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第四十七話 婚約破棄...こんなんで大丈夫なのかな? 

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毎日辛い日々が続きます。

時には死にたくなる位に辛い。

仲の良い友人は全員、国外追放になりました。

もう出会う事は無いでしょう。

残った三人は裏切者ですから顔も見たくありません。

あれ程仲の良かった、シャルロッテさんにマリーネさんにももう会えません。

家の中にも私には敵しか居ません。

お父さまも私に冷たく、会う度にお小言しか言いません。

使用人からも見下され、いつも雑用をさせられます。

※ 自分の宝石などを磨かされているだけです。


お母さまからは細かい事をチマチマ言われ、心が壊れてしまします。

※貴族としての考え作法を一から教わっているだけです。


お姉さまは私に優しい振りをして心で馬鹿にしています。

※腹をたてながらも『心配』しているだけです。


もう私には居場所が何処にも無いのです。


私にはもうフリード様しかいない。

この地獄の様な毎日から救い出してくれる、私の救世主様...


今の私にはフリード様から頂ける手紙だけが心の支えです。



ですが、最近、この手紙迄、家の者は訝し気に見ています。

このままではいつチェックされる様になるか解りません。


私は...自分の気持ちを手紙に書いてフリード様に伝えました。

するとフリード様から直ぐに手紙が届き、決行を早めて下さいました。


決行するのは1週間後のダンスパーティー、王族であるアーサー様の出席が決まっているそうです。


そしてお姉さまには『必ず出席するように』そう伝えたそうです。


あと一週間、あと一週間でこの地獄が終わるのです...



【婚約破棄決行日 マリアSIDE】

私は、いつもと違いフリード様から『必ず今日のダンスパーティーに来るように』そう言われました。

可笑しいのは、私がこういう場所を好まないので今回みたいに強く言われた事はありません。

確かに今日はアーサー王子が来るので『特別』なのかも知れません。

ですが...そんな重要な物なら、エスコートをしに来そうな物ですがフリード様は来ません。


仕方なく、私とロゼとで馬車を出して会場まで行く事にしました。

「お姉さま、私は少し用事があるのでこちらで失礼します」

「...解りました」

可笑しい、ロゼはもう派閥が無いし、友人は殆ど居ないと聞いています。

それなのに...『用事』


私は違和感を感じました。


フリード様が何処にも居ないので仕方なくエスコート無しで会場に入りました。

フリード様をなかなか見つかりません...廊下で探していると、使用人らしき男が『フリード様が呼んでいる』と言うのです。

思わず私は溜息が出てしまいました。

会場でエスコートもしないで、婚約者とはいえ同じ伯爵家の令嬢を使用人を使って呼びだすなんて、ある意味礼儀知らずです。

仕方なく、使用人の後についていくと...そこには フリード様が居て横にロゼがいました。

そして、いきなり私は公衆の面前でお叱りを受ける羽目になったのです。


【ロゼSIDE】

フリード様はお姉ちゃんに対して冷たいまなざしで見ています。

さぁ此処から始まるのです...私の幸せな日々が..


「数々のロゼへの陰湿な嫌がらせ。何か言う事はあるかな、マリア」


私は確かにお姉ちゃんに嫌がらせを受けています。

私を無視して見下す様な目で私を見ました。



「ロゼへの嫌がらせ...身に覚えは本当にありません!」


そうフリード様に言い返していました。


「身に覚えが無いだと! あれ程、陰湿な事をしながら君という女は良心が全く無いのか!」


「フリード...本当に何の事か解りません、言わせて頂ければ、私はロゼに嫌われているので、妹のロゼとは交流が殆どありません、しかも、花嫁教育が本当に忙しいから社交界にも余り来ません、そんな私が何でそんな事が出来るのでしょうか?」


私がお姉ちゃんを嫌った、違うよお姉ちゃんが私を嫌ったんだよ。

そう思い、お姉ちゃんを睨みました。

言われて見れば、私お姉ちゃんとそんなに...過ごしていませんね...あれっ

まさか、これだけじゃ無いですよね?

他にちゃんとした『お姉ちゃんを失脚させる何かありますよね』

これは此処で打ち切ってと...


