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2 近江花音は小学生

6.花音の色(1)

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 01年3月1日木曜日。

 夏が終わって秋がきて、冬も過ぎてもうすぐ春。

 タレント事務所のレッスンは続いている。

 毎週火曜日、木曜日、土曜日の週3日。

 それ以外の曜日は自由。

 友達と遊んだり、ママとお買い物をしたり、前よりもずっとずっと、毎日が楽しいと思えてる。

「おはようございます」

 今日は木曜日。

 レッスンがある日。

「おはよう、花音ちゃん」

 返ってきたあいさつに、私はもう1度、今度は彼に向けて言葉をかける。

「おはようございます、義人君」

 驚いたことに、『カフェ ソレイユ』のキラキラの店員さん、天野義人君も一緒にレッスンを受けている。

 私が入ったときは、ほんの数人だったレッスン生も今では10人。

 みんな仲良しで、年齢はバラバラだけど素敵な友達。

「いやあ!!」

 突如としてあがった悲鳴。

 けど、これはもう聞き慣れてしまったもの。

 本人にとっては、重大な問題なのかもしれないけど……。

「ひかる君のバカ! ひかる君のバカ! ひかる君のばかあ!」

 「ばかばか」と言いながらプルプル震える小春ちゃんの背中には、ぴっとりとひかる君がくっついていた。

「僕、ここだよ?」

 小春ちゃんの前に立って、わざわざそう言うのはひかる君と同じ姿をした、あかりちゃん。

 2人は双子で、見た目がそっくりだけど、小春ちゃんが言うのなら間違いない。

「私、あかりだよ?」

 ひかる君が言うけれど、小春ちゃんは信じない。

「うそぉ! うそぉ! うそぉ!」

 今にも泣き出しそてしまいそうな小春ちゃんは、男の人が苦手な女の子。

 一方で、ひかる君とあかりちゃんはイタズラっ子で、よく小春ちゃんにくっついて遊んでいる。

 小春ちゃんの反応が面白いみたいだけど、あんまりやり過ぎると……。

「いい加減にしなよ」
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