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第二十一話 マリアがオルゴールを奏でる時 《クライマックス》
しおりを挟む◆◆◆ シャルロッテ◆◆◆
不味い、気がついたら服を脱がされていた。
マリーネはまだ気を失っている、どうにかしなくちゃ...貴族云々より女として終わってしまう。
だけど、怖い...既に私は下着一枚身に着けていない状態だわ。
しかもこの馬車はかなり高級な馬車だ。
貴族にしてもかなり高位の貴族の物、多分恨みを買っていた貴族に誘拐された。
もしくは、私かマリーネに横恋慕していた貴族が『貴族籍を剥奪された私達』をおもちゃにする為に攫った。
いずれにしても...もう終わりだ。
相手は貴族で馬車には数人いる。
もう慰め物になる覚悟はした方が良いかも知れない...何でもして命だけはとられないように...
マリーネ、今の私には貴方すら助けられない...ごめんなさい。
宝石箱の件...ごめんなさい。
貴方は最後までつきあってくれた。
最後まで私に『様』をつけてよんでくれたのに...こんな事に巻き込んでごめんなさい。
うん...違うわ、えーと、何が起きているのかな?
気絶して様子を見ていたら...裸の後体中を拭き始めたわ...なっ汚らしいから、その後...けがわらしい事を....
可笑しいな、服を着せ始めている、これドレスだわ、しかもよく見たらこれやっているの、全員女性だ。
何がなんだか解らないわ。
「おや、気がつかれましたか?」
笑顔で女性が私に話し掛けてきた。
◆◆◆ドレーク伯爵◆◆◆
「それではお父様、お義母さま、私は先に行ってお待ちしております、あとでロゼを連れてきて下さいね」
「ああ、解った」
「貴方」
「皆迄いうな、悪いのは我々だ」
まさか、マリアが此処まで怒っているとは思わなかった。
確かに、あそこ迄奪われ続け、そして最後には『婚約者』さえも奪われたマリアが恨んでない訳が無い。
あの内容から考えたら『婚約破棄成立』『二人の婚約は有効』『謝罪はさせる』
此処に何か償いはあるのか? 謝罪だけじゃないか?
『爵位を無くし市民にする』そんなのは当たり前の事だ...元々二人には爵位継承権は無い。
そこから考えた、『婚約の際に納めた品を貰える』それしかマリアは手にしていない。
それにしたって、マリア個人としては使わない物も多い。
『責任もって次の婚約者を探す』...これだって実行は難しい。
フリードはあれでも伯爵家、そして今となっては何故と思いたいが『貴公子』と呼ばれ美しい少年だ。
今現在公爵家にも侯爵家にも婚姻の決まって無い男子はいない。
冗談でイライザ嬢が『私が男でしたら喜んで貰いましたのに』と笑っていたらしい。
ドリアーク伯爵はこの約束を果たせない事になる。
つまり、真面な謝罪になって無かった、これでは謝罪とは言えない。
だから、マリアはきっと王の前で決着をつけようとこんな大事にした。
これには俺たちに責任がある。
マリアがしたい様に余程の事じゃ無ければさせる。
そう、ロザリーと話し合い決めた。
◆◆◆ロゼ◆◆◆
今日初めて自分の立場を知った。
私はもう貴族でなくなるらしい...このドレスも宝石も、恐らくは『お姉ちゃんに返さなくちゃいけない』らしい。
その代り...フリード様との結婚は認められる。
解らない...なんで。
なんで...全部無くなるの...私はそんな酷い事したのかな?
『ただ、お姉ちゃんに甘えていただけだよ』それだけだよ。
フリード様...いえフリードがいけないんじゃないの?
酷い、酷い酷すぎるよ...しかもこれだでじゃない、これから王族の前でお姉ちゃんに裁かれる可能性が高いらしい。
多分、お姉ちゃんは私を恨んでるから....あはははっ終わりじゃない。
◆◆◆マリアSIDE◆◆◆
私マリアはは余り派手な事は好まない。
だけど、こうでもしないと『私の想い通りに出来ない』だからやるしかない。
最初のお願いは王族立ち合いの元に今回の話の決着を付ける事。
『やり過ぎもやらな過ぎも良くない』
政治的な事は『どうでも良い』私に絡んでいるぶんだけは『私が決める』
既に王様も王太后さまも来ている。
そして関係者も全員いる。
王様、王太后さまと目が合った。
すると王様は話し始めた。
「あー、今回の婚約破棄の件に関しては被害者であるマリアの意見が全て尊重される、今暫くの間は『マリアを王族扱い』とする良いな」
私はオルゴールのネジを巻き上げメロディを奏でた。
「ロゼ、貴方散々、欲しいなら欲しいと言えって言ったわよね」
「お姉ちゃん、ごめんなさい」
「お姉ちゃん言わない」
私はロゼの胸倉を掴みビンタをした。
「お姉ちゃん痛いよ」
可笑しいな、前にも私、ロゼにビンタした記憶が沢山あるんだけど...多分勘違いだわね【聖女】じゃないし。
「痛いのは当たり前、私が黙っていたから貴方は馬鹿になったのよ、これからはきっちりするわ」
「お姉ちゃん」
「しつこいな、何故か私...なんでもない『お姉さま』と言いなさい」
「お姉さま...私どうなるの?」
「はぁ~ビンタしたからこれで良いわ、ただ今後はお父さまもお義母さまもきつく指導しますから覚悟なさいね、勿論私も」
「それだけ?」
「そうよ、貴方が軟禁状態になってから直ぐに大切な物は回収したからこれで良いわ」
「お姉ちゃん」
「はいはい、終わり、次はフリードね」
「マリア、すまなかった俺は」
「はいはい、別に良いわその謝罪受け入れます、その代わり婚約破棄の償いについて要望を出します」
「何でしょうか? 何でも言って下さい」
「ロゼと結婚したあとは死ぬまで別れる事は許しません」
「死ぬまで...」
「はい、私との婚約を破棄してまで望んだロゼですもの、当たり前です、更にプラスして浮気も死ぬまで許しませんよ? あっこれは王の前での宣誓ですから、違えたら駄目ですよ、さぁ宣誓して下さい」
「解った、俺は死ぬまで浮気をしない、そしてロゼを生涯愛すことを誓います」
「そう、それで良いわ、フリードの話もそれでおしまい」
ロゼもフリードも初々しいですね、顔を真っ赤にして。
前世の記憶のある私からみたら...ライトノベルみたいですよ!うふふふっ。
「本当にこれでよいのか? 俺はお前を罵倒した、そして無実なのに俺は」
「あのねぇ~、人ひとり死ぬまで愛すって大変な事なの、それを宣言したんだからそれで良いわ」
王族の前で宣言したんだから『もう何がなんでも別れられないし、浮気が出来ない、貴族なのに愛人も持てないのよ』解っているのかな?
