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90.密談
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どこから聞かれていたのか。
聖者様はベッドで横にはなっていたけど、肘をついて頭を上げ、こちらを見ていた。
ダンも、いつもは魔法で眠らせていた聖者様も、今まで多少の話し声で起きることはなかったから、あまり気を付けていなかった。
「えっと…うるさかったですか?」
明日には話すつもりでいたから、聞かれて困るわけでもないけど。幻妖精たちの辛辣な物言いの後だから、ちょっと気まずい。
「寝てた訳じゃない、最初から聞いてた。視界が新鮮で色々考えてたら…いや、ルシウスのこともちゃんと考えて…」
暗い所でもちゃんと見えるということに気付いて、聖者様が何を考えていたか…何となく想像はつくけど、触れないでおく。
「邪なことを考えているのではありませんか。私どもは寝ずに見ておりますから、部屋を抜け出させはしませんよ」
僕が黙っておこうとしたことを、マリスがはっきりと問い質す。
そうだった。聖者様と幻妖精たちの間では、辛辣な言い方はお互い今さらなのだ。
「サリアもいるのに、妙な気を起こせるわけがないだろう」
堂々としているけど、サリアがいなければ理性を抑えられないのかと心配になる。
「そのようなことを口になさるから、ライルさんに悪影響だと言っているのですわ!」
リリスも一緒になって、まるで僕の保護者のようだ。僕が神の子だと確信してから、聖者様の使徒としての立場よりも、僕を見守ることを優先しているような気がした。
「そんな心配しなくてもいいよ。孤児院だと…言葉が分からないと思われて乳児室にいた頃って、枕元でいろんな話をされてたし」
孤児院にいる大人は聖職者だけじゃない。奉仕活動として手伝いに来てくれる一般信徒もいて、特に子育て経験のある女性は乳児室で歓迎された。
そして俗世に未練があるまま出家した修道女もいる。彼女たちは別の意味でも興味津々で既婚者の話を聞きたがり、乳児室は格好の密談場所になってしまっていたから。
「神聖な教会で、聖職者がそのような話に興じていたのですか」
顔を曇らせているんだろうなと想像がつくマリスの言葉に、聖者様も呆れたような声を上げる。
「性欲はクソ神が人類繁栄のために持たせたものだろうが。それがないのにイチャついてるお前らが何を言ってるんだ」
「愛があればキスもしたくなりますし、抱き合いたくもなりますの!!」
さっきまで、過保護なほど僕に聞かせる言葉を気にしていたとは思えない言い合いだ。
「その話はいいから。聖者様、ちょっといいですか」
僕はベッドの上で姿勢を正して座り直した。
「聖者の役目の範疇を超えているのは分かってます。でも僕には知恵も知識も足りません。力を貸してください」
僕がそう言うと、聖者様も体を起こしてベッドの上に片膝を立てて座り、幻妖精たちを見上げる。
「神子がここまで言ってるぞ?」
聖者様は、頑なだった幻妖精たちにニヤリと笑う。僕も頷いてふたりを見上げた。
「リリスとマリスも。魔法の応用とか併用とか、出来ることを教えてくれるだけでもいいから。それにふたりだって、本当はルシウスと話をしてみたいんじゃない?」
僕からも頼まれた幻妖精たちは、戸惑うようにしばらく空中で揺れていた。
「…魔法についてお教えするのは問題ありませんが、私どもがルシウス様に接触するというのは……」
なおも渋っているマリスに、聖者様は人差し指で示すように指摘する。
「天使にだって、ルシウスを見つけたらクソ神の言いつけを破ってでも飛び出して来そうなのがいるだろう?」
天使というものは、神に絶対服従しているように思っていた。だけどそうだったら、ルシウスが離反することもなかったはずだ。天使にもいろいろあるんだろう。
「だからと言って、私どもには神の言いつけを破るなど出来ません」
そこでまた、聖者様の意地の悪そうな笑みが浮かんだ。
「ああ、それなら俺の使徒としてお遣いを頼もうか。そんな天使のところまで、ちょっと世間話をしに行ってくれ」
それは、クリスを通して世間話の体で樹海の話を聖者様に持ち込んだ神と同じやり方で、聖者様としては意趣返しを兼ねているのかもしれない。
「私どもは転移を使えないのですよ。時間がかかってしまいます。それほど長くサザン様やライルさんの側を離れるわけにはいきません」
「どっちか片方でいいだろう。ライルについてるのはクソ神からの指示じゃなく、お前らの判断だし」
無慈悲な言葉に、案の定リリスがまた悲鳴のような声を上げた。
「今以上にマリスと離れろとおっしゃいますの?!」
階層についての理解が今一つ曖昧な僕は、転移を使わずに天界に行ったりすることの時間や距離の感覚がよく分からない。
「階層の歪みを使わなくても行けるんだ? どのくらい時間がかかる?」
僕の質問したことはあまりに初歩的だったようで、聖者様にまで少し目を丸くされた。
