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プロローグ~世界を救った勇者の憂鬱~
伝説の勇者!?
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魔王討伐から2年、停戦状態を保っていた四大国が本格的に統治を進めるのだが関係はあまり良いとは言えない。
そんな中、中心都市レイトで悩める男がいた。
毎日、湯水のように金貨を溶かし、高級な酒に各国の代表的な高級料理、そして両脇に抱える事が出来ないほどの美女。
贅沢三昧である。
こんな男でも悩む事があるのだろうか。
金髪に碧眼、そして誰もが釘付けになる程の美形。
ヴレイド・フリーピース。
魔王を打ち倒した勇者、その人なのである。
彼は魔王を打ち倒した後、各国から伝説の勇者として担ぎ上げられ、毎日貢がれる金貨で贅沢な生活を送っていた。
しかし、毎日貢がれる金貨が多ければ多いほど、罪悪感で押し潰されそうになるのだ。
2年前。
当時、契約騎士として活躍していたヴレイドは、魔王と対峙した。
「ほう? 貴様は契約騎士の中でも、秘めた力を感じるな。流石、我のもとまで辿り着くだけの事はある」
魔王ゼルパ。
紫色の肌に捻れた二本のツノ。
魔術が刻まれた紅い魔眼。
そして体から溢れ出る禍々しい魔力。
対峙して分かる。
体を切り裂かれるのではないかと錯覚する程の殺気。
「貴様を倒せば、世界は平和になる。覚悟しろ!」
ヴレイドは勇猛果敢に魔王へ立ち向かった。
最終決戦。
と呼ぶにはおこがましく、一方的な戦いとなった。
「はぁ…はぁ…。俺の攻撃が効かない…?」
ヴレイドの攻撃は魔王に全くと言っていいほど、効果がなかった。
強大すぎる壁を前に為す術なし。
ヴレイドは、世界の契約騎士の中でも指折りの強さを誇っていた。
ここで倒れる事があれば、世界は簡単に滅亡するだろう。
「どうやら、我の思い違いだったようだ」
魔王がトドメを刺そうとした時、鈍い音が鳴り響いた。
ヴレイドは目を疑った。
銀髪に桃色掛かった少女が剣で、魔王の顔面を殴り飛ばしていた。
剣は鞘に納まったままで剣自体が錆び付いている。
それだけではない。
少女の攻撃が魔王に効果があるようだった。
「君は…一体…?」
「え? わたし? んー、世界の謎を探求する者さ!」
少女は笑顔を見た後、ヴレイドは限界を迎え、意識を失った。
再び目を覚ますと、魔王と少女の姿はなく、戦いが終わっていた。
そして現在に至るーー。
ヴレイドは、豪華すぎる居宅へと戻り、本棚にある本の位置を変え、隠し扉の奥へと入る。
そこには各国の新聞記事や絵師に頼んだ少女の似顔絵。
「君は一体…何者なんだ…」
ヴレイドは捜していた。
魔王を倒した少女を。
そして伝えたい。
真に祝福されるべきは、君なのだと。
そんな中、中心都市レイトで悩める男がいた。
毎日、湯水のように金貨を溶かし、高級な酒に各国の代表的な高級料理、そして両脇に抱える事が出来ないほどの美女。
贅沢三昧である。
こんな男でも悩む事があるのだろうか。
金髪に碧眼、そして誰もが釘付けになる程の美形。
ヴレイド・フリーピース。
魔王を打ち倒した勇者、その人なのである。
彼は魔王を打ち倒した後、各国から伝説の勇者として担ぎ上げられ、毎日貢がれる金貨で贅沢な生活を送っていた。
しかし、毎日貢がれる金貨が多ければ多いほど、罪悪感で押し潰されそうになるのだ。
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当時、契約騎士として活躍していたヴレイドは、魔王と対峙した。
「ほう? 貴様は契約騎士の中でも、秘めた力を感じるな。流石、我のもとまで辿り着くだけの事はある」
魔王ゼルパ。
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魔術が刻まれた紅い魔眼。
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対峙して分かる。
体を切り裂かれるのではないかと錯覚する程の殺気。
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と呼ぶにはおこがましく、一方的な戦いとなった。
「はぁ…はぁ…。俺の攻撃が効かない…?」
ヴレイドの攻撃は魔王に全くと言っていいほど、効果がなかった。
強大すぎる壁を前に為す術なし。
ヴレイドは、世界の契約騎士の中でも指折りの強さを誇っていた。
ここで倒れる事があれば、世界は簡単に滅亡するだろう。
「どうやら、我の思い違いだったようだ」
魔王がトドメを刺そうとした時、鈍い音が鳴り響いた。
ヴレイドは目を疑った。
銀髪に桃色掛かった少女が剣で、魔王の顔面を殴り飛ばしていた。
剣は鞘に納まったままで剣自体が錆び付いている。
それだけではない。
少女の攻撃が魔王に効果があるようだった。
「君は…一体…?」
「え? わたし? んー、世界の謎を探求する者さ!」
少女は笑顔を見た後、ヴレイドは限界を迎え、意識を失った。
再び目を覚ますと、魔王と少女の姿はなく、戦いが終わっていた。
そして現在に至るーー。
ヴレイドは、豪華すぎる居宅へと戻り、本棚にある本の位置を変え、隠し扉の奥へと入る。
そこには各国の新聞記事や絵師に頼んだ少女の似顔絵。
「君は一体…何者なんだ…」
ヴレイドは捜していた。
魔王を倒した少女を。
そして伝えたい。
真に祝福されるべきは、君なのだと。
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