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夏の幻影
その悲しみを知っている
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諦め顔の恵さんはおもむろに口を開いた。
「私は狡い女。大切の思い出だからって話さずにいたら時間だけが過ぎた。言い出し難い状況へ自分を追い込んで、『麗の為だから』とか最もらしい理由を盾にして現実から逃げていたの」
舞台女優のような独白。
主語がないからなんのことだか分からず、僕らは顔を見合わせた。
そんな僕らの気持ちを置いてきぼりに、恵さんの話を続ける。
「君に伝えてない思い出はあの花火大会のこと。スターマインが上がる中で私と至恩は大切の思い出をつくったの。酷い言い方だけど、無関係の君には話したくはないと思ってた」
恵さんは誰とも目を合わさない。
ただ海を眺めながら語る。
「でもね、君の心の中にいる至恩が大切な思い出を忘れている事が悲しい。共有と共感が出来ないのなら、この思い出に価値がない」
「なら僕だけに話してくれませんか? 人格はいずれ消滅するので秘密は守れます。お願いします」
僕はベンチに座ったまま頭を下げた。
けれど返答は。
「そこが難しいのよ。二つ目の理由はそれだから。ねえ君、ベンチを空けてくれないかな?」
僕は言われるがままに立ってベンチを空けた。
「ねえ麗、隣に座って。それと白井先生と鈴村はラインを送るまであの自動販売機の前で待っていてほしいの」
鈴村は不快そうにしていたけれど、察した白井先生が鈴村を自動販売機へ連れて行き、遠くから僕らを見ていた。
麗さんはベンチに腰掛け、恵さんへ「どうした?」と訊ねた。
恵さんは海から麗さんへ視線を移し悲壮感を漂わせて言った。
「私は麗のせいにしてた。大切な思い出を話さないのは、麗と至恩が過ごす時間をあげる為だと。でも本当の理由はそうじゃなくて怖いだけなの。人格統合をすれば、私の愛する至恩は帰ってくる。でも麗の愛する至恩は消滅しちゃうから」
恵さんは立って話を聞く僕をじっと見つめて言った。
「私は悩んでいるの。多重人格の君の命を奪うことを」
「僕の命を……奪う?」
「人格統合が起これば君は消滅する。私と至恩の大切な思い出が君を死なせてしまう。君は確かに生きている。月島至恩の体を間借りした別人格がそこにいる。私にとって友達の君、麗が愛する君を死なせたくない。私は知っているから。愛する人を失う怖さを。愛する人に会えなくなる悲しみを誰よりも知っているから」
恵さんの声は裏返り震える。
目から止めどなく涙が流れ落ちていった。
ただ人格統合すれば全てが解決すると思い込んでいた。
僕が消滅した後も皆の人生は続いて行く。
残された人たちの間で生まれるであろう蟠りを想像することができなかった。
一人で悩み続けていた恵さんに気づいてあげられなくて悔しい。
けれど今の恵さんを励ます言葉が思いつかないから腹立たしい。
ただ唇を噛んで俯くことしかできなかった。
「至恩は死なせない」
麗さんが唐突に口を開いた。
恵さんは反射的に反応した。
「そんなの無理よ」
「それが可能なんだよ。この町田麗にかかればな!」
麗は勝ち気に「シシシ」と笑った。
自信気で堂々とした姿に僕らは惹き付けられた。
麗はベンチの上に立って海に向かって叫んだ
「世界よ聞きやがれ。町田麗はオリンピックで必ずメダルを獲る。そして町田麗は伝説になる。その伝説の中で、カムバックする切っ掛けをくれた恩人として、月島至恩の名が永遠に刻まれるんだ。至恩は私の伝説の中で永遠に生き続けるんだ!」
