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38.小さな夢
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「私はきっと、顔も知らない相手と結婚することになるって聞いて育ったんです。おねえちゃん…一緒に住んでいた従姉が、いついきなり決まるかも分からないから覚悟しておくように言われていて、私もそうなんだろうなって」
ルルビィさんは実際、村長に決められてしまいそうになっていた。
聖者様から聞いた村長の手回しの速さを考えれば、元々その従姉の相手として候補に挙がっていたのかもしれない。
「だから私、聖者様が忌咎族なんて教義にも法律にもないって何度も教えてくれたのに、自分の夢は叶わないって思ってたんです」
「夢?」
サリアの問いにすぐには答えなかったけど、ルルビィさんは小さな声で恥じらうように言った。
「…聖者様のお嫁さんになりたい、なんて」
そして恥ずかしさを隠すように、少し早口に続けた。
「それこそ幼稚な憧れだったかもしれませんけど、聖者様に求婚していただいたときには本当に嬉しくて…だから浮かれてたんです。聖者様に回復の見込みがなかったって知ったときに、結婚するつもりはなかったことにも気づけたはずなのに」
「…婚約する前から、好きだったってことですか?」
ちょっと拍子抜けしたようなサリアの声のあと、次の返事までの間は、多分無言でうなずいていたんだと思う。
「子どもだって、恋はするんですよ」
僕は心の中で、そうだそうだと声援を送る。
聖者様は目を閉じて、声に集中しているように見える。
その顔が上気しているのは、ルルビィさんの言葉でなのか、温泉の熱さでなのかは分からないけど。
「それならもう、私から言うことはなにもありませんよ。今日はじっくり天界の話を聞きたいところでしたけど、お2人で話す時間を譲りますから」
サリアはしっかり「貸し」を作って返してもらうつもりだったらしい。
だけどルルビィさんは、また元気のない声に戻る。
「でも…婚約は破棄します」
聖者様が目を開く。
「さっきは少し混乱もしていましたけど、ここに来るまで考えれば考えるほど、そうするしかないって思ったんです」
「メリアの記憶のせいですか? あれは時間が経てば消えるはずでしょう?!」
サリアも慌てた様子だったけど、ルルビィさんはもう決意してるようだった。
「それはいつになるか分からないんでしょう。私の使徒としての役目は、サリアさんたちを見つけたことで果たせました。もう、私は必要ないんです…今の私には、聖者様のお手伝いもできません。そうしたら聖者様は私に何もさせずに守ろうとしてくださるでしょうけど、それじゃ私はただの足手まといです」
自分のために聖者様が引き返すことを拒否したルルビィさんが、そんな状態を受け入れるわけはなかった。僕たちでどうにかすればいいだろうという考えが、すでに甘かった。
「感覚が戻り始めたとき…聖者様に頭を撫でられているのを感じて、それはすごく安心したんです。マントからする聖者様の匂いにも。だけど、体に触れられた瞬間に……はっきりとした記憶じゃないんです、でも暗くて、何人いるかも分からない男の人たちに…押さえつけられて、怖い気持ちが…怖くて、本当に怖くて……」
震えだしたルルビィさんの声に、聖者様が水飛沫を上げて立ち上がった。
「サザン様!! 突入なんてしてはいけませんわよ!!」
「するか! 外で待ってる!!」
遮音していることを知らないリリスと、忘れているような聖者様の言動が不思議に一致した。
僕は遮音魔法を解いて声を上げる。
「外で待ってるって」
向こうから、サリアの「え?!」という困惑した声が聞こえた。
***
僕たちは女性側の出入り口でしばらく待った。
ダンの言う、女性の支度の遅さというのもあったんだろうけど、僕たちに聞かれていたことで心の準備が必要だったのかもしれない。
最初は盗み聞きだけのつもりだったかもしれないけど、ルルビィさんのあんな声を聞いた聖者様が知らない振りを出来るわけもなかった。
やっと出て来たとき、サリアは何か言いたそうにダンを見ていたけど、堪えてルルビィさんの背中をそっと押した。
ルルビィさんは両手を握り合わせるようにして、聖者様の前に立つ。
聖者様もゆっくり前に出たけど、近付いたこと自体にルルビィさんが怯えている様子はない。
「私、一緒に旅は続けられません」
話を聞かれていたことを踏まえての、結論から言葉が出ていた。
だけど聖者様はそれに対する答えじゃなく、怯えさせないように緩やかな動作で手の平をルルビィさんの目線まで上げる。
「…少し触れてもいいか?」
ルルビィさんは戸惑ったようだったけど、黙ってうなずく。
その頭を、聖者様はそっと撫でた。
「これは、今も大丈夫か?」
「…大丈夫です」
ルルビィさん自身が、大丈夫だったことに安堵したような表情になる。
次に聖者様はルルビィさんの小指だけを、軽く包むように握る。
「これは?」
「大丈夫、です」
