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2 近江花音は小学生

4.ママの色(2)

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 そうしてやってきた、『ミツキモール』はこの辺で1番大きな大型ショッピングセンター。

「花音ちゃん、はぐれないように手をつなごう」

「うん」

 夏休みのせいか、人がすごく多い。

「まずは、発表会のお洋服ね」

 大型ショッピングセンター『ミツキモール』には、いろんなお店が入っている。

 いろんなものを買い揃えられる。

 食品、雑貨、お洋服、電化製品……。

 パーティドレスも買える。

「んー、これとこれと……これも可愛い。花音ちゃん、ちょっと合わせてみて」

 お買い物をするママはすごく楽しそうで、私はママに言われるまま、お洋服や小物を自分に合わせていく。

 ピンクや白の、ヒラヒラでフリフリの、レースやリボンがたくさんついたお洋服。

「可愛い! 花音ちゃん、お人形さんみたい! もう全部ください!」

 ママがお会計をしている間、ふとお店の外を見ると黒いドレスの女の子が通り過ぎて行くのが見えた。

 レースやリボンがついているけど、このお店にはない黒色の可愛いお洋服。

 黒色でも、可愛いお洋服があるんだ……なんて。

「花音ちゃん、次は普段のお洋服ね」

「うん」

 次に入ったお店も、ピンクや水色や白や黄色のカラフルな色のお店。

 さっきの女の子が来ていたような黒色はない。

「これも可愛い! 花音ちゃん、着てみて!」

 このお店でも、ママに言われるまま。

 私のお洋服は、全部ママが選ぶものだから。

 ピンクで白で、フワフワ、ヒラヒラ。

 それが、ママの色。

 ママの色が、私の色。

「少し休もうか」

 一通りのお買い物を終えて、ママが言った。
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