麗さんはバス停で語った夢を皆の前で言い放つ。
呆気にとられる僕ら。
いち早く反応したのは恵さんだった。
立っている麗の手を強引に引いてベンチに座らせた。
「恥ずかしいから。やめてよ」
「恥ずかしくないから。私は本気だし、必ずメダルを獲るから。これ絶対なんだ」
麗は臆することなく堂々と語る姿に、恵さんは気圧されていた。
「そ、それは生きてるとは言えないわ」
「違うぞ恵。愛する人と伝説の中で永遠に生き続けれられるなんて幸せだと思わないか? 至恩は消えたりしない。私たちの寿命が尽きようとも……私の作った伝説は後世の人たちへ語り継がれ、月島至恩という男は世界が終わるまで永遠に認知されつづけるんだよ」
麗さんは恵さんの目を見つめながら手を握った。
「恵の協力が必要なんだ。その大切な『思い出』は至恩が記憶を取り戻すのに必要なんだ。好きな男がそれを望むなら応援したい。それが女心ってもんだろ?」
「でも……それは今の至恩を死なせることに――」
「僕は不滅だ」
僕も熱く語る麗さんにあてられた。
冷静さを欠いているかもしれない。
猪突猛進する感情を止められなかった。
きっとバッタもんのせいだ。
あいつと一緒にいる内に悪い癖が伝染したのかもしれない。
こうなったら出たとこ勝負。
伝説になってやろうじゃないか。
僕は両手を腰に当て、仁王立ちする。
「恵さん、僕の人格が消滅したら皆の心からも消滅するの? 僕の何もかもが消えてしまうのかな? 今日は何で海に来たの? ただ遊びに来たんじゃなくて思い出をつくりに来たんだ。それすら消えてしまうの? スマホで撮った画像も消えるの? そんな事はないさ。別人格の僕は簡単に忘れ去られるほど薄い存在じゃない。ねえ恵さん、僕が消えたら悲しんでくれるかい? 心に傷を負ってしまうかい?」
「当たり前よ。悲しいし、心は傷つくわよ」
「それなら恵さんは心の傷と共に、僕を残してみようとは思わないか?」
「どういう意味よそれ?」
僕の一言に恵さんは眉をひそめて質問を質問で返してきた。
「恵さんは文芸部の部長だよね。読者から作者へ転身しよう。僕が生きた証をまるごと小説に残して欲しい」
「小説なんて書いたことないから無理よ」
「恵さんなら出来る。僕が惚れた恵さんなら必ず出来るんだ。容姿端麗で頭脳明晰、それでいて進取果敢な恵さんなら可能なんだ。これが僕が抱いている恵さんの理想像。お願いだから書けないとか言って逃げないでくれ。僕を幻滅させないでくれ」
恵さんは首を横に振る。
「狡いわその言い方。書かなきゃいけない状況へ追い込むなんて」
「小説を書かないと言って逃げる恵さんが嫌いです」
恵さんはベンチを叩いて叫ぶ。
「狡い、狡すぎるわ」
「狡いのはお互い様ですよ。ならこれでお相子ということで手打ちにしませんか?」
僕は強引に言いくるめる。
恵さんは頬を膨らませるだけで反論は無い。
「これは一本とられたな恵」
麗さんはおどけた表情で「シシシ」と笑う。
話を締めようと、咳払いをしてから言った。
「僕が消滅した直後はしばらくは辛いかもしれない。心に刻まれる傷が浅いか深いかは人それぞれで違うと思うけれど。辛い時はここにいる皆と寄り添って傷を癒せばいい。そして癒えた傷の上に出来る瘡蓋の痛痒さは……僕が生きた思い出。ありのままの僕を書き記して欲しい」
恵さんは天を仰ぎ「ああ」と呟いた後、胸に手を当てた。
「私も君の名を永遠に残すわ。私と君が過ごした時間を小説にする。私、頑張るから至《・》恩くん」
恵さんの説得に成功した。
今回も出たとこ勝負は勝利した。