最も正義の味方の『貴公子』だからするわけないのかな。
まぁ良いや。
「そうか解った」
「これから結婚する二人にお姉さまからプレゼントです、フリードに騎士爵を授けます」
「「「「「「えーっ」」」」」」
《幾ら何でも可笑しい、王でも無いのに爵位なんて与えられる訳が無い》
「母と話し合い、今回特別にマリアに、騎士爵3名の授与の権利を与えた...但し、その爵位には王家への忠誠の他にマリアの家を親家、与えられた者は子家としマリアの家への忠誠も含まれる、領地はない...そして法衣貴族の役職の保証は無い」
《それでも破格値だ...保証は無くとも努力で役職に就く事は出来る...そして貴族で居られる》
「フリードは跪かないのでしょうか?」
慌ててフリードは跪いた。
「はっ、このフリード謹んでお受け致します、この身は国にそして貴方に生涯の忠誠を誓います」
「今から貴方は正式に騎士爵を授かりました『貴公子』の名に恥じぬ様に生きて下さい」
「はっ」
フリードとロゼを下がらせた。
お父さまとお義母さまが口をポカーンと開けて驚いている。
ドリアーク伯爵は、なんで泣いているのかな?
「さて、今度はシャルロッテにマリーネ、お久しぶりですね」
「お久しぶりでございます、マリア様、所で今日はどういう事なのでしょうか?いきなり馬車に乗せられ此処に連れて来られました、もしロゼ様絡みの事であれば私が謝罪します、だからどうかマリーネだけは許して貰えないでしょうか?」
「そんな事ありません、一緒にした事です、私も一緒です」
この二人は凄く優秀なのよね。
特にシャルロッテさんは、同年代ならイライザ様につぐ位と評判があるのよ...だから欲しいのよ。
「ご家族や他の令嬢は噂の範囲では随分幸せに暮らしているそうですし、他国に行かれたのでもう無視しても良いでしょう、他国に行くと言う事はもうこの国には仕えていませんからね...でも貴方達は国境のロストにいました」
「国外追放でもロストには居て良い筈です」
「私もそう聞いています」
青い顔しなくても良いのに...
「私思ったのですよ...今回の件は直接償って貰うのが妥当じゃないかって」
「それはどういう事なのでしょうか?」
「簡単です、貴方達二人を騎士爵とし爵位を授けます、ですが爵位は女性はこの国では持てませんので仮の騎士爵です、その代わり貴方達二人が婚姻をし男子が生まれたら、その子は正式な騎士爵として継ぐ事が出来ます、条件はフリードと同じで、この爵位には王家への忠誠の他に私の家を親家、貴方達は子家とし私の家への忠誠も含まれます、勿論領地はありません、貴方達には将来私の片腕になって頂き、差し詰め一つの役職について頂きます」
「また貴族に戻れるのですか、有難うございますこのシャルロッテ生涯の忠誠を国に王家にそしてマリア様に誓います」
「私の身は国に王家にそしてマリア様に生涯捧げます」
「共に頑張りましょう」
「それで、最初の役職は何でございますか?」
「何でしょうか?」
「ロゼの教育係です...お願いしますね」
今一瞬嫌な顔をしたわね...まぁあの事件は『騙そうとした彼女達』『馬鹿なロゼ』それによって起きた事。
償いと言うなら『馬鹿なロゼを真面にする』それで償って貰えば良いわ...これで良い筈だわ。
「「精一杯頑張ります」」
オルゴールの音色が止まった。
「マリア、それで良いのか?」
「よいのね」
「はい、王様、王太后さま」
「以上のマリアの裁きは王と王太后の名の元、正式な物とする、以後不満は一切受け付けない物とす...以上だ」
こうして、私が絡む話は全て決めさせて頂いた。
これが悩んだ末、私が考えた結論だ。
周りは『何故私がこんな事が出来るのか』驚いている。
ちょっと気分が晴れた気がした。
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