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存在X
修羅場3
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気がつくと僕は屋上の踊り場であぐらをかいていた。
僕にそっくりな人物が、僕に足を向けて仰向けに寝ていた。
ここに僕が二人いるということはここは夢の中だろう。
バッタもんの啜り泣く声が聞こえた。
僕がこの夢の中に来るまでずっと一人で泣いていたんだと思う。
僕は気遣って声かけた。
「泣いているのかバッタもん」
「……泣いてない。目にゴミが入っただけだ」
バッタもんは下手な強がりを見せたあと、仰向けのまま両手で顔を覆い隠した。
元気だけが取り柄のバッタもんは落ち込んでいた。
立ち聞きした話を全て聴いていたんだろう。
今さら取り繕っても意味がないのでありのままを訊ねた。
「僕たちは多重人格なんだな。バッタもんはオリジナル。僕はコピーだった」
「何で……何でパチもんはそんなに冷静でいられるんだ?」
「僕だってショックだったさ。麗さんの胸の中で寝落ちする様を俯瞰的に見ていたんだろ?」
「見ていたぜ。でも全然取り乱さなかったじゃねーかよ。それに比べて俺は」
「荒れていたのか?」
「昼休みの恵の態度には腹が立った。だから身につけている物を全てひん剥いてやった。けど心霊写真みたいに、肝心の部分が透明だった」
バッタもんは語義を強めて言った。
予想外の回答だった。
バッタもんの小さな抵抗なんだろうと思う。
ていうか腹が立ってやることがエロ以外に無いのかよとは思った。
不謹慎だけど思わず吹き出してしまった。
バッタもんはバッと上半身を起こし、強く握った拳を床へ叩きつけた。
泣きは腫れた目で僕を睨む。
「笑いごとじゃねーだろパチもん。お前は俺が生んだ別の人格で、恵から消えてもいいと思われているんだぞ」
「確かにあれは堪えたな。でも僕のことで怒ってくれるとは友達思いだな。ありがとよ」
「そうじゃないだろ。お前に悔しさや悲しさが無いのかよ。消えてしまうかもしれないのに。もし俺がパチもんの立場っだったら不安と恐怖で心が押し潰れている」
バッタもんの指摘はもっともだ。
僕だって恵さんからあんな風に言われて腹立たしさや悲しさはある。
そう遠くない未来には、この人格は本来あるバッタもんへ統合され消滅するかもしれない。
この先のことを色々と考えると恐怖と不安で一杯になる。
僕は天を仰いで溜め息を吐いた。
すると天井の角に張られた蜘蛛の巣を発見した。
巣に蝶がかかっていた。
何で夢の中がこんな細かい所まで忠実に再現されているのだろうと考える。
そういえばバッタもん俯瞰的に現実世界を観測できる。
僕と麗さんの会話を見ている時に蜘蛛の巣を見つけたのだろうか。
蜘蛛が蝶へ襲いかかろうとしている瞬間で静止していた。
ここは夢の中だから僕とバッタもん以外は動かない。
だから蝶が襲われることもない。
けれど現実の蝶は、今頃は餌食になっているかもしれない。
僅かな命数しか残されてない蝶から妙な親近感を抱いた。
僕が蝶とするなら、蜘蛛はバッタもんのオリジナルの人格だろうか。
いずれ蜘蛛に食べられ養分になって蜘蛛そのものになる。
そう考えると蝶が不憫でならないけれど、自然の摂理だと考えればどこにでもある日常の一コマに過ぎない。
僕もありふれた日常へ還るべきなのかもしれない。
二つの人格の存在は不自然であり、バッタもんの人格へ統合されるのはごく自然なことかもしれない。
振り返れば昏睡状態から目覚めてからずっと「記憶を取り戻したい、元の生活に戻りたい」と馬鹿の一つ覚えのように繰り返して言ってきたこと。
