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13 言質パート2ってことでよろしいか

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「……先週、悪かったな。
 お前なりに考えて努力してたのからかって」

 ばつが悪くなって、香坂の体を開放して謝った。

「香坂のせいじゃねぇよ。
 TSしたのも、……男性機能が低かったのも、さ。
 こんなものは少しの遺伝とほぼほぼ運だ。ジュニアで習ったろ?」

 顔を背けていたので、この時の香坂がどんな顔をしていたかわからない。
 気まずくなって、温くなったコーヒーを手に取って弄ぶ。
 不意にすんっと鼻をすするのが聞こえて、ギョッとして香坂を見た。

「…………お前が言うな」

「う、うん。ごめん」

「お前が、言うなよっ」

「うん……」

 こぼれると思った。これはたぶん見てはいけないものだ。自分の肩に香坂の頭を押しつける。
 途端にシャツに熱く濡れた感覚が広がる。
 香坂は押し退けたりもせず、俺の開いたブレザーの襟を握りしめている。
 そっと腰に腕を回し頭を撫ぜると、香坂は止めろと言いたいのか頭を振る。結果グリグリと俺の肩に自分の頭を擦りつけている感じだ。
 さっき撫でくり回したときにもつれた髪が、少し指を通すだけでサラサラに戻っていく。

「泣くなよ……」

「泣いてないっ」

「お前に泣かれると、……押し倒したくなる」

 グンッと胸が押されるのを、腰に回した腕で繋ぎ止める。

「こンの変態!!」

「知ってる」

「こーゆー時は慰めるのが普通だろ!」

「そうなの? こういうの、俺初めてで」

「可愛ぶって首傾げてもムダだっ、いいから放せっ!」

「ごめん、無理、超そそられる。ちょっとだけ……」

「バカんんっっあっんっ」

 上から覆いかぶさるように口付ける。
 俺に流し込まれたものをんぐっと反射で香坂が飲み込む。思い切り差し込んだ舌が締めつけられてたまらない。
 全開にアゴを反らされた姿勢がつらそうなので、尻の下に手を差し入れ俺の膝の上に引き上げた。逆に俺のアゴが上がる。逃げようとするその後頭部を捉まえる。
 腰まで引こうとするから押さえれば、俺の勃起チンコが香坂の柔らかいアソコに押し付けられた。ますますキスに力が入る。
 もう片手でブレザーの下に手を滑り込ませる。
 とりあえずそっと手のひらで撫でていく。
 軽い引っ掛かりで乳首を感じ、そのまま軽く指で挟もうとしてみる。やべぇちんこギンギンで痛ぇ。

「痛いっ!」

 香坂が俺の拘束を解く勢いで跳ね上がる。
 自分の胸を抱きしめ、涙で潤んだ瞳でプルプルしている。なにそれかわいい。
 睨んでるつもりなのか? 俺の膝の上からは脱してないからな?
 乳首を撫でた片手を挙げて俺は宣誓する。

「痛くなくなるまでおっぱいは触りません」

「そういう問題じゃなひゃああんっ」

 再びガバッと抱き付き首筋を舐める。耳の裏に鼻を押し付け匂いを堪能し耳を嬲る。
 香坂はひんひんと可愛く啼いて、俺のチンポを刺激する。
 うん、俺が香坂の尻を押して動かしてるだけだけど。
 ちょっと香坂のも硬くなってね? そりゃ反射なんだろうけどさ。

「やめっんああっ、あんっ」

 こんなに熱心になったの、精通して数ヶ月だけだったぜ。人の体ってこんなに良かったけ。やっぱりオメガだから特別仕様なのか。
 気の済むまででたら気絶していた。

 え? なに? これはどーいうこと? 俺が悪いの?


 しばらくして起きた香坂にがっつり怒られた。
 仔猫がフッ、フーッって精一杯怒っているような可愛らしさだ。
 外ではしない事。痛い事はしない事を改めて条件に追加される。
 えっとぉ、つまり? 言質パート2ってことでよろしいか。

 オートタクシーで香坂の家まで送る。
 さすがにあの状態で公共交通機関に乗せるわけにはいかない。
 大抵の男子はミドルから男子寮に住む者が多いが、香坂は実家住みらしい。
 ちなみになぜ寮生が多いのかと言えば、地方出身者が多いわけではない。単純に女子を呼ぶのに気兼ねしないからだ。

「じゃあまた、学校でんんんっ」

 このまま帰れると思うな。挨拶のキスは基本だぞ。
 腕の抵抗が弱まり、足の力がなくなってきたところで漸く解放する。

「学校で、じゃねーよ。迎えに来る」

「は?!  いいよ、来なくて!」

「お前TSしてから一人で歩いた事は?」

「えっ? えっと、カフェレストから……教室まで……?」

「あとは帰りの十数メートルか。で? どーだった?」

「うぅ……」

「な? 迎えに来る」

「い、いいよ! 冠城は寮だろ?! 僕だって知らない人から見れば普通の男子だし!」

「ダメだ、迎えに来る」

 にらみ合いを続けると香坂が折れてきた。

「わ……わかったよ。じゃあ駅で……」

「どっちの」

「学こ……うちの最寄りの!」

「オッケー、それで」

 睨みを効かせれば言い直した。よし。
 この辺が妥協点だろう。
 連絡先を交換し待ち合わせ時間を決めて、最後にもう一度キスをして、待たせてあったタクシーに乗った。

 さて、JEBHQ説得に向かうか……。


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