「待って、フリード、そんなに姉を怒らないであげて下さい」


「ロゼ、もう庇わなくて良いんだ、無視や取り巻きを使っての嫌がらせの数々、そんな陰湿な事を繰り返すような女なんてな」

まさかフリード様『それだけじゃ無い』ですよね。

お姉ちゃんが私を迫害していましたが...それだけじゃ大きな問題にならないような気がしますが...大丈夫なの。


「俺は貴様のような女の婚約者であったことが恥ずかしい」

これだけの材料で姉と婚約破棄出来るのでしょうか?

確かに私にお姉ちゃんや使用人は酷い事をしていましたが...証拠すら握って無いですよ...不味くないでしょうか?


その証拠にお姉ちゃんは強気で話しています。


「では、フリードはどの様にしたいのですか!」


待って...本当に此れだけしかないの?


「黙れ! 気安く俺の名前を呼ぶな!」


これだけで本当に大丈夫なのでしょうか?

お姉ちゃんは別に困った顔になっていません..

ですがシャルロッテさんも『ただ絵を描いただけ』で国外追放...案外大丈夫なのかな?


「そうですか、ではどのようにしたいかお決め下さい...」


フリード様は両手を広げて声を上げました。

まるで舞台に立つ役者のようにカッコ良いです。

「今日この時より、フリード・ドリアークはマリア・ドレークとの婚約を破棄する!...そして、俺は、代わりにロゼ・ドレークとの婚約を宣言する」


流石、フリード様ですカッコ良い! 

ですがお姉ちゃんが全然怯んでいないのが気になります。


「それは双方の両親、ひいては当主であるお父様達もご存じなのでしょうか?」

「まだ、知らせていない..だが」


えっ、まさか何も知らせていないのですか?

本当に大丈夫なのでしょうか?


「まどろっこしいです...貴族として正式のお言葉か聞いております」


お姉ちゃんの目が笑っていません。

この目は私も見た事がありません...心底怒っている、そんな気がします。



「マリア、元婚約者とは言え、無礼だぞ、だが…良かろう貴族として正式の言葉として伝えよう」


「謹んで、マリア.ドレーク婚約破棄をお受けします」

お姉ちゃんが婚約破棄を受け入れた。

多分、これで終わり。

私は勝ったんだ...これから私はきっと幸せになれる。

ようやく、ようやく不幸から解放されます。

ですが...まだ続きがあるのですか?


「そうか...潔いのだな」

何故、お姉ちゃんは泣きもしないで悲しんでいる様にも見えません。

婚約破棄が決まり、私の婚約が決まったのに...不気味です。


「別に、罪は認めた訳ではありません...私はフリードは嫌いじゃ無かったですが...まだ、婚約して結納を貰った位の関係です、心は【愛】にまで育っては居ませんでした、それは本来長い時間を掛けて築く物ですからね、今の時点で妹が良いなら仕方ない、今後良好な関係は築けないでしょう...ロゼ、誓って下さい! 貴方はフリードを本当に愛しているのよね?」

「良いのよ、ロゼ、フリードは嫌いでは無いけど「まだ、愛を育んでいない」から、ロゼ貴方にあげるわ」


私は...解らない、だけど此処まで来て違うとは言えない。

ただ、あの状態のお姉ちゃんとフリード様の付き合いが『愛』じゃないのなら...解らない。

だけど、もう私は後戻りできません。


「私はフリードを心から愛していましす...この愛にに生きると誓います」

「偽りはありませんか?」


どうして? お姉ちゃん...そんな真剣な顔をしているの?

「偽りはありません」

なんで呆れた顔をしているの?


「では、貴方に婚約者の地位をお譲りします」

「マリア...」

「もう、何も言わないで良いですわ...妹は貴方にふさわしいわ...お幸せに」

「すまないな...」

「別にどうでも良い事です、それじゃ二人ともお幸せに」


お姉ちゃんは...その後、不機嫌そうな顔をして壁の花になった。

だけど...その時のお姉ちゃんの目は今迄みたお姉ちゃんの目じゃ無かった。

まるでビー玉の様に『私を見ていない』

どんなに怒ってもあんな目なんてした事は無かった。


私はフリード様とダンスを踊っている。


なんで...今アーサー王子がお姉ちゃんに声を掛けた様に見えた..


まだ終わって無いの?


その後、私の思惑とは違い...いきなり宰相のユーラシアン様、それにお父様、ドリアーク伯爵様にオルド―伯爵様達貴族がなだれ込むように入ってきました。

何が起きたの...頭の中がグルグルと周り私はなにも考えられなくなった。



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