実はその思いは自然に沿った行動力だったのではと考えられる。
なら僕のやることは一つだけ。
天井からバッタもんへ視線を移し諭すように語る。
「僕たちは普通の暮らしに戻るべきだ。バッタもんはいつまでも夢の中で閉じ籠っていても解決にもならない。何を悩んでいるのは分からないけど、そろそろ過去のトラウマと決着をつけよう。現実の世界ではバッタもんを待つ健気な女の子がいるんだから」
「父さんが酷い死に方だったのを知っているだろ。なんとも思わないかよ? それともパチもんは別人格だから他人事だと思っているんだろ? ああそうだよな、パチもんは俺が作り出した偽物だから感情なんて無いもんな。血も涙もない冷血漢だな」
その言いようにはカチンと来た。
心の底から何かがせり上がって来るものを感じた。
熱く滾るものが血管を巡り体の隅々まで火がついたようにヒリヒリと痛い。
やがて脳まで到達すると僕は立ち上がって睨むバッタもんへ詰め寄ると同時にギュッと硬く握った右拳を突き出してバッタもんを殴った。
僕は立ったまま、ヒリヒリする右の拳を撫でながらバッタもんを睨む。
バッタもんは殴られた頬を手で押さえて叫んだ。
「痛えだろ、いきなり殴ることはねえだろパチもん」
「これはな、感情がないって言ったバッタもんへの答えだ。僕は今猛烈に腹が立っている。もう一発食いたいか?」
「感情があることをいちいち拳で伝えなくてもいい。冷静に口で語れよ。先ずは座れ」
軽口叩くばかりのバッタもんしては随分と正論を吐くものだ。
バカな奴だが少しは成長したと見える。
「ふん、バッタもんに言われなくてもそのつもりだ」
僕はバッタもんすぐ正面に座り、ヘタレのバッタもんを諭すように説教をする。
「いいかバッタもん、あの事故はお前のトラウマの一つなんだよな? 今もこうして心の中に引きこもっているのは、他の理由があるからじゃないか? 僕にちゃんと打ち明けてくれないか? 友達だろ?」
バッタもんは僕から目を逸らして俯いて話す。
「怖いだろ現実の世界。記憶は無いし、俺とパチもんが過ごした約八ヶ月はいじめられたり、殺されそうになったりとか。ひょっとしたら父さんの事故以上の酷い事が起こるかもしれいと考えると、凄く怖いんだよ現実が」
なるほど。
これはかなり拗らせている。
確かに父さんの事故だけでも十分すぎるトラウマなのに、この八ヶ月はトラウマになってもおかしくないことがいくつもあった。
それで現実が怖いという気持ちも理解はできる。
さてどうしたものかと考えて浮かんできたのは。
「だったら現実が楽しいならいいのか?」
「現実が楽しい訳ないだろ。パチもんの高校生活見てたら苦労ばっかだし。俺は現実に戻りたくない。このまま多重人格でいいじゃん。引きこもり生活でも悪くはないと思っている」
「それは違うぞバッタもん。それは直接か間接の違いでしかない。それに俯瞰的な立場から僕の生活を見ているだけが、生きていると言えるのか? 結局のところ辛い事を全部僕に丸投げしているだけじゃないか。今すぐとは言わない。トラウマを克服して本来あるべき僕らの姿に戻るべきだ」
「現実世界に直接関わるよりも、間接的に生きた方がましだ。俺はパチもんに寄生して生きたいんだ」
「何を言ってるんだバッタもん。お前がオリジナルで僕がコピーだ。本来の人格であるバッタもんに統合されるべきだ」
「だったら俺の人生の続きはパチもんがすればいいじゃないか。俺はこのまま夢の中で引きこもりたいんだ」
僕は再びカッとなってバッタもんの胸ぐらを掴んで叫んだ。
