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勇者と剣聖
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「ベーダつまらないな」
「ああっ本当につまらないなアルトラン」
二人は凄く退屈していた。
勇者であるアルトランに剣聖であるベーダ、2人は学園に入るまで好き放題していた。
流石に、聖女や賢者は後ろ盾があるから手を出していないが、村人や町人相手には好き放題、酷い目にあった人数はどの位居るか解らない。
領主の娘を犯したり、貴族ですら平気で暴力を振るう位手が付けられなかった。
その性格を治す為にこの学園に入れられた。
此処にいるのは、地方領主なんか比べられない位の家柄の者ばかり、流石の勇者も手を出しにくい。
実際に、アルトランやベーダが生徒の女性に手を出そうとしたら...
「相手が勇者様なら喜んで受け入れますわ、但し私を抱くと言う事は即婚姻ですわね、この身一つで勇者が手に入るなら安い物でしてよ」
そんな事を言い出す、上手く遊びで終わらせようと考えていたら
「流石の勇者様も騎士団3千に勝てますか? 私を傷物にして婚姻を結ばないなら、三千の騎士が襲い掛かりますわよ? しかも貴族って弱い所から狙いますのよ...大事な家族や故郷を失う事になりますわ」
こんな事を言われた。
この学園の生徒なら本当にそういう事をやりそうだ。
そう思ったら迂闊に手を出せない。
この学園の生徒は上流貴族の令嬢や子息、玩具に出来る人間等いない。
一癖も二癖もある人間ばかりなのだ。
生徒に手を出せないなら、使用人と考えるのは当たり前だ。
だが、そんな事は学園も通う生徒の親もしっかりと対策している、
ここに若い女性は居ない...
「本当につまんねーな...俺は勇者なのに、こんな所に閉じ込められて窮屈で仕方ねー」
「本当にそう思うぜ、外出の時しか女もだけねーし、憂さ晴らしで殴る相手も居ない...楽しくないな」
「まぁな、新入生がこれから入ってくるけど、どうせ同じなんじゃないか」
「ああっだが一層の事、暴れないか?」
「暴れてどうするんだよ?」
「俺は剣聖で、お前は勇者だ、適当な罰ですむだろう? 文句言われたら出て行けばよい」
「そうか、その手があったな」
「文句言われたら《もう頭に来たから、この先魔族と戦わない》そういって去ればこの学園の評判も下がる...罰せられる物か」
「そうだな...それでどうする」
「どうせなら、今度は行ってくる一番上の爵位の奴でも半殺しにしようぜ、それで様子を見れば良いんじゃないか」
「そうだな」
知らないうちにルディウスは巻き込まれていく
決闘 剣聖
どうせ、やってやるなら一番上の貴族をと思っていたが、少し拍子抜けした。
今年の貴族の子息や令嬢のトップは伯爵家の子息でルディウスという人間だという事が解った。
いきなり襲う、そう言う訳にはいかない。
それでは《ならず者扱い》で評価が下がる。
形上の《理由》が必要だ。
「彼奴が、ルディウスか?」
「そうみたいだぜ、アルトラン」
「お付きのメイドでも襲ってやろうと思ったが、何だあれは、2人とも化け物みたいじゃないか?」
「ああっ、何でも、あの化け物みたいなメイド2人と執事が一人らしいぜ」
「萎えるな、幾ら女日照りでもあの化け物は抱けんな」
「俺もパスだな」
「それで、どうする? ターゲットを変えるか?」
「いや、調べて見たら、どいつも同じ様な感じだ、まぁ、あそこ迄露骨なのは彼奴だけだが、どこのメイドも歳食った女ばかりだ、はっきり言えば容姿でいうなら、街の娼婦の方がまだましだ」
「それじゃ、どうするんだよ?」
「なぁ、アルトラン、化け物退治は勇者の務めだ、あの様な化け物を連れている奴は退治して良いんじゃないか?」
「そうだな、俺もお前みたいに、人が殺してみたい、あの化け物を殺してチェリー卒業も良いだろう」
「ああっどうせなら、あのムカつく顔のルディウスの前で殺すのも良いか」
「いや、彼奴に見殺しにさせてから、彼奴を殺した方が面白そうだ」
「何を考えているんだ」
「彼奴は貴族だ、決闘を申し込んだら逃げられない、どちらかが決闘を申し込んでいたぶってから、あの気持ち悪い奴隷の所有権を手に入れて、殺すのはどうだ」
「面白そうだな、本当にお前って勇者なのか、正直エグすぎるぜ」
「剣聖のお前に言われたくないな」
【翌日】
「お前がヘングラム伯爵家のルディウスか?」
《いつかは絡まれる可能性がある》そうは思っていたけど、まさか登校初日の学園の入り口で絡まれると思わなかった。
知ってはいるが、敢えて聞いた方が良いだろう。
「確かに俺はルディウスですが、先輩たちは何か用があるのでしょうか?」
「俺は勇者、アルトランだ、そして、此奴が剣聖ベーダだ、お前が魔族の女を奴隷にしていると聞いたが本当か?」
早速の難癖か...