だからもう一度訊ねる。
「花火大会の思い出を聞かせてくれませんか?」
恵さんは僕を睨んで言った。
「絶対に嫌よ」
思わず「ええ」と間抜けな声出した。
恵さんへ慌てて訊ねる。
「な、なぜですか?」
恵さんはニヤリと笑う。
「とりあえず至恩くんは席を外してくれる。あ、白井先生と鈴村はラインで呼び戻して……と。あ、至恩くんは自動販売機で待機ね」
恵さんの意味不明の行動にため息を吐いてその場を離れた。
白井先生と鈴村にすれ違う際、二人はなぜか勝ち誇った顔をしていた。
何かムカつく。
特に鈴村が。
僕は自動販売機前から皆の様子を眺めていた。
恵さんを中心に円が出来た。
そして恵さんは身振り手振りを加え、情熱的に伝えている。皆は「うんうん」と頷き聴いていた。
結構待たされた。
やがて円が解かれ、麗さんが僕を手招きした。
僕が歩いて行くと皆は横一列になっていた。
「そこで止まって至恩くん」
恵さんから指示された僕は、横一列に並ぶ皆から二メートルくらい離れた場所で止まった。
すると恵さんは大きく息を吸ってから「せーの」と音頭をとった。
「花火大会に行こう」
皆の揃った声。
そしてたまたま通りかかったあの警官二人もこちらを訝しげに見ている。
呆気にとられながらも、恥ずかしさと嬉しさの感情が混じり合った僕の心は、肌をじりじりと焦がす太陽よりも熱く滾った。
「なぜとは聞きません。来月の第一日曜日に開催される花火大会に、僕の求める最後の記憶が得られると考えていいですか?」
「ええ、神山恵主演・脚本・演出をする『最高の花火大会』を月島至恩に捧げます」
「主演は僕じゃないのかよ」
「うん」
恵さんは屈託の無い笑顔を見せた。
勝利したと思った出たとこ勝負は、最後の最後で恵さんの逆襲にあい、五分五分の痛み分けで終わる。
転んでもただでは起きないところは流石としか言いようがない。
その彼女の背景には海がキラキラと輝く。
けれど恵さんの素敵な笑顔に敵うはずもなかった。
「私は狡い女。大切の思い出だからって話さずにいたら時間だけが過ぎた。言い出し難い状況へ自分を追い込んで、『麗の為だから』とか最もらしい理由を盾にして現実から逃げていたの」
舞台女優のような独白。
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そんな僕らの気持ちを置いてきぼりに、恵さんの話を続ける。
「君に伝えてない思い出はあの花火大会のこと。スターマインが上がる中で私と至恩は大切の思い出をつくったの。酷い言い方だけど、無関係の君には話したくはないと思ってた」
恵さんは誰とも目を合わさない。
ただ海を眺めながら語る。
「でもね、君の心の中にいる至恩が大切な思い出を忘れている事が悲しい。共有と共感が出来ないのなら、この思い出に価値がない」
「なら僕だけに話してくれませんか? 人格はいずれ消滅するので秘密は守れます。お願いします」
僕はベンチに座ったまま頭を下げた。
けれど返答は。
「そこが難しいのよ。二つ目の理由はそれだから。ねえ君、ベンチを空けてくれないかな?」
僕は言われるがままに立ってベンチを空けた。
「ねえ麗、隣に座って。それと白井先生と鈴村はラインを送るまであの自動販売機の前で待っていてほしいの」
鈴村は不快そうにしていたけれど、察した白井先生が鈴村を自動販売機へ連れて行き、遠くから僕らを見ていた。
麗さんはベンチに腰掛け、恵さんへ「どうした?」と訊ねた。
恵さんは海から麗さんへ視線を移し悲壮感を漂わせて言った。