「情けないことを言うなよ。お前の人生なんだぞ。それに恵さんが待っている月島至恩は僕じゃなくてバッタもんなんだよ。彼女を一生待たせるきか? もうこれ以上待たせたら男として失格だ。会いに行ってやれよバッタもん」
「嫌だ。現実は怖いんだ」
「もう覚悟を決める時じゃないのか? 記憶喪失と多重人格を直さないと。今すぐじゃなくたって良い。覚悟を決めろ!」
バッタもんは口を真一文字に結び、今にも泣き出しそうなのをグッと堪えている。
怯えながらも目は死んではいない。
何かに抗っているようにも見えた。
「……わかった。でも少しだけ待ってくれよ。まだ心の整理がつかない。いきなり『これから人格を一つにしましょう』と言われて『はい、そうですね』と簡単には割り切るほど、俺の心は強くないんだ。パチもんの方こそ消滅する覚悟ができているのかよ。もっとさ、考える事とか、今の内にやっておきたい事はないのか? このまま消滅して後悔や未練はないのかよ」
「それは……ある」
「ほらな。もう少しお互いに考える時間が必要だろ?」
「一理あるな」
僕はバッタもんがここまで雄弁に語れる奴だとは思わなかった。
そして説得力があった。
今回はバッタもんに従おう。
「悪かった。僕も多重人格という事実に感情的なっていて少し焦っていたようだ。確かに未練はあるな。僕も覚悟が足りないのかもしれない」
「ちゃんと皆と話は合おうぜパチもん。俺たち以外の皆にも覚悟と時間は必用だ。別れの言葉も交わさずに強制的に別れさせられたら、ただ悲しいだけだからよ」
「そうだな。バッタもんの言う通りだ」
「そろそろ起きて現実へ戻れ。皆が心配しているだろうから」
「ああ、行ってくる。けどその前にバッタもんは俺を殴れ。さっき殴ったことをこれでチャラにしてくれ」
立ち上がって手を後ろにくんで待機した。
「そうだな。やられっぱなしもシャクだしな一発殴ってやろよ」
バッタもんは勢いよく立ち上がると、拳を振り上げて迫って来た。
僕の意識はそこで途切れた。
僕にそっくりな人物が、僕に足を向けて仰向けに寝ていた。
ここに僕が二人いるということはここは夢の中だろう。
バッタもんの啜り泣く声が聞こえた。
僕がこの夢の中に来るまでずっと一人で泣いていたんだと思う。
僕は気遣って声かけた。
「泣いているのかバッタもん」
「……泣いてない。目にゴミが入っただけだ」
バッタもんは下手な強がりを見せたあと、仰向けのまま両手で顔を覆い隠した。
元気だけが取り柄のバッタもんは落ち込んでいた。
立ち聞きした話を全て聴いていたんだろう。
今さら取り繕っても意味がないのでありのままを訊ねた。
「僕たちは多重人格なんだな。バッタもんはオリジナル。僕はコピーだった」
「何で……何でパチもんはそんなに冷静でいられるんだ?」
「僕だってショックだったさ。麗さんの胸の中で寝落ちする様を俯瞰的に見ていたんだろ?」
「見ていたぜ。でも全然取り乱さなかったじゃねーかよ。それに比べて俺は」
「荒れていたのか?」
「昼休みの恵の態度には腹が立った。だから身につけている物を全てひん剥いてやった。けど心霊写真みたいに、肝心の部分が透明だった」
バッタもんは語義を強めて言った。
予想外の回答だった。
バッタもんの小さな抵抗なんだろうと思う。
ていうか腹が立ってやることがエロ以外に無いのかよとは思った。
不謹慎だけど思わず吹き出してしまった。
バッタもんはバッと上半身を起こし、強く握った拳を床へ叩きつけた。
泣きは腫れた目で僕を睨む。
「笑いごとじゃねーだろパチもん。お前は俺が生んだ別の人格で、恵から消えてもいいと思われているんだぞ」
「確かにあれは堪えたな。でも僕のことで怒ってくれるとは友達思いだな。ありがとよ」
