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聖女 ホワイト
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私の名は聖女ホワイト。
このホワイトと言う名は《無垢》を現す事から結構聖女になった時に改名される事が多い名前だわ。
正直、何であんな野蛮な人間が《勇者》や《剣聖》なのか解らない。
女神様への信仰を一瞬疑う程、気持ちは落ち込んだわ。
無抵抗の者を斬り殺した剣聖に領主の娘を犯した勇者。
どう考えても犯罪者だわ、こんな者を勇者に選ぶんだから当然よね。
しかも領主の娘を犯す時には「逆らうなら俺はもう魔王と戦わないし世界は救わない」そう言って脅したそうだわ。
本当に心底ゴミだわ、そのせいで彼女は婚約破棄になったし、犯した後もしつこく言い寄るから、私の方でどうにかしてシスターにするしか無かった。
領主も教皇様が直に謝りに行ったから、泣き寝入りするしかなかった。
剣聖が人を斬り殺したときはローマン伯爵が詫びに行った。
ただの平民に伯爵が土下座したんだから、平民が許さない訳にはいかない。
私は最近、本当に女神様への信仰が薄れている。
だけど、学園をあの二人が卒業したら、一緒に旅立たなければならない。
頭は痛いし、身の危険すら感じるわよ。
それは賢者も同じようだけど...
そんな、勇者アルトランと、剣聖ベーダが死んだ。
一瞬、魔族にでも殺されたのかと思ったら、貴族に喧嘩を売って決闘になり殺されたらしい。
本当に馬鹿ね、《まだ弱いくせに上級騎士かもしくは聖騎士にでも喧嘩を売ったのかしら》そう思ったら違った。
11歳の少年に殺されたそうだ...しかも2人とも。
これは可笑しい、可笑しすぎるわ。
私はあの二人が嫌いだから、認めたく無くて何回も《鑑定》で見たのよ。
何度見ても悔しいけど《勇者》に《剣聖》だった。
しかも、あんな馬鹿なのに加護のせいか既に一流騎士並みのステータスはあったわ。
だから、殺せる存在がいるなら一流の騎士を越える上級騎士か聖騎士じゃ無ければならない。
それを殺したのが11歳の少年。
あり得ないわ、父親に英雄、義母に実戦的な魔法使いを持ち、仕込まれたという話だったが。
絶対にありえないわ、もし彼が天才でも11歳に一流騎士は倒せない。
そんな天才がいたら間違いなく噂になる筈だわ。
だが、ルディウスなんて名前初めて私は聞いた。
性格は最悪だったけど、あの二人は間違いなく《勇者》に《剣聖》だった。
四職のうち二人が死んでしまった...魔王討伐はどうすれば良いのよ!
要になる勇者が死んだのならもう希望は無い。
二人の代替は何処にもいない...
もし、存在するとしたら、彼ら二人を殺せた件の11歳の少年だけだ。
もし、彼が素晴らしい天才なら私は地に頭をつけて頼むのも吝かでない。
私の体が欲しいなら与えても構わない。
勇者や剣聖の穴を埋める存在...その価値に比べたら安い物だ。
事実、私はあんなクズ勇者でも魔王を倒したら妻にならなくてはならなかった。
しかも第二夫人にね。
兎も角、私はルディウスという少年に会わなければならない。
もし、かの少年が《希望の光》なら私の身を含み全てを与える覚悟はあるわ。
だけど、もし彼が無能な人間なら...聖女だけど、殺してしまうかも知れないわ。
だって、クズだけど人類の希望を二人も殺したんだからね..
