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こぼれ話・その2
しおりを挟む☆本編からのこぼれ話になります。落ちはないです。ゆるーい脳と心でお読みください。
タイトル『今更、バレンタインチョコ』ートモセ視点ー(39話のその後)
「今、なんて?!」
目ん玉見開いて、喋っていたジュンを凝視する。
オレの態度にジュンがちょっと引く。
「だーから、アキから聞いた話。今年のバレンタイン企画に応募したんだって。トモセ当てにチョコ送って、そしたらホワイトデーのお返しに抽選で当たるトモセの直筆サイン入りの色紙が当たったんだと。それを枕元の近くに飾って・・・」
もう一度話してくれるジュンの話を最後まで聞かず、
「ストップ!! もう1回!」
食い入るようにジュンに近寄る。
「あ? 直筆のサイン入り」
「そこじゃない! もうちょい前!」
「・・・バレンタイン企画?」
「行き過ぎ!」
「つーか、おまえ、近いッ!! 離れろや!」
肘鉄されそうになり、なんとかよけた。
「車の中では仲良くね~」
運転しながらミラー越しにマネージャーの宮本さんにやんわり注意された。
これからドラマの打ち合わせに行く途中、車の中でジュンからアキの夢についての法則とやらを聞いていただけで、別にケンカするつもりなんて全然ない。
座り直して改めてジュンに話しかける。
「今年のバレンタインにアキがオレにチョコ送ったって本当?!」
「なんだよ、知りたいのはそこかよ。・・・あぁ、そう言ってたな」
「マジか」
ガーンとショックを受けて背もたれにもたれる。
「全然知らなかった!! 知ってたら絶対受け取ったのに! 直筆サインの色紙を自分で渡しに行ったのに!」
「つーか無理だろ。毎年ファンから送られてくるチョコは強制的に寄付するって決まってんだから」
なぁ、宮本さん。とジュンがマネージャーの宮本さんを巻き込もうとする。
「アキのチョコ・・・マジ欲しかった」
「つーか、2月の話だろ? まだアキのこと知らねーじゃん」
「・・・あ」
ジュンに諭され、そっかと顔を上げる。
呆れ顔のジュンがやれやれとため息をついた。
「来年は絶対アキから貰う!」
「はいはい」
おわり。
タイトル『うちわ』ーアキ視点ー(38話のこぼれ話)
「で? うちわになんて書いてあったんだよ」
「へ?」
芸能事務所のシェアハウスのキッチンで、トモセくんとラブずのメンバーのために朝食を作っていると、手伝ってくれているジュンくんに唐突な質問をされた。
「・・・うちわとは?」
フライパンにパンケーキの種をお玉で落としながら質問を質問で返す。
「夏のコンサート来ただろ? 東京公演の」
「はい! 行きました! その時のうちわに書いてあった文字のことですか?」
そうだと頷くジュンくん。腕組みをしながらフライパンの中の種をじーと眺めている。(パンケーキの番人?)
忘れてたとばかりにフライパンに蓋をする。すかさずジュンくんが、
「パンケーキ焼くのに蓋すんのか?」
「やり方はいろいろあるんですけど、ボクが働いてる店では蓋をします。その方がしっとり焼けるんで。こう・・・蒸気?で」
へーとジュンくん。パンケーキにハマっていた時期があると記事にあったけど本当だったんだと感動する。(尊い)
「で、なんて書いてあったんだよ」
ジュンくんに催促されて慌てて夏のコンサートに持って行ったうちわを思い出そうと記憶を探る。
「えーとですね・・・確か、『ピースして』です」
自分で言ってちょっと恥ずかしくなる。
「あ? ピース?」
「トモセくんてファンにピースとかしないから、してくれたらボクのうちわを見てくれたってわかるかなぁなんて。やってもらえませんでしたけど。その代わりオタク仲間の子のうちわに書いてあることをやってて、その子すごく喜んでましたよ。今でも話題に出るくらい」
「・・・それって投げキッスとキュンサインだろ?」
「・・・はい。めちゃくちゃバズってましたよね」
ふーとため息をつくジュンくん。
「それ、あいつがアキのうちわだって勘違いしてやったんだよ。あんたのオタク仲間のうちわじゃねー」
「へ? ・・・うへぇ?! そうだったんですか?!」
びっくりして大きな声がキッチンに響く。
「アキ、コンサート中にあずって奴のうちわ持ってたろ?」
「・・・はい、靴紐ほどけたからって・・・へ? なんで知って?」
「その絶妙な悪いタイミングにトモがアキのうちわだと思ってやったんだよ」
「えぇー」
そんな数分の間に・・・・。なんという神様のいたずら。というか、この事実、浜村さんに言っちゃダメだ。
固く心に誓っているとジュンくんにおもいっきり肩をどっつかれた。(!!)
「おい! 焦げ臭い匂いしてるぞ!」
「へ?! わわわ!」
慌てて蓋を開けたら丸いふちが黒く焦げていた。匂いも臭い。
うわぁぁぁ、ジュンくんの前でやらかしてしまった。
「ご、ごめんなさぁぁぁい!」
「土下座なんてすんなよ」
「しませんよぉー」
火を止めて、もったいないけど焦げた半生のパンケーキをお皿によそってもう一度焼き直すことに。
おわり。
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