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4章 フェイトオブデッドエンド
125話 双翼の双子
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また城を進んでいくと、今度はそっくりな2人に出会った。
おそらくは、双翼の双子。サクラとともに戦うべき敵。
心奏共鳴を使えることは分かっている。だから、心奏具だって使えることになる。
さて、どんな能力だろうか。俺達の力を超えるほどだろうか。
シャーナさんが名前を挙げた、きっと強いはずの相手。
これまで以上に苦戦することは簡単に想像できる。
だからこそ、しっかりと油断せずに行かなくては。
これまでに戦ってきた相手は、どちらも俺は活躍できなかった。今度こそ。
いや、余計な気負いだ。俺が何もできなくても、無事に勝てるのならばそれでいい。優先順位を見誤るな。
「ルミリエ。俺とサクラで挑めば良いんだよな?」
「うん、合ってるよ。バリバリ頑張ってね」
「じゃあ、リオン。行きましょうか。覚悟れ――プロミスオブボンド!」
サクラの首元にネックレスが出現する。
とびきりに強い心奏具だが、相手は心奏共鳴を使えるからな。サクラだけに任せる訳にはいかない。
いくら上級魔法を複数撃てようが、心奏共鳴の前では厳しい感じがあるからな。
「兄さん、行こうか」
「そうだな、オルギア」
弟の方の名前は分かった。さほど重要な情報とは思えないが、覚えておこう。
それよりも、相手はどう出てくる。心奏具の能力は何だ?
俺が考え事をしている間に、サクラは複数の上級魔法を放っていく。
どう対応する? 様子を見ていると、2人の間に光がつながる。
まずい、心奏共鳴だ。慌ててサクラをエンドオブティアーズの盾でかばう。
耐えられるか? 心奏共鳴を盾で受けたことなんて一度もない。
どれほどの威力かは分からないが、今すぐに殺すのは難しそうだ。
そうなると、頑張って耐えるしかない。エンドオブティアーズ、壊れてくれるなよ!
「「心奏共鳴――以心伝心LV10」」
LV10だと!? 俺が使ったことのある心奏共鳴はノエルとの合縁奇縁LV5が最高。
つまり、俺の全く知らない領域の攻撃が行われる。だが、ここからやれることは耐えることだけ。
頼む、もってくれよ。こんなところで負けるわけにはいかないんだ!
敵の方から、渦巻いた水のような風のようなものが飛んでくる。
エンドオブティアーズの盾を構えて、全力で防御態勢に入る。
サクラもともに盾を支えてくれて、俺にできることは全てやったはずだ。
とても長く感じる数瞬の後、以心伝心LV10が盾に直撃した。
「くっ、このままでは……」
「リオン、耐えるのよ! あたしだって手伝うから!」
数秒で腕が折れそうな感覚に襲われる。このままでは本当に負けてしまう。
どうするのが正解だ? なんとか受け流そうとするのが良いか? 腕を折ってでも耐えたほうが良いか?
そんな考えは無意味だとあざ笑うかのように、敵の心奏共鳴はさらに出力を上げてきた。
俺達は耐えることができず、まとめて吹き飛ばされていく。
「きゃあああっ!」
「サクラ! くそっ!」
俺達はともに壁に強く叩きつけられ、倒れ込んでいく。
体に力が入らない。まさか、皇帝にたどり着く前に負けてしまうのか。結局、俺は誰も守れやしないのか。
そんな不安に負けそうになった時、サクラの声が届いた。
「リオン、あたし達だって同じ事ができるはずよ。これまで積み重ねてきた時間があるから。だから、立ち向かいましょう」
サクラだって膝を付きながら、弱々しい声で話している。
それでも、サクラは諦めていない。バカなのか俺は! たかが一撃を受けただけだろうが。まだ命はあるだろうが。
今この時諦めるのならば、何のために帝国まで来た?
みんなで生きる未来をつかむために、全力を振り絞ったのか? まだだろう!
「ああ、そうだな。サクラ、行こう!」
サクラが隣にいると思うだけで、立ち向かう勇気が湧いてくる。
俺とサクラが協力しているんだ。ディヴァリア以外の人間に負けていいわけないよな。
サクラは最高なんだ。俺1人でなら限界はあるが、俺達2人なら!