「いえ、確かに容姿は問題がありますが、王都の奴隷商から買い付けた者です、問題は無い筈です」
「俺は、しっかりとみたし、ベーダも見た、黒髪、黒目の女と赤目の女、どう考えても化け物にしか見えない」
「俺にもそう見えるが」
そう来たか、だが、勉強不足だ。
「勇者に剣聖、言わせて貰うが、奴隷商を行う為の許認可は王以外は卸せない、王が卸した許可を持つ奴隷商がもし、化け物を販売した、そう言いたいなら、俺ではなく、国王にその責を問うべきだ」
「つべこべ抜かすな、国王なんて関係ない、俺が黒と言えば黒なんだ」
勇者と剣聖ともあろうものが、此処まで話が通じないとは思わなかった。
「奴隷とはいえ、2人は当家のメイドです、そこまで愚弄される謂れは無い、馬鹿馬鹿しい」
「お前、馬鹿馬鹿しいとは何だ、俺は勇者なんだぞ?」
「確かに、お前は勇者なのかも知れないな、だがまだ旅立ってもいないし、手柄もたてていない。 それなら只の平民だ。 俺は伯爵家の子息だ、本来なら膝磨づく事から始まるんだぞ、まぁ学園は基本上下関係は無いが、立場でいうならお前達は、この学園の生徒では一番下だ」
「貴様、貴族だと言うのか、そう言うなら《貴族は決して敵に背を向けない》その理屈位は守れ、決闘を申し込む」
馬鹿な奴らだ、これは凄く俺に都合が良い。
「良かろう、それで俺はどちらの決闘から受ければ良いんだ?」
「お前、馬鹿なの? 剣聖や勇者に勝てるとでも? もう俺たちは騎士より遙かに強いんだぜ」
「申し込んできたのはお前達だ、それでどちらからやるんだ」
「いきなり勇者と遣るのは可哀想だ、俺が相手してやる、なぁに俺は剣聖、勇者と違い魔法を使わないだけ、まだましだ、腕か足を斬り落としたら、まぁ心がけ次第じゃ命は助けてやるよ」
「そうか」
相手が勇者と剣聖、そして伯爵家絡みのせいか教師を始めだれもが見て見ぬ振りをしている。
まぁどちらについても恨みを買うから《無視をする》貴族として当たり前の事だな。
「俺は剣聖だから剣で相手する、良いな?」
剣を持った剣聖、普通は絶対に勝てない...思いっきり卑怯だ。
「真剣を使った決闘と言う事で良いな? おい誰か、門の所に居る騎士を連れてきてくれ」
「騎士等呼んでも役に立たないぞ」
「違う、立会人だ、正式の決闘なのだから、騎士の立ち合いは必要だ」
「そうか、なら逃げられたく無いから、此方で呼んでくるぞ」
そう言うと、ベーダは騎士を呼びに行った。
この学園は貴族の子女が通う場所だから、門を1個小隊の騎士で固めている。
だから、立会人には困らない。
暫くすると隊長格の騎士がベーダに連れられてきた。
「何があったのだね? 学生通し、もう少し穏便に出来ないものかね」
「うるせー、此奴が化け物を庇うからこうなるんだ」
「君は本当にそんな事をしたのかい?」
「確かに当家のメイドは容姿は良く無いですが、ちゃんと王都の奴隷商で購入した物です、化け物ではありません」
「この期に及んで」
「決闘は受けると言いました、後は勝った方が正しい、そいう事で良いんじゃないでしょうか?」
「君はそれで良いのか? 相手は剣聖だ、君が万が一も勝てるとは思えない」
「貴族である以上、受けない訳にいきませんよ」
「ならば良い、だが一旦始まってしまったらもう介入は出来ないぞ、それで良いんだな」
俺は頷いて金貨を1枚渡した。
「おい、ルディウス見てたぞ、賄賂か」
「お前は馬鹿か? これは記録水晶のお金だ、騎士である以上は必ず持っているが、案外高価なんだ、その為、見届けを頼んだ場合、お金を渡すのが礼儀だ」
「賄賂じゃないなら良い」
「それでいつ始めるんだ?」
「お前に逃げられると困るから今からだ」
「解った」
「本当に止めないんだな? 正式な決闘となったらもう止められないぞ」
「解っている」
これは俺にとっての試金石だ。
俺の思った通りなら面白い事になる。
【教練場にて】
結局話は大きくなり、登校初日なのに今日は休校になってしまった。
場所を教練場に移して俺と剣聖ベーダの決闘をする事になった。
「本当に良いんだな、始まってしまったらもう止められないぞ」