不味い事になりそうな予感
ルディウスと言う少年について事前に調べてみた。
彼は小さい頃は貴族として扱われずに苦労していたようだ。
そこからかなりの苦労をして義母に取り入り今の様になった。
そして、使用人からの信頼は普通の貴族以上にある。
どう話を聞いても貴族として模範的な人だわね。
しかも、女性を外見だけで判断しない、その証拠にあそこ迄醜い女を奴隷から救い出し自分付の侍女にしている。
実際の所は解らないけど、うちのクズ二人より真面な男じゃない。
まぁ、あくまで噂は噂、本物を見て見ないと解らないわ。
だからこそ、一時の時間も惜しいのよ。
だから、私専用の馬車を出して休まず走らせているわ。
此処までの情報でおおよその予想がついたわ。
それは調査報告してきた人間の見解と同じ内容だった。
《学園に押し込められた勇者と剣聖が思い通りにならず、その矛先がルディウスに向った、そして理不尽に決闘を申し込み、負けて殺された》
それだけの事だわ。
唯一、彼が酷い事したと取れるのは《残酷に》殺した、それだけだわ。
だが、それも仕方ない事だと思う。
自分を陥れ、尚且つ使用人を殺そうとするなら殺すしかない。
彼らは勇者と剣聖、いまの自分は彼らより地位はあっても直ぐに逆転する。
万が一にも《生きて居られたら困る》そんな所ね。
そう考えたら《未来の憂いを断つ》為に仕方ない事だわ。
必要悪、寧ろ自分の手を汚す事で、使用人や自分の周りの人間の未来を守ったともとれる。
此処までが上がっていた報告。
これからは《私の目で見極める》しかないわね。
「聖女ホワイト様、もう暫くで学園につきます」
「解ったわ」
「しかし、勇者様や剣聖様を殺したという少年は何者なんでしょうか?」
「解らないわ、だけど魔王軍に対抗できるような実力者である事を祈るしか無いわね、そうでなくては世界が終わるかも知れないもの」
「聖女様」
「此処から先の事を考えるのは、聖女である私と賢者である彼奴が考える事だわ」
「すみません」
「良いのよ、心配してくれてありがとう」
馬車は学園に到着し、聖女は直ぐに学園長室に向った。
【学園長室にて】
「聖女ホワイト様」
「大変な事になったわ、大体の事は知っているし彼の決闘は法に則って正しい、ですがこの事について学園はどの様に責任をとるおつもりですか?」
「ですが、勇者アルトラン様に剣聖ベーダ様が死んだのは自業自得です、学園側に責任はありません」
「あるわ、生徒のルディウスには一切の責任はありません。ですが、よーく考えて、アルトランもベーダも学生ですよ? 勇者とか剣聖と言うから話が可笑しくなるのよ? 生徒が決闘をして死んだ、しかもそれが学園の中で、生徒どころか教師迄見世物を楽しむように見ていた。これの何処に責任が無いのかしら? 頭が可笑しいんじゃない? 今回は死んだのが勇者と賢者だけど、普通の生徒なら死んでいたのは彼方でしょう? 《生徒が生徒を殺す事を止めないのは正しいのかしら》」
学園長は顔色が悪くなった。
確かにそう言われればそうだが...誰が勇者達を止められると言うのだ、そして決闘は合法で王国が認めている。
「確かに普通の生徒ならその範疇ですが、勇者も剣聖も人を殺したり、女性を平気で犯すようなクズではないですかな?」
「そのクズの様な性格を治す為に国王様がこの学園に入れたんでしょう?」
「ええっですが、全く治りませんでしたね、此処は人を教える為の学園です、獣以下の人間じゃ何も学べないでしょう? クズはクズ、治らなかった、その結果、正しい心を持つ者に殺された、それだけでしょう? それにあのアルトランとベーダって本当に勇者と剣聖なんですか? あはははっ決闘の記録水晶みます? 魔剣迄使った剣聖が、普通の剣を持った相手に簡単に殺されて、勇者が勇気の欠片も持たないでガタガタ震えて簡単に負けた...ここまで無様な勇者パーティー見たことが無いですね...聖女様、これでも勇者って言えるんですか?」
決闘のシーンの記録水晶を見た。
無様としか言えないわ...偽物だと言われたら否定できない。
これを国王様や教皇様が見たら《偽物かもしれない》そう思うかも知れない。
私は鑑定でしっかり確認したわ。
だけど、《11歳の人間に歯が立たなかった事実》 勇者じゃ無いと言われたら否定できない。
ましてもう二人は死んでいるのだから《本物》の証明を出来ない。
そして、何より二人を勇者と剣聖だったと証明したら...不味い。
《ただの人間に瞬殺される様な人間が勇者と剣聖》 そんな人間に希望を託した...更に物凄い問題になるわね。
「私から見ても可笑しいわ、確かにあの二人は行いを見ても《勇者》や《剣聖》には程遠い。これで証明されたわね、あの二人は偽物、何時入れ替わったかは解らないけど、本物では無いわね」
こうするしかない無いわ...こうして偽物にしてしまえば素行の悪さも全部誤魔化せる。
「そう言って頂けると助かります、偽物の為に誰も犠牲になる必要はありません」
学園長も多分二人が《本物》だと知っている筈、だが敢えて《偽物》にしたんだわね...まぁそれしか無いわね。
「そうですね、それで偽物たちを成敗してくれたルディウスと言う少年に会いたのですが」
「会ってどうする気ですかな?」
「お礼を申しあげます」
「解りました、それなら今暫くお待ちください」
「失礼いたします」
「やぁルディウスくん、聖女様が君にお礼を言いたいと言うんだ」
「お礼ですか?」
「初めましてルディウス殿、私は聖女を務めておりますホワイトと申します」
「聖女様、ご挨拶が遅れまして申し訳ございません、私はヘングラム伯爵家の長男ルディウスと申します」
この方がルディウス...凄く綺麗な髪に整った顔、綺麗に伸びた手足、物語の王子様とかの容姿じゃない。
悪いけど、アルトランにベータとこの方を並べて《誰が勇者様でしょう》そう聴いたら100人が100人、ルディウスを勇者だというでしょう。
しかも、この胸の高鳴りはなんでしょうか?
