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エピローグ

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 僕には、好きな女の子がいる。もちろん、異性として。僕にとって彼女の存在は特別で、僕がこの先の人生において彼女以外を好きになることなんてあり得ない。

 彼女――小春と出会ったのは、僕が年中組のとき。幼等部を見学に来ていて迷子になってしまった小春は小さな少女。

 目に涙をいっぱいに溜めて僕を見上げるその姿に、僕は恋をした。もっと声が聞きたい、もっといろんな表情を見せてほしい。僕の手で保護して家に連れて帰って、甘やかして構い倒して僕だけの女の子にしたい。

 そんな僕の心を知った天からの罰か、それとも小春を手にするための試練なのか、小春は重度の男性恐怖症だった。

 僕のことも始めは女の子だと思っていた。僕を見て、違う人だって。

 でも、覚えていてくれたんだ。長い時間をかけてあのときの僕と今までの僕が、小春の中で同じ人物になった。

 僕と小春、2人だけの小さな思い出。大人に近づいた今でも、鮮明に残る思い出。

 あの日突然始まった、長い長い僕の片想いは、長い長い時間をかけてゆっくりと進みだした。

 ゆっくりと、ゆっくりと、ようやく触れ合える距離に近づいた。

 これから先も、ゆっくりと、小春のペースで進んでいこう。待つことには、慣れているから。僕はいつまででも待つよ。小春に1番近い場所で。

 僕の片想いは、長い長い時間をかけて、今ようやく進み始めた。


 *** 中原マナの片想い 終 ***
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