そう考えていると、俺とサクラの心奏具が光で繋がっていった。
(リオンがそばに居てくれる。それだけで、どんな敵にも勝てると思える。やっぱり、リオンを好きになって良かった)
サクラの心の声のようなものが流れ込んでくる。
おそらくは、同じように俺の気持ちだってサクラに伝わっているはず。
心奏共鳴の前兆があったから、ノエルの時よりも深いものになっているはず。
以前は、心の声が伝わりはしなかったから。LV5よりは上か。
LV10だったら、絶対に負ける気がしない。サクラが一緒に居て、ただの絆が強いだけの双子と比べることすらおこがましいだろうさ。
(リオン、あんたにも心が伝わっているのかしら? あんたの信頼が伝わってきて、最高の気分よ)
俺だってきっと最高の気分だ。サクラが信頼してくれること、強く伝わってくるからな。
好意を抱いてくれたこと、きっと後悔させはしない。もし結ばれない未来だったとしても、いい思い出にしてみせる。
俺にとってサクラは、誰よりも素晴らしい相棒だから。
この戦いでの命運の全てを預けて良いと思えるだけの相手だから。
(あたしの命も想いも何もかも、あんたに託す。2人で一緒なら、死ぬのも悪くないわよね)
俺はサクラに死んでほしくない。だから、何が何でも勝ってみせる。
サクラと2人で死ぬのだって、きっとそこまで悪くないのだろうがな。
だとしても、俺は未来を見たい。サクラの笑顔が見たい。もっと一緒に居たい。
(あんたとあたしと、ディヴァリアとみんなと。確かに、そっちの方が良いか)
サクラと同じ気持ちだ。だから、双翼の双子なんて軽く蹴散らしてみせる。
相手がどれほど強い絆で結ばれていようが関係ない。
俺とサクラの絆の証が、ただ双子というだけの相手に負けるわけがないんだから!
(あたしとリオンに勝って良いのは、ディヴァリアだけなのよ! 双翼の双子だかなんだか知らないけど、邪魔はさせないわ!)
本当にサクラの思うとおりだ。俺達が組んでいて、勝てない相手なんてディヴァリアだけ。
たとえ女神アルフィラだろうが、絶対にこの絆に及びはしない!
(さあ、行くわよ。あたし達の心の全て、目の前の敵にぶつけてやりましょう)
先ほどは遅れを取ったが、もう何にも阻めやしない。
同じ心奏共鳴で、俺達の前に立つなんて許さない。この一撃で、双翼の双子は死ぬ定め!
俺達は立ち上がり、思いのすべてを注ぎ込んでいった。
「「心奏共鳴――勇猛果敢LV10!」」
俺達をつなげる光から、ピンク色をした炎の龍が飛び出していく。
「兄さん!」
「ああ!」
「「心奏共鳴――以心伝心LV10!」」
敵も心奏共鳴をつかい、先ほどのように渦巻いた水のような風のようなものが飛び出してくる。
俺達から飛び出した炎の龍とぶつかり、敵の心奏共鳴はあっけなく消え去っていった。
「兄さん……」
「ウソだろ……」
そんな言葉を残し、双翼の双子は勇猛果敢LV10に飲み込まれていった。
敵が倒れたのを確認すると、サクラは再び膝をつく。
「ごめん、リオン。これ以上は戦えないかも。あんたは大丈夫?」
「ああ、問題ない。もう動ける。必ず皇帝を倒すから、安心してくれ」
「じゃあ、フェミルちゃんに運んでもらうね」
そのままフェミルが現れて、サクラを運んでいく。
サクラ、本当にありがとう。お前のおかげで勝てた。立ち上がれた。
やはり、主人公にふさわしい輝く存在だよ。
本人には主人公がどうこうなんて言えないが、やはり素晴らしい人だ。
それでも、もうサクラによりかかりはしない。
俺がみんなを支えられるように、もっと強くなるんだ。
きっと、サクラだって似たような気持ちだから。俺だけ置いていかれる訳にはいかない。
さあ、残る敵はもう少し。
必ず皇帝を打ち破り、俺は未来を紡いでみせる。
おそらくは、双翼の双子。サクラとともに戦うべき敵。