「ああっこれでも、俺は英雄アベルの息子だ、そう簡単に負けない、それで剣を俺は持ってないんだが」
「お持ちでないなら貸しましょうか?」
「頼む」
「ベーダはどうするんだ」
「俺はこれを使う」
「待て、それは魔剣ルランドル、余りに卑怯じゃないか?」
「俺は剣聖だ」
「それでは」
「俺も構わない、だが、剣聖が魔剣を使うんだ、俺は借りた剣と杖を使うが構わないな」
「ああっ構わないぞ」
剣を持った剣聖、相手に普通は敵わない、だから笑いながら見下す様に言いやがる。
「始まったら何でもあり、そしてどちらかが負けを認めるか死ぬかで決着、これが貴族の決闘だが良いんだな」
「構わないさぁ、どうせ俺の勝ちに決まっている」
「それじゃ、始めの合図で決闘スタートだ...」
しかし、流石は学園だ、学園長に教師に生徒、恐らくこの学園の関係者が全員此処にいるのに話声一つしない。
俺は杖を前に出し構えて、実験でやった様に杖の先が頭の中に伸びている、そういうイメージをした。
聖なる加護があったらどうしようかと思ったが、そんな物は無かった。
これなら、もう勝負はついた様な物だ。
この状態を例えるなら《すでに頭に銃を突き付けて撃鉄をあげた状態》からのスタートだ。
ベーダも剣を構えている。
「それでは始め」
その声と同時に俺はベーダの脳みそを引き千切る様に頭の中の水を回転させた。
これで死んだ筈だ。
危ない、死んだ状態なのに剣先が俺の2歩手前まで伸びていた。
そして、ベーダがバランスを崩す前に剣で頭を殴った。
ベーダはもう死んでいるが、死因はバラしたく無い、あくまで打撃で死んだそうする必要がある。
だから、倒れたベーダの頭を何回も何回も殴った。
頭の中で脳が千切れた状態だが、ベーダは体の手足がかすかに痙攣するように動いていた。
グチャリ..グチャ...バキガツガツ。
この世界の剣は刀の様に斬るのではなく、重さで押しつぶす様な剣だ、頭蓋骨は潰れ脳みそはピンクに染まり頭からはみ出した。
「ひぃぃぃぃぃぃーーーーっ」
「あれ、死んでるよーーーっ」
誰かが叫んだ事により開始の合図を告げた騎士がこちらに来た。
「ルディウス殿?」
俺は一心不乱に剣で頭を潰す様に殴りつけていた。
相手は剣聖だ、もしかしたら此処からでも蘇生するかも知れない。
「ルディウス殿、貴殿の勝ちです、離れて下さい...多分死んでいる」
直ぐに学園の治療師が飛び込んできたが。
「ひぃっ、これはもう絶対に無理だ、頭が潰れて割れて、そこから脳みそが千切れて飛び出ている、例えエリクサーがあっても治せない」
「この決闘の勝者はルディウス殿だ」
規定どおりに騎士が俺の腕をあげたが、歓声など上がらず、見ていた者はただただ青ざめていた。
そして、勇者アルトランは足が震え真っ青になり、その場にへたりこんでいた。
決闘 勇者
本来なら、歓声に包まれたり、何かしらの反応があるのだが何も無い。
そりゃそうだろう《剣聖が死んでしまった》のだからこうもなる。
確かに此奴はクズ野郎だが、世界を救う四職の一人だ。
それが目の前で殺されてしまったのだから、こうもなる。
暫くして落ち着いてきたのか、ちらほらと声が上がっていた。
「けけけ、剣聖が死んでしまった」
「こんな事があるのか? 剣聖が旅に出る前に死ぬなんて」
俺は大きな声で全員に聞こえるように一言言った。
「多分、この学園に居る、勇者も剣聖も偽物の疑いがある」
その反響はすさまじかった。
「本当なのか? だが、剣を持った剣聖が一瞬で死んだんだ、偽物と言うのもうなづける」
「確かに、粗暴も悪く、あれが人類の希望とは思えない」
「先代の勇者パーティーは人格者だった、そう考えたら本物の訳ないか」
「あれを女神様が選んだ、そう考える方が可笑しい気がする」
「まてよ、剣聖が偽物だとすれば、他のメンバーはどうなんだ...勇者も偽物じゃないのか?」
「聖女や賢者はその能力も高く、教会やアカデミーで働いていると聞いているわ、そう考えたらこの学園に来た二人が偽物なのかも知れない」
勇者アルトランはガタガタ震えていた。
剣聖は人を殺す位のいわば、完全に悪党だが、此奴はまだ小悪党だ。
