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第四十一話 過去 失った...

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それから、お姉ちゃんは私と一切口をきかなくなった。

お母さまと一緒に居る事は多いが、その輪に私が加われなかった。

「私をお母さまは無視するのですか?」

そう思い切って聞いてみた。

「ロゼ、貴方には無理よ」

「そんな事はありません」

「そう、ならば一緒に話してみる?」

お姉ちゃんは私に話し掛けて来ない。

私から話し掛けると嫌そうな顔で答えてはくれる。

だけど...これは私には無理だった。

殆どが本の内容で、本を読んで無いと意味も解らない。

その本も一冊読めば良いなんて物じゃない。

物語から始まり、色々な話を読んでいないと会話すら出来ない。

最後にお母さまから言われた。

「これで解かったかしら? 貴方には無理よ...それにね、マリアは私の派閥なのよ? 貴方はロゼ派という別の派閥...派閥という繋がりは時として家族の絆を越えるのよ? 『ボルナック派の副リーダー』の私が同じ派閥のマリアと仲が良いのは当たり前じゃない...貴方だってそうでしょう? 実際に家族より派閥を優先しているんじゃないかしら? 違うかしら」

私の派閥はそんな楽しそうな物じゃない。


最近お母さまはお姉さまと一緒に紅茶を飲む事が多い。

そして茶菓子は、王都から取り寄せた高級菓子がある。

その御菓子は...私の口に入る事は無い。


「これは読書の際に食べる為にマリアと私が持ち回りにしているのよ! 食べたければ貴方もお金を出せば...ちゃんと渡すわ」

「それなら要りません」


話に加われない私が『そこに居ても』楽しくも何ともない。

そんな紅茶は要らない。


「私の為に馬車を出して茶菓子を買ってきなさい」

「何処のお店で何を購入してくれば良いのでしょうか? 馬車を出す事はご主人様はご存知ですか?」

「それは」

「なら致しかねます」


お父さまに頼んだら断られた。

お姉ちゃんやお母さんは『何かのついでに頼んで買ってきて貰うそうだ』


「ロゼ、少しは常識を覚えなさい、たかが菓子を買う為に数日かけて王都と往復する訳が無いだろう?」

「うっ、解りました」


私には何かのついで...それが解らない。

使用人と仲が良くないから、いつ馬車が出るか知らない....


此処には私の居場所が無い。




【お茶会にて】


「ロゼさん、それなんですの?」

「これが前にお話ししました、貴重な宝石です」

私はお姉ちゃんから貰った宝石を身に着けた。

ネックレスに指輪まで全部、あの宝石箱の中にあった物だ。

見た目は小振りな物ばかりだけど...これは全て貴重な物の筈だ。

「これが? へーえ、そうなのかしら? シャルロン、貴方のお父様は商会からの成り上がって貴族になったのよね?」

「はい、元は卑しい...」

「卑屈にならないで、貴方は私にとって大切なお友達なのよ! 私はそんな事思って無いし、私には無い素晴らしい目をお持ちだわ、その目の価値は誰にも負けない素晴らしい物よ...言い方が悪かったわ『お父様から教わった素晴らしい鑑定が出来るのよね』」

「はい、シャルロッテ様、物の目利きであれば『絶対の自信が御座います』特に宝石の鑑定はお父様の折り紙つきです」

「なら、ロゼさんの宝石を見て...正直に話してくれて良いわ」

「あの...」

「許しますわ、本当の事を言って良くてよ」

《余り言いたくありません、ロゼ様に恥をかかせてしまいます、ですがシャルロッテ様は商人から貴族になったお父様や私にも優しい方です、そして『私を素晴らしい』そう言ってくれた方です》

「すみません、鑑定と言う事であれば嘘はつけません...その宝石に価値はありません、その気になれば貴族でなく、少し裕福な市民でも手が出る品ばかりです、しかもみた感じ傷もあり、普段使い用の物です...その程度なら私の叔父の商会にすら普通に転がっています」

※シャルロンの父親は商人上りの貴族なので叔父は市民で市民、平民向けの商会です。


「そんな、これはお姉さまからもらった宝石なのですよ...そんな訳ありません」

「あるわ、貴方、上級貴族の宝石をシャルロンはしたのよ? もし間違ったら大変な処罰を喰らいます、その上で言った事を間違い! ロゼさん、あんた本当は目が腐っているんじゃなくて? 社交界の華になんてなれる器が無かったわね...私の目が曇っていたわ...皆さん、今日でロゼ派は解散ですわ...私が誘ったばかりに恥をかかせてごめんなさい、この通り頭を下げます」


「ちょっとシャルロッテさん、この派閥の長は私よ勝手な事しないで」

「たしかに...ですがロゼさん、たった1人になってどうやって派閥を維持するのですか?」


「皆さん...あっ」

全員が拒否するようにロゼから視線を逸らしてセンスで顔を隠している。


「これでお解り? 今迄ご苦労様でしたロゼさん、それじゃ私達失礼しますわね」


「「「「「失礼しますね」」」」」


嘘でしょう...私..もう一人じゃない。


ロゼ派はあっけなく解散してしまった。



※次に一話、過去から繋ぐ話を書いて現代に戻ります。












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