四職はお互いに共鳴すると言いますが、ルディウスに会った胸の高まりはアルトランにベータと会った時より遙かに高く感じます。
これが四職の共鳴で無いと言うなら恋では無いのでしょうか?
「ルディウス殿、この度は偽物の勇者に剣聖の討伐ありがとうございました」
《成程、そういう方向で落ち着いたんだな》
「いえ、絡まれたので仕方なくした事、あまり褒められる物ではありません」
「謙遜する必要はありません...それで厚かましいのは解っていますが、私達とパーティーを組んで頂けないでしょうか?」
「あの、何かの冗談ですよね」
「冗談ではありません、宜しくお願い致します」
「あの、考えさせて下さい」
「解りました、唐突すぎますね、今回の件で、学園に賢者も来るように伝えてあります、到着はおおよそ4日後です、それまでにお考え下さい」
「解りました」
《これはもしかしたら不味い事になりそうだ...本当にそう思った》
このホワイトと言う名は《無垢》を現す事から結構聖女になった時に改名される事が多い名前だわ。
正直、何であんな野蛮な人間が《勇者》や《剣聖》なのか解らない。
女神様への信仰を一瞬疑う程、気持ちは落ち込んだわ。
無抵抗の者を斬り殺した剣聖に領主の娘を犯した勇者。
どう考えても犯罪者だわ、こんな者を勇者に選ぶんだから当然よね。
しかも領主の娘を犯す時には「逆らうなら俺はもう魔王と戦わないし世界は救わない」そう言って脅したそうだわ。
本当に心底ゴミだわ、そのせいで彼女は婚約破棄になったし、犯した後もしつこく言い寄るから、私の方でどうにかしてシスターにするしか無かった。
領主も教皇様が直に謝りに行ったから、泣き寝入りするしかなかった。
剣聖が人を斬り殺したときはローマン伯爵が詫びに行った。
ただの平民に伯爵が土下座したんだから、平民が許さない訳にはいかない。
私は最近、本当に女神様への信仰が薄れている。
だけど、学園をあの二人が卒業したら、一緒に旅立たなければならない。
頭は痛いし、身の危険すら感じるわよ。
それは賢者も同じようだけど...
そんな、勇者アルトランと、剣聖ベーダが死んだ。
一瞬、魔族にでも殺されたのかと思ったら、貴族に喧嘩を売って決闘になり殺されたらしい。
本当に馬鹿ね、《まだ弱いくせに上級騎士かもしくは聖騎士にでも喧嘩を売ったのかしら》そう思ったら違った。
11歳の少年に殺されたそうだ...しかも2人とも。
これは可笑しい、可笑しすぎるわ。
私はあの二人が嫌いだから、認めたく無くて何回も《鑑定》で見たのよ。
何度見ても悔しいけど《勇者》に《剣聖》だった。
しかも、あんな馬鹿なのに加護のせいか既に一流騎士並みのステータスはあったわ。
だから、殺せる存在がいるなら一流の騎士を越える上級騎士か聖騎士じゃ無ければならない。
それを殺したのが11歳の少年。
あり得ないわ、父親に英雄、義母に実戦的な魔法使いを持ち、仕込まれたという話だったが。
絶対にありえないわ、もし彼が天才でも11歳に一流騎士は倒せない。
そんな天才がいたら間違いなく噂になる筈だわ。
だが、ルディウスなんて名前初めて私は聞いた。
性格は最悪だったけど、あの二人は間違いなく《勇者》に《剣聖》だった。
四職のうち二人が死んでしまった...魔王討伐はどうすれば良いのよ!
