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第三章 未開発の森
#80 核を壊す魔力量
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「どうなってるんだ!?核を壊したのに!?」
周りがざわつき始める。
魔獣が呼び寄せた魔物はある程度数を減らしている。ルナの魔法のおかげだ。だが、一度は取り戻した士気が見る見るうちに下がっていく。
(何か、手はないか……)
核を二つ壊した。ではまだ何処かに核があるというのだろうか。それとも……。
立ち上がった魔獣の攻撃を跳んで躱す。木の枝の上に乗り、次の木へと跳び移る。
「脳にあと一つある!だが他の核も再生している!!」
「核が再生!?」
ルナが信じられないと言うように声を上げる。核が再生していては、いつまでたっても倒せない。しかし、どうやってそれを知ったのか……。
「透視の魔法……使える人がいるとは」
レイモンドがぼそりと呟く。珍しい魔法なのだろう。
「核を同時に壊してみましょう。それが一番可能性があるわ」
ルナが魔獣の目に氷の槍をねじ込みながら提案する。氷の槍は目から脳に達し、核を壊す音が周囲に響く。それでも魔獣は倒れない。ルナは、ある程度予想していたのだろう。
「だが核は堅い。そもそも装甲ごと核を壊せるのはお嬢さんの魔法ぐらいだ!」
グレッグが魔物を切り伏せながらルナに向けて叫ぶ。
「私の魔力量では全ての核を攻撃するのは厳しいです!出来て三カ所の装甲を破るぐらいで……」
「それが出来るだけ十分に凄いと思いますけど……。では装甲を破った後に核自身を壊す役目が必要ですね」
レイモンドが苦笑いを浮かべる。
一つの魔法を使う際に使える魔力量が全体の十分の一。同時に使う場合はその法則が適応されるらしい。ルナから聞いた話では、ルナ自身は100程までしか一度に使ったことがないらしい。それ以上使おうとすると、魔力の暴走の危険せいがある。そう師匠に言われたと。
(核を壊すにはそれほどの魔力がいるということか……)
こうして作戦を考えている間にも、魔獣は攻撃を繰り返してくる。各々避けながら、思ったことを口にする。
「俺とユースの坊主と……」
「私にも攻撃させてくれ。まだ戦える」
ウィクトールが肩を押さえながら声を上げる。
「ちょっと!まだ血が止まってないじゃない!」
ルナは目くじらを立ててウィクトールを叱る。しかし、ウィクトールは止まらない。
「ここでこの魔獣を倒せなければ、森の開拓は進まない。それは国にとって損害だ。……いや、私は自身の手で魔獣を倒したという証明が欲しい。私は、私の為に戦いたいのだ」
ウィクトールの言葉は、決して野心の為だけではない。認められる為の、足がかりとして、魔獣を倒したいのだろう。
「……男の人の、出世とかは全然気持ちが分らないけれど、貴方が命を無駄にしないのなら、許しても良いわ」
ウィクトールはルナの結界で包まれている。だからこそ、ルナが了承しなければならなかった。その思いでルナに届いたのか、ルナは了承した。不思議と、親しいような雰囲気が漂っている。
「済まない。ありがとう」
ウィクトールは汗を滲ませた顔に微笑みを浮かべた。
周りがざわつき始める。
魔獣が呼び寄せた魔物はある程度数を減らしている。ルナの魔法のおかげだ。だが、一度は取り戻した士気が見る見るうちに下がっていく。
(何か、手はないか……)
核を二つ壊した。ではまだ何処かに核があるというのだろうか。それとも……。
立ち上がった魔獣の攻撃を跳んで躱す。木の枝の上に乗り、次の木へと跳び移る。
「脳にあと一つある!だが他の核も再生している!!」
「核が再生!?」
ルナが信じられないと言うように声を上げる。核が再生していては、いつまでたっても倒せない。しかし、どうやってそれを知ったのか……。
「透視の魔法……使える人がいるとは」
レイモンドがぼそりと呟く。珍しい魔法なのだろう。
「核を同時に壊してみましょう。それが一番可能性があるわ」
ルナが魔獣の目に氷の槍をねじ込みながら提案する。氷の槍は目から脳に達し、核を壊す音が周囲に響く。それでも魔獣は倒れない。ルナは、ある程度予想していたのだろう。
「だが核は堅い。そもそも装甲ごと核を壊せるのはお嬢さんの魔法ぐらいだ!」
グレッグが魔物を切り伏せながらルナに向けて叫ぶ。
「私の魔力量では全ての核を攻撃するのは厳しいです!出来て三カ所の装甲を破るぐらいで……」
「それが出来るだけ十分に凄いと思いますけど……。では装甲を破った後に核自身を壊す役目が必要ですね」
レイモンドが苦笑いを浮かべる。
一つの魔法を使う際に使える魔力量が全体の十分の一。同時に使う場合はその法則が適応されるらしい。ルナから聞いた話では、ルナ自身は100程までしか一度に使ったことがないらしい。それ以上使おうとすると、魔力の暴走の危険せいがある。そう師匠に言われたと。
(核を壊すにはそれほどの魔力がいるということか……)
こうして作戦を考えている間にも、魔獣は攻撃を繰り返してくる。各々避けながら、思ったことを口にする。
「俺とユースの坊主と……」
「私にも攻撃させてくれ。まだ戦える」
ウィクトールが肩を押さえながら声を上げる。
「ちょっと!まだ血が止まってないじゃない!」
ルナは目くじらを立ててウィクトールを叱る。しかし、ウィクトールは止まらない。
「ここでこの魔獣を倒せなければ、森の開拓は進まない。それは国にとって損害だ。……いや、私は自身の手で魔獣を倒したという証明が欲しい。私は、私の為に戦いたいのだ」
ウィクトールの言葉は、決して野心の為だけではない。認められる為の、足がかりとして、魔獣を倒したいのだろう。
「……男の人の、出世とかは全然気持ちが分らないけれど、貴方が命を無駄にしないのなら、許しても良いわ」
ウィクトールはルナの結界で包まれている。だからこそ、ルナが了承しなければならなかった。その思いでルナに届いたのか、ルナは了承した。不思議と、親しいような雰囲気が漂っている。
「済まない。ありがとう」
ウィクトールは汗を滲ませた顔に微笑みを浮かべた。
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