「私は麗のせいにしてた。大切な思い出を話さないのは、麗と至恩が過ごす時間をあげる為だと。でも本当の理由はそうじゃなくて怖いだけなの。人格統合をすれば、私の愛する至恩は帰ってくる。でも麗の愛する至恩は消滅しちゃうから」
恵さんは立って話を聞く僕をじっと見つめて言った。
「私は悩んでいるの。多重人格の君の命を奪うことを」
「僕の命を……奪う?」
「人格統合が起これば君は消滅する。私と至恩の大切な思い出が君を死なせてしまう。君は確かに生きている。月島至恩の体を間借りした別人格がそこにいる。私にとって友達の君、麗が愛する君を死なせたくない。私は知っているから。愛する人を失う怖さを。愛する人に会えなくなる悲しみを誰よりも知っているから」
恵さんの声は裏返り震える。
目から止めどなく涙が流れ落ちていった。
ただ人格統合すれば全てが解決すると思い込んでいた。
僕が消滅した後も皆の人生は続いて行く。
残された人たちの間で生まれるであろう蟠りを想像することができなかった。
一人で悩み続けていた恵さんに気づいてあげられなくて悔しい。
けれど今の恵さんを励ます言葉が思いつかないから腹立たしい。
ただ唇を噛んで俯くことしかできなかった。
「至恩は死なせない」
麗さんが唐突に口を開いた。
恵さんは反射的に反応した。
「そんなの無理よ」
「それが可能なんだよ。この町田麗にかかればな!」
麗は勝ち気に「シシシ」と笑った。
自信気で堂々とした姿に僕らは惹き付けられた。
麗はベンチの上に立って海に向かって叫んだ
「世界よ聞きやがれ。町田麗はオリンピックで必ずメダルを獲る。そして町田麗は伝説になる。その伝説の中で、カムバックする切っ掛けをくれた恩人として、月島至恩の名が永遠に刻まれるんだ。至恩は私の伝説の中で永遠に生き続けるんだ!」
麗さんはバス停で語った夢を皆の前で言い放つ。
呆気にとられる僕ら。
いち早く反応したのは恵さんだった。
立っている麗の手を強引に引いてベンチに座らせた。
「恥ずかしいから。やめてよ」
「恥ずかしくないから。私は本気だし、必ずメダルを獲るから。これ絶対なんだ」
麗は臆することなく堂々と語る姿に、恵さんは気圧されていた。
「そ、それは生きてるとは言えないわ」
「違うぞ恵。愛する人と伝説の中で永遠に生き続けれられるなんて幸せだと思わないか? 至恩は消えたりしない。私たちの寿命が尽きようとも……私の作った伝説は後世の人たちへ語り継がれ、月島至恩という男は世界が終わるまで永遠に認知されつづけるんだよ」
麗さんは恵さんの目を見つめながら手を握った。
「恵の協力が必要なんだ。その大切な『思い出』は至恩が記憶を取り戻すのに必要なんだ。好きな男がそれを望むなら応援したい。それが女心ってもんだろ?」
「でも……それは今の至恩を死なせることに――」
「僕は不滅だ」
僕も熱く語る麗さんにあてられた。
冷静さを欠いているかもしれない。
猪突猛進する感情を止められなかった。
きっとバッタもんのせいだ。
あいつと一緒にいる内に悪い癖が伝染したのかもしれない。
こうなったら出たとこ勝負。
伝説になってやろうじゃないか。
僕は両手を腰に当て、仁王立ちする。
「恵さん、僕の人格が消滅したら皆の心からも消滅するの? 僕の何もかもが消えてしまうのかな? 今日は何で海に来たの? ただ遊びに来たんじゃなくて思い出をつくりに来たんだ。それすら消えてしまうの? スマホで撮った画像も消えるの? そんな事はないさ。別人格の僕は簡単に忘れ去られるほど薄い存在じゃない。ねえ恵さん、僕が消えたら悲しんでくれるかい? 心に傷を負ってしまうかい?」
「当たり前よ。悲しいし、心は傷つくわよ」
