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2 近江花音は小学生
2.太陽の色(2)
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そこには、男の子がいた。
私と同じ歳くらいの男の子が、お店の制服を着て立っていた。
「2名様ですか? 禁煙席でよろしいですか?」
男の子は慣れた様子で、ママと私を案内する。
他の店員のお姉さんと変わりなく、違うところといえばその身長くらい。
私と変わらない身長で、子供らしいその声で、大人みたいに振る舞う。
「本日のオススメはこちらになります。ランチセットですと、こちらがお得でオススメです」
流れるような所作に、目を奪われる。
「ありがとう。しっかりしているのね。中学生かしら?」
一通りの説明を終えた様子の彼に、ママが聞いた。
「いえ、まだ小学6年生です。来年から中学生になります」
「小学生でアルバイト?」
「家の手伝いです。両親が経営しているので、無理を言って僕も手伝わせてもらってます」
ママの質問に答える彼は、終始ニコニコしていて、キラキラしていて、綺麗だと思った。
「では、ご注文が決まりましたらそちらのボタンでお呼びください」
そう言うと、彼は綺麗な一礼を見せて去って行った。
あんな子、私の学校にはいない。
女子小学校だから男の子はいないんだけど、それでも彼みたいに本物のお店の店員さんができる子はきっといないと思う。
「花音ちゃん、プリンよ。ほら、サクランボもついてる」
メニューを見ていたママがデザートのページを開いて見せてくれる。
カラフルな、可愛いケーキやゼリーと並ぶプリン。
「食べてもいい?」
「ちゃんとお野菜も食べるのよ。でも食べ過ぎないで」
「うん」
デザートにプリンを食べて、ちょっぴり幸せな気分でお店を出た。
席まで案内してくれた彼は、それっきりお店の中で見ることはなかった。
もう1度来たら、また彼を見られるかな……なんて、そんなことを思った。
私と同じ歳くらいの男の子が、お店の制服を着て立っていた。
「2名様ですか? 禁煙席でよろしいですか?」
男の子は慣れた様子で、ママと私を案内する。
他の店員のお姉さんと変わりなく、違うところといえばその身長くらい。
私と変わらない身長で、子供らしいその声で、大人みたいに振る舞う。
「本日のオススメはこちらになります。ランチセットですと、こちらがお得でオススメです」
流れるような所作に、目を奪われる。
「ありがとう。しっかりしているのね。中学生かしら?」
一通りの説明を終えた様子の彼に、ママが聞いた。
「いえ、まだ小学6年生です。来年から中学生になります」
「小学生でアルバイト?」
「家の手伝いです。両親が経営しているので、無理を言って僕も手伝わせてもらってます」
ママの質問に答える彼は、終始ニコニコしていて、キラキラしていて、綺麗だと思った。
「では、ご注文が決まりましたらそちらのボタンでお呼びください」
そう言うと、彼は綺麗な一礼を見せて去って行った。
あんな子、私の学校にはいない。
女子小学校だから男の子はいないんだけど、それでも彼みたいに本物のお店の店員さんができる子はきっといないと思う。
「花音ちゃん、プリンよ。ほら、サクランボもついてる」
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「食べてもいい?」
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「うん」
デザートにプリンを食べて、ちょっぴり幸せな気分でお店を出た。
席まで案内してくれた彼は、それっきりお店の中で見ることはなかった。
もう1度来たら、また彼を見られるかな……なんて、そんなことを思った。
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