人を殺した訳でない。
しかし、情けないな、悪党なら悪党らしく矜持位持てよ。
さっきから「俺は偽物じゃない...偽物じゃない」と譫言の様に繰り返している。
可哀想だな(笑)終わらせてやろう。
俺はアルトランに近づくと手袋を投げつけた。
これは貴族側からの正式の決闘だ、逃げる事は《平民》には許されていない。
勇者とはいえまだ旅立つまえだから《その特典》は与えられていない。
もし、王から正式に特典が与えられて、勇者保護法で守られていたら、保護されるが、まだ此奴は保護されていない。
高飛車になるには早すぎた。
田舎領主や今迄の人間は《彼らの将来》を考えて見逃したのか、それとも此奴が《正式な勇者》になってから何かしらの話で見逃したんだろうか解らない。
だが、まだ此奴は勇者であるが、権利としてはまだ《勇者未満》だ...ようするに只の平民だ。
「いやだ、いやだああああーーーーっ、俺は死にたくない」
「悪いなアルトラン、貴族からの決闘申し込みを平民は拒めない」
「俺は勇者なんらぁー、だからだから」
「なんらぁー? 笑えるな...勇者ならその実力で俺をねじ伏せたらどうだ? お前、偽物疑惑が上がっているぜ」
「俺は、俺は本物なんだ」
「はいはい(笑)解ったからもう良いよ、もう決闘は決まった事だからな」
そう言うと俺は教練場の中央に戻った。
だが、アルトランはまだ来ない。
「何をしているんだ、早く来い」
「嫌だ、嫌だ、悪かった、止めてくれ」
「仕方ない、アルトラン、良い事教えてやるよ、よく考えるんだ! 決闘は降伏が認められているんだ、始まったら一呼吸して直ぐにと土下座しろ、そうすればお前は助かる」
「そうか、正式に負けを認めれば良いんだな」
「俺は決闘で勇者に勝てた、その事実だけあれば良い...その後のお前の弁明まではどうでも良い事だ」
「ああっ、解った」
俺は剣聖の時と同じ様に杖を構えた、実際には既に杖の先が伸びた様なイメージで頭に繋いである。
みすみす極上の獲物を逃す訳が無い。
そして、反対側の手には剣を握っていた、良くは解らないが、剣聖を倒した後何かが変わった気がする。
アルトランはガタガタ震えながら剣を握っている。
まだ、聖剣を抜く前だから聖剣では無い。
それでも勇者、ミスリルの良い剣を持っている。
「それでは始め」
「まいっ」
言わせない、一瞬で頭の中の水を操り絶命させた。
そして、倒れる前に勇者のクビを跳ねた。
恐らく、勇者が死んでなければ、何かの力が働き斬れなかったかも知れない。
だが、死んでしまったからかそういった不思議な力が働かなかった。
聖魔法によるオートガードも、《元からある、体の中の水を操る事には無反応だった》
しかし、剣聖と違い、オートガードを持つ勇者が、何故俺を怖がったのか? まぁ此奴がとんでもないチキンだったに違いない。
さっき以上に周りは沈黙している。
「勝者、ルディウス殿」
そう、宣誓を受けても静まり返っていた。
俺はそのまま、アルトランの首を放り投げると持っていた剣で粉々にした。
そして大きな騒ぎになる前に、剣を騎士に返してその場を立ち去った。
【近くの森にて】
俺は近くの森で剣で木を斬りつけた。
やはりそうだ、俺だけの特異が此処でも働いたようだ、あっさりと大きな木だったので真っ二つだった。
隠し持っていた、記録用紙で自分のステータスを確認した。
ルディウス
LV 60
HP 3580
MP 4080
ジョブ 魔法使い 剣聖 勇者(転生人)
スキル:アイテム収納、聖魔法レベル15 闇魔法レベル3 火魔法レベル15 風魔法レベル19 水魔法レベル42 格闘レベル8 剣術レベル22
隠蔽
剣補正(200%)剣を持って戦った場合は2倍の技量にあがる 勇補正(300%)勇気を持ち戦う場合は3倍の技量に上がる。
限界突破(限界が無くなる)
俺だけがこの世界で《人を殺して》もレベルが上がる。
ヘンドリックを殺した時に思ったが、相手の能力も手に入る様だ。
そして種族として強い者を倒した方がよりレベルが上がる。
そう考えたら、勇者や剣聖は魔物でいうならドラゴンや魔王に値するのかも知れない...
