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壊された剣と杖
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けたたましくドアが叩かれた。
何事かと思いドアを開けると...
「おいルディウス! 何時まで寝ていやがるさっさと起きて、仕事をしないか!」
「いったい何事ですか?」
僕はいきなり5時に起こされた。
「ルディウス、今日からお前は使用人扱いになる事は聞いているだろう!お前は一番の新米なのだから、誰よりも早く起きなくてはいけないのだ!まだ何も出来ないのだろう、とっと水汲みをしろ!」
「解りました」
自分で自覚しなければいけないんだ...僕はもう使用人なんだから..
慣れない手つきで僕は桶を持った。
まだ5歳の僕にはとても重く感じた...
「ルディウスは本当にグズなんだから...まぁ子供だから仕方ないか..水は半分にして回数増やして運んだ方が楽だよ」
「ありがとうございます」
「まぁ頑張りなルディウス!」
この家は本当に徹底している、もう僕を貴族の子供として扱う人はいない。
それから1年が経ち6歳になった。
本来なら貴族の子は10歳で学園に入るが最早僕には関係の無い事だ。
流石に1年経つと家での仕事には慣れてきた。
義理の母のアマンダは更に人が変わったように冷たくなった。
酷い時には僕にムチを入れる事もある。
「貴方はもう使用人としてしか扱う気が無いわ、その許可は夫アベルから得ているわ、まぁ貴族籍はあるけど、意味は無いわね、私は勿論息子ヘンドリックも主人として扱いなさい」
「解りました」
何回かムチで叩かれた時にもう義母と思う事は無くなっていた。
お父様はまだ少しは愛情があるのか基本的には無視だが、たまにお菓子をくれる。
「これは親子の情では無い..子供の使用人には先代も普通に菓子をあげてた..それだけだ」
そういうお父様の顔は、優しそうに見える時もあるが、新しく生まれたヘンドリックとは勿論比べられる様な扱いはされていない。
アマンダとヘンドリックとヘングラム伯ことアベルは、僕は居ない扱いをしながら楽しそうに暮らしている。
勿論、食卓もはじめ、僕は関わる事は全く無い。
僕の...気持ちは複雑だ。
《あの糞ババア、色っぽいケツしていやがるな、まぁ穴だけは使える》
誰だろう、アマンダの悪口を言ったのは...だけど、周りには誰も居ない。
「可笑しいな...空耳かな」
最近は、アマンダは僕に対してムチを振るう事は少なくなった。
愛情が...そんなことは無い、完全に僕に興味が無い...使用人として普通に扱うそれだけだ。
それと同時にアベルも僕に対して興味がなくなったのだろう、子供扱いする事が全く無くなった。
もう、心の中でもお父様と呼ぶことは無いだろう..
無関心は僕にとっては前に比べて幸せなのかも知れない。
アマンダにムチを打たれて痛い思いをする事も無いし、アベルにたまに優しくされて妙な気分になる事もなくなった。
だが、この頃から僕は夢を見るようになった。
《小さい子供って簡単に死んじゃうんだよね..殺すなら今だよ》
《あのガキ死んだら、あのババアとジジイ悲しむよね..楽しくない?》
僕の頭の中で誰かが話しかけてくる。
そして、夢の中で僕は両親を楽しそうに殺していた。
弟を楽しそうにいたぶっていた。
あと少しで殺してしまう、大体がその時に目を覚ます。
《僕はそんな人間じゃない》
心で否定する...だが、死んでしまえば良いのに..そう思う自分も何処かにいるのかも知れない。
それから、また3年の月日が過ぎた。
僕は9歳になり本来なら後1年後には学園に入る。
もうここまでくると、しっかりと使用人の仕事が板についてきた。
最近はルドル執事長にも褒められる事がある。
「ルディウスは良く頑張っているな9歳とは思えない...執事を目指してみたらどうだ? 来年はもう10歳執事見習いにもなれる!将来仕えたい主を探してみても良いかもな」
メイドの人達も良く話してくれるようになった。
「ルディウスもどうにか使えるようになったわね...これなら普通に屋敷仕えが出来ると思うわ」
最初の頃冷たかったのは、僕が貴族として生きれないならと平民ならでは生き方を教えてくれる為だった。