「それなら恵さんは心の傷と共に、僕を残してみようとは思わないか?」
「どういう意味よそれ?」
僕の一言に恵さんは眉をひそめて質問を質問で返してきた。
「恵さんは文芸部の部長だよね。読者から作者へ転身しよう。僕が生きた証をまるごと小説に残して欲しい」
「小説なんて書いたことないから無理よ」
「恵さんなら出来る。僕が惚れた恵さんなら必ず出来るんだ。容姿端麗で頭脳明晰、それでいて進取果敢な恵さんなら可能なんだ。これが僕が抱いている恵さんの理想像。お願いだから書けないとか言って逃げないでくれ。僕を幻滅させないでくれ」
恵さんは首を横に振る。
「狡いわその言い方。書かなきゃいけない状況へ追い込むなんて」
「小説を書かないと言って逃げる恵さんが嫌いです」
恵さんはベンチを叩いて叫ぶ。
「狡い、狡すぎるわ」
「狡いのはお互い様ですよ。ならこれでお相子ということで手打ちにしませんか?」
僕は強引に言いくるめる。
恵さんは頬を膨らませるだけで反論は無い。
「これは一本とられたな恵」
麗さんはおどけた表情で「シシシ」と笑う。
話を締めようと、咳払いをしてから言った。
「僕が消滅した直後はしばらくは辛いかもしれない。心に刻まれる傷が浅いか深いかは人それぞれで違うと思うけれど。辛い時はここにいる皆と寄り添って傷を癒せばいい。そして癒えた傷の上に出来る瘡蓋の痛痒さは……僕が生きた思い出。ありのままの僕を書き記して欲しい」
恵さんは天を仰ぎ「ああ」と呟いた後、胸に手を当てた。
「私も君の名を永遠に残すわ。私と君が過ごした時間を小説にする。私、頑張るから至《・》恩くん」
恵さんの説得に成功した。
今回も出たとこ勝負は勝利した。
だからもう一度訊ねる。
「花火大会の思い出を聞かせてくれませんか?」
恵さんは僕を睨んで言った。
「絶対に嫌よ」
思わず「ええ」と間抜けな声出した。
恵さんへ慌てて訊ねる。
「な、なぜですか?」
恵さんはニヤリと笑う。
「とりあえず至恩くんは席を外してくれる。あ、白井先生と鈴村はラインで呼び戻して……と。あ、至恩くんは自動販売機で待機ね」
恵さんの意味不明の行動にため息を吐いてその場を離れた。
白井先生と鈴村にすれ違う際、二人はなぜか勝ち誇った顔をしていた。
何かムカつく。
特に鈴村が。
僕は自動販売機前から皆の様子を眺めていた。
恵さんを中心に円が出来た。
そして恵さんは身振り手振りを加え、情熱的に伝えている。皆は「うんうん」と頷き聴いていた。
結構待たされた。
やがて円が解かれ、麗さんが僕を手招きした。
僕が歩いて行くと皆は横一列になっていた。
「そこで止まって至恩くん」
恵さんから指示された僕は、横一列に並ぶ皆から二メートルくらい離れた場所で止まった。
すると恵さんは大きく息を吸ってから「せーの」と音頭をとった。
「花火大会に行こう」
皆の揃った声。
そしてたまたま通りかかったあの警官二人もこちらを訝しげに見ている。
呆気にとられながらも、恥ずかしさと嬉しさの感情が混じり合った僕の心は、肌をじりじりと焦がす太陽よりも熱く滾った。
「なぜとは聞きません。来月の第一日曜日に開催される花火大会に、僕の求める最後の記憶が得られると考えていいですか?」
「ええ、神山恵主演・脚本・演出をする『最高の花火大会』を月島至恩に捧げます」
「主演は僕じゃないのかよ」
「うん」
恵さんは屈託の無い笑顔を見せた。
勝利したと思った出たとこ勝負は、最後の最後で恵さんの逆襲にあい、五分五分の痛み分けで終わる。
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