「そうじゃないだろ。お前に悔しさや悲しさが無いのかよ。消えてしまうかもしれないのに。もし俺がパチもんの立場っだったら不安と恐怖で心が押し潰れている」
バッタもんの指摘はもっともだ。
僕だって恵さんからあんな風に言われて腹立たしさや悲しさはある。
そう遠くない未来には、この人格は本来あるバッタもんへ統合され消滅するかもしれない。
この先のことを色々と考えると恐怖と不安で一杯になる。
僕は天を仰いで溜め息を吐いた。
すると天井の角に張られた蜘蛛の巣を発見した。
巣に蝶がかかっていた。
何で夢の中がこんな細かい所まで忠実に再現されているのだろうと考える。
そういえばバッタもん俯瞰的に現実世界を観測できる。
僕と麗さんの会話を見ている時に蜘蛛の巣を見つけたのだろうか。
蜘蛛が蝶へ襲いかかろうとしている瞬間で静止していた。
ここは夢の中だから僕とバッタもん以外は動かない。
だから蝶が襲われることもない。
けれど現実の蝶は、今頃は餌食になっているかもしれない。
僅かな命数しか残されてない蝶から妙な親近感を抱いた。
僕が蝶とするなら、蜘蛛はバッタもんのオリジナルの人格だろうか。
いずれ蜘蛛に食べられ養分になって蜘蛛そのものになる。
そう考えると蝶が不憫でならないけれど、自然の摂理だと考えればどこにでもある日常の一コマに過ぎない。
僕もありふれた日常へ還るべきなのかもしれない。
二つの人格の存在は不自然であり、バッタもんの人格へ統合されるのはごく自然なことかもしれない。
振り返れば昏睡状態から目覚めてからずっと「記憶を取り戻したい、元の生活に戻りたい」と馬鹿の一つ覚えのように繰り返して言ってきたこと。
実はその思いは自然に沿った行動力だったのではと考えられる。
なら僕のやることは一つだけ。
天井からバッタもんへ視線を移し諭すように語る。
「僕たちは普通の暮らしに戻るべきだ。バッタもんはいつまでも夢の中で閉じ籠っていても解決にもならない。何を悩んでいるのは分からないけど、そろそろ過去のトラウマと決着をつけよう。現実の世界ではバッタもんを待つ健気な女の子がいるんだから」
「父さんが酷い死に方だったのを知っているだろ。なんとも思わないかよ? それともパチもんは別人格だから他人事だと思っているんだろ? ああそうだよな、パチもんは俺が作り出した偽物だから感情なんて無いもんな。血も涙もない冷血漢だな」
その言いようにはカチンと来た。
心の底から何かがせり上がって来るものを感じた。
熱く滾るものが血管を巡り体の隅々まで火がついたようにヒリヒリと痛い。
やがて脳まで到達すると僕は立ち上がって睨むバッタもんへ詰め寄ると同時にギュッと硬く握った右拳を突き出してバッタもんを殴った。
僕は立ったまま、ヒリヒリする右の拳を撫でながらバッタもんを睨む。
バッタもんは殴られた頬を手で押さえて叫んだ。
「痛えだろ、いきなり殴ることはねえだろパチもん」
「これはな、感情がないって言ったバッタもんへの答えだ。僕は今猛烈に腹が立っている。もう一発食いたいか?」
「感情があることをいちいち拳で伝えなくてもいい。冷静に口で語れよ。先ずは座れ」
軽口叩くばかりのバッタもんしては随分と正論を吐くものだ。
バカな奴だが少しは成長したと見える。
「ふん、バッタもんに言われなくてもそのつもりだ」
僕はバッタもんすぐ正面に座り、ヘタレのバッタもんを諭すように説教をする。
「いいかバッタもん、あの事故はお前のトラウマの一つなんだよな? 今もこうして心の中に引きこもっているのは、他の理由があるからじゃないか? 僕にちゃんと打ち明けてくれないか? 友達だろ?」
バッタもんは僕から目を逸らして俯いて話す。