そう思うと彼らは凄く優しい人だったのかも知れない。
《お人よしが..人間に良い奴なんて居ない》
また何処からか男の声が聞こえてきた。
10歳まで後1年、僕はもう使用人としてしっかり仕事が出来る様になっていた。
僕は一応は貴族籍はまだある。
そして10歳になる、その日に杖と剣が貰える。
本来はそろそろ家庭教師がつき学園入る前に基礎を勉強して備える。
僕は学園にも行けないし、魔法も剣術も僕には誰も教えてくれない。
ただ、何も教えないと言うのは貴族としての体面もあるのか、この館で書斎に入る事は許されているので勝手に本を読んで勝手に学んでいた。
魔法を使うのも本格的な討伐も学園に入れば最初から教えてくれるが僕は学園に通えないので何か考えないといけない。
独学で勉強しながら10歳になった。
そして、僕にアベルは古びた杖と錆びた剣を渡した。
本当に家族と思って無いのだろう、執事のルドルから手渡された。
仕事が終わって部屋に帰った。
だが、その日は僕の部屋に弟(血縁上)のヘンドリックがいた。
そして、その足元には折れた杖と刃こぼれを起こした剣があった。
僕がその生涯で親に初めて、そして最後に貰った物。
そう思ったら僕は叫んでいた。
「何をするんだ!」
「出来損ないのルデイウスには杖も剣も要らないだろう..だから壊してたんだよ」
咄嗟に僕はヘンドリックを突き飛ばしていた。
「うわーん」
ヘンドリックが泣きだした。
そして駆けつけてきた、アマンダがファイヤーボールの魔法を使った。
それの直撃を受け僕は意識を失った。
《だから殺しとけばよかったんだ》
そんな声がした気がした。
何事かと思いドアを開けると...
「おいルディウス! 何時まで寝ていやがるさっさと起きて、仕事をしないか!」
「いったい何事ですか?」
僕はいきなり5時に起こされた。
「ルディウス、今日からお前は使用人扱いになる事は聞いているだろう!お前は一番の新米なのだから、誰よりも早く起きなくてはいけないのだ!まだ何も出来ないのだろう、とっと水汲みをしろ!」
「解りました」
自分で自覚しなければいけないんだ...僕はもう使用人なんだから..
慣れない手つきで僕は桶を持った。
まだ5歳の僕にはとても重く感じた...
「ルディウスは本当にグズなんだから...まぁ子供だから仕方ないか..水は半分にして回数増やして運んだ方が楽だよ」
「ありがとうございます」
「まぁ頑張りなルディウス!」
この家は本当に徹底している、もう僕を貴族の子供として扱う人はいない。
それから1年が経ち6歳になった。
本来なら貴族の子は10歳で学園に入るが最早僕には関係の無い事だ。
流石に1年経つと家での仕事には慣れてきた。
義理の母のアマンダは更に人が変わったように冷たくなった。
酷い時には僕にムチを入れる事もある。
「貴方はもう使用人としてしか扱う気が無いわ、その許可は夫アベルから得ているわ、まぁ貴族籍はあるけど、意味は無いわね、私は勿論息子ヘンドリックも主人として扱いなさい」
「解りました」
何回かムチで叩かれた時にもう義母と思う事は無くなっていた。
お父様はまだ少しは愛情があるのか基本的には無視だが、たまにお菓子をくれる。
「これは親子の情では無い..子供の使用人には先代も普通に菓子をあげてた..それだけだ」
そういうお父様の顔は、優しそうに見える時もあるが、新しく生まれたヘンドリックとは勿論比べられる様な扱いはされていない。
アマンダとヘンドリックとヘングラム伯ことアベルは、僕は居ない扱いをしながら楽しそうに暮らしている。
勿論、食卓もはじめ、僕は関わる事は全く無い。
僕の...気持ちは複雑だ。
《あの糞ババア、色っぽいケツしていやがるな、まぁ穴だけは使える》
誰だろう、アマンダの悪口を言ったのは...だけど、周りには誰も居ない。
「可笑しいな...空耳かな」
最近は、アマンダは僕に対してムチを振るう事は少なくなった。
愛情が...そんなことは無い、完全に僕に興味が無い...使用人として普通に扱うそれだけだ。
それと同時にアベルも僕に対して興味がなくなったのだろう、子供扱いする事が全く無くなった。
もう、心の中でもお父様と呼ぶことは無いだろう..
