【完結】独り語り

桐生千種

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第2弾 冷たい同級生

トラック4 相棒(1)

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 見慣れた殺風景な自分の部屋に、今日は見慣れないキミがいる。

 緊張している様子のキミを見て、本当は僕の方が緊張しているなんて絶対に教えない。


「お待たせ。麦茶でよかった?」



「いーえ。……なに? 緊張してるの?」



「ウソ。バレバレ。別に、取って食ったりしないよ、って言ってもムダか。初めてだもんね、ウチ来るの。どう? 初めて来た感想は」



「そう。こういう部屋は嫌い?」



「ならよかった」



「逃げないで。言ったでしょ。取って食ったりしないって。ただ、ぎゅってするだけ」



「好きだよ? こうやって、後ろから抱き込んでぎゅってできるの、僕だけ、でしょ? キミは僕の彼女なんだって、実感できる。僕、自分がこんなに独占欲が強いなんて知らなかった。今まで、他人が僕をどう思っていようが関係ないって思ってたのに、キミには好かれたいと思う。キミが僕をどう思っているのか、気になって仕方がない」



「ね、僕のこと、好き?」



「僕も好きだよ。キミのことが」



「でも、あの時はびっくりしたなあ。キミに突き飛ばされて、諦めなきゃって思った矢先、まさか胸倉掴んでキスしてくれるなんて」



「ごめんごめん。暴れないで」



「そんなところも好き、だよ?」
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