い、それだけだ。

「ちょっと待ちなさい、グレーテル、その穴はこちらのルディウス様に埋めて貰おうと思います」

「あははははっ、ホワイト貴方頭元気! あの馬鹿達はあれでも、勇者と剣聖だったのよ...その代わり? そんな存在ぶっ...何者?」

《なにこれ?》

「どう、凄いでしょう?」

「凄いなんて者じゃ無いわ...何者?」

「でしょう...これならどうにか二人の代わりになるわよね」


「なるなんて者じゃ無いわ、ルディウス、貴方なら一人で魔王と戦える」


不味いな、賢者には俺の本当の能力が見えているのか?


「グレーテル、貴方内を言っているの?」


ヤバイなこのまま話を続けられたら不味い。


「あのさぁ、ホワイト様にグレーテル様、人のステータスを除き見るのはマナー違反だよ、止めて下さい《ボソッ》グレーテル様には話がある」


「ごめんなさい、私が不用意だったわ」

「私も」


「気持ちは固まったよ、だけど細かいすり合わせは明日にでもしよう...今日はグレーテル様も到着したばかりです」

「それじゃ...良いの、本当に」

「ああっ構わない」

「有難う、本当にありがとう、ルディウス様」

「良いんだ」




【グレーテルと】


「おい、まさかと思うが見えているのか?」

「ええっ、まさかここ迄女神に愛されている存在が居るなんて思わなかったよ、まさかデュアルでも珍しいのにヘキサゴン何て存在が世の中に居るなんてね、しかも、勇者に剣聖まで含むなんて...正に世界を救うために生まれた存在だね」

やはり此奴には見えていた。

話を聞けば


ルディウス
LV 72
HP 4180
MP 4440
ジョブ 魔法使い 剣聖 勇者  聖人 大魔道 (転生人)
スキル:アイテム収納、 聖魔法レベル65 回復魔法レベル30 闇魔法レベル33 火魔法レベル45 風魔法レベル49 水魔法レベル72 土魔法レベル30 格闘レベル15 剣術レベル62 
    (隠蔽)

  剣補正(200%)剣を持って戦った場合は2倍の技量にあがる  勇補正(300%)勇気を持ち戦う場合は3倍の技量に上がる。
    限界突破 聖補正(200%)誰かを助ける場合は3倍の技量に上がる 賢補正(200%)危機に直面した時に2倍の技量にあがる



このまま見えている、唯一見破られていないのは 転生人のみだ。

不味いな、口を封じるべきか?

だが、此奴もホワイトと一緒で12歳のガキだ。

殺してしまったら、後味が悪い。


「そうか、賢者には見破られてしまったという事か? 隠蔽まで持っていたのに」

逆を返せば(転生人)は賢者でも見破れない。

「賢者の鑑定は最高レベルだからね、ちなみにホワイトはどうだった?」

「ホワイトには見破られていなかったよ」

「それなら、この世の中で見破れるのは私だけだね、口封じでもする?」

「しないよ...だけど可能なら俺の共犯者になって欲しい」

此奴には嘘を混ぜながらだが本質を話そう。

「何が起きたのか解らない、だが、剣聖と戦い、勇者を殺した時にこのジョブを授かった、その時の女神の声は《貴方が世界を救え》だと」

「信じられない事が起きたんだね」

「ああっ、そしてその後から追加でジョブも貰った」

「私にもその理由は解らないな...だけど共犯になると私にも良い事はあるの?」


「戦わせない」


「賢者の私が戦わないで良いの?」

「ああっ、お前もホワイトも戦わないで良いよ」


「それで、戦わない賢者は何をすれば良いの?」

「そうだな、もし戦いが終わって俺が生きて居たら、俺の故郷で寺子屋でも開いて貰おうか、そして死ぬまで面白可笑しく過ごして欲しい」


この人は私やホワイトの為に死ぬ気で戦うつもりなんだ。

本当に不器用だよね...

そんなに私の事が好きなのかな、まぁ私は髪は銀髪でサラサラしているし、胸はないけどスレンダー美少女だわね。

一目惚れって奴かな...

ホワイトは逆に胸が大きくて垂れ目で愛嬌がある美少女...

だけど、こんな決意までしてくるなんて凄いわ。

誰もが美少女だって褒めたたえて色目を使ってくる。

だけど、私やホワイトの人生には関わってこない。

関われば、自分の人生も魔族との戦いに巻き込まれるから。

《好きだ》と告白したら、「ならば一緒に戦って下さい」

そう言われるのが怖いから、そこから踏み込んでくる人間なんて居なかった。

まさか踏み込んでくるなんてね、しかも《戦わないで良い》なんてとびっきりの殺し文句だよね。

誰もが戦え、戦えって言うなか《戦わないで良い》なんてね...うん凄いよ。


本当にとんだツンデレさんだよね、言っている事をそのまま訳すと...

