22 / 53
第22話 ウエディングドレス
しおりを挟む「ルミナスさん、これ買ってきたんだけど着てくれないかな」
最近のリヒトくんには本当に驚かせられるわ…
まさか、こんな物まで買ってくるなんて…
「あのリヒトくん…」
思わず声が詰まってしまった。
だってリヒトくんが持っているのはウエディングドレスだから。
「ルミナスさんは人前でこれを着るのが恥ずかしいんでしょう? 俺と二人きりなら恥ずかしくないでしょう?」
「全く、リヒトくんはおばさんに何着させようとするのよ…大体教会婚なんて貴族様か余程裕福じゃないとしないわよ…そんな服勿体ないわよ」
「もう買って来ちゃったから…だけどこれはルミナスさんの為じゃ無くて、この服を着たルミナスさんが見たいから…どちらかと言えば俺の為なんだ…いつも我儘ばかりで悪いけど着てくれないかな? どうしても見たいんだよ」
「仕方ないなリヒトくんは…本当に恥ずかしいんだからね…」
ううん、本当は凄く嬉しい。
最近のリヒトくんは…もうどうして良いか解らない位素敵すぎる。
実際の私はもうおばさんだからこんなドレスは似合わない。
だけど…リヒトくんは似合うと思っている。
最近、リヒトくんの目に私はどう映っているのか気になる。
手を繋ぐと嬉しそうだし腕迄組んでくれる。
私とリヒトくんは母子程の年齢差がある。
血がつながった母子でもこんなに大切にしてくれる人は居ないと思う。
これでも私は真剣に旦那を愛していたつもりだったけど…違ったんじゃないかなとさえ思えてしまう。
毎日の様に女として求められて、愛されて優しくされて…こんなの人生の中で一度もない。
多分、ウエディングドレスなんて、リヒトくん以外に言われても絶対に着ないわね。
「リヒトくんに言われたから来たけど…ほら似合わないでしょう? 私おばさんだから」
「そんな事ないよ…ルミナスさんは凄く綺麗だよ」
「全くもう…そんな事言っても何も出ないんだからね」
ウエディングドレスなんて着なくても…私、リヒトくんの…妻なんだよね。
そう思うと凄く恥ずかしくなる。
齢が倍近く離れている。
そればかり考えていたけど…目の前の男の子、リヒトくんは…
それだけじゃないのよね。
よく考えたら…歳が同じ15歳でも釣り合わないじゃない。
だって目の前のリヒトくんは…この世に10人も居ないS級冒険者。
そして『英雄リヒト』って呼ばれる皆の人気者なんだもん。
「ほうら、これで良いの? 恥ずかしいからもう脱ぐからね」
「駄目、ちょっと待って…私、リヒトは生涯、妻ルミナスさんを愛し笑顔を絶やすことなく幸せにする事を誓います」
「リヒトくん…嘘」
「ルミナスさんはどの様な時も夫リヒトの支えになり愛し続ける事を誓いますか…」
「誓います」
「それでは愛の証として指輪の交換を…ルミナスさん左手を出して」
「はい…」
嘘、これ指輪じゃない…
「それじゃ…ルミナスさんはこの指輪を俺の左手の薬指に嵌めて」
「はい…これで良いのかな」
「うん…あははっ此処からは覚えてないや…生涯、死ぬまで離れないで一緒に暮らしてねルミナスさん…」
「うふふっ、凄く嬉しいわ…だけどね…グスッこんな事しなくても私、リヒトくんを離さないわ…だって…だって凄く愛しているんだから…もうどうしようもない位…」
「そう、凄く嬉しいよ」
照れながら頭を掻くリヒトくんが凄く愛おしい。
こんな愛し方をされたら…もうリヒトくんしか愛せなくなっちゃうよ…
「そういえばリヒトくん、何でもう一個指輪をくれたの?」
「前のが婚約指輪で、今回のは結婚指輪…ルミナスさんにはお揃いの指輪をして…欲しいな…なんて」
「うっ…」
いつも私が思っている以上なんだから…もう、どうして良いか解らないわ。
22
お気に入りに追加
493
あなたにおすすめの小説
俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。
ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。
だから、ただ見せつけられても困るだけだった。
何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。
1~2話は何時もの使いまわし。
亀更新になるかも知れません。
他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
転生したら唯一の魔法陣継承者になりました。この不便な世界を改革します。
蒼井美紗
ファンタジー
魔物に襲われた記憶を最後に、何故か別の世界へ生まれ変わっていた主人公。この世界でも楽しく生きようと覚悟を決めたけど……何この世界、前の世界と比べ物にならないほど酷い環境なんだけど。俺って公爵家嫡男だよね……前の世界の平民より酷い生活だ。
俺の前世の知識があれば、滅亡するんじゃないかと心配になるほどのこの国を救うことが出来る。魔法陣魔法を広めれば、多くの人の命を救うことが出来る……それならやるしかない!
魔法陣魔法と前世の知識を駆使して、この国の救世主となる主人公のお話です。
※カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる