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34.心配事
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「それならもう、婚約破棄の申し出は撤回ということですか?」
サリアは人騒がせな、とでも言いたげだった。
だけど聖者様は口元に手を当てて少し考えて、首を横に振る。
「いや…やっぱり考え直す機会は持ってほしい」
諦めの悪さを身に染みた、と言ったばかりなのに。
躊躇いながらも、そこを変えるつもりはないようだった。
「寿命のことは確定じゃないし、まだ子どもだったルルビィに、婚約者って役割を担わせてしまったことに変わりはない。役割が気持ちを誘導することもあるだろう」
結局また、子どもだったからという話に戻る。
僕にはそんな思い込みのような気持ちでルルビィさんがこの6年間を過ごしていたとは思えなくて、つい口に出してしまう。
「まだそんなこと言ってるんですか」
そんな僕の肩を、サリアががっしりと掴んだ。
「ライル。ルルビィさんはね、これから『君を愛しているけど、君の愛は信じられない』なんて話をされるのよ。そんなことを言う人との婚約、考え直したほうがいいと思わない?」
これは僕に言っているようで、わざとらしく大きな声を出して聖者様に向けて言っている。
聖者様はその言われように何も反論できずに額を押さえていた。
「もう、観念したほうがいいんじゃないっすか」
少し回復してきたらしいダンが、ようやく口を挟んできた。
「もしも誰かがルルビィさんに言い寄って来ても、絶対威嚇するでしょ。誰も近付けませんって」
確かにあれだけ独占欲を剝き出しにされて、それでも近付くことはなかなか出来ないと思う。
「いやそれは…堪える」
かなり怪しい返答だった。声もなんだか小さい。
「なら俺がルルビィさんと付き合いたいって言ったら、応援してくれるんスか?」
突然の話に、聖者様は言葉に詰まった。
「俺はルルビィさんの出自を気にしないし、家族とも縁が切れてるから反対もされませんよ。聖者様より若いし」
見た目がおじさんみたいだから忘れていたけど、確かにそうだ。
「いや、若いって言っても…2つだけだろう……」
いつか、もしかしたら、と思っていたことを急に目の前に突き付けられて、聖者様は明らかに狼狽えていた。
「何歳ならいいんです? 結局、誰が相手でも何かしらケチつけて認めないんじゃないスか?」
「ちょっと、焚きつけるにしてもあなたじゃ現実味なさすぎでしょう。うちの次兄だって出自なんて気にしないし、ダンよりさらに2歳若いわよ」
現実味がないとは言えない。少なくとも聖者様には十分効いているし、サリアの提案がさらに追い打ちをかけている。
そんな様子を見ていると、母さんが僕とリュラに対して「どちらかの気持ちが変わってもちゃんと話をして」と言ったのを思い出す。
今は神の声を聞くことすら出来ない母さんは、どんな気持ちで言ったんだろう。
「ルルビィさんの気持ちが思い込みかどうかなんて、よく話して確かめたらいいじゃないですか」
聖者様たちは今、話し合える。
今度は何も隠さず全部話すというなら、ルルビィさんが落ち着いてからもう一度ちゃんと話し合えばいい。
「まぁ…俺も決心が鈍らないうちにと思って、性急すぎたな」
少しは思い直したのか天を仰いだ聖者様は、そのまま手で目を覆いながら太陽の位置を確認した。
「しかしこのままじゃ、村に着くまでに日が暮れるかもな。ライル、この先の村には転移で行けるか?」
「行ったことがないから一度じゃ無理ですけど、目視で認識出来る場所なら行けますから何度かやれば…」
そう言いかけると、みんなが一斉に顔をしかめた。
「あれを何度も…?」
転移の感覚は、慣れない人には相当気分が悪かったらしい。
「今日は引き返したほうがいいか…」
聖者様が呟いたそのとき。
「ダメ…で…すよ……」
微かな声が聞こえた。
ルルビィさんが頭を少し上げて、弱々しいけどしっかり聖者様を見つめている。
「私の…せい…で…戻るなん…て……」
聖者様がルルビィさんの間近に両手をついて、顔を覗き込む。
「大丈夫か? 無理してしゃべらなくていい」
そう言われると、ルルビィさんはまた力が入らなくなったように頭を地に着けた。
まだ体を動かせるほど感覚は戻っていないらしい。
だけど意識はあるみたいで、少し安心する。
「ルルビィ、今の状況は分かるか? 分かるなら頷くだけでいい」
聖者様が問いかけると、ルルビィさんは記憶をたどるように視線を彷徨わせてから、少しだけ首を動かして頷いた。
だけど、どの程度理解できているかは話してみないと分からない。もうしばらくは時間がかかるだろう。
「体の感覚が戻るまで無理はしないでくれ。引き返さないから」
そう言って聖者様がルルビィさんの頭を撫でると、サリアが無言で睨みつけた。
婚約破棄の話をはっきりさせるまでベタベタするな、という圧を感じる。
「じゃあ、僕は先に行って村の場所を確認してきますよ」