とんでもない事になっていた。
こう言う事を見越して隠蔽をとっておいた。
此処まで強く成れば、一安心だろう。
まぁこの後どうするかはゆっくり考えれば良い。
「ああっ本当につまらないなアルトラン」
二人は凄く退屈していた。
勇者であるアルトランに剣聖であるベーダ、2人は学園に入るまで好き放題していた。
流石に、聖女や賢者は後ろ盾があるから手を出していないが、村人や町人相手には好き放題、酷い目にあった人数はどの位居るか解らない。
領主の娘を犯したり、貴族ですら平気で暴力を振るう位手が付けられなかった。
その性格を治す為にこの学園に入れられた。
此処にいるのは、地方領主なんか比べられない位の家柄の者ばかり、流石の勇者も手を出しにくい。
実際に、アルトランやベーダが生徒の女性に手を出そうとしたら...
「相手が勇者様なら喜んで受け入れますわ、但し私を抱くと言う事は即婚姻ですわね、この身一つで勇者が手に入るなら安い物でしてよ」
そんな事を言い出す、上手く遊びで終わらせようと考えていたら
「流石の勇者様も騎士団3千に勝てますか? 私を傷物にして婚姻を結ばないなら、三千の騎士が襲い掛かりますわよ? しかも貴族って弱い所から狙いますのよ...大事な家族や故郷を失う事になりますわ」
こんな事を言われた。
この学園の生徒なら本当にそういう事をやりそうだ。
そう思ったら迂闊に手を出せない。
この学園の生徒は上流貴族の令嬢や子息、玩具に出来る人間等いない。
一癖も二癖もある人間ばかりなのだ。
生徒に手を出せないなら、使用人と考えるのは当たり前だ。
だが、そんな事は学園も通う生徒の親もしっかりと対策している、
ここに若い女性は居ない...
「本当につまんねーな...俺は勇者なのに、こんな所に閉じ込められて窮屈で仕方ねー」
「本当にそう思うぜ、外出の時しか女もだけねーし、憂さ晴らしで殴る相手も居ない...楽しくないな」
「まぁな、新入生がこれから入ってくるけど、どうせ同じなんじゃないか」
「ああっだが一層の事、暴れないか?」
「暴れてどうするんだよ?」
「俺は剣聖で、お前は勇者だ、適当な罰ですむだろう? 文句言われたら出て行けばよい」
「そうか、その手があったな」
「文句言われたら《もう頭に来たから、この先魔族と戦わない》そういって去ればこの学園の評判も下がる...罰せられる物か」
「そうだな...それでどうする」
「どうせなら、今度は行ってくる一番上の爵位の奴でも半殺しにしようぜ、それで様子を見れば良いんじゃないか」
「そうだな」
知らないうちにルディウスは巻き込まれていく
決闘 剣聖
どうせ、やってやるなら一番上の貴族をと思っていたが、少し拍子抜けした。
今年の貴族の子息や令嬢のトップは伯爵家の子息でルディウスという人間だという事が解った。
いきなり襲う、そう言う訳にはいかない。
それでは《ならず者扱い》で評価が下がる。
形上の《理由》が必要だ。
「彼奴が、ルディウスか?」
「そうみたいだぜ、アルトラン」
「お付きのメイドでも襲ってやろうと思ったが、何だあれは、2人とも化け物みたいじゃないか?」
「ああっ、何でも、あの化け物みたいなメイド2人と執事が一人らしいぜ」
「萎えるな、幾ら女日照りでもあの化け物は抱けんな」
「俺もパスだな」
「それで、どうする? ターゲットを変えるか?」
「いや、調べて見たら、どいつも同じ様な感じだ、まぁ、あそこ迄露骨なのは彼奴だけだが、どこのメイドも歳食った女ばかりだ、はっきり言えば容姿でいうなら、街の娼婦の方がまだましだ」
「それじゃ、どうするんだよ?」
「なぁ、アルトラン、化け物退治は勇者の務めだ、あの様な化け物を連れている奴は退治して良いんじゃないか?」
「そうだな、俺もお前みたいに、人が殺してみたい、あの化け物を殺してチェリー卒業も良いだろう」
「ああっどうせなら、あのムカつく顔のルディウスの前で殺すのも良いか」
「いや、彼奴に見殺しにさせてから、彼奴を殺した方が面白そうだ」
「何を考えているんだ」
「彼奴は貴族だ、決闘を申し込んだら逃げられない、どちらかが決闘を申し込んでいたぶってから、あの気持ち悪い奴隷の所有権を手に入れて、殺すのはどうだ」
「面白そうだな、本当にお前って勇者なのか、正直エグすぎるぜ」
「剣聖のお前に言われたくないな」
【翌日】
「お前がヘングラム伯爵家のルディウスか?」
《いつかは絡まれる可能性がある》そうは思っていたけど、まさか登校初日の学園の入り口で絡まれると思わなかった。
知ってはいるが、敢えて聞いた方が良いだろう。
「確かに俺はルディウスですが、先輩たちは何か用があるのでしょうか?」
「俺は勇者、アルトランだ、そして、此奴が剣聖ベーダだ、お前が魔族の女を奴隷にしていると聞いたが本当か?」
早速の難癖か...