《僕がこれからは戦うから、君は戦わないで良いんだよ》

《その代わり、僕が魔王と戦い生き残ったら、僕の故郷に来て欲しい、そして、寺子屋でも開いて、そのまま一緒に死ぬまで面白可笑しく生きて欲しい》


凄いよね、まるで私...お姫様だ。

「いいよ、私で良いなら共犯者(婚約者?)に喜んでなるよ」

こんな殺し文句、賢者の私にはこれ以上ない殺し文句だよ。


卒業

【???】


「何者なんだお前は、なぜ我々を襲ってきたのだ」


「俺の名は帝国騎士団所属、準勇者 ルビィだ!」

「準勇者だと?」

「帝国では既に、勇者の能力の量産に成功したのだ、いずれ数万もの《勇者》に近い能力が持つ者が魔族を皆殺しにするだろう」



目の前には死んでしまった同胞の死体が累々と積まれている。

しかも、我々は好戦的な魔族ではない、ひっそりと暮らしていた。

それだけなんだ...それが何故殺されなくてはならないんだ。

「我々は確かに魔族だ、だが静かに森で暮らしていただけだ」

「それが馬鹿なんだよ、死にたく無かったなら、魔王に進言してでも、人を襲うのを止めさせるべきだった」

「我々は関係ない」


「お前達だって関係ない人間を沢山殺した...ゴブリンやオークは女を攫い犯して殺す、そんな奴らの仲間、殺して当然だろう?」

「貴様、殺してやる」

「殺したいなら帝都に来るんだな...来たら帝国民全てで相手してくれる」


準勇者...早く手を打たなければ、魔族が滅ぼされる。

何よりこいつ等を皆殺しにしなくちゃ気が納まらない。



【学園にて】



「最早ルディウスに教える事はありません」


「いや、先生技とか教えて下さい」

「勘弁してくれ、お前が簡単に躱したのが俺の必殺技だ」

「あの、せんせい」

「単位はやる、評価はSだおめでとう、剣術クラス卒業だ」


嘘だろう、まだ1週間経ってないのにもう学園生活が終わるなんて。



「だから、私が言ったじゃない? この学園で教わる事なんて何もないって」

「グレーテル、まだ魔法がある」

「あの、私は誰でしょうか?」

「グレーテル」

「そしてジョブは賢者、勇者や剣聖と違いしっかり学んだ賢者なのよ! 私が教えてあげるからもう学園で学ぶ必要は無いと思うわ」



「何ですか? その魔法は、此処は基礎を学ぶところですよ?」

「基礎を母さんに習っただけです」

「確か、貴方のお母様はアマンダ様ですよね...何しに学園に来たの? アマンダ様に此処まで教わったならもう教わる必要ないじゃない」

「えっ」

「貴方どう考えても一人前の魔法使いの実力はあるわよ、もし戦えば私が負けるかも...単位あげます、評価S、はいさようなら」

「待って下さい」

「アマンダ様はねぇ、鬼の様に厳しいのよ、そのアマンダ様から教わったんでしょう? だからそんな事ができるんでしょう? 先生を虐めないで...もうSあげるから辞めて下さい」


これじゃ何も教われないのか。


「ルディウス...あんた、私が教える必要ないじゃない、しかもあのアマンダ様から教わっていたんだ、どうりで凄い筈だ」

「あの母さんって、そんなに有名なの?」

「はぁ~知らないんだ、貴方の両親、英雄アベルに魔法使いアマンダ、英雄パーティーじゃない、確か魔族の幹部を倒したり、戦さで活躍した武闘で有名よ」

確かにそう言っていたよな。

「確かにそう聞いていたような気がする」



「あの回復魔法、貴方使えるじゃないですか?」

「えーと」


「嘘でしょう...貴方の両親は回復魔法は使えなかったよね」

「何となく」


「あのルディウス、もう教える事はありません...それに聖女様と仲が宜しいんですからもういいでしょう?」

「あの」

「はい Sあげるから出て行ってくれる」

「はい」


「ねぇ、ルディウス、貴方教師なんかとっくに超えているんだからもう此処を出たら」

そこにホワイト迄やってきた。

「流石、ルディウス、全ての単位獲得何てすごいですね、流石です!」


結局、次の日俺は学園長に卒業証書を手渡された。

何だこれ...

結局、聖女と賢者が傍に居るから友達が一人も出来ないまま俺の学園生活は終わった。







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