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3 近江花音はアイドルですっ!
6.近江花音は高校生
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04年4月13日火曜日。
今日は入学式。
桜月学園付属桜ノ女子高等学校、1年A組。
近江花音、高校生になりました。
タレント事務所『トップ・スター』に所属して、『スカイアクア』、『アクアブルー』としてデビューして、中学生の3年間、雑誌に載ったりテレビに出たり、いろいろ、たくさん、キラキラした毎日を過ごすことができた。
「花音ちゃんだー」
小さな声が耳に届く。
まるで、街の中を歩いているときのような既視感。
チラチラと見られているような気配は、気のせいではなく。
物珍しそうに見られることには、3年の間に慣れたけど、今は学校。
今までそんなことはなかったのに、と思い返して気がつく。
高校生になったんだ、と。
高校生になると、中学からそのまま進級してくる子より、余所の、桜月学園以外の学校から入ってくる子の方が多くなる。
みんな、『スカイアクアの』『アクアブルーの』『近江花音が同じ学校にいる』ということが珍しいんだ。
「花音ちゃん」
聞き慣れた声に振り返ると、麗ちゃんが立っていた。
「また同じクラスになれたね」
そう言う麗ちゃんとは、幼等部からずっと、文字通りずっと同じクラスの記録を今年もまた更新した。
「また3年間よろしくお願いします」
「こちらこそー」
3年間。
桜月学園のA組は特進科で、普通科の全生徒のうちの成績が上位15人で構成される特殊な学科。
成績が落ちない限り、A組のクラス変更は行われず、結果として3年間、A組になる。
「2人は頭いいからいいよね、私なんて絶対ぎりぎりだったよ。来年にはいないかも……」
そう言う萌果ちゃんも、同じくA組。
「せっかく私が勉強教えてあげて入れたんだから、3年間居座ってよ」
「私、高校生になっても花音ちゃんと麗ちゃんと同じクラスでいたい!」そう言っていた萌果ちゃんは、3年間ほとんどクラス替えのないA組に入るために凄く勉強を頑張っていた。
「大丈夫」
萌果ちゃんが頑張っていること、私は知っている。
「萌果ちゃんは、できる子だよ。3年間、また仲良くしてね」
「花音ちゃーんっ」
ぎゅうと、抱き付いてくれる萌果ちゃんのそんな行動が心地いい。
「それにしても、外進生マナー悪い。花音ちゃんはパンダじゃないのに」
口を尖らせる麗ちゃんも、この視線は気になっているみたいで……。
でもこればっかりは、私ではどうしようもできない。
「ごめんね……」
「花音ちゃんが謝ることじゃないよ。早く慣れてくれるといいんだけど……」
麗ちゃんはそう言うけど、本当を言うと私はそれほど気にならない。
それに、こうして見られてるってことは見てる人の数だけ『近江花音』を知ってくれているってことだから。
ただ今は、また同じクラスになれた麗ちゃんと萌果ちゃんとの高校生生活に心躍らせよう。
絶対楽しい毎日になるに違いないから。
今日は入学式。
桜月学園付属桜ノ女子高等学校、1年A組。
近江花音、高校生になりました。
タレント事務所『トップ・スター』に所属して、『スカイアクア』、『アクアブルー』としてデビューして、中学生の3年間、雑誌に載ったりテレビに出たり、いろいろ、たくさん、キラキラした毎日を過ごすことができた。
「花音ちゃんだー」
小さな声が耳に届く。
まるで、街の中を歩いているときのような既視感。
チラチラと見られているような気配は、気のせいではなく。
物珍しそうに見られることには、3年の間に慣れたけど、今は学校。
今までそんなことはなかったのに、と思い返して気がつく。
高校生になったんだ、と。
高校生になると、中学からそのまま進級してくる子より、余所の、桜月学園以外の学校から入ってくる子の方が多くなる。
みんな、『スカイアクアの』『アクアブルーの』『近江花音が同じ学校にいる』ということが珍しいんだ。
「花音ちゃん」
聞き慣れた声に振り返ると、麗ちゃんが立っていた。
「また同じクラスになれたね」
そう言う麗ちゃんとは、幼等部からずっと、文字通りずっと同じクラスの記録を今年もまた更新した。
「また3年間よろしくお願いします」
「こちらこそー」
3年間。
桜月学園のA組は特進科で、普通科の全生徒のうちの成績が上位15人で構成される特殊な学科。
成績が落ちない限り、A組のクラス変更は行われず、結果として3年間、A組になる。
「2人は頭いいからいいよね、私なんて絶対ぎりぎりだったよ。来年にはいないかも……」
そう言う萌果ちゃんも、同じくA組。
「せっかく私が勉強教えてあげて入れたんだから、3年間居座ってよ」
「私、高校生になっても花音ちゃんと麗ちゃんと同じクラスでいたい!」そう言っていた萌果ちゃんは、3年間ほとんどクラス替えのないA組に入るために凄く勉強を頑張っていた。
「大丈夫」
萌果ちゃんが頑張っていること、私は知っている。
「萌果ちゃんは、できる子だよ。3年間、また仲良くしてね」
「花音ちゃーんっ」
ぎゅうと、抱き付いてくれる萌果ちゃんのそんな行動が心地いい。
「それにしても、外進生マナー悪い。花音ちゃんはパンダじゃないのに」
口を尖らせる麗ちゃんも、この視線は気になっているみたいで……。
でもこればっかりは、私ではどうしようもできない。
「ごめんね……」
「花音ちゃんが謝ることじゃないよ。早く慣れてくれるといいんだけど……」
麗ちゃんはそう言うけど、本当を言うと私はそれほど気にならない。
それに、こうして見られてるってことは見てる人の数だけ『近江花音』を知ってくれているってことだから。
ただ今は、また同じクラスになれた麗ちゃんと萌果ちゃんとの高校生生活に心躍らせよう。
絶対楽しい毎日になるに違いないから。
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