「いえ、確かに容姿は問題がありますが、王都の奴隷商から買い付けた者です、問題は無い筈です」
「俺は、しっかりとみたし、ベーダも見た、黒髪、黒目の女と赤目の女、どう考えても化け物にしか見えない」
「俺にもそう見えるが」
そう来たか、だが、勉強不足だ。
「勇者に剣聖、言わせて貰うが、奴隷商を行う為の許認可は王以外は卸せない、王が卸した許可を持つ奴隷商がもし、化け物を販売した、そう言いたいなら、俺ではなく、国王にその責を問うべきだ」
「つべこべ抜かすな、国王なんて関係ない、俺が黒と言えば黒なんだ」
勇者と剣聖ともあろうものが、此処まで話が通じないとは思わなかった。
「奴隷とはいえ、2人は当家のメイドです、そこまで愚弄される謂れは無い、馬鹿馬鹿しい」
「お前、馬鹿馬鹿しいとは何だ、俺は勇者なんだぞ?」
「確かに、お前は勇者なのかも知れないな、だがまだ旅立ってもいないし、手柄もたてていない。 それなら只の平民だ。 俺は伯爵家の子息だ、本来なら膝磨づく事から始まるんだぞ、まぁ学園は基本上下関係は無いが、立場でいうならお前達は、この学園の生徒では一番下だ」
「貴様、貴族だと言うのか、そう言うなら《貴族は決して敵に背を向けない》その理屈位は守れ、決闘を申し込む」
馬鹿な奴らだ、これは凄く俺に都合が良い。
「良かろう、それで俺はどちらの決闘から受ければ良いんだ?」
「お前、馬鹿なの? 剣聖や勇者に勝てるとでも? もう俺たちは騎士より遙かに強いんだぜ」
「申し込んできたのはお前達だ、それでどちらからやるんだ」
「いきなり勇者と遣るのは可哀想だ、俺が相手してやる、なぁに俺は剣聖、勇者と違い魔法を使わないだけ、まだましだ、腕か足を斬り落としたら、まぁ心がけ次第じゃ命は助けてやるよ」
「そうか」
相手が勇者と剣聖、そして伯爵家絡みのせいか教師を始めだれもが見て見ぬ振りをしている。
まぁどちらについても恨みを買うから《無視をする》貴族として当たり前の事だな。
「俺は剣聖だから剣で相手する、良いな?」
剣を持った剣聖、普通は絶対に勝てない...思いっきり卑怯だ。
「真剣を使った決闘と言う事で良いな? おい誰か、門の所に居る騎士を連れてきてくれ」
「騎士等呼んでも役に立たないぞ」
「違う、立会人だ、正式の決闘なのだから、騎士の立ち合いは必要だ」
「そうか、なら逃げられたく無いから、此方で呼んでくるぞ」
そう言うと、ベーダは騎士を呼びに行った。
この学園は貴族の子女が通う場所だから、門を1個小隊の騎士で固めている。
だから、立会人には困らない。
暫くすると隊長格の騎士がベーダに連れられてきた。
「何があったのだね? 学生通し、もう少し穏便に出来ないものかね」
「うるせー、此奴が化け物を庇うからこうなるんだ」
「君は本当にそんな事をしたのかい?」
「確かに当家のメイドは容姿は良く無いですが、ちゃんと王都の奴隷商で購入した物です、化け物ではありません」
「この期に及んで」
「決闘は受けると言いました、後は勝った方が正しい、そいう事で良いんじゃないでしょうか?」
「君はそれで良いのか? 相手は剣聖だ、君が万が一も勝てるとは思えない」
「貴族である以上、受けない訳にいきませんよ」
「ならば良い、だが一旦始まってしまったらもう介入は出来ないぞ、それで良いんだな」
俺は頷いて金貨を1枚渡した。
「おい、ルディウス見てたぞ、賄賂か」
「お前は馬鹿か? これは記録水晶のお金だ、騎士である以上は必ず持っているが、案外高価なんだ、その為、見届けを頼んだ場合、お金を渡すのが礼儀だ」
「賄賂じゃないなら良い」
「それでいつ始めるんだ?」
「お前に逃げられると困るから今からだ」
「解った」
「本当に止めないんだな? 正式な決闘となったらもう止められないぞ」
「解っている」
これは俺にとっての試金石だ。
俺の思った通りなら面白い事になる。
【教練場にて】
結局話は大きくなり、登校初日なのに今日は休校になってしまった。
場所を教練場に移して俺と剣聖ベーダの決闘をする事になった。
「本当に良いんだな、始まってしまったらもう止められないぞ」
「ああっこれでも、俺は英雄アベルの息子だ、そう簡単に負けない、それで剣を俺は持ってないんだが」