「怖いだろ現実の世界。記憶は無いし、俺とパチもんが過ごした約八ヶ月はいじめられたり、殺されそうになったりとか。ひょっとしたら父さんの事故以上の酷い事が起こるかもしれいと考えると、凄く怖いんだよ現実が」
なるほど。
これはかなり拗らせている。
確かに父さんの事故だけでも十分すぎるトラウマなのに、この八ヶ月はトラウマになってもおかしくないことがいくつもあった。
それで現実が怖いという気持ちも理解はできる。
さてどうしたものかと考えて浮かんできたのは。
「だったら現実が楽しいならいいのか?」
「現実が楽しい訳ないだろ。パチもんの高校生活見てたら苦労ばっかだし。俺は現実に戻りたくない。このまま多重人格でいいじゃん。引きこもり生活でも悪くはないと思っている」
「それは違うぞバッタもん。それは直接か間接の違いでしかない。それに俯瞰的な立場から僕の生活を見ているだけが、生きていると言えるのか? 結局のところ辛い事を全部僕に丸投げしているだけじゃないか。今すぐとは言わない。トラウマを克服して本来あるべき僕らの姿に戻るべきだ」
「現実世界に直接関わるよりも、間接的に生きた方がましだ。俺はパチもんに寄生して生きたいんだ」
「何を言ってるんだバッタもん。お前がオリジナルで僕がコピーだ。本来の人格であるバッタもんに統合されるべきだ」
「だったら俺の人生の続きはパチもんがすればいいじゃないか。俺はこのまま夢の中で引きこもりたいんだ」
僕は再びカッとなってバッタもんの胸ぐらを掴んで叫んだ。
「情けないことを言うなよ。お前の人生なんだぞ。それに恵さんが待っている月島至恩は僕じゃなくてバッタもんなんだよ。彼女を一生待たせるきか? もうこれ以上待たせたら男として失格だ。会いに行ってやれよバッタもん」
「嫌だ。現実は怖いんだ」
「もう覚悟を決める時じゃないのか? 記憶喪失と多重人格を直さないと。今すぐじゃなくたって良い。覚悟を決めろ!」
バッタもんは口を真一文字に結び、今にも泣き出しそうなのをグッと堪えている。
怯えながらも目は死んではいない。
何かに抗っているようにも見えた。
「……わかった。でも少しだけ待ってくれよ。まだ心の整理がつかない。いきなり『これから人格を一つにしましょう』と言われて『はい、そうですね』と簡単には割り切るほど、俺の心は強くないんだ。パチもんの方こそ消滅する覚悟ができているのかよ。もっとさ、考える事とか、今の内にやっておきたい事はないのか? このまま消滅して後悔や未練はないのかよ」
「それは……ある」
「ほらな。もう少しお互いに考える時間が必要だろ?」
「一理あるな」
僕はバッタもんがここまで雄弁に語れる奴だとは思わなかった。
そして説得力があった。
今回はバッタもんに従おう。
「悪かった。僕も多重人格という事実に感情的なっていて少し焦っていたようだ。確かに未練はあるな。僕も覚悟が足りないのかもしれない」
「ちゃんと皆と話は合おうぜパチもん。俺たち以外の皆にも覚悟と時間は必用だ。別れの言葉も交わさずに強制的に別れさせられたら、ただ悲しいだけだからよ」
「そうだな。バッタもんの言う通りだ」
「そろそろ起きて現実へ戻れ。皆が心配しているだろうから」
「ああ、行ってくる。けどその前にバッタもんは俺を殴れ。さっき殴ったことをこれでチャラにしてくれ」
立ち上がって手を後ろにくんで待機した。
「そうだな。やられっぱなしもシャクだしな一発殴ってやろよ」
バッタもんは勢いよく立ち上がると、拳を振り上げて迫って来た。
僕の意識はそこで途切れた。
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