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第二章 ギルド要請冒険者

#14 提案

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「剣士さん、大丈夫ですか?」
 風魔法による高速移動、通称『ジェットコースター』で酔ってしまったユースの為に、いったん休憩時間を設けた。
「……ダイジョウブダ」
「大丈夫じゃないですね……もうしばらく休みますか」
 片言で返事を返す剣士をいたわり、草原に座り込む。
 ここは王都から馬車で三時間ほどのウィーナム草原だ。ちなみに『ジェットコースター』だと40分ほどでつける。それ故に、反動が凄い。
 フェーリエ達は、エールの名産地であるウィーナム村に向かってる最中だ。
 何故フェーリエ達が向かっているのか。それはギルド長のとある提案のせいだった。

「君たちに1つ提案したいことがある。君達、ギルド要請冒険者にならないか?」
「「ギルド要請冒険者??」」
 ガストフの言葉に、フェーリエ達は同時に聞き返す。
「名前の通り、ギルドが要請するクエストを解決しに行って貰うヒトを指す。通常クエストは、依頼者が報酬を用意し、ギルドを通して冒険者を募る。しかし、地方では危険なクエストが多く、ほとんどが見合った報酬を用意できない。そのため、地方では達成されないクエストが増え続けている。それを改善するのための制度が、ギルドが支給する報酬のみを受け取って活動する……ギルド要請冒険者だ」
「つまり、割に合わない仕事をしろと?」
 言い方は冷たく聞こえるが、これがこの人のデフォルトなのだろう。フェーリエは、ユースをそう評価した。
「率直に言えばそうなる。だが、これも君達のためだ」
「?どういうことですか」
「アンジェリカから聞いたが、君達はあのクエストを受けたいのだろう?なら、早いうちにランクは上げておきたいだろう。それに、受けたクエスト内容の評価も必要になる」
 なぜアンジェリカがギルド長と?と疑問が湧いたが、話を遮る訳にはいかず、後で聞く事にした。
「なぜ内容の評価が?」
「只のSランクには任せられない。ヒトの良さが必要って事だ。それを考えると、ボランティアに近いこの話は受けておいて損はないぞ」
 ガストフは笑っている。断わることはない。そう確信した目だ。
「勿論ずっとじゃない。しばらくすれば上の阿呆も落ち着く。君達に正当な評価を下せるよう私も尽力する。そうすれば、君達は受けたいクエストを受けると良い」
 キングを倒した、少なくともBランクは超えるさ、とガストフは言う。それまではランク関係なくクエストを提供してくれるそうだ。
「さあ、どうする?君達に損はさせない。私を信じてくれないか?」
 かくして、フェーリエ達はこの提案を受け入れた。

(最初から移動時間3時間の場所を指定するとは……)
 確かに『ジェットコースター』を使うとすぐだが、慣れないヒトをつれていてはどこまで飛ばして良いか分からなくなる。使い始めの頃は自分も酔ったし、いつも浮かんでいるアウラも目を回していた。
(ま、付き合うって決めたし、仲良くしないとねぇ)
 隣で気分悪げに俯く仮面剣士を見ながら、フェーリエ小さく笑った。
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