要になる勇者が死んだのならもう希望は無い。
二人の代替は何処にもいない...
もし、存在するとしたら、彼ら二人を殺せた件の11歳の少年だけだ。
もし、彼が素晴らしい天才なら私は地に頭をつけて頼むのも吝かでない。
私の体が欲しいなら与えても構わない。
勇者や剣聖の穴を埋める存在...その価値に比べたら安い物だ。
事実、私はあんなクズ勇者でも魔王を倒したら妻にならなくてはならなかった。
しかも第二夫人にね。
兎も角、私はルディウスという少年に会わなければならない。
もし、かの少年が《希望の光》なら私の身を含み全てを与える覚悟はあるわ。
だけど、もし彼が無能な人間なら...聖女だけど、殺してしまうかも知れないわ。
だって、クズだけど人類の希望を二人も殺したんだからね..
不味い事になりそうな予感
ルディウスと言う少年について事前に調べてみた。
彼は小さい頃は貴族として扱われずに苦労していたようだ。
そこからかなりの苦労をして義母に取り入り今の様になった。
そして、使用人からの信頼は普通の貴族以上にある。
どう話を聞いても貴族として模範的な人だわね。
しかも、女性を外見だけで判断しない、その証拠にあそこ迄醜い女を奴隷から救い出し自分付の侍女にしている。
実際の所は解らないけど、うちのクズ二人より真面な男じゃない。
まぁ、あくまで噂は噂、本物を見て見ないと解らないわ。
だからこそ、一時の時間も惜しいのよ。
だから、私専用の馬車を出して休まず走らせているわ。
此処までの情報でおおよその予想がついたわ。
それは調査報告してきた人間の見解と同じ内容だった。
《学園に押し込められた勇者と剣聖が思い通りにならず、その矛先がルディウスに向った、そして理不尽に決闘を申し込み、負けて殺された》
それだけの事だわ。
唯一、彼が酷い事したと取れるのは《残酷に》殺した、それだけだわ。
だが、それも仕方ない事だと思う。
自分を陥れ、尚且つ使用人を殺そうとするなら殺すしかない。
彼らは勇者と剣聖、いまの自分は彼らより地位はあっても直ぐに逆転する。
万が一にも《生きて居られたら困る》そんな所ね。
そう考えたら《未来の憂いを断つ》為に仕方ない事だわ。
必要悪、寧ろ自分の手を汚す事で、使用人や自分の周りの人間の未来を守ったともとれる。
此処までが上がっていた報告。
これからは《私の目で見極める》しかないわね。
「聖女ホワイト様、もう暫くで学園につきます」
「解ったわ」
「しかし、勇者様や剣聖様を殺したという少年は何者なんでしょうか?」
「解らないわ、だけど魔王軍に対抗できるような実力者である事を祈るしか無いわね、そうでなくては世界が終わるかも知れないもの」
「聖女様」
「此処から先の事を考えるのは、聖女である私と賢者である彼奴が考える事だわ」
「すみません」
「良いのよ、心配してくれてありがとう」
馬車は学園に到着し、聖女は直ぐに学園長室に向った。
【学園長室にて】
「聖女ホワイト様」
「大変な事になったわ、大体の事は知っているし彼の決闘は法に則って正しい、ですがこの事について学園はどの様に責任をとるおつもりですか?」
「ですが、勇者アルトラン様に剣聖ベーダ様が死んだのは自業自得です、学園側に責任はありません」
「あるわ、生徒のルディウスには一切の責任はありません。ですが、よーく考えて、アルトランもベーダも学生ですよ? 勇者とか剣聖と言うから話が可笑しくなるのよ? 生徒が決闘をして死んだ、しかもそれが学園の中で、生徒どころか教師迄見世物を楽しむように見ていた。これの何処に責任が無いのかしら? 頭が可笑しいんじゃない? 今回は死んだのが勇者と賢者だけど、普通の生徒なら死んでいたのは彼方でしょう? 《生徒が生徒を殺す事を止めないのは正しいのかしら》」
学園長は顔色が悪くなった。
確かにそう言われればそうだが...誰が勇者達を止められると言うのだ、そして決闘は合法で王国が認めている。