心奏共鳴を使えることは分かっている。だから、心奏具だって使えることになる。
さて、どんな能力だろうか。俺達の力を超えるほどだろうか。
シャーナさんが名前を挙げた、きっと強いはずの相手。
これまで以上に苦戦することは簡単に想像できる。
だからこそ、しっかりと油断せずに行かなくては。
これまでに戦ってきた相手は、どちらも俺は活躍できなかった。今度こそ。
いや、余計な気負いだ。俺が何もできなくても、無事に勝てるのならばそれでいい。優先順位を見誤るな。
「ルミリエ。俺とサクラで挑めば良いんだよな?」
「うん、合ってるよ。バリバリ頑張ってね」
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サクラの首元にネックレスが出現する。
とびきりに強い心奏具だが、相手は心奏共鳴を使えるからな。サクラだけに任せる訳にはいかない。
いくら上級魔法を複数撃てようが、心奏共鳴の前では厳しい感じがあるからな。
「兄さん、行こうか」
「そうだな、オルギア」
弟の方の名前は分かった。さほど重要な情報とは思えないが、覚えておこう。
それよりも、相手はどう出てくる。心奏具の能力は何だ?
俺が考え事をしている間に、サクラは複数の上級魔法を放っていく。
どう対応する? 様子を見ていると、2人の間に光がつながる。
まずい、心奏共鳴だ。慌ててサクラをエンドオブティアーズの盾でかばう。
耐えられるか? 心奏共鳴を盾で受けたことなんて一度もない。
どれほどの威力かは分からないが、今すぐに殺すのは難しそうだ。
そうなると、頑張って耐えるしかない。エンドオブティアーズ、壊れてくれるなよ!
「「心奏共鳴――以心伝心LV10」」
LV10だと!? 俺が使ったことのある心奏共鳴はノエルとの合縁奇縁LV5が最高。
つまり、俺の全く知らない領域の攻撃が行われる。だが、ここからやれることは耐えることだけ。
頼む、もってくれよ。こんなところで負けるわけにはいかないんだ!
敵の方から、渦巻いた水のような風のようなものが飛んでくる。
エンドオブティアーズの盾を構えて、全力で防御態勢に入る。
サクラもともに盾を支えてくれて、俺にできることは全てやったはずだ。
とても長く感じる数瞬の後、以心伝心LV10が盾に直撃した。
「くっ、このままでは……」
「リオン、耐えるのよ! あたしだって手伝うから!」
数秒で腕が折れそうな感覚に襲われる。このままでは本当に負けてしまう。
どうするのが正解だ? なんとか受け流そうとするのが良いか? 腕を折ってでも耐えたほうが良いか?
そんな考えは無意味だとあざ笑うかのように、敵の心奏共鳴はさらに出力を上げてきた。
俺達は耐えることができず、まとめて吹き飛ばされていく。
「きゃあああっ!」
「サクラ! くそっ!」
俺達はともに壁に強く叩きつけられ、倒れ込んでいく。
体に力が入らない。まさか、皇帝にたどり着く前に負けてしまうのか。結局、俺は誰も守れやしないのか。
そんな不安に負けそうになった時、サクラの声が届いた。
「リオン、あたし達だって同じ事ができるはずよ。これまで積み重ねてきた時間があるから。だから、立ち向かいましょう」
サクラだって膝を付きながら、弱々しい声で話している。
それでも、サクラは諦めていない。バカなのか俺は! たかが一撃を受けただけだろうが。まだ命はあるだろうが。
今この時諦めるのならば、何のために帝国まで来た?
みんなで生きる未来をつかむために、全力を振り絞ったのか? まだだろう!
「ああ、そうだな。サクラ、行こう!」
サクラが隣にいると思うだけで、立ち向かう勇気が湧いてくる。
俺とサクラが協力しているんだ。ディヴァリア以外の人間に負けていいわけないよな。
サクラは最高なんだ。俺1人でなら限界はあるが、俺達2人なら!
