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第2弾 冷たい同級生
トラック2 成長(2)
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意識的にキツイ言葉を投げかけて、それでも帰ろうとしないキミ。
いつまでもこんなやり取りを続けていても、続けるだけ時間を浪費するだけ。
そんなこと、キミとの短い付き合いの中で僕は充分過ぎるほどに理解した。
「……早く座れば? 半分寄こせって言うんでしょ」
「これが資料」
「明日のホームルームでは、文化祭で販売するメニューを決めるから関係する注意事項を抜き出しといてくれる?」
「……僕? 僕は予算の振り分け。2人で同じ作業をしても仕方ないでしょ」
「まずは読んで」
「読みながらでいい。食品衛生に関係する項目に色のついたペンで線を引いて。終わったら教えて」
「……何」
「……そう見える? ならそうなんじゃない? 口じゃなくて、手を動かしなよ」
「……今度は何。まさか、漢字が読めないなんて言わないよね?」
「へえ……。思ったよりは成長してるんだ」
「予算が終わってからやろうと思ってたけど、キミが衣装の注意事項も一緒に見れるっていうなら頼むよ」
「必要な部分をプリントにまとめて配るけど、それがどうかした?」
「……なるほど。その考えはなかった。模造紙か画用紙ならそんなに予算もとらないだろうし。それで頼むよ」
「……去年も経験してるからね。最低限、出店禁止にはしたくないし」
「……去年の文化祭、覚えてないの?」
「文化祭も、授業の一環なんだよ? 全校でスムーズに文化祭を企画、運営できるように、規則が定められている。規則違反をしたクラスは減点表に則って点数が引かれて、一定数以上のマイナスがつくと出店禁止になるってわけ」
「生徒会と教師に決まってるでしょ。もしかして、生徒会と教師がときどき覗きに来てたのはサボりかなにかだと思ってた?」
「去年のキミのクラスのクラス委員は優秀だったみたいだね。キミがいながら出店できたんだから」
「今年は、キミが委員である意味よかったよ。キミがマイナスを稼ぐ危険人物だと知れたから」
「キミがただのクラスメイトだったなら、危険人物だと判断できる自信が僕にはないらかね。今年はキミをしっかりマークしておくよ」
「そう」
「まあ、自分で注意事項を書き出して貼り出すんだからそうか」
「でも、期待はしないでおくよ」
いつまでもこんなやり取りを続けていても、続けるだけ時間を浪費するだけ。
そんなこと、キミとの短い付き合いの中で僕は充分過ぎるほどに理解した。
「……早く座れば? 半分寄こせって言うんでしょ」
「これが資料」
「明日のホームルームでは、文化祭で販売するメニューを決めるから関係する注意事項を抜き出しといてくれる?」
「……僕? 僕は予算の振り分け。2人で同じ作業をしても仕方ないでしょ」
「まずは読んで」
「読みながらでいい。食品衛生に関係する項目に色のついたペンで線を引いて。終わったら教えて」
「……何」
「……そう見える? ならそうなんじゃない? 口じゃなくて、手を動かしなよ」
「……今度は何。まさか、漢字が読めないなんて言わないよね?」
「へえ……。思ったよりは成長してるんだ」
「予算が終わってからやろうと思ってたけど、キミが衣装の注意事項も一緒に見れるっていうなら頼むよ」
「必要な部分をプリントにまとめて配るけど、それがどうかした?」
「……なるほど。その考えはなかった。模造紙か画用紙ならそんなに予算もとらないだろうし。それで頼むよ」
「……去年も経験してるからね。最低限、出店禁止にはしたくないし」
「……去年の文化祭、覚えてないの?」
「文化祭も、授業の一環なんだよ? 全校でスムーズに文化祭を企画、運営できるように、規則が定められている。規則違反をしたクラスは減点表に則って点数が引かれて、一定数以上のマイナスがつくと出店禁止になるってわけ」
「生徒会と教師に決まってるでしょ。もしかして、生徒会と教師がときどき覗きに来てたのはサボりかなにかだと思ってた?」
「去年のキミのクラスのクラス委員は優秀だったみたいだね。キミがいながら出店できたんだから」
「今年は、キミが委員である意味よかったよ。キミがマイナスを稼ぐ危険人物だと知れたから」
「キミがただのクラスメイトだったなら、危険人物だと判断できる自信が僕にはないらかね。今年はキミをしっかりマークしておくよ」
「そう」
「まあ、自分で注意事項を書き出して貼り出すんだからそうか」
「でも、期待はしないでおくよ」
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