触れられることがまったくダメなわけじゃない。
ルルビィさんも、実際触れられてみないと分からなかったらしい。
だけど次に聖者様が手首を掴んでみると、もう聞くまでもなく、その体と表情の強張りで恐怖が伝わってくる。
「分かった。嫌な思いをさせてごめん」
聖者様はもう一度頭を撫でながら、ルルビィさんを見つめた。
さすがにこの状況では、サリアもそれを止めない。
「嫌じゃないんです、聖者様の側にいると安心できるんです。……でもこれじゃ、本当に保護者に甘える子どもみたいで私…」
かぶりを振るその目に、涙が滲んでいる。
「保護者としてでも俺を必要としてくれるなら、側にいて欲しい。足手まといなんて思わないでくれ。今の君に目の届かない所に行かれたら、俺は聖者の務めどころじゃなくなる」
これはこれで遠回しな脅しのようにも聞こえるけど、誇張じゃなく、実際にそうなりそうな気がする。
「それでも旅が辛いようなら、修道院で一時的に保護してもらうのはどうだ? その場合でも1人で行こうなんてしないで、ちゃんと送らせてくれ」
「でも、それならやっぱり婚約したままではいられません」
婚約者のいる女性が修道院に助けを求めるとなると、一時的な保護だとしても、出家してでも相手から逃げ出したかったと思われるだろう。聖者様にとって不名誉になってしまうのをルルビィさんは心配している。
「婚約破棄を言い出したのは俺だし、それは構わない。……ああ、ごめん。もうひとつ確認していいか?」
これにも戸惑いながらうなずいたルルビィさんに、聖者様は体に触れないように気をつけながら、自分の首元辺りにあるルルビィさんの頭に顔を近づける。
そして、額にキスをした。
「これは?」
「だ…大丈夫、です…」
額を押さえて耳まで赤くなるルルビィさんを見て、「ならいい」と聖者様は微笑む。
だけど僕は意味が分からずに、一瞬唖然としてつい呆れて言葉にしてしまう。
「いきなり人前で何やってるんですか…」
サリアがこっちに近寄って来ながら、首を振ってため息をついた。
「あれ、婚約式でやることよ。よく考えて欲しいとか言っといて、全然手放す気がないじゃない」
つまり、婚約破棄してもルルビィさんの状態が変わらなかったとしても、再婚約する気があると告げたようなものだ。
「それでダン。共同浴場って、どこでもあんなに声が聞こえるものなの?」
サリアの視線から逃げるように僕の後ろにいたダンだけど、その長身が隠れるわけもなかった。
「いや、大きいところじゃ全然聞こえねぇよ」
「じゃあ具体的に、今まで行った所だとどこが聞こえる所だったのよ」
どこでどんな会話をしたのか覚えているんだろうか。
言葉を濁すダンをサリアが問い詰める。
そんな様子を、いつの間にか小指だけ絡ませた聖者様とルルビィさんが、少しだけ柔らかくなった表情で眺めていた。
ルルビィさんは実際、村長に決められてしまいそうになっていた。
聖者様から聞いた村長の手回しの速さを考えれば、元々その従姉の相手として候補に挙がっていたのかもしれない。
「だから私、聖者様が忌咎族なんて教義にも法律にもないって何度も教えてくれたのに、自分の夢は叶わないって思ってたんです」
「夢?」
サリアの問いにすぐには答えなかったけど、ルルビィさんは小さな声で恥じらうように言った。
「…聖者様のお嫁さんになりたい、なんて」
そして恥ずかしさを隠すように、少し早口に続けた。
「それこそ幼稚な憧れだったかもしれませんけど、聖者様に求婚していただいたときには本当に嬉しくて…だから浮かれてたんです。聖者様に回復の見込みがなかったって知ったときに、結婚するつもりはなかったことにも気づけたはずなのに」
「…婚約する前から、好きだったってことですか?」
ちょっと拍子抜けしたようなサリアの声のあと、次の返事までの間は、多分無言でうなずいていたんだと思う。
「子どもだって、恋はするんですよ」
僕は心の中で、そうだそうだと声援を送る。
聖者様は目を閉じて、声に集中しているように見える。
その顔が上気しているのは、ルルビィさんの言葉でなのか、温泉の熱さでなのかは分からないけど。
「それならもう、私から言うことはなにもありませんよ。今日はじっくり天界の話を聞きたいところでしたけど、お2人で話す時間を譲りますから」
サリアはしっかり「貸し」を作って返してもらうつもりだったらしい。
だけどルルビィさんは、また元気のない声に戻る。
「でも…婚約は破棄します」
聖者様が目を開く。
「さっきは少し混乱もしていましたけど、ここに来るまで考えれば考えるほど、そうするしかないって思ったんです」
「メリアの記憶のせいですか? あれは時間が経てば消えるはずでしょう?!」
サリアも慌てた様子だったけど、ルルビィさんはもう決意してるようだった。
「それはいつになるか分からないんでしょう。私の使徒としての役目は、サリアさんたちを見つけたことで果たせました。もう、私は必要ないんです…今の私には、聖者様のお手伝いもできません。そうしたら聖者様は私に何もさせずに守ろうとしてくださるでしょうけど、それじゃ私はただの足手まといです」