「お持ちでないなら貸しましょうか?」
「頼む」
「ベーダはどうするんだ」
「俺はこれを使う」
「待て、それは魔剣ルランドル、余りに卑怯じゃないか?」
「俺は剣聖だ」
「それでは」
「俺も構わない、だが、剣聖が魔剣を使うんだ、俺は借りた剣と杖を使うが構わないな」
「ああっ構わないぞ」
剣を持った剣聖、相手に普通は敵わない、だから笑いながら見下す様に言いやがる。
「始まったら何でもあり、そしてどちらかが負けを認めるか死ぬかで決着、これが貴族の決闘だが良いんだな」
「構わないさぁ、どうせ俺の勝ちに決まっている」
「それじゃ、始めの合図で決闘スタートだ...」
しかし、流石は学園だ、学園長に教師に生徒、恐らくこの学園の関係者が全員此処にいるのに話声一つしない。
俺は杖を前に出し構えて、実験でやった様に杖の先が頭の中に伸びている、そういうイメージをした。
聖なる加護があったらどうしようかと思ったが、そんな物は無かった。
これなら、もう勝負はついた様な物だ。
この状態を例えるなら《すでに頭に銃を突き付けて撃鉄をあげた状態》からのスタートだ。
ベーダも剣を構えている。
「それでは始め」
その声と同時に俺はベーダの脳みそを引き千切る様に頭の中の水を回転させた。
これで死んだ筈だ。
危ない、死んだ状態なのに剣先が俺の2歩手前まで伸びていた。
そして、ベーダがバランスを崩す前に剣で頭を殴った。
ベーダはもう死んでいるが、死因はバラしたく無い、あくまで打撃で死んだそうする必要がある。
だから、倒れたベーダの頭を何回も何回も殴った。
頭の中で脳が千切れた状態だが、ベーダは体の手足がかすかに痙攣するように動いていた。
グチャリ..グチャ...バキガツガツ。
この世界の剣は刀の様に斬るのではなく、重さで押しつぶす様な剣だ、頭蓋骨は潰れ脳みそはピンクに染まり頭からはみ出した。
「ひぃぃぃぃぃぃーーーーっ」
「あれ、死んでるよーーーっ」
誰かが叫んだ事により開始の合図を告げた騎士がこちらに来た。
「ルディウス殿?」
俺は一心不乱に剣で頭を潰す様に殴りつけていた。
相手は剣聖だ、もしかしたら此処からでも蘇生するかも知れない。
「ルディウス殿、貴殿の勝ちです、離れて下さい...多分死んでいる」
直ぐに学園の治療師が飛び込んできたが。
「ひぃっ、これはもう絶対に無理だ、頭が潰れて割れて、そこから脳みそが千切れて飛び出ている、例えエリクサーがあっても治せない」
「この決闘の勝者はルディウス殿だ」
規定どおりに騎士が俺の腕をあげたが、歓声など上がらず、見ていた者はただただ青ざめていた。
そして、勇者アルトランは足が震え真っ青になり、その場にへたりこんでいた。
決闘 勇者
本来なら、歓声に包まれたり、何かしらの反応があるのだが何も無い。
そりゃそうだろう《剣聖が死んでしまった》のだからこうもなる。
確かに此奴はクズ野郎だが、世界を救う四職の一人だ。
それが目の前で殺されてしまったのだから、こうもなる。
暫くして落ち着いてきたのか、ちらほらと声が上がっていた。
「けけけ、剣聖が死んでしまった」
「こんな事があるのか? 剣聖が旅に出る前に死ぬなんて」
俺は大きな声で全員に聞こえるように一言言った。
「多分、この学園に居る、勇者も剣聖も偽物の疑いがある」
その反響はすさまじかった。
「本当なのか? だが、剣を持った剣聖が一瞬で死んだんだ、偽物と言うのもうなづける」
「確かに、粗暴も悪く、あれが人類の希望とは思えない」
「先代の勇者パーティーは人格者だった、そう考えたら本物の訳ないか」
「あれを女神様が選んだ、そう考える方が可笑しい気がする」
「まてよ、剣聖が偽物だとすれば、他のメンバーはどうなんだ...勇者も偽物じゃないのか?」
「聖女や賢者はその能力も高く、教会やアカデミーで働いていると聞いているわ、そう考えたらこの学園に来た二人が偽物なのかも知れない」
勇者アルトランはガタガタ震えていた。
剣聖は人を殺す位のいわば、完全に悪党だが、此奴はまだ小悪党だ。
人を殺した訳でない。
しかし、情けないな、悪党なら悪党らしく矜持位持てよ。
さっきから「俺は偽物じゃない...偽物じゃない」と譫言の様に繰り返している。
可哀想だな(笑)終わらせてやろう。
