悪徳貴族になろうとしたが

石のやっさん

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ムカつくメイドは完全な手下

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「今日もお子様はお出かけですか? 良いですね暇で」

イライザの奴、雇ってやる口添いをしてやったのに喉元過ぎればって奴か。

「お前にいちいち説明する必要はないだろう」

「あのさぁ、勘違いしないで下さいね、私が素で話す相手は信頼している相手だからですよ?」

「俺は今はもう、使用人じゃないぞ」

「そう、それよ、貴方、前は僕と言っていたわよね? 私は人を見る目には自信があるの、前の貴方は絶対に負け組、負け犬にしか見えなかった、精々が酒場で管を撒いている様なクズね」

何なんだ此奴は、まぁ昔の俺の仲間に近いのかも知れないな。

「面白い事言うんだな」

「満更、間違ってないと思うよ? 今の貴方、凄い目をしているもの」

「凄い目?」

なかなか面白い話だ。

「そう、そうね、犯罪者とか復讐者の腐ったような目、そしてギラギラしている」

「もし、そうだな、ギラギラしたような奴だったらどうなんだ」

「そうね、どうもしないわ」

一枚噛ませろとか言うんじゃないのか?

「解らねーな」


「あはははっ、簡単よ、貴方は私の見立てではとんでもない悪魔みたいな奴だから、まぁ何か良い話があれば声を掛けては欲しいけど」


此奴を噛ませてやった方が面白そうだ。

昨日の魔物の素材も此奴なら、売る事が出来る。


「だったら、仕事を手伝って貰おうか? 金は半々で良い」

「それリスクは無いの?」

「完全に無いとは言わないが、比較的安全だ」

「それじゃ、乗るわ」


こうしてイライザを仲間に引き入れる事にした。


さてと、昨日は魔物で実験したから、次は人間だ。

「イライザに聞きたいんだけど、何処かに盗賊とか巣をくって居そうな場所知らないか?」

「私は知らないわね...だけどギルドの掲示板でも見れば沢山情報が貼ってあるわ」

「だったら、それ調べてきてくれないか?」

「冒険者にでもなる気」

「その気は無いな」

「盗賊の財宝でも盗む気かしら?」

「そんな事しないな...俺が色々した後で、その財宝とやらがあるなら半分やるよ」

「太っ腹だね」

「まぁな」

「それで、貴方は何がしたいの?」

「人殺しと実験!」

「嘘よね...嘘、冗談ですよね」

俺は少し軽薄そうに笑いながら答えてやった。

「本当だよ...手伝ってくれる仲間が欲しかったんだよ」

「いや...辞める、そんな事なら」


「あのさぁ、此処まで話したのに俺が抜けさせると思っている訳? 逃げたら伯爵家の総力で探して殺すよ? その前にもうイライザは逃げられない」

「どうしてよ...」

俺は昨日の要領で頭に見えないラインを繋ぐようにして軽く脳を揺さぶった。

イライザは急に顔色が悪くなり、その場に倒れた。

「はぁはぁ、何をしたの?」

「お前に呪いを掛けたんだよ...俺の命令に背いても死ぬ、そして俺を裏切るような事を考えた瞬間死ぬ、そんな感じだ」

「悪魔..私にそんな事したの?」

「大丈夫、そんな酷い事はしないつもりだ」

「そんな、解らないじゃない、あんたが気が変わっただけで私は殺されるじゃない」

「そうかもな、それじゃ、ギルドに行って盗賊でも何でも良いから、殺しても文句ない人間探してきてくれ」

「それなら、スラムの人間でも殺せば」

「おい、ふざけた事言うな、金が無いだけの人間殺すなんて俺はしない..」


俺の前世は寧ろ、そいつらに近い生活だった。

だからかも知れないが怒りが顔に出ていた様だ。

「解りました...それでは行ってきますので、奥様には上手く言って置いてください」

俺が軽く手を振ると、直ぐにイライザは居なくなった。
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