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奴隷購入

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学園に通うまで後4日間残して俺は王都にたどり着いた。

前世の記憶があるせいか、余り感動は無い。

これなら、田舎のちょっとした街の方が遙かに開けていたと思う。

ただ、一つだけ気になったのは奴隷商だ。

流石に前世でもこれは経験したことが無い。

「ルドル、奴隷商ってどんな感じなのだろうか?」

「流石の私も中に入った事は数回しかありません、まぁ貴族を騙す様な輩はいませんからご安心下さい」

「なら、良い」

俺は親元を離れるとともに《僕》を辞めて《俺》にした。

偶に《俺》というとアマンダが《背伸びしちゃって》という目線を向けて来るから《僕》から卒業が出来なかった。



奴隷商は思ったよりクリーンな感じだった。

てっきり、前世でいう所のハピーミル(子犬製造工場)みたいなイメージだったが違った様だ。

「これはこれは貴族様、どんな奴隷をお望みですか?」

ルドルは任せると言った目をしていて、何も口を挟んで来ない。

今回の目的は、《勇者や剣聖に気に入られない》と言う事が一番の条件だ。

そう考えたら、年配が良いだろう、そして万が一《酷い目》にあってもそれを引きずらない者が好ましい。

「歳は22歳を超えた位、性処理が可能な奴隷で、出来ればスタイルが良くて、見目が平凡か少し劣るような女性が良い、娼婦出身でも構わないが、言葉使いが丁寧なら尚よい」

「貴族様にしては、随分と安物をお求めになるのですな」

俺は事情を話した。

勇者や剣聖が《人でなし》なのは最早有名な話なのでそのまま伝えても良いだろう。

それに奴隷商人は貴族や大商人相手に仕事をしている。

口が軽ければ商売にならない。


「懸命な判断ですな、確かにそれなら奴隷が一番でしょう...更に体を使う事が宿命の様な者ならおっしゃる通りです、さらに20歳を超えて女性としての魅力が乏しい者ならうってつけです...それではご案内致しましょう」


なかなか商売がうまい。

一番最初は高級そうな奴隷の傍を通っていく。

この辺りに居るのは、多分エルフだ...見た目まるで小説のヒロインの様な容姿の女性が高級な家具で休んでいる。

そこを通り過ぎると、少し粗末な檻の所に来た。

だが、そこは刑務所の檻のような感じで案外衛生面はしっかりしている。

「ここから先が、恐らく貴族様の望みの奴隷がいる場所になります、貴族様の望みは《誰も望まない様な奴隷女》どうしても扱いは酷くなります、それだけはご覚悟下さい」


カーテンをくぐって薄暗い場所に入った。

入った瞬間に雰囲気が変わった。

まるで手入れをしっかりしてないペットショップや動物園の様な嫌な臭いが鼻に着いた。

「私は余りこういう者を見たいと思いません」

「なら、ルドルは無理して入らないで良いぞ」

「すみません」

案外ルドルはあれで生真面目だから、こういう惨い環境は嫌いなのかも知れない。

入った瞬間、目に付いたのは健常者で無い存在も多いという事だ。

手が無い者や足が無い者も居た。

「驚きですかな? 女としてただ使うだけなら、別に片手片足が無くても問題はないでしょう? 最悪、手足全部無くても使えます、男にしたって片手や足が1本無くても使い道はあるのです」

確かに性処理道具なら手足が欠けていても問題無いし、作業によっては四肢のどれかが欠けてても使えるだろう。

「俺が欲しいのは...」

「解っております、ですが、此処をよく見て下さい、全員が16歳以下です、20歳越えたババアに比べたら例え四肢に異常があっても若い子の方が奴隷としては高く売れるのです」

本当に勿体ない...俺にはそうとしか思えない。

「そういう者なのだな」

「はい...そして、此処から先が、当商会でも一番安い女奴隷になります」

確かに、20代以上に見える...だが、俺から見たらかなり容姿は良い者も居るような気がした。

「思ったより数は居ないんだな」

「20過ぎでは性処理可能でも価値は低いです...売れなければ鉱山にでも卸すしか無い者達です、あと場合によっては性病持ちもいますが、薬で治療可能な者しか置いておりません」

人数は12人居る、俺から見たらどれも悪くはない。

「此奴は、何で安いんだ、そう悪く無い様な気がするが...」

俺から見たら《大和撫子》 黒髪に黒目、純日本人にしか見えない、何処から見ても綺麗だ。

そして、時代劇のお姫様の様に綺麗だ、メイド服なんて着せたら思わず襲いたくなる位の美女だ。

「はぁ? 黒髪に黒目、その時点で不細工決定ですよ! なんか見ているだけで憂鬱になりませんか!」

「それじゃ、襲われないという意味では安全だな...それじゃ此奴は男の経験は無いのか?」

「それはあります」

聞くと結構悲惨な話だった。

何でも農村地帯で醜い農夫の嫁をしていたが、この年まで子供が生まれなかったので売り飛ばされてきたそうだ。

まぁ、農夫はまるでオークの様に醜かったから嫁が探せず、醜い黒髪の女でも居ないよりはましとばかりに貰ったのだろう。との事だ。

売りに来た人間は《こんな醜い女なのに我慢して抱いてやったのに子供も出来ないなんて役立たずな嫁じゃ》そう言っていたそうだ。

結局、嫁を売り飛ばして、お金を足して若い女を買っていったとの事だ。

「俺は屋敷から余り外に出た事が無いから解らないが、此奴は醜い男でも抱きたくない程、醜いのか?」

「普通の男ならまず抱きたくないでしょうな...これ程醜いと、男性のシンボルだって立たないんじゃないですか」

俺から見たら、和風美女だ。

「それじゃまず一人は此奴に決めた」

「そうですか...有難うございます」


どう見ても美女だ。

俺から見て美女でこの世界でブサイクなら最高じゃないか。

そういう奴が他にも居るとありがたいんだが...居た。

髪の毛は銀髪で、目が少し赤い、そして肌は陶磁器の様に白い。

まるで、アニメのヒロインが大人になった様な姿だ。

「此奴もそうなのか?」

「貴族様も本当に、変な奴ばかり目が行きますね...どう見ても化け物に見えますよ、まぁこれでもれっきとした人間ですが」

確かに、バンパイヤかホルムニクスの様に見えなくもない。

「さっきの一人とこの子なら、その勇者や剣聖...大丈夫でしょうか?」


「あはははっ、こんな女抱くなら、まぁ別の意味でも勇者ですよ..私には到底無理だ」

「なら安心だな」

「絶対とは言いませんが、普通なら手を出そうと思わないですよ...だってこれですよ」

まぁ良いや...

この二人以外も俺には真面に見えるが、この二人は度を越して美女だ。

凄く勿体ない、確かに寿命が短い世界では行き遅れなのかも知れないが、俺から見たら美女だ。

迷わず俺は「二人を購入しますんで手続きお願いします」と声を掛けた。

こうして俺は奴隷を2人手に入れた。

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