無関心は僕にとっては前に比べて幸せなのかも知れない。
アマンダにムチを打たれて痛い思いをする事も無いし、アベルにたまに優しくされて妙な気分になる事もなくなった。
だが、この頃から僕は夢を見るようになった。
《小さい子供って簡単に死んじゃうんだよね..殺すなら今だよ》
《あのガキ死んだら、あのババアとジジイ悲しむよね..楽しくない?》
僕の頭の中で誰かが話しかけてくる。
そして、夢の中で僕は両親を楽しそうに殺していた。
弟を楽しそうにいたぶっていた。
あと少しで殺してしまう、大体がその時に目を覚ます。
《僕はそんな人間じゃない》
心で否定する...だが、死んでしまえば良いのに..そう思う自分も何処かにいるのかも知れない。
それから、また3年の月日が過ぎた。
僕は9歳になり本来なら後1年後には学園に入る。
もうここまでくると、しっかりと使用人の仕事が板についてきた。
最近はルドル執事長にも褒められる事がある。
「ルディウスは良く頑張っているな9歳とは思えない...執事を目指してみたらどうだ? 来年はもう10歳執事見習いにもなれる!将来仕えたい主を探してみても良いかもな」
メイドの人達も良く話してくれるようになった。
「ルディウスもどうにか使えるようになったわね...これなら普通に屋敷仕えが出来ると思うわ」
最初の頃冷たかったのは、僕が貴族として生きれないならと平民ならでは生き方を教えてくれる為だった。
そう思うと彼らは凄く優しい人だったのかも知れない。
《お人よしが..人間に良い奴なんて居ない》
また何処からか男の声が聞こえてきた。
10歳まで後1年、僕はもう使用人としてしっかり仕事が出来る様になっていた。
僕は一応は貴族籍はまだある。
そして10歳になる、その日に杖と剣が貰える。
本来はそろそろ家庭教師がつき学園入る前に基礎を勉強して備える。
僕は学園にも行けないし、魔法も剣術も僕には誰も教えてくれない。
ただ、何も教えないと言うのは貴族としての体面もあるのか、この館で書斎に入る事は許されているので勝手に本を読んで勝手に学んでいた。
魔法を使うのも本格的な討伐も学園に入れば最初から教えてくれるが僕は学園に通えないので何か考えないといけない。
独学で勉強しながら10歳になった。
そして、僕にアベルは古びた杖と錆びた剣を渡した。
本当に家族と思って無いのだろう、執事のルドルから手渡された。
仕事が終わって部屋に帰った。
だが、その日は僕の部屋に弟(血縁上)のヘンドリックがいた。
そして、その足元には折れた杖と刃こぼれを起こした剣があった。
僕がその生涯で親に初めて、そして最後に貰った物。
そう思ったら僕は叫んでいた。
「何をするんだ!」
「出来損ないのルデイウスには杖も剣も要らないだろう..だから壊してたんだよ」
咄嗟に僕はヘンドリックを突き飛ばしていた。
「うわーん」
ヘンドリックが泣きだした。
そして駆けつけてきた、アマンダがファイヤーボールの魔法を使った。
それの直撃を受け僕は意識を失った。
《だから殺しとけばよかったんだ》
そんな声がした気がした。
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