「確かに普通の生徒ならその範疇ですが、勇者も剣聖も人を殺したり、女性を平気で犯すようなクズではないですかな?」
「そのクズの様な性格を治す為に国王様がこの学園に入れたんでしょう?」
「ええっですが、全く治りませんでしたね、此処は人を教える為の学園です、獣以下の人間じゃ何も学べないでしょう? クズはクズ、治らなかった、その結果、正しい心を持つ者に殺された、それだけでしょう? それにあのアルトランとベーダって本当に勇者と剣聖なんですか? あはははっ決闘の記録水晶みます? 魔剣迄使った剣聖が、普通の剣を持った相手に簡単に殺されて、勇者が勇気の欠片も持たないでガタガタ震えて簡単に負けた...ここまで無様な勇者パーティー見たことが無いですね...聖女様、これでも勇者って言えるんですか?」
決闘のシーンの記録水晶を見た。
無様としか言えないわ...偽物だと言われたら否定できない。
これを国王様や教皇様が見たら《偽物かもしれない》そう思うかも知れない。
私は鑑定でしっかり確認したわ。
だけど、《11歳の人間に歯が立たなかった事実》 勇者じゃ無いと言われたら否定できない。
ましてもう二人は死んでいるのだから《本物》の証明を出来ない。
そして、何より二人を勇者と剣聖だったと証明したら...不味い。
《ただの人間に瞬殺される様な人間が勇者と剣聖》 そんな人間に希望を託した...更に物凄い問題になるわね。
「私から見ても可笑しいわ、確かにあの二人は行いを見ても《勇者》や《剣聖》には程遠い。これで証明されたわね、あの二人は偽物、何時入れ替わったかは解らないけど、本物では無いわね」
こうするしかない無いわ...こうして偽物にしてしまえば素行の悪さも全部誤魔化せる。
「そう言って頂けると助かります、偽物の為に誰も犠牲になる必要はありません」
学園長も多分二人が《本物》だと知っている筈、だが敢えて《偽物》にしたんだわね...まぁそれしか無いわね。
「そうですね、それで偽物たちを成敗してくれたルディウスと言う少年に会いたのですが」
「会ってどうする気ですかな?」
「お礼を申しあげます」
「解りました、それなら今暫くお待ちください」
「失礼いたします」
「やぁルディウスくん、聖女様が君にお礼を言いたいと言うんだ」
「お礼ですか?」
「初めましてルディウス殿、私は聖女を務めておりますホワイトと申します」
「聖女様、ご挨拶が遅れまして申し訳ございません、私はヘングラム伯爵家の長男ルディウスと申します」
この方がルディウス...凄く綺麗な髪に整った顔、綺麗に伸びた手足、物語の王子様とかの容姿じゃない。
悪いけど、アルトランにベータとこの方を並べて《誰が勇者様でしょう》そう聴いたら100人が100人、ルディウスを勇者だというでしょう。
しかも、この胸の高鳴りはなんでしょうか?
四職はお互いに共鳴すると言いますが、ルディウスに会った胸の高まりはアルトランにベータと会った時より遙かに高く感じます。
これが四職の共鳴で無いと言うなら恋では無いのでしょうか?
「ルディウス殿、この度は偽物の勇者に剣聖の討伐ありがとうございました」
《成程、そういう方向で落ち着いたんだな》
「いえ、絡まれたので仕方なくした事、あまり褒められる物ではありません」
「謙遜する必要はありません...それで厚かましいのは解っていますが、私達とパーティーを組んで頂けないでしょうか?」
「あの、何かの冗談ですよね」
「冗談ではありません、宜しくお願い致します」
「あの、考えさせて下さい」
「解りました、唐突すぎますね、今回の件で、学園に賢者も来るように伝えてあります、到着はおおよそ4日後です、それまでにお考え下さい」
「解りました」
《これはもしかしたら不味い事になりそうだ...本当にそう思った》
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