そう言って、周囲を見回して一番高い木を探す。
重力魔法で体を浮かせて、その木の上まで転移した。ただ浮かせるだけだとどうしても体勢が不安定になるから、こうやって何か掴める物がないと高いところには行けない。
また下のほうで呆れたようなことを言われている気がするけど、天使みたいに自由に飛べるわけじゃないのに。
そんなことを思っていたら、自由に飛べるマリスが追いかけて来た。
「お供します」
「え、なんで?」
聖者様のお目付け役のはずじゃなかったのかと、不思議に思った。
「私どもがこのままではどれほど無力か、先ほどご覧になったでしょう。なぜ使徒の役目を仰せつかったのかと思っていましたが、あなたを見守ることも含まれているのかもしれません」
確かに神から特別扱いはされているけど、そんなことまでするだろうか。神の考えていることは本当によく分からないし、マリスもそれで考え込んでいたんだろう。
そうしているうちに、リリスも追いかけて来た。
「マリスが行くならわたくしも行きますわ!」
だけどマリスは首を振るように小さく左右に揺れる。
「あの魂の状態を見ただろう。リリスはルルビィさんの様子を見ていたほうがいい」
「あ…そうですわね、確かに気になりますわよね」
リリスはおとなしく引き返そうとして、少し止まった。
「ライルさん! 先ほどは100年進めたのですよね? 100年経ったらわたくしたち、赦されるということですわね?!」
正確には、100年よりは短かった。7~80年くらいだ。
でもあまり期待させても良くないかなと思う。
「一気に進めたから大体だけど、油断してたら未来が変わるかもよ?」
「ええ、心がけますわ!」
はしゃいだような声で下へ戻るリリスを見送って、マリスに視線を戻した。
「ルルビィさん、大丈夫じゃないの?」
「まだ分かりません。念のためですよ」
そうは言われても心配になる。
――心配といえばもう一つ。
さっき、幻妖精たちの時間を進めたとき。
赦されるのは少なくとも聖者様が生涯を終えてからだろうと思って、最初の何十年かは一気に進めた。
そのときのほんの一瞬。
瞬きをしていたら見逃していただろうというくらいの一瞬、天使のような姿が1体だけ見えた。
2体の天使が現れるまで、と見極めながら進めていたから気のせいかとも思ったけど、今なら分かる。
あれはリリスだった。
多分5年も進めていない。何年か後にリリスだけが少しの間、天使の姿になることが起きる。
先のことを知るのは、いいことばかりじゃない。
ダンの経験でそれを知っているし、リリスだけというのも気にかかる。
このことは、今はまだ言わないでおこう。
そう考えながら、僕はマリスを連れて、次に見える高い木へと転移した。
サリアは人騒がせな、とでも言いたげだった。
だけど聖者様は口元に手を当てて少し考えて、首を横に振る。
「いや…やっぱり考え直す機会は持ってほしい」
諦めの悪さを身に染みた、と言ったばかりなのに。
躊躇いながらも、そこを変えるつもりはないようだった。
「寿命のことは確定じゃないし、まだ子どもだったルルビィに、婚約者って役割を担わせてしまったことに変わりはない。役割が気持ちを誘導することもあるだろう」
結局また、子どもだったからという話に戻る。
僕にはそんな思い込みのような気持ちでルルビィさんがこの6年間を過ごしていたとは思えなくて、つい口に出してしまう。
「まだそんなこと言ってるんですか」
そんな僕の肩を、サリアががっしりと掴んだ。
「ライル。ルルビィさんはね、これから『君を愛しているけど、君の愛は信じられない』なんて話をされるのよ。そんなことを言う人との婚約、考え直したほうがいいと思わない?」
これは僕に言っているようで、わざとらしく大きな声を出して聖者様に向けて言っている。
聖者様はその言われように何も反論できずに額を押さえていた。
「もう、観念したほうがいいんじゃないっすか」
少し回復してきたらしいダンが、ようやく口を挟んできた。
「もしも誰かがルルビィさんに言い寄って来ても、絶対威嚇するでしょ。誰も近付けませんって」
確かにあれだけ独占欲を剝き出しにされて、それでも近付くことはなかなか出来ないと思う。
「いやそれは…堪える」
かなり怪しい返答だった。声もなんだか小さい。
「なら俺がルルビィさんと付き合いたいって言ったら、応援してくれるんスか?」
突然の話に、聖者様は言葉に詰まった。
「俺はルルビィさんの出自を気にしないし、家族とも縁が切れてるから反対もされませんよ。聖者様より若いし」
見た目がおじさんみたいだから忘れていたけど、確かにそうだ。
「いや、若いって言っても…2つだけだろう……」
いつか、もしかしたら、と思っていたことを急に目の前に突き付けられて、聖者様は明らかに狼狽えていた。
「何歳ならいいんです? 結局、誰が相手でも何かしらケチつけて認めないんじゃないスか?」
「ちょっと、焚きつけるにしてもあなたじゃ現実味なさすぎでしょう。うちの次兄だって出自なんて気にしないし、ダンよりさらに2歳若いわよ」