「一口に天界と言っても広いからな。地上とほぼ同じ位階の魂が転生待ちをしている天国は、地上と重なって存在していると言ってもいいくらいだ…こういう話は、サリアもいるときがいいな」
そう言えば僕も、神の子だと知っていろいろ混乱したとき、サリアだったらすぐ疑問点を言葉にして挙げられるだろうと思っていた。
そして聖者様は、また少し考えるように口元に手を当てる。
「…明日、みんなが揃ってからまた話をしよう。天界や魔法について知らないほうが、知ってるよりも意外な案が出ることもある」
「明日…」
僕は膝の上で拳を握りしめた。
ルシウスの言い方だと、今すぐ行動に移すわけじゃないと思う。だけど明日の朝までの数時間すら惜しいほどに焦りが募る。
「…天界には、わたくしが行ってまいりますわ!」
「リリス?!」
さっきまでと打って変わったようなリリスの言葉に、マリスが驚く。僕だって意外だった。
しばらくマリスと離れないといけないようなことを、リリスが自ら言い出すとは思えなかったからだ。
「ライルさんのお気持ちを考えると、わたくしたちだけ離れたくないなんて言っていられませんの!」
リュラを失うんじゃないかという恐怖に足を竦ませていた僕を、リリスは見ている。それを思い出して決意してくれたようだった。
「マリス、世間話でしたらわたくしのほうが自然ですわ。ルシウス様を心配しているのは上位天使が多いですもの。動いていただけそうな方に広めて参りますわ!」
リリスはお喋りだから、確かに聖者様に用事でも頼まれたことにすれば、自然に近況を語っても不自然じゃない気がする。
「それにわたくしなら、仕事のついでに転移で送って貰えるよう誰かに頼めますの! マリスは苦手でしょう? わたくしが行ったほうが早く戻って来られますわ!」
マリスは、リリスに関して以外はきっと真面目に仕事をしていたんだろう。仕事のついでに、なんて行動も良しとしなかったんじゃないだろうか。
僕を気にかけてくれて、それでも少しでも早くマリスの元に戻るという、リリスにとってはこれが最善の方法だった。
「マリス、行かせて欲しいですの!」
懇願するリリスに、マリスは溜息一つ吐かない。
「規律を外れた先にも、幸せがあると教えてくれたのはリリスだよ。リリスが望むなら私もそうしよう」
リリスに対してかなり甘いマリスは、呆れるほどあっさりと切り替えた。だけど今の僕には、どんな理由でも動いて貰えるのは助かる。
「リリス、僕の我儘なのにありがとう」
「サザン様の思惑通りになるとは限りませんの。お礼は早いですわ!」
感謝を伝えると、リリスは照れたようにマリスの周りをフワフワと回った。
聖者様はベッドで横にはなっていたけど、肘をついて頭を上げ、こちらを見ていた。
ダンも、いつもは魔法で眠らせていた聖者様も、今まで多少の話し声で起きることはなかったから、あまり気を付けていなかった。
「えっと…うるさかったですか?」
明日には話すつもりでいたから、聞かれて困るわけでもないけど。幻妖精たちの辛辣な物言いの後だから、ちょっと気まずい。
「寝てた訳じゃない、最初から聞いてた。視界が新鮮で色々考えてたら…いや、ルシウスのこともちゃんと考えて…」
暗い所でもちゃんと見えるということに気付いて、聖者様が何を考えていたか…何となく想像はつくけど、触れないでおく。
「邪なことを考えているのではありませんか。私どもは寝ずに見ておりますから、部屋を抜け出させはしませんよ」
僕が黙っておこうとしたことを、マリスがはっきりと問い質す。
そうだった。聖者様と幻妖精たちの間では、辛辣な言い方はお互い今さらなのだ。
「サリアもいるのに、妙な気を起こせるわけがないだろう」
堂々としているけど、サリアがいなければ理性を抑えられないのかと心配になる。
「そのようなことを口になさるから、ライルさんに悪影響だと言っているのですわ!」
リリスも一緒になって、まるで僕の保護者のようだ。僕が神の子だと確信してから、聖者様の使徒としての立場よりも、僕を見守ることを優先しているような気がした。
「そんな心配しなくてもいいよ。孤児院だと…言葉が分からないと思われて乳児室にいた頃って、枕元でいろんな話をされてたし」
孤児院にいる大人は聖職者だけじゃない。奉仕活動として手伝いに来てくれる一般信徒もいて、特に子育て経験のある女性は乳児室で歓迎された。
そして俗世に未練があるまま出家した修道女もいる。彼女たちは別の意味でも興味津々で既婚者の話を聞きたがり、乳児室は格好の密談場所になってしまっていたから。
「神聖な教会で、聖職者がそのような話に興じていたのですか」
顔を曇らせているんだろうなと想像がつくマリスの言葉に、聖者様も呆れたような声を上げる。
「性欲はクソ神が人類繁栄のために持たせたものだろうが。それがないのにイチャついてるお前らが何を言ってるんだ」
「愛があればキスもしたくなりますし、抱き合いたくもなりますの!!」
さっきまで、過保護なほど僕に聞かせる言葉を気にしていたとは思えない言い合いだ。
