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原因と才能

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今日はアマンダから魔法の基礎を教わっている。

それでどうしても一つだけ聞きたい事があった。

「レベルや経験値って人間を殺しても入るの?」

「何故、そんなことを聞くのかしら? 今の授業と関係ないわ!」

「いや、ふと思ったんだ、もし、人を殺して経験値が入るなら王都の処刑人は凄く強いんだろうなって」

「馬鹿ね、同族は殺しても経験値は入らない...常識でしょう! そんなの当たり前すぎて本にも書いてないわよ!」

「そうだったんだ..ごめんねアマンダ」

「ちゃんと身をいれて聞きなさい」

これでおおよそ、自分に起きた事が解った。

恐らく真相はこうだ。

ヘンドリックを殺した、普通なら経験値は入らない、だが俺は恐らくこの世界の人間というくくりから抜けている

恐らく俺はこの世界で人間というくくりから少し外れている...つまりこの世界の人間で無く、転生人という別種族なんだと思う。

だからヘンドリックを殺してレベルがあがった。

子供一人殺してレベルがそんなに上がる物だろうか?

いや、これも説明がつく、ヘンドリックは英雄アベルと魔法使いアマンダの子供だ。

そう考えたら、魔物になおせばキングやロードに近いのかも知れない。

例えばゴブリンだ、長年鍛え上げたゴブリンよりも生まれたばかりのゴブリンキングの方が遙かに高い経験値が入る、と本には書かれていた。

そう考えたら ヘンドリックは魔物にしたらキング種に値したのかも知れない。

早目に殺して正解だった。

恐らく、彼奴が強くなりだしたら、もう終わりだった。

「ルディウス、ちゃんと聞いていますか?」

「ちゃんと聞いているよ...だけど、魔法基礎概論は、全部覚えているんだ..だから違う事がしたいと思って」

「本当に覚えているの? じゃぁ幾つかの質問に答えて」

「正解だわ、凄いわ、流石私のルディウス、いったい何時覚えたのかしら?」

「悲しいから言いたくない..」

「あっごめん..」

僕は才能が無いといわれてからの唯一の自由が本を読む事だった。

少しでもと思い、書庫の本は大体一通りは目を通している。


「大丈夫だよ、アマンダ、だけど僕は書庫の本は大体読んでいるんだ..だから実技を教えて」

「ええっ解ったわ..それなら私の十八番よ、任せなさい!」


外に出て修練場に向かう。

ここはアマンダやアベルが体が鈍らない様に鍛えていた場所だ。

「最初はやっぱりファイヤーボールからかしらね?」

「その前にアマンダに見て欲しい魔法があるんだ?」

「そう、魔法迄独学で勉強していたのね..ルデイウスは努力家なのね、いいわ見てあげる」

愛されるって凄いな、こんな優しい顔をするんだな...

まぁ良いや、期待に応えないとな。

魔力は僅かで良い、拡散しないように圧力をかけるようにして抑え込む、そして解き放つ。

「ファイヤーニードル」

「何も起きないじゃない?失敗したの? へんな名前の魔法ね..聞いた事も無いわ...やはり独学じゃ良くないわ、しっかり基礎から」

「アマンダ、的を見に行こう」

「やっぱり何とも..嘘、これは!」

「やった貫通しているでしょう?」

的は小さな穴があき、プスプスと音がたっている。

「凄いわね、これどうやったの?」

「僕って魔力が絶望的って話しをメイド達から聞いたから、魔力は少な目で威力がでる魔法を考えたんだ」

《魔力なんて関係なかったのね..この子がもし、魔力適正が20のままで才能が無くても、一流にまで手が届くわ》

「凄いわね、これ、こんなに目に見えない程の炎で板を貫通するなんて..どうやったの?」

「魔法に圧縮をかけて..」

「待って、圧縮って何それ..」

《しばらく聞いて意味は解った..だけど、それ、ルデイウスにしか出来ないと思うな、ベテランの魔法使いの私に再現できないんだもの》

「対人用のオリジナルスペルか..凄いわねルデイウス」

「そんなに凄いかな..これ」

《充分凄いわ、魔物相手には通用しないけど、対人なら、初見に限定すればアベルや私にも通用するわ。見えにくい炎の針で目を潰されたら十分な脅威だわ》

「うん、よく頑張ったわルディウス、今日はまたおいしい物を食べに行きましょう」

「ありがとう、アマンダ」

この子の最大の武器はこの発想力だわ..何処をどうしたらこんな発想になるのかしら。

魔法使いと呼ばれるにはただ魔法が使えるだけでは呼ばれない。

いくつもの魔法を使い、魔力に優れた者のみが呼ばれる名前....それが魔法使い。

私から魔法を学びたいという人は結構いたが皆断った。

だけど、この子には才能がある、いや才能というより発想力だ。

だから私はアドバイスしかしない、何故ならこの子は私を超える魔法使いになれる、そう思うからだ。
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