現実味がないとは言えない。少なくとも聖者様には十分効いているし、サリアの提案がさらに追い打ちをかけている。
そんな様子を見ていると、母さんが僕とリュラに対して「どちらかの気持ちが変わってもちゃんと話をして」と言ったのを思い出す。
今は神の声を聞くことすら出来ない母さんは、どんな気持ちで言ったんだろう。
「ルルビィさんの気持ちが思い込みかどうかなんて、よく話して確かめたらいいじゃないですか」
聖者様たちは今、話し合える。
今度は何も隠さず全部話すというなら、ルルビィさんが落ち着いてからもう一度ちゃんと話し合えばいい。
「まぁ…俺も決心が鈍らないうちにと思って、性急すぎたな」
少しは思い直したのか天を仰いだ聖者様は、そのまま手で目を覆いながら太陽の位置を確認した。
「しかしこのままじゃ、村に着くまでに日が暮れるかもな。ライル、この先の村には転移で行けるか?」
「行ったことがないから一度じゃ無理ですけど、目視で認識出来る場所なら行けますから何度かやれば…」
そう言いかけると、みんなが一斉に顔をしかめた。
「あれを何度も…?」
転移の感覚は、慣れない人には相当気分が悪かったらしい。
「今日は引き返したほうがいいか…」
聖者様が呟いたそのとき。
「ダメ…で…すよ……」
微かな声が聞こえた。
ルルビィさんが頭を少し上げて、弱々しいけどしっかり聖者様を見つめている。
「私の…せい…で…戻るなん…て……」
聖者様がルルビィさんの間近に両手をついて、顔を覗き込む。
「大丈夫か? 無理してしゃべらなくていい」
そう言われると、ルルビィさんはまた力が入らなくなったように頭を地に着けた。
まだ体を動かせるほど感覚は戻っていないらしい。
だけど意識はあるみたいで、少し安心する。
「ルルビィ、今の状況は分かるか? 分かるなら頷くだけでいい」
聖者様が問いかけると、ルルビィさんは記憶をたどるように視線を彷徨わせてから、少しだけ首を動かして頷いた。
だけど、どの程度理解できているかは話してみないと分からない。もうしばらくは時間がかかるだろう。
「体の感覚が戻るまで無理はしないでくれ。引き返さないから」
そう言って聖者様がルルビィさんの頭を撫でると、サリアが無言で睨みつけた。
婚約破棄の話をはっきりさせるまでベタベタするな、という圧を感じる。
「じゃあ、僕は先に行って村の場所を確認してきますよ」
そう言って、周囲を見回して一番高い木を探す。
重力魔法で体を浮かせて、その木の上まで転移した。ただ浮かせるだけだとどうしても体勢が不安定になるから、こうやって何か掴める物がないと高いところには行けない。
また下のほうで呆れたようなことを言われている気がするけど、天使みたいに自由に飛べるわけじゃないのに。
そんなことを思っていたら、自由に飛べるマリスが追いかけて来た。
「お供します」
「え、なんで?」
聖者様のお目付け役のはずじゃなかったのかと、不思議に思った。
「私どもがこのままではどれほど無力か、先ほどご覧になったでしょう。なぜ使徒の役目を仰せつかったのかと思っていましたが、あなたを見守ることも含まれているのかもしれません」
確かに神から特別扱いはされているけど、そんなことまでするだろうか。神の考えていることは本当によく分からないし、マリスもそれで考え込んでいたんだろう。
そうしているうちに、リリスも追いかけて来た。
「マリスが行くならわたくしも行きますわ!」
だけどマリスは首を振るように小さく左右に揺れる。
「あの魂の状態を見ただろう。リリスはルルビィさんの様子を見ていたほうがいい」
「あ…そうですわね、確かに気になりますわよね」
リリスはおとなしく引き返そうとして、少し止まった。
「ライルさん! 先ほどは100年進めたのですよね? 100年経ったらわたくしたち、赦されるということですわね?!」
正確には、100年よりは短かった。7~80年くらいだ。
でもあまり期待させても良くないかなと思う。
「一気に進めたから大体だけど、油断してたら未来が変わるかもよ?」
「ええ、心がけますわ!」
はしゃいだような声で下へ戻るリリスを見送って、マリスに視線を戻した。
「ルルビィさん、大丈夫じゃないの?」
「まだ分かりません。念のためですよ」
そうは言われても心配になる。
――心配といえばもう一つ。
さっき、幻妖精たちの時間を進めたとき。
赦されるのは少なくとも聖者様が生涯を終えてからだろうと思って、最初の何十年かは一気に進めた。
そのときのほんの一瞬。
瞬きをしていたら見逃していただろうというくらいの一瞬、天使のような姿が1体だけ見えた。
2体の天使が現れるまで、と見極めながら進めていたから気のせいかとも思ったけど、今なら分かる。
あれはリリスだった。
多分5年も進めていない。何年か後にリリスだけが少しの間、天使の姿になることが起きる。
先のことを知るのは、いいことばかりじゃない。
ダンの経験でそれを知っているし、リリスだけというのも気にかかる。
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