自分のために聖者様が引き返すことを拒否したルルビィさんが、そんな状態を受け入れるわけはなかった。僕たちでどうにかすればいいだろうという考えが、すでに甘かった。
「感覚が戻り始めたとき…聖者様に頭を撫でられているのを感じて、それはすごく安心したんです。マントからする聖者様の匂いにも。だけど、体に触れられた瞬間に……はっきりとした記憶じゃないんです、でも暗くて、何人いるかも分からない男の人たちに…押さえつけられて、怖い気持ちが…怖くて、本当に怖くて……」
震えだしたルルビィさんの声に、聖者様が水飛沫を上げて立ち上がった。
「サザン様!! 突入なんてしてはいけませんわよ!!」
「するか! 外で待ってる!!」
遮音していることを知らないリリスと、忘れているような聖者様の言動が不思議に一致した。
僕は遮音魔法を解いて声を上げる。
「外で待ってるって」
向こうから、サリアの「え?!」という困惑した声が聞こえた。
***
僕たちは女性側の出入り口でしばらく待った。
ダンの言う、女性の支度の遅さというのもあったんだろうけど、僕たちに聞かれていたことで心の準備が必要だったのかもしれない。
最初は盗み聞きだけのつもりだったかもしれないけど、ルルビィさんのあんな声を聞いた聖者様が知らない振りを出来るわけもなかった。
やっと出て来たとき、サリアは何か言いたそうにダンを見ていたけど、堪えてルルビィさんの背中をそっと押した。
ルルビィさんは両手を握り合わせるようにして、聖者様の前に立つ。
聖者様もゆっくり前に出たけど、近付いたこと自体にルルビィさんが怯えている様子はない。
「私、一緒に旅は続けられません」
話を聞かれていたことを踏まえての、結論から言葉が出ていた。
だけど聖者様はそれに対する答えじゃなく、怯えさせないように緩やかな動作で手の平をルルビィさんの目線まで上げる。
「…少し触れてもいいか?」
ルルビィさんは戸惑ったようだったけど、黙ってうなずく。
その頭を、聖者様はそっと撫でた。
「これは、今も大丈夫か?」
「…大丈夫です」
ルルビィさん自身が、大丈夫だったことに安堵したような表情になる。
次に聖者様はルルビィさんの小指だけを、軽く包むように握る。
「これは?」
「大丈夫、です」
触れられることがまったくダメなわけじゃない。
ルルビィさんも、実際触れられてみないと分からなかったらしい。
だけど次に聖者様が手首を掴んでみると、もう聞くまでもなく、その体と表情の強張りで恐怖が伝わってくる。
「分かった。嫌な思いをさせてごめん」
聖者様はもう一度頭を撫でながら、ルルビィさんを見つめた。
さすがにこの状況では、サリアもそれを止めない。
「嫌じゃないんです、聖者様の側にいると安心できるんです。……でもこれじゃ、本当に保護者に甘える子どもみたいで私…」
かぶりを振るその目に、涙が滲んでいる。
「保護者としてでも俺を必要としてくれるなら、側にいて欲しい。足手まといなんて思わないでくれ。今の君に目の届かない所に行かれたら、俺は聖者の務めどころじゃなくなる」
これはこれで遠回しな脅しのようにも聞こえるけど、誇張じゃなく、実際にそうなりそうな気がする。
「それでも旅が辛いようなら、修道院で一時的に保護してもらうのはどうだ? その場合でも1人で行こうなんてしないで、ちゃんと送らせてくれ」
「でも、それならやっぱり婚約したままではいられません」
婚約者のいる女性が修道院に助けを求めるとなると、一時的な保護だとしても、出家してでも相手から逃げ出したかったと思われるだろう。聖者様にとって不名誉になってしまうのをルルビィさんは心配している。
「婚約破棄を言い出したのは俺だし、それは構わない。……ああ、ごめん。もうひとつ確認していいか?」
これにも戸惑いながらうなずいたルルビィさんに、聖者様は体に触れないように気をつけながら、自分の首元辺りにあるルルビィさんの頭に顔を近づける。
そして、額にキスをした。
「これは?」
「だ…大丈夫、です…」
額を押さえて耳まで赤くなるルルビィさんを見て、「ならいい」と聖者様は微笑む。
だけど僕は意味が分からずに、一瞬唖然としてつい呆れて言葉にしてしまう。
「いきなり人前で何やってるんですか…」
サリアがこっちに近寄って来ながら、首を振ってため息をついた。
「あれ、婚約式でやることよ。よく考えて欲しいとか言っといて、全然手放す気がないじゃない」
つまり、婚約破棄してもルルビィさんの状態が変わらなかったとしても、再婚約する気があると告げたようなものだ。
「それでダン。共同浴場って、どこでもあんなに声が聞こえるものなの?」
サリアの視線から逃げるように僕の後ろにいたダンだけど、その長身が隠れるわけもなかった。
「いや、大きいところじゃ全然聞こえねぇよ」
「じゃあ具体的に、今まで行った所だとどこが聞こえる所だったのよ」
どこでどんな会話をしたのか覚えているんだろうか。
言葉を濁すダンをサリアが問い詰める。
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