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2 近江花音は小学生
5.パパの色(2)
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パパが言った。
「花音も、もう6年生だし、来年には中学生になるだろう?」
パパが、私を見る。
「だからね、習いごとは辞めてもいいんじゃないかって思うんだ。もちろん、花音が続けたいと思うなら、辞める必要はない。花音の意思を尊重するよ」
「どうして? 花音ちゃん、いままでずっと頑張ってきたのよ? それを今さら辞めるなんて」
「それはママが頑張らせたいことであって、花音が頑張りたいことじゃないだろう? パパはずっと不思議だったんだ。花音は全然友達の話をしてくれないから。でも、気づいたよ。花音には友達と過ごす時間が、学校にしかないんだって。放課後に友達と語り合うこともできないだろう? それに、最近の花音は毎日がとてもつまらなそうだ。もっと友達との時間をつくるべきなんじゃないかと、パパは思うよ。それに中学生になるんだ。そろそろ、ママが頑張らせたいことじゃなく、花音が頑張りたいことを頑張るべきだと思うよ」
――私自身が、頑張りたいこと。
1つ、2つ、と考える。
バレエもピアノも声楽も英会話もお習字もお茶もお花も嫌いじゃない。
でも、特別に頑張りたいと思うほど好きとも言えなくて……。
「私ね、バレエもピアノも声楽も英会話もお習字もお茶もお花も嫌いじゃないよ。キライじゃないけど、キラキラできないの」
「キラキラ?」
「お店のお手伝いをしている天野君は、とてもキラキラしてるの。とても楽しそうで、眩しいくらい。それに、今日見た女の子たちも、すごくキラキラしてた。私も、キラキラしたいって思ったよ。あの子たちみたいに、キラキラしたいって」
「そうか……」
パパはそれだけ呟いた。
「花音も、もう6年生だし、来年には中学生になるだろう?」
パパが、私を見る。
「だからね、習いごとは辞めてもいいんじゃないかって思うんだ。もちろん、花音が続けたいと思うなら、辞める必要はない。花音の意思を尊重するよ」
「どうして? 花音ちゃん、いままでずっと頑張ってきたのよ? それを今さら辞めるなんて」
「それはママが頑張らせたいことであって、花音が頑張りたいことじゃないだろう? パパはずっと不思議だったんだ。花音は全然友達の話をしてくれないから。でも、気づいたよ。花音には友達と過ごす時間が、学校にしかないんだって。放課後に友達と語り合うこともできないだろう? それに、最近の花音は毎日がとてもつまらなそうだ。もっと友達との時間をつくるべきなんじゃないかと、パパは思うよ。それに中学生になるんだ。そろそろ、ママが頑張らせたいことじゃなく、花音が頑張りたいことを頑張るべきだと思うよ」
――私自身が、頑張りたいこと。
1つ、2つ、と考える。
バレエもピアノも声楽も英会話もお習字もお茶もお花も嫌いじゃない。
でも、特別に頑張りたいと思うほど好きとも言えなくて……。
「私ね、バレエもピアノも声楽も英会話もお習字もお茶もお花も嫌いじゃないよ。キライじゃないけど、キラキラできないの」
「キラキラ?」
「お店のお手伝いをしている天野君は、とてもキラキラしてるの。とても楽しそうで、眩しいくらい。それに、今日見た女の子たちも、すごくキラキラしてた。私も、キラキラしたいって思ったよ。あの子たちみたいに、キラキラしたいって」
「そうか……」
パパはそれだけ呟いた。
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