そう考えていると、俺とサクラの心奏具が光で繋がっていった。
(リオンがそばに居てくれる。それだけで、どんな敵にも勝てると思える。やっぱり、リオンを好きになって良かった)
サクラの心の声のようなものが流れ込んでくる。
おそらくは、同じように俺の気持ちだってサクラに伝わっているはず。
心奏共鳴の前兆があったから、ノエルの時よりも深いものになっているはず。
以前は、心の声が伝わりはしなかったから。LV5よりは上か。
LV10だったら、絶対に負ける気がしない。サクラが一緒に居て、ただの絆が強いだけの双子と比べることすらおこがましいだろうさ。
(リオン、あんたにも心が伝わっているのかしら? あんたの信頼が伝わってきて、最高の気分よ)
俺だってきっと最高の気分だ。サクラが信頼してくれること、強く伝わってくるからな。
好意を抱いてくれたこと、きっと後悔させはしない。もし結ばれない未来だったとしても、いい思い出にしてみせる。
俺にとってサクラは、誰よりも素晴らしい相棒だから。
この戦いでの命運の全てを預けて良いと思えるだけの相手だから。
(あたしの命も想いも何もかも、あんたに託す。2人で一緒なら、死ぬのも悪くないわよね)
俺はサクラに死んでほしくない。だから、何が何でも勝ってみせる。
サクラと2人で死ぬのだって、きっとそこまで悪くないのだろうがな。
だとしても、俺は未来を見たい。サクラの笑顔が見たい。もっと一緒に居たい。
(あんたとあたしと、ディヴァリアとみんなと。確かに、そっちの方が良いか)
サクラと同じ気持ちだ。だから、双翼の双子なんて軽く蹴散らしてみせる。
相手がどれほど強い絆で結ばれていようが関係ない。
俺とサクラの絆の証が、ただ双子というだけの相手に負けるわけがないんだから!
(あたしとリオンに勝って良いのは、ディヴァリアだけなのよ! 双翼の双子だかなんだか知らないけど、邪魔はさせないわ!)
本当にサクラの思うとおりだ。俺達が組んでいて、勝てない相手なんてディヴァリアだけ。
たとえ女神アルフィラだろうが、絶対にこの絆に及びはしない!
(さあ、行くわよ。あたし達の心の全て、目の前の敵にぶつけてやりましょう)
先ほどは遅れを取ったが、もう何にも阻めやしない。
同じ心奏共鳴で、俺達の前に立つなんて許さない。この一撃で、双翼の双子は死ぬ定め!
俺達は立ち上がり、思いのすべてを注ぎ込んでいった。
「「心奏共鳴――勇猛果敢LV10!」」
俺達をつなげる光から、ピンク色をした炎の龍が飛び出していく。
「兄さん!」
「ああ!」
「「心奏共鳴――以心伝心LV10!」」
敵も心奏共鳴をつかい、先ほどのように渦巻いた水のような風のようなものが飛び出してくる。
俺達から飛び出した炎の龍とぶつかり、敵の心奏共鳴はあっけなく消え去っていった。
「兄さん……」
「ウソだろ……」
そんな言葉を残し、双翼の双子は勇猛果敢LV10に飲み込まれていった。
敵が倒れたのを確認すると、サクラは再び膝をつく。
「ごめん、リオン。これ以上は戦えないかも。あんたは大丈夫?」
「ああ、問題ない。もう動ける。必ず皇帝を倒すから、安心してくれ」
「じゃあ、フェミルちゃんに運んでもらうね」
そのままフェミルが現れて、サクラを運んでいく。
サクラ、本当にありがとう。お前のおかげで勝てた。立ち上がれた。
やはり、主人公にふさわしい輝く存在だよ。
本人には主人公がどうこうなんて言えないが、やはり素晴らしい人だ。
それでも、もうサクラによりかかりはしない。
俺がみんなを支えられるように、もっと強くなるんだ。
きっと、サクラだって似たような気持ちだから。俺だけ置いていかれる訳にはいかない。
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