懲りない詐欺師

新・懲りない詐欺師

　# 第一章 白鷹町再訪

　刑務所の門を出ると、冷たい風が頬を撫でた。俺は深呼吸をし、白鷹町へと向かった。あのカフェ「風の音」はまだあるだろうか。俺は少し緊張しながら、カフェへと続く道を歩いた。

　すると、見覚えのある建物が見えてきた。「風の音」は、以前と変わらずそこにあった。俺は安堵のため息をつき、カフェのドアを開けた。

　店内には、以前と同じようにアンティークの家具が並び、壁には地元の画家の絵が飾られていた。カウンターには、美味しそうなケーキが並び、コーヒーの香りが漂っていた。

「いらっしゃいませ」

　聞き覚えのある声がした。カウンターの中には、以前カフェで働いていた女性、美咲が立っていた。

「あの…滝吉さんですか？」

　美咲は、少し驚いた様子で俺を見た。

「ああ、久しぶりだな」

　俺は少し照れくさそうに答えた。

「滝吉さん、本当に更生されたんですね」

　美咲は、嬉しそうに微笑んだ。

「ああ、そうだな」

　俺は、力強く答えた。

　美咲は、俺のためにコーヒーを入れてくれた。俺は、コーヒーを飲みながら、美咲にこれまでのことを話した。刑務所での生活、更生プログラムへの参加、そして、小説家としての成功と失敗。

　美咲は、俺の話を静かに聞いてくれた。そして、最後にこう言った。

「滝吉さん、またここで働いてみませんか？」

　俺は、美咲の言葉に驚き、そして、嬉しさを感じた。

「ああ、是非働かせてほしい」

　俺は、力強く答えた。

　こうして、俺は再び「風の音」で働くことになった。



　# p.s 続きはまた今度ね。