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第24話 帰ってきた理人②

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「なんだこれ…」

昨日は宿屋に泊まって久々に宿屋に帰ってきたら…

服や下着は散乱していて食べ物の入った入れ物もそこら中に転がっている。

ゴミ屋敷…それが一番近いかも知れない。

「おはようございます理人…無事だったのですね、良かった本当に良かった~」

「ふぁ~あ、おはよう理人、その分だと上手くいったようだな、本当に良かったよ…うん」

「理人お帰り~ 本当に心配したんだよ」

心配してくれたのは凄く嬉しいのだが…

お前達の方が心配だよ!

いや出来ないなら、なんで冒険者ギルドに行かないんだ。

実質下級の冒険者は便利屋だから、掃除のエキスパートも居る。

出来ないなら頼めば良いのに。

「うん、心配掛けてごめんね…」

たとえ髪が汚くてふけが出ていても。

着ている服が汚れていても、幼馴染に心配されるのは嬉しい。

「あの皆、お風呂に入っていないように見えるけど、なんで?」

「それが私が壊してしまったらしくて湯が沸かなくなっちゃったんだ」

「最初は水で我慢して水浴びしていたんだけど…」

「寒いから入らなくなっちゃったんだ」

疲れているから今日はゆっくりしたかったんだが…

これじゃ、掃除するしかないな。

「まずは俺が部屋掃除して風呂直すからそのまま休んでいて」

「あの…理人の事、なんて呼べばよい?」

「旦那様か、それともご主人様がいいか?」

「いっそうの事…ダーリンとか?」

「う~ん、とりあえず…掃除終わる迄待って」

「そうだね」

「確かにそうだな」

「そうだよね」

掃除する事2時間、お風呂の修理に1時間、水を張る事30分…

「ふう~ようやく元に戻った…後はほら、三人ともお風呂に入ってきて」

「「「解った(わ)(よ)」」」

しかし、服も汚い物ばかりだ、なんで宿屋に洗濯をお願いしないんだ。

下着以外の衣服は袋に詰めた、下着は後で洗うとして、今着る分が無い…仕方が無い買ってくるか?

俺は宿屋に洗濯を依頼して、その足で服屋に来た。

サイズは解っているから適当に購入して急いで宿屋に戻った。

勿論、下着もだ。

急いで帰り、浴室の扉の中に服を置く。

「洋服と下着を買ってきたから此処に置くな」

「「「はーい」」」

これで後は三人が出てきたら、髪を拭いてあげて、魔道具を使ってブローすれば…ようやく元通りだ。

結局、お昼過ぎまで掛かってしまった。

これで、終わった…後は夜にでも下着を洗えば終わりだな。

だけど、何時から俺は女物の下着にときめかなくなったんだろうか?

なれって怖いな。

「それでね、理人さっきのだけど…」

「ああっ、今からお茶入れるから少し待って」

「「「ああっ…うん」」」

俺もまだ心の整理がついていない。

なんだか改めて見るとなんだか恥ずかしい。

「さぁ、お茶を入れたから飲みながら話そう」

「そうね」

「そうだな」

「うん、そうしよう」

「まずはごめん…その皆を買うような真似して」

「別に気にしないで良いわ、悪いのはガイアだから、まさか娼婦欲しさに売り飛ばされるとは思いませんでした…事情はギルマスから聞いてますから…それより良かったの?」

「ああっ、本当に良かったのか?」

「後悔してないの?」

何を言っているかさっぱり解らない。

「何を言って居るのか解らない」

「ハァ~ガイアがダークエルフの娼婦2人買うお金、金貨1200枚用意したんでしょう? そんなお金私達に使って良かったのか…そういう事よ」

「確かに私はそこそこ美人だが、一部の人に嫌われゴリラ女と呼ばれている。流石にダークエルフには敵わないな」

「私だって可愛いと言われるけど嫌いな人からはチビだもん…」

何を言っているんだ…

お前達の魅力はそれじゃないよ

「馬鹿だな…なんでたかがダークエルフより自分を下に見るのか解からない、それにたかが金貨1200枚用意しただけで驚くんだ! たいした金額じゃないだろう」

「そんな訳ないわ」

「凄い大金じゃないか」

「地竜を狩らなきゃならない位大変だったんじゃない」

「あのさ…俺は三人が好きだ…誰か一人で良い傍にいてくれたらそう思っていたよ。そして今よりももっと高い対価を払って、それでも俺はガイアに負けた」

「嘘でしょう、前にもお金を払った事があるの?」

「マリア違うよ、前に俺が賭けていたのは『命』だよリタやマリアが詠唱する時間を稼ぐために盾になっていたじゃないか? エルザの背中を何回守ったと思う? 『命』を預ける位の相手じゃなくちゃ出来ないだろう?」

「うふふっそう言えばそうですね」

「そうだな、すっかり忘れていたな」

「うん、良く私は守ってもらっていたね」

「それに俺と皆の付き合いは長いだろう、マリアが8歳にもなって漏らしていた事、エルザが女らしくなりたくて胸を揉んでいた事やリタが背を伸ばしたくて牛乳を大量に飲んで下痢した事も良い思い出だ」

此奴らのカッコ悪い所も全部知っている。

「もういい加減忘れて欲しいな…だけどそれがどうしたの?」

「私もいい加減忘れてくれ…だがそれがどう繋がるんだ」

「その話は恥ずかしいよ」

「思い出って凄く大切な物だと思う、少なくとも俺はそうだ…『俺との思い出をもっている幼馴染』なんて三人を除いて他に居ない…俺が欲しいのはエルフでも絶世の美女でもない…一緒の時間を過ごした幼馴染が欲しい、そんなのは『此処以外』じゃ手に入らない…これが地竜じゃなくて魔王であっても挑戦したと思うよ」

「「「理人」」」

「流石に疲れたから寝させて貰って良いか?」

「あの理人して欲しい事ない? 妻だし大抵の事は良いわよ」

「ああっ私も同じだ、して欲しい事があったらしてやるぞ…私はお嫁さんなんだろう?」

「うん、何でも良いよ?」

「そう? それなら膝枕をして欲しい」

「「「うん、解った」」」

◆◆◆

「理人は私に頼んだんですよ?」

「はぁ、私の目を見てたぞ、私だろう」

「違うよ膝枕なら、前にもしたよ…私が良いに決まっているよ」

ハァ~駄目だ眠い、こりゃ今日は膝枕は諦めた方が良いな。


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