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第二話 マリア...そんなに嫌ってません

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多分、他人から見たら【私は不憫な子で何でもロゼに取り上げられている】そう見えているが...当の私はそうは思っていない。


「お姉さま...このバッグ、私に頂戴? これはお姉さまより私みたいな可愛い子の方が似合いますわ」

「「お姉さまより」は余計だけど...欲しいならあげるわ」

「...そう頂きますわ」


欲しい物を手に入れたのに何時もロゼは不満そうな顔をしていました。


「お姉さま、この蝶々のブローチ綺麗ですわね...貰いますわね」

「そんな、それは私の大事な物...返して」

「いーえ、これは私の方が似合いますから貰いますわね」


大切な物を取り上げられた...そう思う?

【甘いわ】

これはそう見せているだけ、私は元々【物】への執着が無い。

だけど、人の物をとりあげた癖に嫌な顔されるのは腹が立つから《大切な物》をとりあげた。

そういう感じに小芝居を入れる。

そうするとロゼは、満足そうに厭らしい笑みを浮かべる。

まぁどうでも良いのです...そのまま【誰からも嫌われる嫌な人間】になれば良いと思うわ。



私はと言うと、実は本当に【物に執着しない】タイプ。

例えば、バックや指輪が欲しいとすると【実は手に入れるまでが楽しい】そう感じるタイプです。

そして手に入れるとその途端に【欲しくなくなります】

だから、前世で会社でOLをしている時も、友人に「このネックレスあげるわ」「このバック欲しいなら、ランチ奢ってくれたらあげるよ」と普通にあげちゃっていました。


ただ一つ妹を許せないのは「お姉ちゃんありがとう」が無い事だけ。

多分、その言葉があれば、私の持っている物の殆どあげても笑っていられます。



実はロゼと私は母親が違います。

ロゼは後妻の子で私にとっての継母は健在なのですが...

最初はロゼと一緒に私を虐めてきましたが、今では...「ロゼいい加減にしなさい! 貴方は沢山持っているでしょう」と最近はロゼを怒る様になりました。


まぁ、この継母にも欲しがる物を沢山あげましたし...自分やロゼの部屋に比べて私の部屋に何もないから良心の呵責に耐え切れなくなったのでしょう。


「ロザリー、それはマリアの母親の形見だ...何故マリアの物をお前が着ている」

「そんな、これはマリアがくれたんです...信じて下さい!」

そんな風な事件があり、継母は私に嵌められたと思ったみたいですが...


「ああ、それなら本当にお義母様に差し上げましたよ! 私にはまだ早いしドレスもお義母様が着た方が喜びますから」

「「マリア」」


何故、2人が涙ぐんでいるのか私には解りませんが...これ以降、継母もかなり優しくなりました。

まぁ要らないから【別にどうでも良い】から差し上げた物なんですけどね。

私は【思い出は心の中にある】派なので形見にも執着がありません。


その事をお父様とお義母様に言ったら...更に泣かれて困りました。


学生時代もOL時代もミニマリストでしたから、スマホとパソコンと着替え5枚位しか持っていませんでしたから...

今は寧ろ物があり過ぎです。


しかも、ロゼに取られても...そこは貴族の家、必要な物はお父様やお義母様が直ぐに買ってくれます。

だから取られた所で新品で買って貰えるから問題はありません。

寧ろ、新品になるから物によっては嬉しかったりしますよ。


だから、周りの人間は家族や使用人も含み、私がロゼを嫌っている様に思っているかも知れませんが。


実はそうは思っていません。


だからって好きかと言われれば、好きではありません...まぁ【どうでも良い】そんな人間です...


ですが【どうでも良い】とは言ってもそこは家族、あまり不幸な目に会って欲しいとは思っていませんよ。






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