「その話はいいから。聖者様、ちょっといいですか」
僕はベッドの上で姿勢を正して座り直した。
「聖者の役目の範疇を超えているのは分かってます。でも僕には知恵も知識も足りません。力を貸してください」
僕がそう言うと、聖者様も体を起こしてベッドの上に片膝を立てて座り、幻妖精たちを見上げる。
「神子がここまで言ってるぞ?」
聖者様は、頑なだった幻妖精たちにニヤリと笑う。僕も頷いてふたりを見上げた。
「リリスとマリスも。魔法の応用とか併用とか、出来ることを教えてくれるだけでもいいから。それにふたりだって、本当はルシウスと話をしてみたいんじゃない?」
僕からも頼まれた幻妖精たちは、戸惑うようにしばらく空中で揺れていた。
「…魔法についてお教えするのは問題ありませんが、私どもがルシウス様に接触するというのは……」
なおも渋っているマリスに、聖者様は人差し指で示すように指摘する。
「天使にだって、ルシウスを見つけたらクソ神の言いつけを破ってでも飛び出して来そうなのがいるだろう?」
天使というものは、神に絶対服従しているように思っていた。だけどそうだったら、ルシウスが離反することもなかったはずだ。天使にもいろいろあるんだろう。
「だからと言って、私どもには神の言いつけを破るなど出来ません」
そこでまた、聖者様の意地の悪そうな笑みが浮かんだ。
「ああ、それなら俺の使徒としてお遣いを頼もうか。そんな天使のところまで、ちょっと世間話をしに行ってくれ」
それは、クリスを通して世間話の体で樹海の話を聖者様に持ち込んだ神と同じやり方で、聖者様としては意趣返しを兼ねているのかもしれない。
「私どもは転移を使えないのですよ。時間がかかってしまいます。それほど長くサザン様やライルさんの側を離れるわけにはいきません」
「どっちか片方でいいだろう。ライルについてるのはクソ神からの指示じゃなく、お前らの判断だし」
無慈悲な言葉に、案の定リリスがまた悲鳴のような声を上げた。
「今以上にマリスと離れろとおっしゃいますの?!」
階層についての理解が今一つ曖昧な僕は、転移を使わずに天界に行ったりすることの時間や距離の感覚がよく分からない。
「階層の歪みを使わなくても行けるんだ? どのくらい時間がかかる?」
僕の質問したことはあまりに初歩的だったようで、聖者様にまで少し目を丸くされた。
「一口に天界と言っても広いからな。地上とほぼ同じ位階の魂が転生待ちをしている天国は、地上と重なって存在していると言ってもいいくらいだ…こういう話は、サリアもいるときがいいな」
そう言えば僕も、神の子だと知っていろいろ混乱したとき、サリアだったらすぐ疑問点を言葉にして挙げられるだろうと思っていた。
そして聖者様は、また少し考えるように口元に手を当てる。
「…明日、みんなが揃ってからまた話をしよう。天界や魔法について知らないほうが、知ってるよりも意外な案が出ることもある」
「明日…」
僕は膝の上で拳を握りしめた。
ルシウスの言い方だと、今すぐ行動に移すわけじゃないと思う。だけど明日の朝までの数時間すら惜しいほどに焦りが募る。
「…天界には、わたくしが行ってまいりますわ!」
「リリス?!」
さっきまでと打って変わったようなリリスの言葉に、マリスが驚く。僕だって意外だった。
しばらくマリスと離れないといけないようなことを、リリスが自ら言い出すとは思えなかったからだ。
「ライルさんのお気持ちを考えると、わたくしたちだけ離れたくないなんて言っていられませんの!」
リュラを失うんじゃないかという恐怖に足を竦ませていた僕を、リリスは見ている。それを思い出して決意してくれたようだった。
「マリス、世間話でしたらわたくしのほうが自然ですわ。ルシウス様を心配しているのは上位天使が多いですもの。動いていただけそうな方に広めて参りますわ!」
リリスはお喋りだから、確かに聖者様に用事でも頼まれたことにすれば、自然に近況を語っても不自然じゃない気がする。
「それにわたくしなら、仕事のついでに転移で送って貰えるよう誰かに頼めますの! マリスは苦手でしょう? わたくしが行ったほうが早く戻って来られますわ!」
マリスは、リリスに関して以外はきっと真面目に仕事をしていたんだろう。仕事のついでに、なんて行動も良しとしなかったんじゃないだろうか。
僕を気にかけてくれて、それでも少しでも早くマリスの元に戻るという、リリスにとってはこれが最善の方法だった。
「マリス、行かせて欲しいですの!」
懇願するリリスに、マリスは溜息一つ吐かない。
「規律を外れた先にも、幸せがあると教えてくれたのはリリスだよ。リリスが望むなら私もそうしよう」
リリスに対してかなり甘いマリスは、呆れるほどあっさりと切り替えた。だけど今の僕には、どんな理由でも動いて貰えるのは助かる。
「リリス、僕の我儘なのにありがとう」
「サザン様の思惑通りになるとは限りませんの。お礼は早いですわ!」
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