探究者パーティーがヤバ過ぎる!?

白城梨々子

文字の大きさ
上 下
1 / 21
プロローグ~世界を救った勇者の憂鬱~

伝説の勇者!?

しおりを挟む
 魔王討伐から2年、停戦状態を保っていた四大国が本格的に統治を進めるのだが関係はあまり良いとは言えない。

 そんな中、中心都市レイトで悩める男がいた。

 毎日、湯水のように金貨を溶かし、高級な酒に各国の代表的な高級料理、そして両脇に抱える事が出来ないほどの美女。

 贅沢三昧である。

 こんな男でも悩む事があるのだろうか。

 金髪に碧眼、そして誰もが釘付けになる程の美形。

 ヴレイド・フリーピース。

 魔王を打ち倒した勇者、その人なのである。

 彼は魔王を打ち倒した後、各国から伝説の勇者として担ぎ上げられ、毎日貢がれる金貨で贅沢な生活を送っていた。

 しかし、毎日貢がれる金貨が多ければ多いほど、罪悪感で押し潰されそうになるのだ。

 2年前。

 当時、契約騎士として活躍していたヴレイドは、魔王と対峙した。

「ほう? 貴様は契約騎士の中でも、秘めた力を感じるな。流石、我のもとまで辿り着くだけの事はある」

 魔王ゼルパ。

 紫色の肌に捻れた二本のツノ。

 魔術が刻まれた紅い魔眼。

 そして体から溢れ出る禍々しい魔力。

 対峙して分かる。

 体を切り裂かれるのではないかと錯覚する程の殺気。

「貴様を倒せば、世界は平和になる。覚悟しろ!」

 ヴレイドは勇猛果敢に魔王へ立ち向かった。

 最終決戦。

 と呼ぶにはおこがましく、一方的な戦いとなった。

「はぁ…はぁ…。俺の攻撃が効かない…?」

 ヴレイドの攻撃は魔王に全くと言っていいほど、効果がなかった。

 強大すぎる壁を前に為す術なし。

 ヴレイドは、世界の契約騎士の中でも指折りの強さを誇っていた。

 ここで倒れる事があれば、世界は簡単に滅亡するだろう。

「どうやら、我の思い違いだったようだ」

 魔王がトドメを刺そうとした時、鈍い音が鳴り響いた。

 ヴレイドは目を疑った。

 銀髪に桃色掛かった少女が剣で、魔王の顔面を殴り飛ばしていた。

 剣は鞘に納まったままで剣自体が錆び付いている。

 それだけではない。

 少女の攻撃が魔王に効果があるようだった。

「君は…一体…?」

「え? わたし? んー、世界の謎を探求する者さ!」

 少女は笑顔を見た後、ヴレイドは限界を迎え、意識を失った。

 再び目を覚ますと、魔王と少女の姿はなく、戦いが終わっていた。

 そして現在に至るーー。

 ヴレイドは、豪華すぎる居宅へと戻り、本棚にある本の位置を変え、隠し扉の奥へと入る。

 そこには各国の新聞記事や絵師に頼んだ少女の似顔絵。

「君は一体…何者なんだ…」

 ヴレイドは捜していた。

 魔王を倒した少女を。

 そして伝えたい。

 真に祝福されるべきは、君なのだと。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...