俺はアルトランに近づくと手袋を投げつけた。
これは貴族側からの正式の決闘だ、逃げる事は《平民》には許されていない。
勇者とはいえまだ旅立つまえだから《その特典》は与えられていない。
もし、王から正式に特典が与えられて、勇者保護法で守られていたら、保護されるが、まだ此奴は保護されていない。
高飛車になるには早すぎた。
田舎領主や今迄の人間は《彼らの将来》を考えて見逃したのか、それとも此奴が《正式な勇者》になってから何かしらの話で見逃したんだろうか解らない。
だが、まだ此奴は勇者であるが、権利としてはまだ《勇者未満》だ...ようするに只の平民だ。
「いやだ、いやだああああーーーーっ、俺は死にたくない」
「悪いなアルトラン、貴族からの決闘申し込みを平民は拒めない」
「俺は勇者なんらぁー、だからだから」
「なんらぁー? 笑えるな...勇者ならその実力で俺をねじ伏せたらどうだ? お前、偽物疑惑が上がっているぜ」
「俺は、俺は本物なんだ」
「はいはい(笑)解ったからもう良いよ、もう決闘は決まった事だからな」
そう言うと俺は教練場の中央に戻った。
だが、アルトランはまだ来ない。
「何をしているんだ、早く来い」
「嫌だ、嫌だ、悪かった、止めてくれ」
「仕方ない、アルトラン、良い事教えてやるよ、よく考えるんだ! 決闘は降伏が認められているんだ、始まったら一呼吸して直ぐにと土下座しろ、そうすればお前は助かる」
「そうか、正式に負けを認めれば良いんだな」
「俺は決闘で勇者に勝てた、その事実だけあれば良い...その後のお前の弁明まではどうでも良い事だ」
「ああっ、解った」
俺は剣聖の時と同じ様に杖を構えた、実際には既に杖の先が伸びた様なイメージで頭に繋いである。
みすみす極上の獲物を逃す訳が無い。
そして、反対側の手には剣を握っていた、良くは解らないが、剣聖を倒した後何かが変わった気がする。
アルトランはガタガタ震えながら剣を握っている。
まだ、聖剣を抜く前だから聖剣では無い。
それでも勇者、ミスリルの良い剣を持っている。
「それでは始め」
「まいっ」
言わせない、一瞬で頭の中の水を操り絶命させた。
そして、倒れる前に勇者のクビを跳ねた。
恐らく、勇者が死んでなければ、何かの力が働き斬れなかったかも知れない。
だが、死んでしまったからかそういった不思議な力が働かなかった。
聖魔法によるオートガードも、《元からある、体の中の水を操る事には無反応だった》
しかし、剣聖と違い、オートガードを持つ勇者が、何故俺を怖がったのか? まぁ此奴がとんでもないチキンだったに違いない。
さっき以上に周りは沈黙している。
「勝者、ルディウス殿」
そう、宣誓を受けても静まり返っていた。
俺はそのまま、アルトランの首を放り投げると持っていた剣で粉々にした。
そして大きな騒ぎになる前に、剣を騎士に返してその場を立ち去った。
【近くの森にて】
俺は近くの森で剣で木を斬りつけた。
やはりそうだ、俺だけの特異が此処でも働いたようだ、あっさりと大きな木だったので真っ二つだった。
隠し持っていた、記録用紙で自分のステータスを確認した。
ルディウス
LV 60
HP 3580
MP 4080
ジョブ 魔法使い 剣聖 勇者(転生人)
スキル:アイテム収納、聖魔法レベル15 闇魔法レベル3 火魔法レベル15 風魔法レベル19 水魔法レベル42 格闘レベル8 剣術レベル22
隠蔽
剣補正(200%)剣を持って戦った場合は2倍の技量にあがる 勇補正(300%)勇気を持ち戦う場合は3倍の技量に上がる。
限界突破(限界が無くなる)
俺だけがこの世界で《人を殺して》もレベルが上がる。
ヘンドリックを殺した時に思ったが、相手の能力も手に入る様だ。
そして種族として強い者を倒した方がよりレベルが上がる。
そう考えたら、勇者や剣聖は魔物でいうならドラゴンや魔王に値するのかも知れない...
とんでもない事になっていた。
こう言う事を見越して隠蔽をとっておいた。
此処まで強く成れば、一安心だろう。
まぁこの後どうするかはゆっくり考えれば良い。
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